投資初心者は何から始めるべき?FPがオススメしたい商品と方法を解説

目次
- ✅「投資に挑戦したいけれど、始め方が分からない」
- ✅「最適な投資商品の選び方が分からず、いつまで経っても投資をスタートできない」
このような悩みを持っておられる方は多いのではないでしょうか。
近年は金利が低く、銀行への預貯金よりも投資の方が効率的に資産を増やせるため、少しでも早くスタートするのがおすすめです。
しかし投資する上での注意点や商品の特徴を理解しないまま始めると、大きな損失が発生する恐れがあります。
本記事ではFPが投資初心者向けの商品や方法について解説します。投資に興味があり、今後投資を始めたいという方は参考にしてみてください。
投資初心者が投資を始める時に意識すべきこと

初めに投資初心者が意識すべきことを解説します。
(1)長期に渡って投資をし続けること
投資経験の浅い初心者は、長期投資を意識しましょう。
短期間では投資商品の価格変動幅が大きく、リターンが安定しません。
しかし保有期間が長くなると、一時的に価格が暴落または高騰したとしても、価格の増減が相殺されリターンが安定しやすくなります。
例えば先進国株式に投資した場合、期間別のリターンは次の通りです。
年率 | 1年間 | 5年間 | 10年間 | 20年間 |
リターン | -47%~67% | -5%~25% | -2%~15% | 4%~12% |
投資期間1年の場合は-47%から67%と変動が大きいですが、20年間の場合は4%から12%と変動幅が小さく、リターンもプラスになっています。
短期的な運用成果に一喜一憂せず、長期に渡って投資を継続しましょう。
(2)無理せず少額からスタートすること
投資を長期的に続けるには、無理せず少額からスタートすることが重要です。
大金を投資した後に資産が下落し、投資を辞めることになってしまっては意味がありません。
少額から始めることで、万が一投資が失敗しても、損失を抑えることができます。
初めのうちは貯蓄や定期預金など現金の割合を多くして、余裕資金の範囲内から投資に回しましょう。
(3)1つの投資商品に限定せず分散投資すること
投資先や投資時期を一部に限定せず、分散して投資することも大切です。
分散投資のやり方には資産の分散、時間の分散、エリアの分散などがあります。
分散の種類 | 説明 |
資産の分散 | 国内株式、海外株式、国内債券、海外債券など値動きの異なる資産を組み合わせる |
時間の分散 | 毎月同じ日付に購入するなど、購入時期を分散する |
エリアの分散 | 複数の地域に投資する |
例えば、国内株式だけでなくアメリカや中国、ヨーロッパの株式にも投資することで、いずれかの銘柄が下がったとしても、資産が減ることを防げます。
また投資のタイミングを分散することで、取得単価を平準化することが可能です。
投資初心者にオススメしたい投資商品5選

