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外貨預金の6つのデメリット|FPが適している投資目的も合せて解説

公開日:2023/05/29
外貨

資産運用のひとつである外貨預金を始める際には、デメリットについてしっかりと理解しておきましょう。

この記事では、外貨預金のデメリットとメリットについて解説しています。

外貨預金を行うにあたっておすすめの外貨も紹介しているので、外貨預金に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

外貨預金とは?外貨預金が注目される理由

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外貨預金とは、どのようなものなのでしょうか。詳しくみていきましょう。

(1)外貨預金とは?

外貨預金とは、外国の通貨(外貨)で預け入れする資産運用の方法です。

日本の預金は「円」で行いますが、外貨預金は「米ドル」や「ユーロ」といった外国の通貨で預金を行います。

外貨預金には、日本の預金と同じように「外貨普通預金」「外貨定期預金」の2種類があるのも特徴です。

普通預金は預金の出し入れが自由にできる預金、定期預金は満期日が決まっている預金を指します。

(2)外貨預金が注目される理由

外貨預金が注目されている主な理由は「金利」と「差益」の2つです。

日本の金利はとても低く、銀行にお金を預けていてもほとんど利益がありません。

しかし、外国には日本よりも金利の高い通貨があります。

同じ金額を預けた場合、金利だけでみれば、円預金よりも外貨預金の方が多くの利益を得ることができるのです。

また、為替相場の変動によって得られる利益を差益といい、外貨預金では差益が発生する可能性があります。

例えば、100万円を1ドル100円の米ドルで外貨預金したとしましょう。

保有しているのは、1万ドルです。

その後、円安になり1ドル110円になったとしましょう。

その場合、保有している1万ドルを日本円に換金すると110万円になり、10万円の利益が発生します。

このように、外貨預金では為替の変動による差益で、多くの利益を得られる可能性があるのです。

外貨預金はオススメしない?外貨預金の6つのデメリット

外貨預金を行う際は、デメリットを知っておく必要があります。

ここでは、外貨預金のデメリットについて詳しくみていきましょう。

(1)元本割れするリスクがある

まず、知っておいてほしいのが、元本割れリスクについてです。

先ほどの差益の例で考えてみましょう。

100万円を米ドルで預金し、1万ドル保有しています。

しかし、円高で1ドル90円になったとしましょう。

その場合、日本円に換金すると90万円となり元本の100万円を割ってしまうことになります。

このように、引き出し時の価格が預入時の金額より下がることを元本割れといい、結果的に損失が出るケースがあるため注意しましょう。

(2)為替変動の影響を受けやすい

外貨預金は、円を外貨に替えて運用するため、為替相場の影響を受けやすいです。

為替相場は毎日変動するため、価格が上がったり下がったりします。

価格が大きく下落すると損失も大きくなるため、為替変動リスクには注意が必要です。

(3)預金保険(ペイオフ)の対象外である

円預金では、万が一お金を預けている銀行が破綻した場合に備えて、預金者の預金を保護するために「預金保険制度(ペイオフ)」を設けています。

しかし、外貨預金は保証の対象になりません。

大手銀行であれば、ほとんど心配はいりませんが、念のため注意しておきましょう。

(4)為替手数料が高く利益が減る

外貨預金では、為替による手数料が発生します。

為替手数料は、「円から外貨に替える場合(TTS)」「外貨から円に替える場合(TTB)」の2種類です。

手数料は、利用する外貨や金融機関ごとに異なりますが、為替手数料が発生しない円預金に比べると、手数料分の利益が減ってしまうため注意しましょう。

(5)確定申告が必要なため税金がかかる

外貨預金で為替差益が発生した場合、雑所得として扱われます。

雑所得は総合課税のため、基本的に確定申告をして納税しなければなりません。

所得税の税率は他の所得との合計によって、住民税の税率は自治体によって異なります。

ただし、以下条件の両方に当てはまる場合、確定申告は不要です。

  1. ✅年収2,000万円以下
  2. ✅為替差益を含む給与所得以外の収入が20万円以上

(6)外貨預金でも金利が安い商品がある

外貨預金は、どの通貨を選んでも金利が高いわけではありません。

通貨によっては円預金よりも金利が低いものもあります。

そのため、しっかりと調べてから運用する外貨を選びましょう。

この投資目的ならやってもいい!外貨預金のメリット

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外貨預金はデメリットだけではありません。

ここでは外貨預金のメリットを3つ紹介します。

(1)リスクを抑えて円貯金より利息をもらいたい

円預金をしている場合、円安が進むと円の資産価値の低下が心配という人もいるでしょう。

その点、外貨預金では円安時に資産価値が上がるため、経済の動向によって資産価値が下がるリスクを抑えることができます。

また、外貨は円に比べて高金利である場合が多いです。

そのため、預金先の外貨によって円預金より高い金利になる可能性がおおいにあります。

(2)為替差益を得たい

上記でも説明したように、預入時よりも為替レートが円安になったときに円に交換した場合は「為替差益」を得られます。

為替差益は円預金にはないので、為替差益を得たいなら外貨預金がおすすめです。

(3)初心者でも簡単に始められる

外国株式投資の場合、豊富な商品ラインナップの中から投資商品を自分で選ばなければならないため、投資初心者には少しハードルが高いです。

一方、外貨預金は円の代わりに外貨を預ける仕組みですので、外貨建てで行う金融商品の中でも比較的ハードルが低く、初心者でも手軽に始められます。

やるならどこの外貨がいい?メジャーな通貨4つ

外貨預金を始めようと思っても、どの外貨に投資すればいいのか分からない人もいるのではないでしょうか。

ここでは、外貨預金の際に選択できる先進国の通貨について詳しく解説していますので、さっそくみていきましょう。

(1)米ドル

米ドルは、世界で最も取引量が多いアメリカの通貨です。

世界の基軸通貨として知られており、人気の通貨となっています。

米ドルを運用する際は、アメリカの金融政策を日々チェックしておきましょう。

(2)オーストラリアドル(豪ドル)

