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老後資金はいくらあれば安心できる?FPが計算方法と注意点を教えます

公開日:2022/09/30 最終更新日:2023/08/28
夫婦

人生100年時代といわれはじめたのは2016年ころのことですが、実際に100歳まで生きるかどうかはさておき、老後といわれる期間が増えているのは確かです。

老後といっても現役時代と変わりなく生活していくためには、老後資金の裏付けがなければ安心できません。

老後資金の必要額については様々な意見がありますが、本記事では昨今のインフレ傾向を踏まえた老後資金の計算方法とその注意点をFPが解説します。

老後資金はいくら必要?目安は?

お金

老後資金はいくら必要かを計算することは、老後の収入と支出のバランスをベースとした第2の人生設計だといえます。

ただ「老後資金2,000万円問題」に代表される老後資金のシミュレーションは多く存在しているので、一つの目安として参考にはできるでしょう。

個人別の具体的な老後資金は別個に計算するとして、まずは老後資金の基本となる公的年金の受給額と老後の生活費について確認します。

(1)公的年金の平均額

日本の公的年金制度は、日本に住む20歳から60歳未満の人全てが加入する「国民年金」と、会社員や公務員の多くに加入義務がある「厚生年金」という2つの制度があります。

年金の被保険者は以下の3種類に分かれており、受給資格を満たした全ての被保険者に国民年金が、第2号被保険者にはさらに厚生年金を受け取ることができます。

被保険者の種別主な対象者
第1号被保険者自営業者、農業者、学生および無職の方とその配偶者の方
第2号被保険者厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員の方
第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者
著者作成

問題は公的年金をいくら受給できるかなのですが、平均額について厚生労働省がまとめた「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに見てみましょう。

年度国民年金厚生年金
2018年55,809円145,865円
2019年56,049円146,162円
2020年56,358円146,145円
参照:「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

これはあくまで平均額なので、実際に受給できる金額はとくに厚生年金では差がでるのですが、これをもとにするとサラリーマンだった夫と専業主婦だった夫婦の年金収入は、2020年度の数字で202,503円/月ということになります。

意外に少ないことに驚くかもしれませんが、今後の年金財政を考慮するとさらに目減りする可能性が高いことを考慮しておくべきです。

(2)夫婦ふたりの場合

老後の必要資金を計算するうえで、生きていくため毎月支出する金額を把握しておかなければなりません。

先ほどの公的年金などによる収入と同じで、毎月の支出額も持ち家か否か、またライフスタイルによって大きな違いがあります。

しかし、まずは目安として総務省統計局の「総世帯及び単身世帯の家計収支(令和3年)」をもとに、夫婦ふたり世帯の支出額を見てみましょう。

項目支出額
食料65,789円
住居16,498円
光熱・水道19,496円
家具・家事用品10,434円
被服および履物5,041円
保健医療16,163円
交通・通信25,232円
教育2円
教養娯楽19,239円
その他消費支出46,542円
上記合計(消費支出)224,436
非消費支出(税金や保険料)30,664円
総合計255,100
参照:総務省統計局の「総世帯及び単身世帯の家計収支(令和3年)」

家計調査報告によれば夫婦二人の1ヶ月あたりの支出は255,100円となっていて、年金月額と比べかなり多いことが分かります。

ここで注目すべき点は「住居」の16,498円という数字で、多くの方は「そんなわけないだろ」なんて思うのではないでしょうか。

実はこの数字、家賃を払っていない方も含めた平均で、住宅ローンを払っている場合でもその金額は消費支出に当たらないためカウントされません。

ちなみに国土交通省が公開している「令和2年度(2020年度)住宅市場動向調査報告書」では、住宅ローンの返済額は全国平均で毎月103,916円となっています。

また総務省が公表している「平成30年(2018年)住宅・土地統計調査」によれば、1ヶ月当たりの平均家賃は55,695円です。

つまり実際の老後資金を考える場合は、これらの支出項目を参考にしながら、自身の毎月の出費について詳しく精査しなければならないのです。

(3)ひとり暮らしの場合

国立社会保障・人口問題研究所が2020年に実施した国勢調査では、生涯未婚率は男性が28.25%女性が17.85%となっており、お独り様の老後は珍しいものではなくなりつつあります。

