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団体信用生命保険(団信)とは?選び方、利用時の注意点を解説

2022年11月9日
夫婦

住宅ローンを組んでマイホームを買おうと情報収集する中で、「団信」という言葉を目にした人も多いでしょう。

団信は正式名称を団体信用生命保険といい、住宅ローンを組む上で加入必須となっています。

団信はローン契約者が亡くなったりした場合に、ローンの支払いが免除となる重要な保険です。

この記事では、団信の仕組みや利用時の注意点について解説します。

団体信用生命保険(団信)とは?一般生命保険との違い

保険

まずは団信の基本情報と、一般生命保険との違いを見てみましょう。

(1)団体信用生命保険(団信)とは?

団体信用生命保険とは、住宅ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態に該当した場合などに、ローン返済額が0円になる保険です。

契約者が亡くなり債務の返済ができなくなった時に、生命保険会社が金融機関にローン残高相当の保険金を支払ってくれます。
ローンの返済が免除されるので、残された家族に経済的な負担をかけずに済みます。

ちなみに、高度障害状態とは一般的に以下の状態を指します。

  1. ☑両眼の視力を全く永久に失ったもの
  2. ☑言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  3. ☑中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  4. ☑両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  5. ☑両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  6. ☑1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  7. ☑1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A」

民間の金融機関で住宅ローンを組むときは、原則、団信への加入を求められます。

一方で、住宅金融支援機構が提供するフラット35では、団信は任意加入となっています。

(2)一般生命保険との違いは?

一般の生命保険では保険金は遺族が受け取りますが、団信では保険金受取人は金融機関です。

金融機関は受け取った保険金をローン残債に充てるため、残された遺族は返済を免れます。

保険金を遺族が受け取らないという点が大きな違いです。

また、生命保険は契約時に選んだ保険期間の中で保障を受けることが一般的です。

団信は住宅ローン専用の保険であるため、原則、保険期間とローン返済期間は同一となります。

予定より早く返済した場合でも、完済した時点で保険期間が終了します。

団信の保証内容は金融機関によって違う

入院

団信の保障内容はさまざまな種類があり、金融機関によっても異なります。
ここでは代表的な5つの保障プランを紹介します。

(1)一般の特約なしの団信

特約なしの団信は、保険契約者が死亡または高度障害状態となった場合に保険金が支払われます。
しかし、病気やケガで働けなくなった場合の保障は付いていません。
万が一のときに備えて保障範囲を広げたい人は、特約ありの団信を選ぶとよいでしょう。

(2)三大疾病保障つきの団信

悪性新生物(がん)・急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態になったとき、または所定の手術を受けたときに保険金が支払われます。

「所定の状態」とは、一般的に下記のような状態を指します。

  1. ☑急性心筋梗塞を発病し、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したとき
  2. ☑急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞の治療を直接の目的として手術したとき
  3. ☑脳卒中を発病し、初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したとき
  4. ☑脳卒中を発病し、その脳卒中の治療を直接の目的として、手術を受けたとき

がんについては、責任開始日からその日を含めて90日経過した日の翌日以降に、診断確定されたものを保障することが一般的です。

(3)八大疾病保障つきの団信

八大疾病保障つきの団信では、三大疾病保障の条件に加えて5つの生活習慣病に対する保障が追加されたものです。

具体的には以下の疾病を指します。

  1. ☑高血圧性疾患
  2. ☑糖尿病
  3. ☑慢性腎不全
  4. ☑肝硬変
  5. ☑慢性膵炎

八大疾病と診断され、所定の就業不能状態などになった場合に保険金が支払われます。

(4)がん保障つき団信

一般の団信にがん保障が付帯されたものです。
がんに罹患したり、医師による病理組織学的所見(生検)により診断確定された場合に保険金が支払われます。
上記に加えて、医師の診断書により保険会社から余命6ヶ月と判断された場合にもローン残高が0円になるリビング・ニーズ特約が付帯した商品もあります。
他にも、返済負担額が50%免除される商品、がんを原因として療養を受けたり、先進医療を受けた場合に給付金が支払われる商品などさまざまです。

がんは日本人の2人に1人がかかり、4~6人に1人が死亡すると言われています。
生活習慣の改善によってある程度予防することができますが、完全に防ぐことはできないため、心配な人はがん保障つき団信を検討するとよいでしょう。
出典:がん情報サービス

(5)全疾病保障つき団信

精神疾患を除く、すべての病気やケガに対する保障が付いています。

保障範囲が広いため、あらゆる不測の事態に備えられる点がメリットです。

ただし、がんと診断されたらローン返済が免除される「がん保障」の内容は含まれていないことが多いので、注意しましょう。

団信の保険料はどうなる?