豪ドルは、石炭や鉄鉱石の産出国として有名なオーストラリアの通貨です。

先進国通貨と資源国通貨の2面性を持っているのが特徴で、金利は他の先進国通貨よりも高くなる傾向にあります。

注意点としては、中国との貿易が圧倒的に多いことが挙げられるでしょう。

そのため、豪ドルを運用する際はオーストラリアと中国の関係性にも注目する必要があります。

(3)ユーロ

ユーロは、他の通貨とは違い、さまざまな国が使用する通貨であるのが特徴です。

米ドルに次いで取引量が多い通貨で、ECB(欧州中央銀行)とEU加盟国の中央銀行がユーロを発行しています。

EUには、ドイツやフランスといった経済大国が含まれているため、通貨への信頼は高いです。

しかし一方で、ギリシャやイタリアなどの財政難を抱えている国も含まれており、加盟国全体で相対的に金融政策を決定せざるを得ないのが懸念点として挙げられるでしょう。

(4)ニュージーランドドル(NZドル)

NZドルは、金利の高さが魅力的なニュージーランドの通貨です。

金利水準から、世界的に経済が安定しているときはNZドルに資金が集まるためNZドル高になりやすく、高い金利収入が期待できます。

一方、経済が不安定なときはNZドル安になりやすい傾向にあるため、注意しましょう。

効率よく外貨預金を運用するコツ

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ここからは、外貨を効率よく運用するポイントについて解説します。

外貨預金を運用する際の参考にしてみてください。

(1)所有する通貨を分散させる

外貨は国ごとの景気や経済状況などによって為替相場が変化します。

そのため、複数の外貨に分散投資し、リスク分散をすることが重要です。

複数の外貨に分けることで、ひとつの外貨で損失が出たとしても、他の外貨で損益を相殺できるため安心できます。

また、預金するタイミングを分散するのも効果的です。

一定の金額を定期的に預入れすることで、円高にも円安にも柔軟な対応ができます。

(2)為替レートを確認する

為替レートをこまめにチェックすることも大切です。

加えて、海外の経済動向もある程度把握しておきましょう。

こまめに確認することで、自分の投資している外貨に影響がありそうな場合を予測し、預入れや引出しの判断ができるため、為替リスクを抑えることが可能です。

(3)余裕のある資金で運用する

外貨預金の引出しには手数料が発生します。

そのため、取引コストを抑えるためにも、外貨預金の運用は余裕資金で行うのがおすすめです。

余裕資金なら長期間の運用ができるため、為替の値動きを安定させることができます。

最低預金額は、金融機関によって設定が異なるため、それらも考慮して余裕資金で運用をスタートさせると焦らなくて済むでしょう。

(4)FPなどのアドバイスをもらう

資産運用のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に資産形成を相談するのも方法のひとつです。

現在の生活状況や今後のライフプランなどから、自分に合った投資方法や運用方法などを提案してくれます。

オンラインで無料相談ができますので、外貨の選び方や外貨預金について知りたい方はFPへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。

外貨預金を始める方法

男性

ここでは、外貨預金の始め方についてみていきましょう。

(1)銀行

外貨預金におすすめの銀行は以下の通りです。

  1. ✅ソニー銀行
  2. ✅東京スター銀行
  3. ✅auじぶん銀行
  4. ✅楽天銀行

ソニー銀行は、取り扱っている通貨が12種類と豊富なのが魅力です。

「中国元」や「スウェーデンクローナ」などの外貨にも預金ができます。

東京スター銀行は、南アフリカランドの金利が非常に高いのが特徴です。

また、手数料が他の銀行に比べて低いため、手数料を少しでも抑えたい人におすすめの銀行となっています。

auじぶん銀行は、預入時の手数料が無料の銀行です。

また、AIを採用した「外貨自動積立」も行っており、初心者でも気軽に外貨預金を始められる制度が充実しています。

楽天銀行は、短期間の定期預金を考えている人にぴったりの銀行です。

7日間の預金の場合、「米ドル」で8%、「南アフリカランド」で40%と高金利となっています。

(2)証券会社

証券会社では、特定の銀行との提携で外貨預金できる会社があります。

例えば、SBI証券では住信SBIネット銀行と提携して外貨口座開設をすると、「米ドル」「豪ドル」「NZドル」「ユーロ」「カナダドル」「南アフリカランド」「香港ドル」の7つの外貨が利用可能です。

また、大和証券では上記7外貨に加えて「シンガポールドル」「スイスフラン」「英ポンド」の合計10つの外貨が利用できます。

ただし、店舗とそれ以外の場合とで手続き方法が異なるため、注意しましょう。

まとめ

スタート

この記事では、外貨預金のデメリットとメリットについて解説してきました。

外貨預金は円預金よりも金利が高い場合が多く魅力的ではありますが、元本割れのリスクや為替手数料が発生することなどに注意が必要です。

外貨預金はデメリットとメリットをしっかり理解した上で、自分に合った外貨で運用しましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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