先ほどは夫婦ふたりの支出額を確認しましたが、次にひとり暮らしの場合の平均額も確認してみましょう。

項目支出額
食料36,322円
住居13,090円
光熱・水道12,610円
家具・家事用品5,077円
被服および履物2,940円
保健医療8,429円
交通・通信12,213円
教育0円
教養娯楽12,609円
その他消費支出29,185円
上記合計(消費支出)132,476
非消費支出(税金や保険料)12,271円
総合計144,747
参照:国立社会保障・人口問題研究所「国勢調査」2020年

ひとり暮らしの場合、1か月あたりの支出は144,747円が平均額となっており、第2号被保険者つまり厚生年金を受給していれば何とかなりそうな金額に見えます。

とはいえ住居費の問題や、ここには含まれない突然の支出などを考えると安心はできませんし、やはり自分のケースに落としこまなければ正確な必要資金は分からないでしょう。

人によって必要な金額が違う!老後資金の計算方法

公的年金の受給額や、毎月必要になる生活資金の平均額を確認しましたが、すでに自分には当てはまらないと感じた方は多いのではないでしょうか。

それもそのはずで、老後を迎えたときのバックボーンは人によって大きく違い、そもそも老後の定義や過ごし方も個人差があるものです。

そこで改めて人によって違いのある老後資金の計算方法について、個別の事情も勘案しながら考えてみましょう。

(1)もらえる年金額を計算する

これまで「老後」というものの一般的な定義は、勤め先を定年退職してから永眠するまでの期間のことで、それまでのストック(貯えや資産)と公的年金等で生活資金などの支出を賄うことが前提でした。

ところが近年は、60歳だった定年が65歳や70歳まで延長されたり、資産運用や副業など老後収入の多様化だったり、少し事情が変わっています。

とはいえ、公的年金支給額が老後と定義される期間の重要な収入であることに変わりはないので、まずは自分のもらえる年金受給額を計算することは重要です。

国民年金のみの場合は、被保険者として40年間すべて国民年金保険料を納付していれば、月額66,250円(年間795,000円・令和5年度)となります。

また保険料の全額または一部免除期間がある場合の年金支給額は、下記算式によって計算することができます。

795,000×保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+×4分の1納付月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)÷40年(加入可能年数)×12か月

厚生年金の計算方法は非常に複雑なので、毎年誕生月(1月生まれの方は前月)に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を参考にするか、日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すると使用できる計算ツールを利用しましょう。

老齢厚生年金の受給額は、加入期間と被保険者だった時の標準報酬(年収)によって決まるのですが、その目安(年額)は下表の通りとなります。

 20年間30年間40年間
年収300万円328,860円493,290円657,720円
年収400万円438,480円657,720円876,960円
年収500万円548,100円822,150円1,096,200円
年収600万円657,720円986,580円1,315,440円
著者作成

※報酬比例部分の金額なのでこれに老齢基礎年金(国民年金)を加える

年金受給額は家庭単位で計算しますが、夫婦2人共働きの場合や専業主婦だった場合、1人独身者の場合など、様々なケースが考えられます。

老齢厚生年金は原則65歳から受給できますが、最大75歳まで繰下げ受給することで、もらえる年金額が最大84%増えるので、受給時期もよく検討すべきです。

(繰下げ増額率早見表)

 66歳67歳68歳69歳70歳71歳72歳73歳74歳75歳
割増率8.4%16.8%25.2%33.6%42.0%50.4%58.8%67.2%75.6%84.0%
出典:日本年金機構

繰下げは1ヶ月単位で決められ、受給開始を遅らせるほど割増率は増えるのですが、もちろん受給前に死んでしまえば水の泡です。

具体的には65歳を迎える直前の仕事や資産の状況で決めることになるので、老後資金の試算の段階では65歳からの受給するシミュレーションをするとよいでしょう。

(2)自分が必要な生活費を計算する

2019年6月に、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書で、「老後20~30 年間で約1,300 万円~2,000 万円が不足する」という試算から大騒ぎになった件ですが、あの時疑問の声を寄せられたのが支出に対するものでした。

試算では食費が64,444円とされたほか、トータルで263,718円の支出となっていたのですが、「高齢者がそんなに食べるのか?」といった偏見まがいの批判もあり、結局議論はなかったようにされます。

ここで冷静に考えなければならないのは、老後の生活費とは今現在の生活費をベースに考えなければならないということです。

少し考えれば分かりますが、老後生活に入った瞬間に90歳高齢夫婦のような生活に激変するでしょうか?