保険料

団信の保険料はどのようになっているのでしょうか。

(1)住宅ローン金利に保証料が含まれる

団信の保険料は金融機関が負担するので、契約者は保険料を支払う必要はありません。
一般的には、保険料相当額が月々の返済額に含まれています。

3大疾病保障やがん保障など特約を付帯する場合は、住宅ローンの金利に年0.10%~0.30%程度の利率が上乗せされます。

借入金額が高く、ローンの期間が長いほど保険料も上がるので、保障内容と保険料を比較して検討しましょう。

(2)団信加入によって金利が優遇されるケースもある

団信は特約を付帯すると上乗せ金利が発生しますが、団信加入により金利が優遇されるケースもあります。
実質、上乗せ金利なしでお得に加入できる可能性もあるので、加入前にチェックしてみましょう。

団信に加入するメリット・デメリット

家族

続いて、団信への加入によるメリット・デメリットについて説明します。

(1)メリット

もし契約者に万が一のことがあっても、保険金によってローンの残債がなくなります。
残された家族にローンを返済する必要がなく、経済的な負担がかかりません。
一方で住宅は資産として残るので、遺族は自宅を手放さずに住み続けることができます。

(2)デメリット

特約ありの団信の場合、住宅ローンに金利が上乗せされますが、通常の生命保険と比べると保険料が高くなりがちです。

また一般的に、団信の保障内容は住宅ローンの支払いが免除されるだけなので、病気などの入院費が出るわけではありません。
入院費や治療費を保険で補いたい場合は、別途、一般の生命保険へ加入することも検討しましょう。

契約者に持病や既往歴があると、引受保険会社の審査により、団信に加入できないケースもあります。
加入できない場合は、通常の団信よりも引受基準が緩和されている「ワイド団信」を検討する方法もありますが、必ず加入できるわけではありません。

自分に合った団信の選び方

男性

では団信を選ぶ際、どのようなポイントを重視すべきなのでしょうか。
自分に合った加入プランの選び方3選を紹介します。

(1)保障内容は十分であるかどうか

最も重要な点が、保障内容は十分であるかどうかです。
一般の団信は、死亡・高度障害状態になったときに保険金が支払われますが、病気やケガで働けなくなった時の保障はありません。
万が一ときに備えて、保障内容を充実させたいのであれば、特約付きの団信を選びましょう。

(2)保険金の支払い条件は厳しいかどうか

保険金の支払い条件も重要なポイントです。
団信は金融機関ごとに保険金支払い条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
例えば、がん保障は「上皮内がん(大腸内膜がん、食道上皮内がん、子宮頸がん0期など)」「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん」は保険金支払対象外となることがあります。

(3)団信加入により金利優遇があるかどうか

団信加入により住宅ローン金利が優遇されるのかについても、確認しておきたいポイントです。
保険料分が上乗せされても借入金利が優遇されるのであれば、金銭的な負担を減らしながら、幅広い保障を受けられることになります。
特約の付帯を検討している人は、ぜひ確認してみてください。

団信に加入する時の5つの注意点

注意点

次に、団信に加入する時の5つの注意点について説明します。

(1)健康状態は良好である必要がある

団信は生命保険の一種であるため、健康状態の告知が必要です。

一般的に過去3年以内の病歴・治療歴などを告知しますが、健康上の理由で団信に加入できない可能性もあります。

加入できない場合は、団信への加入が必須でないフラット35を選択するか、引受基準が緩いワイド団信を検討しましょう。

(2)団信は加入後の契約内容変更ができない

基本的に、団信は加入後に契約内容を変更することができません。

もし保障内容を変更したいと思っても、契約後は特約の追加・削除は対応していません。

加入時に保障内容が十分かどうか、よく検討することが大切です。

(3)住宅ローンの借り換えの場合は新たに団信に加入する必要がある

住宅ローンの借り換えを行う場合は、新規で団信に加入する必要があります。

借り換えのタイミングで、これまで契約していた団信は保険期間が終了するためです。

健康状態が以前から変わっている場合は、新たに団信に加入できないケースもあるので、注意しましょう。

(4)解約すると再加入はできない

団信は住宅ローン契約時にしか申込みができないため、一度解約すると加入できません。

特約付帯による金利の上乗せが負担になり、解約するケースも考えられるため、保障内容は金銭面も考慮して検討しましょう。

(5)免責事項はきちんと確認する必要がある

免責事項を確認しておくことも大切です。

一般的には以下のような内容が免責事項として定められています。

  1. ☑告知内容を誤った場合
  2. ☑加入日から一定期間内に被保険者が自殺した場合
  3. ☑被保険者の故意により死亡または重度の高度障害になった場合

正しく告知しなかった場合、保険契約が解除されてしまう恐れもあるので、告知書には正確な内容を記載しましょう。

その他生命保険の見直しを検討の方はFPに相談

専門家

団信に加入することにより、他の生命保険と保障が重複することもあるでしょう。

その他の生命保険を見直すことで、生命保険料を抑えられる可能性もあります。

保険商品は内容が複雑で分かりにくい点も多いので、無駄な保険料を支払いたくない、見直しを検討したい方はFPへの相談がオススメです。

まとめ

家族

団信はローンの借主が亡くなって返済が難しくなった場合に、保険会社の保険金によって残りの住宅ローンが弁済される制度です。
残された家族の返済負担をゼロにできるので、死亡時などのリスクに備えることができます。

団信は基本的に保障期間中に内容を変更できません。

保障内容と上乗せされる金利をシミュレーションした上で、加入しましょう。

健康状態によって加入できないケースは、フラット35でローンを組むか、引受基準の緩い団信に加入する方法があります。

住宅ローンは最長35年と期間が長く、借入金額も大きい傾向にあります。

健康面に不安のある人は、保障内容をよく検討して団信に加入しましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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