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なぜ消防士は不動産投資が適している?理由と適したタイミングも解説

公開日:2023/11/14
消防士

以前は、地方公務員の消防士は安定した雇用と給与が確保され、普通に働くだけで老後資金について心配する必要がありませんでした。

しかし、共済年金が厚生年金に一元化され、さらに近年の不景気の影響で、消防士の給料、退職金、年金などが削減され、従来の「消防士は一生安泰」とは言えない状況になりました。

退職後も悠々自適に生活したいのなら、公務員でも資産形成を考えざるをえない時代が来ているのです。

このような背景から、株式投資、不動産投資、FXなど、消防士でもできる投資系副業を行う人が増えています。

中でも資産形成の副業として注目を集めているのが、不動産投資です。

不労所得が得られる不動産投資なら、消防士であっても収益を上げ、老後の資金不足を補える可能性があります。

そこで、本記事では消防士が投資すべき理由、不動産投資に向いている理由、そして不動産投資を始めるタイミングなどについて、詳しく解説します。

消防士だからこそ投資すべき2つの理由

投資

消防士は日々国民の安全を守る非常に尊い職業です。公務員として、安定した給料を得ることができる一方で、その安定性ゆえに「お金持ち」になるのは難しいとされています。

しかし、消防士だからこそ、賢明な投資を行うことが重要です。以下に、その理由を解説します。

(1)給与の伸びがゆっくりかつ限界がある

消防士は公務員であるため、給与は安定しています。ただし、一般のサラリーマンとは異なり、給与の伸びは緩やかで限られています。

また、消防士の定年は60歳で、再雇用を含めると65歳まで勤務できます。

その間の生涯収入は約2.6億円です。年金は約240万円で、80歳までの15年間で合計3,600万円になります。これにより、80歳までの総所得は約2.9億円です。

しかし、家庭を持ちながら80歳まで生活するためには、約3.1億円が必要とされているため、最低でも2,000万円の貯蓄が必要となります。

消防士たちにとって、将来の老後資金は深刻な問題です。社会保険料は増加の一途をたどっており、国民年金や厚生年金の給付額は減少しています。

このような状況に直面する消防士や他の公務員たちは、資産形成を通じて老後の生活を維持する必要性を感じています。

その中で注目される方法のひとつが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。

iDeCoは制度開始後から長期にわたり、公務員が加入対象外でした。しかし、2017年の法改正により、公務員もiDeCoへの加入が認められました。

その他の方法として、不動産投資を行い、将来不動産を売却して現金化することで、老後資金に大いに役立てることができます。

iDeCoについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

なぜiDeCoがおすすめなのかの理由について下記動画でも解説しています、ぜひ合せてチェックしてみてください。

将来的には、退職金や年金だけではお金が不足する可能性が高まっており、人生100年時代を迎え適切な資金計画が必要です。

若い世代の年金の金額が減る可能性もあるため、老後資金のニーズはますます高まるでしょう。

(2)転職・再就職が難しい

転職を考える際には、自身のスキルや興味を活かせる職種を探し、それに向けて必要なスキルや資格を身につけることが重要です。

しかし、消防士という職業は特殊であり、その給料アップや転職の難しさは一般的に認識されています。

特に副業が禁止されていることから、他のスキルや経験を積む手段が限定されてしまうことがあるため、即戦力が求められる企業での評価が難しい傾向があります。

なぜ消防士は不動産投資が適している?