先ほど平均的な老後の消費支出を掲載しましたが、これと比べて現在の消費支出がどうなのか考えてみましょう。

恐らく多くの項目で支出が上回っているはずですが、これに加えて住宅ローンや投資などの支出も加味して、毎月の支出を把握します。

そのうえで老後(といわれる期間)になったときに、「住宅ローンを繰り上げ返済する」「生命保険を見直し若しくは解約する」「積立投資を止める」など、様々な見直しが必要です。

こうして整理した結果が、老後自分が必要な月々の生活費で、これに家のリフォームや介護費用、病気、葬儀費用などセカンドライフで考えられることもイメージしておきます。

この時の注意点として、老後への不安のあまり食費や娯楽費、交際費など切り詰めて生活水準を落としすぎると、老後生活に希望や期待が持てなくなってしまうことです。

(3)不足となる老後資金を算出する

老後の年金収入が分かり、月々支出する生活資金も分かれば、毎月の収支が把握できるはずですが、公的年金だけで賄うのは難しい現実があります。

ところが一つ盲点があって、老後の2,000万円問題で話題になった報告書には、重大な欠陥が隠されていました。

それは報告書で言われている不足額は、単に毎月の不足額に老後の生活年数を乗じただけの金額で、預貯金を取り崩していく前提になっていることです。

つまり老後のスタートと同時に、運用益ゼロの金融資産しかないわけで、現実との乖離がみられる内容でした。

確かに最近までの日本はデフレが続いていたので、金利がつかない銀行など金融機関の定期預金でも、元本割れしないだけで価値があったといえます。

しかし直近の物価上昇を考えれば、インフレした分だけ資産価値を減少させることになるので、貯蓄額をそのままにしておくのはマイナスです。

ここまで話せば分かると思いますが、毎月の不足額に何歳まで生きるかの期間をかけ合わせた不足額に対して、老後の資産運用による期待利回りも加味した差額が、真に老後の不足額の計算には必要となります。

例えば毎月約5.5万円の不足額があり、それが30年続くとすると約2,000万円足りない計算になりますが、もし金融資産を3%の利回りで運用するとなると1,300万円あれば不足額を補填できます。