投資する上でのポイントをお伝えしましたが、どの商品に投資すべきか迷う方もいるでしょう。
ここでは初心者におすすめの投資商品を5つご紹介します。
(1)投資信託
投資信託は運用会社が投資家から集めた資金を運用し、得られた利益を分配する商品です。
多くの投資家からの出資金を集めて運用するため、1口1万円程度の少額から投資ができます。
投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があります。
インデックスファンドは日経平均やS&P500などの指標に連動するように運用される投資信託です。
一方でアクティブファンドは市場の指標を上回るように運用されます。一般的に、インデックスファンドの方が手数料は安く、利回りは低い傾向にあります。
①メリット
ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、投資先や運用方法を決めてくれるので、基礎知識がない初心者でも気軽に始めやすいです。
②デメリット
運用会社に信託報酬などの手数料を支払う必要があります。
運用成績だけでなく、必要なコストも確認した上で、投資商品を選びましょう。
③オススメポイント
一般的に、投資信託はいくつかの銘柄に投資して運用されるため、少額で分散投資ができる点がおすすめです。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(2)不動産投資クラウドファンディング
不動産投資クラウドファンディングは、不動産の購入資金を集めることを目的としたクラウドファンディングを指します。
運用会社が投資家の資金を元手に不動産を購入し、賃料収入や売買差益を分配金として投資家に還元する仕組みです。
①メリット
一般的に1万円単位の少額から投資できて、実物不動産投資のように管理の手間がかかりません。
空室リスクや老朽化リスクなどが直接影響しないという点もメリットです。
②デメリット
不動産投資クラウドファンディングは実物不動産投資ほど、効率的に収益を上げられない点がデメリットです。
また原則は満期まで解約できないケースが多いため、注意しましょう。
③オススメポイント
投資対象はホテルや海外不動産など、実物不動産投資ではハードルが高い物件に投資することができます。
(3)金(ゴールド)投資
金投資とは、その名の通り金に投資する投資法です。
ゴールドバーを貴金属店から購入したり、金に投資する投資信託を購入したりする方法があります。
①メリット
金は希少価値が高いため、自然災害や戦争など景気の不安定な要因で値上がりする傾向があります。
「有事の金」とも言われ、株式投資や投資信託などのリスク軽減策として活用できます。
②デメリット
金は所有しているだけでは利益が発生しません。
配当金や利息のような運用期間中の収益は得られず、利益は売却時の値上がり益しか見込めません。
③オススメポイント
一般的な投資商品と組み合わせて、リスクを分散することができます。
金(ゴールド)投資について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(4)外貨預金
外貨預金とは日本円ではなく外貨で預金する投資方法です。
一般的に外貨は日本円よりも金利が高いため、より多くの利息が得られる可能性があります。
この記事でご紹介する投資商品の中では、比較的ローリスクローリターンの商品に分類されます。
①メリット
相場によっては為替差益を狙うことも可能です。
例えば100万円を1ドル=100円の条件で預け入れた後、円安が進み1ドル=120円の時に払い戻すと、20万円の利益が発生します。
②デメリット
円高が進めば、元本割れのリスクもあります。また外貨は預金保護制度の対象外であるため、万が一金融機関が破綻した場合は、元本保証がありません。
③オススメポイント
預け入れる通貨が外貨であること以外は、円預金と同じであるため、初心者でも簡単に理解できるでしょう。
(5)不動産投資
不動産投資とは、マンションやアパートを購入し、他人に貸して利益を得る投資手法です。
入居者からの家賃収入や物件の売却益により、利益が得られます。
①メリット
入居者が入っている間は、基本的に何もしなくても毎月一定額の不労所得が得られる点が魅力です。
そのため株式投資やFXのように、日々ニュースや最新情報を毎月する必要がなく、管理の手間が少なくて済むでしょう。
②デメリット
入居者が入らず空室になると、収入がゼロになってしまいます。
初期費用や投資金額が高いため、失敗した時のリスクが他の投資商品より大きく、ややハイリスクと言えます。
また売却時に物件価格が値下がりして利益が得られないため、資産価値の高い物件を判断できる力が必要です。
③オススメポイント
不動産を所有しているだけで家賃収入が得られるため、安定的な利回りが期待できます。
会社員など投資の時間を十分確保できない人でも、比較的始めやすいでしょう。
不動産投資のメリット、デメリットについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
投資初心者にオススメしたい投資方法2選

次に投資初心者におすすめの投資方法として、「つみたてNISA」と「iDeCo」をご紹介します。
いずれも長期の積み立てを前提とした制度であり、複利効果が狙えます。
どちらも併用可能な税制優遇制度であるため、まずは2つの制度を優先して利用するとよいでしょう。
(1)つみたてNISA
つみたてNISAは毎年最大40万円までの投資額を最長20年間非課税で運用できる制度です。
具体的には投資で10万円利益が発生した場合は、通常20,315円の税金を支払うことになりますが、つみたてNISAの非課税枠で投資すれば税金がかかりません。
金融庁が認めた優良な投資信託やETF(上場投資信託)のみに投資可能であり、個別銘柄に投資する株投資などは対象外です。
長期の少額・分散投資に適した商品が厳選されており、初心者でも安心して始められるでしょう。
2024年1月から新NISAがスタートします。今までより節税枠の拡大などのメリットがあります。より詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- つみたてNISAの落とし穴
- 新NISAの注意点
- 実際に私が実践している投資商品
- 成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。