つまり老後までに不足分を用意するのではなく、その後の運用まで視野に入れてライフプランを立てることが必要です。

老後資金の計算方法について私のチャンネルでも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

年代別!効率よく老後資金の作り方

年代

老後資金の必要額を考えたとき、高齢社会を考えたら少しでも多くの資産を蓄えるに越したことはありません。

また資産形成は老後資金だけが目的ではなく、人生におけるさまざまなライフイベントにゆとりをもつためにも必要です。

とはいっても始める年代によって効率の良い方法や、逆にデメリットやリスクの多い方法もあるので、年代別におすすめの資産形成方法について紹介します。

(1)20代、30代の老後資金の作り方

社会人になって間もない20代は、給与もまだ低く可処分所得も多くは望めないので、大きな資金を用意するのは困難です。

ただ老後までの時間的な余裕があり、運用期間が長いことは20代の強みといえます。

拠出できるお金も少ないうちは、長期運用による確実な資産形成がおすすめで、「iDeCo」「つみたてNISA」など少額投資の活用を考えてみましょう。

なおNISAは2024年以降、年間投資枠・非課税期間ともに現行制度より拡大されるので、投資期間が長いほど大きな効果が期待できます。

iDeCo(イデコ)やつみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

30代になってくると、結婚や出産・子育て、そしてマイホーム購入など大きなライフイベントによる出費が多くなってくることが一般的でした。

ただ30代後半の未婚率は男性で35.6%、女性で23.1%となっていることから、最近はライフプランも多様化したといえるでしょう。

30代でも老後までの時間的余裕があるので、20代と同じく長期投資をしながら、老後資金を考え貯蓄性保険商品を考えるのも良いかもしれません。

この頃になると結婚するか否かで、投資や貯蓄に回せる資金も差が大きくなるので、老後を見据えながら将来のことをよく考えるべき年代だといえます。

20代、30代の資産運用について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

(2)40代、50代の老後資金の作り方

40代になってくると社会人生活の折り返しになることから、早い方では老後を強く意識するかもしれません。

結婚して子どもがいれば教育資金なども必要になるので、老後資金と教育資金を切り分けて資産運用の目的を明確化することもおすすめです。

この年代になると年収も多くなっているので、株式投資や他の金融商品などの割合を増やし、リスクヘッジをするための分散投資も有効になります。

50代は、会社勤めをしていれば完全に定年退職後の将来的な計画が見えてくるはずです。

若いころから資産形成をしていた方であれば、ある程度まとまった金融資産を持っている方も多いので、老後の収入確保のため投資用マンション購入で不動産投資などを検討される方もいます。

この時期になるとある程度詳細な老後プランも必要なので、ファイナンシャルプランナーなどの専門家相談するのも選択肢の一つです。

ただ注意点としては、老後が近づいている分だけリスクヘッジは重要で、積み上げてきた資産を大きく目減りさせるような無理は避けましょう。

40代、50代の資産運用について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

(3)60代以後の老後資金の作り方

60代になると定年退職を迎え、それまで計画していたセカンドライフが始まります。

公的年金を受給できるのも60代からですが、その中から貯蓄を増やすことは現実的なことではありません。

ある程度貯めた資産を利回りで目減りをしない、守りの資産運用が基本になります。

安全かつある程度利回りを確保しながら、老後生活費や医療費などのために換金性の高い資産も確保しておくことが大切です。

また資産状況によっては、老後のさらに先にある相続税対策の検討も始める必要があります。

長寿化で長生きになった高齢者ですが、自分自身の心配ばかりかその後のことまで気を配らなければならないとは、なんとも忙しいものです。

60代の資産運用について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

退職金を活用した老後資金の作り方

かつては退職金で老後資金を賄うといったことも可能でしたが、近年は退職金の支給額が減少傾向にあるため、退職金を原資とした資産運用が必要になりました。

厚生労働省が毎年発表している「就労条件総合調査」で、5年ごとに行われている退職金の支給実態を見ると、急激に退職金が減っていることがわかります。

調査実施年平均退職金
1997年2,871万円
2003年2,499万円
2008年2,323万円
2013年1,941万円
2018年1,788万円
参照:厚生労働省「就労条件総合調査」

「大卒以上の管理・事務・技術職」で「定年退職した勤続20年以上・45歳以上」のデータですが、1997年から2018年にかけて1,000万円以上減少しています。

これに加えて、平均寿命の延びによる老後必要資金の増大や、老齢年金支給額の減少も影響しています。

また噂段階とはいえ、現政権では退職金の所得控除を減らし、課税している所得税や住民税を増税しようという考えもあるようです。

退職金を利用した資産運用は、「低リスクの投資」が絶対的な基本です。

投資信託を利用した債券等への投資や、個人向け国債、NISAの活用など、「大きく増やすことが目的ではない」ことを強く意識しましょう。

老後資金を作る時の注意点

女性

老後資金を作るときにはいくつかの注意点があり、それらを一つずつクリアすることで、無理なく現実的なプランニングになります。

ここでは老後資金を作るときの注意点を、いくつかに分けて具体的に説明します。

(1)短期よりは長期的に計画を立てる

老後のスタートは人によって違いますが、仮に65歳を老後の始まりとすると、短期より長期的に考えた方が無理なく目標額に到達できることが分かります。

そう考えると可能な限り早く貯蓄や資産運用を始めた方が有利で、それは数字を見れば明らかです。

65歳まで2,000万円を貯めることを目標だと仮定すると、55歳から始めたら10年間毎年200万円も貯めなければなりません。

これが25歳から始めたとして、運用利回りごとに毎月の積立額を計算すると下のようになります。

 年利0%年利0.3%年利3.0%
必要貯蓄額41,667円39,162円21,461円
著者作成

ちなみに、つみたてNISAの平均利回りは20年間運用したとすると1.125%~7.27%になるといいます。

長期的に計画を立てることで、積立額が低くなるばかりか赤字額が発生するリスクも抑えられるので、早く長期的な計画を立てましょう。

(2)ハイリスク・ハイリターンの商品を避ける

老後は誰にでもやってくるものですが、つい目先の誘惑に駆られて老後資金の準備が疎かになることがあるものです。

老後資金は、遊ぶための資金ではなく生きるためのお金なので、博打的なハイリスク・ハイリターンの商品は避けなければなりません。

早めの準備が重要だと先ほど述べましたが、老後がもうすぐで準備も出来ていないからといって、このような商品に手を出すことは自殺行為です。

(3)目標を明確にする

老後資金を作るときには目標を明確にすべきで、もし漠然と3,000万円貯めようと思ったら、例えば老後資金は2,000万円で、残りの1,000万円は「さらに増やす投資に回す」など分けて考えましょう。

また老後資金についても、老後生活にすぐに必要になる当座のお金と、長いスパンで使う予定のあるお金、そして当分使わない増やすため(減らさないため)のお金に分けておきます。

老後資金の用途を明確にすることで、それぞれ適切な運用方法が見つかるので、全てにおいて目標や目的は明確にしておきましょう。

(4)プロにアドバイスをもらう

日本人は「投資に奥手」だと言われますが、これは欧米では当たり前に行っている投資への教育がなされていないからです。

バブル崩壊後、長く続いたデフレ時代にあっては働いて得た収入を、ほとんど利息の付かない預金へ預けていても問題はありませんでした。

しかしインフレ下においては、物価が上がったぶん貨幣は価値を減損していくので、資産運用を考えなければ資産が減っていきます。

とはいえ教育を受けず知識のないなか投資することは、不安を感じるでしょう。

そうであればプロにアドバイスをもらうことを、積極的に考えるべきで、そうすることで投資や資産運用の方法や、その目的まで明確にできます。

これは老後資金だけにとどまらず、相続税対策などにもいえることで、各分野の専門家を上手く活用することをおすすめします。

不安な方はFPに相談

相談

老後資金に関して何となく不安を覚える方は、いくら貯めれば良いのか、またその方法もよく分からないのではねいでしょうか。

老後資金に関して「お金のプロ」FP(ファイナンシャルプランナー)相談するメリットは何なのか、その点について考えてみましょう。

(1)FPに相談できること

FPとは日本の国家資格で、経済的な側面から人生の夢や目標をかなえるための「ファイナンシャルプランニング」をサポートする専門家です。

FPに相談する内容は多岐にわたり、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など、人生のお金に関わるものを網羅します。

ではFPに何が相談できるのかを具体的に挙げると、次のようなものが代表的な事例になります。

家計管理日々の家計管理、将来のための貯蓄方法 など
老後の生活設計老後の生活資金の準備方法、老後の生活設計方法 など
教育資金教育資金の準備方法、奨学金の活用 など
年金・社会保険公的年金制度の仕組み、社会保障制度の仕組み など
住宅資金住宅ローンの借り方、住宅ローンの繰上げ返済と借換え方法など
資産運用退職金の運用方法、投資信託などの金融商品の仕組み など
税制医療費控除や配偶者控除などの仕組み、税金などの仕組み など
保険保険の仕組み、必要な死亡保障・医療保障の考え方 など
介護・医療費介護費用の準備方法、介護保険制度の仕組み など
相続・贈与遺言や相続に関する準備方法、子や孫への資金贈与 など
引用:日本FP協会