(2)iDeCo(イデコ)
iDeCoは個人型確定拠出年金といい、任意で加入できる国民年金の上乗せ年金制度です。
拠出した掛金を、自身で選択した商品で運用し、60歳以降に一時金または年金として受け取れます。
掛金の限度額は加入者ごとに異なります。
被保険者の種類 | 掛金の上限額 | |
第1号被保険者(自営業者など) | 月額6.8万円 | |
第2号被保険者(会社員・公務員など) | 会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 |
企業型DCのみに加入している会社員 | 月額2万円※1 | |
DBと企業型DCに加入している会社員 | 月額1.2万円※2 | |
DBのみに加入している会社員・公務員 | 月額1.2万円 | |
第3号被保険者(専業主婦) | 月額2.3万円 |
※1 月額5.5万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額2万円が上限)
※2 月額2.75万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額1.2万円が上限)
iDeCoは税制上のメリットが多く、掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されます。
またつみたてNISA同様、保有中の運用益は非課税扱いであるため、節税効果を得ながら、将来の老後資金を貯めることが可能です。
ただし掛金や運用益は原則60歳になるまで引き出せないため、最低限必要な生活費は手元に残した上で積立額を設定しましょう。
iDeCo(イデコ)について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
投資初心者によくある失敗例3選

最後に投資初心者のよくある失敗例について解説していきます。同じ失敗をしないように気を付けましょう。
(1)分散投資ができていない
投資初心者のよくある失敗が、分散投資ができていないことです。
投資商品がひとつに集中すると、大きな利益が出ることもありますが、反対に損失が発生するリスクもあります。
初心者が成功するには、銘柄や地域の分散を実践しましょう。
投資先を分散しても、時間が経つと比率が変わっているケースもあるので、定期的に資産配分を見直すことも大切です。
(2)投資商品についてよく理解せずに選んでしまう
投資商品をよく理解せず適当に投資してしまうのも、ありがちな失敗です。
インターネットやSNS上の口コミを鵜呑みにして投資すると、自分に合わない可能性があります。
投資商品ごとにリスクとリターンが異なるため、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で慎重に投資しましょう。
(3)場当たり的に取引してしまう
場当たり的に取引してしまうことも、初心者のよくある間違いです。
値下がりしていても「値上がりするまで待とう」と考えて、さらに損失が大きくなってしまうケースもあります。
投資する際は、「〇%以上値上がりまたは値下がりしたら売却する」というようなルールを決めましょう。
どんな状況であっても、決めたルール通りに取引することが大事です。
投資初心者が不安を感じているなら専門家に相談

投資初心者におすすめの投資商品や投資方法についてご紹介しましたが、「投資」と聞くとギャンブルのような危険なイメージがあり、不安に感じる方もいるでしょう。
自分の判断に自信が持てないという方は、専門家にサポートしてもらうのも一つの手段です。
我々FP(ファイナンシャルプランナー)は暮らしやお金の専門家であり、資産形成や資産運用のプロです。
金融商品の買い方や注文方法、投資に関する勉強方法などを事前に相談して、さまざまな疑問を解消し
まとめ

初心者が投資を始める際は、次のポイントを意識しましょう。
- ✅長期に渡って投資をし続けること
- ✅無理せず少額からスタートすること
- ✅1つの投資商品に限定せず分散投資すること
証券口座の開設など難しく感じるかもしれませんが、楽天証券やSBI証券などネット証券会社はネット上で手軽に口座開設手続きができます。
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投資初心者で心配な方は、お金の専門家であるFPに相談するのがおすすめです。
あなたのライフプランや家計の状態、性格に合った投資スタイルを提案してくれるでしょう。
投資を検討している方にとって、この記事が投資への第一歩につながれば幸いです。
著者

- 株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
-
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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