FPへの相談内容は、人生における「お金」に関わるもの全てといえますが、老後資金はかなり身近な「お金の悩み事」です。

FPに相談することで、老後資金の必要額やその根拠、男女別の平均余命や環境による注意点などが明確になるでしょう。

(2)FPに相談するメリット

高齢化社会が進むなか、公的年金の給付金額は下がり続け、老後の準備をしていたとしても老後破産に陥るような事例が見られます。

これを「老後の生活見込みが甘かった」といって切り捨てるのは簡単ですが、実は誰にでもあり得ることです。

FPに相談することで、老後資金の必要額が明確になるだけだはなく、現在の日常生活費の問題や無駄な支払いなど、支出の見直しができます。

とくに知らずに無駄になっている医療保険の見直しや、個人型確定拠出年金や個人年金保険など私的年金への配分など、お金の専門家ならではのアドバイスが貰えるでしょう。

個人ではなかなか理解できかった税制上の優遇措置を知れば、確定申告で無駄に払っていた税金が還付になることもあります。

また「貯める」ということに関しても、単純に1ヵ月10万円を貯めて1年間で120万円にするということでは、預金口座内の貯金額はそこからほとんど変化しないでしょう。

しかしFPに相談すれば、若い人であれば目的によって財形貯蓄も、自宅を購入するための財形住宅貯蓄や、老後に備える財形年金貯蓄などに色分けしてくれ、企業型と個人型のiDeCoの違いなど、理解しづらいことも分かるようになります。

そのためFPに相談することは、早めであればあるほど自分の利益になる選択肢のひとつだということを知っておきましょう。

(3)よくある相談内容

老後資金に関して寄せられる相談内容は、個人別に見ていくと多岐にわたるのですが、大きく分けると以下の3点が多いようです。

  • 老後資金の必要額が分からない
  • 今の支出が多くて貯められそうにない
  • 老後の備えとして投資すべきか

このような悩みを抱える理由は、問題の一側面しか見ていないからなのですが、そのような相談内容とそれへの回答を見てみましょう。

Q1:老後資金はいくら用意すればいいのか分かりません。

A:老後資金の必要額は、家族構成やライフスタイルなどによって大きな違いがありますが、一番難しいポイントは「何歳まで生きるのか?」という点です。

一般的に年金受給額を含めた老後資金は、夫婦で6,000万円、一人暮らしの単身者で3,000万円といわれていますが、これは目安に過ぎません。

長めの老後期間を設定して年金受給額を計算の上、ご自身のライフスタイルを想定した支出額を想定し、不足すると思われる金額が老後資金の必要額になります。

できれば安定的かつ長期的に貯めることがおすすめで、税制優遇措置のあるつみたてNISAやiDeCoなどを活用しましょう。

Q2:いま30代ですが毎月家計が赤字で老後資金を貯められません

A:30代は結婚や出産などライフイベントによる支出が多くなりがちで、貯蓄する余裕のない方も多く見られます。

老後資金を貯めるコツは、少しずつ長期的に考えることなので、通信費や光熱費、生命保険料などの固定費を見直すことで、少額でも構わないので「始めること」が重要です。

FPに相談すれば、家計の見直しや将来的な予想を計画的に組み立ててくれるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。

Q3:もう50代で老後資金に不安があるので投資したほうが良いでしょうか

A:総務省による2022年の「家計調査」では、50代の貯蓄額は1,199万円が平均値となっていますが、中央値は260万円となっています。

つまり同じような不安を感じている方は多いのですが、遅いからといってリスクを取るような投資は止めましょう。

50代からであっても、非課税制度を利用した積み立てをベースにして、リスクのある投資はあくまで余剰資金(諦めのつくお金)ですることが大事です。

また定年後であっても、仕事を続けることも視野に入れれば、それほど焦る必要はありません。

実際に弊社にあった相談事例を公開していますので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

夫婦

国民の多くが漠然と不安を覚える老後資金の問題ですが、現実的な予想をすることで必要額などが明確になるものです。

目標さえしっかりしていれば心配する必要もなく、立てた目標にむかって計画的に進むだけで済みます。

もし目標がたてられないようであれば、FPなどの専門家の力を借りることで、思いのほか簡単に解決策が見つかるはずです。

悩んでいる時間があるのであれば、早めに問題を解決して前へ進みましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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