資産運用方法は、国債、株式投資、投資信託、FX、不動産投資などさまざまなものがありますが、ここでは不動産投資が消防士に向いている主な理由を解説します。

(1)公務員であるため融資がおりやすい

最も大きな理由は、消防士は公務員としての社会的信用力が活かされる点です。

通常、不動産投資家は数千万円の物件を購入するために融資を受け、住宅ローンを組むケースが一般的です。

消防士の場合は、高い社会的信用のおかげで、より多額のローンを組むことができます。これは非常に大きなポイントとなります。

(2)管理を依頼すれば本業に影響が出ない

忙しい消防士が不動産投資を継続できるか心配される方もいるでしょう。しかし、そのような心配は必要ありません。

不動産投資は、一度物件を購入すれば、毎月安定した収入が得られます。

物件の管理は専門の不動産管理会社に委託することで、自分自身が手をかけずとも安心して資産運用することが可能です。

賃貸物件のオーナーは、家賃の回収や入居者からのクレーム対応など、さまざまな仕事をこなさなければなりません。

しかし、これらの仕事を専門の管理会社に任せれば、手間をかけずに賃貸経営を行うことができます。

また、不動産投資を行う際には、継続的な利益を得るために資金繰りを健全な状態に保つことが不可欠であり、利回りだけでなく、キャッシュフローも重要です。

キャッシュフローはお金の流れのことで、安定した投資活動を維持するために重要な要素です。

管理会社に依頼すれば、プロの手によってこれらの仕事を効率的に行ってもらえます。

そのため、消防士のように日中に忙しい仕事を持つ人でも、不動産投資により資産形成することが可能です。

専門の管理会社に任せることで、日常の仕事に専念でき、かつ賃貸物件の収益を最大限に引き出せるでしょう。

一方、株式投資やFXは専門的な知識が必要であり、株価や円相場をチェックする必要があります。

これに気を取られると、日常業務に支障をきたすリスクもあります。

(3)規定内で行えば副業に当たらない

消防士は公務員であり、通常は副業が禁止されています。ただし、副業禁止の規定を守れば、消防士は不動産投資を有利に行うことができます。

規定があるということは、その範囲内かつ一般的な投資の枠内であれば、消防士は不動産投資で資産運用を行うことができるということです。

したがって、適切な知識を持てば、副業とはみなされずに、安定的な収入を得ることができます。

副業に当たらない規定については、つぎの章で詳しく解説します。

消防士が不動産投資をしても副業に当たらない規定とは

不動産投資

公務員が不動産投資をするためには、次の3つのすべての条件を満たしていることが必要です。

(1)「5棟10室」の規模を超えない

公務員は、一定規模以下であれば、不動産投資が認められます。

人事院規則14-8により、不動産投資の規模は以下の条件で定義されています

イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。 ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。 ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。

出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

つまり、一軒家の場合は4棟まで、アパートやマンションの場合は9室までの所有が認められているということです。

一般的には、「5棟10室基準」として知られるこの規定が、公務員の不動産投資の基準とされています。

もし所有する不動産がこれらの基準を超える場合、改善命令や懲戒処分のリスクが生じます。

(2)年間の家賃収入は500万円未満

人事院規則によれば、年間家賃収入が500万円以上になると、公務員の副業禁止規定に抵触します。

この条件は、5棟10室未満の条件と併せて考慮することが必要です。

たとえば、不動産を6室所有している場合、5棟10室未満の条件は満たしているものの、6室を合計して年間500万以上の収入が発生すると、副業禁止規定に抵触し、処分や改善命令が下される可能性があります。

500万円未満が基準であることに注意しましょう。

(3)管理会社に管理を依頼している

人事院規則によれば、公務員が不動産投資を行う際には、物件の管理をすべて管理会社に委託しなければならないと規定されています。

公務員は社会に奉仕する立場にあり、職務を果たすために国や地方公共団体などで働く必要があります。

そのため、不動産投資が本業に支障をきたすことは許されません。自らが投資用不動産の管理を行うと、本業に悪影響を及ぼす可能性があると判断されています。

消防士が所有する不動産の管理を管理会社に委託していないと、副業禁止規定に違反することになります。

そのため、適切な管理会社を早急に見つけ、委託することが必要です。

消防士が不動産投資を始めるタイミングは何歳?

ここでは消防士が不動産投資を行う上で最適なタイミングは、何歳頃なのか見ていきましょう。

(1)30歳を超えてからが一つの目安になる

消防士が不動産投資を始めるのに最適な時期は、30歳頃と言われています。

不動産投資は安定した収入を得られる魅力的な方法ですが、それには一定の資金が必要です。

消防士の給料は他の公務員よりもやや高めですが、若手の間はまだ十分な給料を得られないケースが一般的です。

消防士は20代のうちは高い離職率があり、30代から安定期に入ります。

20代では、厳しいトレーニングや不規則な生活に慣れるまで、将来の安定のためにお金を蓄えておくことが賢明です。

そのため、不動産投資を考える場合、30歳を過ぎてから始めることを検討するのが良いでしょう。

(2)そう言われている理由3つ

年収が500万円を超えている

20代のうちは高い給料は期待できませんが、30歳になるとほとんどの消防士は勤続10年程度で、年収が500万円を超える時期が訪れます。

この給与水準に達すると、貯蓄だけでなく、投資による資産運用も考えられるようになるでしょう。

また平均年収が500万円を超えると、多くの金融機関で高い評価を受けることができます。

そのため、融資を受ける銀行の選択肢が増え、借りる際の金利も低くなる可能性が高まります。

30年のローンを組んでも定年前に完済できる

ローンを組む際に考慮すべき条件の1つは、「完済する年齢が65歳以下であること」という点です。

年金生活が始まる65歳を過ぎてからもローンの返済が続くと、生活に圧迫感をもたらす可能性があります。

また、高齢者になると、不動産の売却などの判断力が鈍ることも考慮すべきです。

そして、ローンを完済したとしても、残りの人生が短ければあまり意味がありません。

一般的な金融機関の最長返済期間は35年です。たとえば、30歳で不動産投資を始めた場合、30年ローンを組んだ場合定年退職前に完済可能です。

最長の35年間で返済しても、65歳での完済が可能ですので、老後に返済の心配をする必要はありません。

仕事になれて退職のリスクが低い年代である

仕事に慣れていない段階では、退職のリスクを考慮する必要があります。

しかし、30歳を過ぎる頃は、就業環境や仕事に慣れ始めるため、不動産投資を始める最適なタイミングと言えるでしょう。

消防士として働き続けられれば、ローンの返済や家賃収入には困ることはありません。

消防士の仕事はハードであり、上下関係などからくるストレスが肉体的・精神的な健康を害するケースがよくあります。

20代の初めての社会生活では上司との関係に悩み、退職する人が多くいます。

しかし、30歳を過ぎると役職が与えられることもあり、上司とも円滑にコミュニケーションできるようになります。

また、身体も鍛えられてくるので、日々の訓練にストレスを感じにくくなるでしょう。

不動産投資をして懲戒処分を受けた消防士の投資内容は?

消防士

報道によれば、2016年9月、佐賀広域消防局に勤務する男性消防副士長が不動産投資で約7,000万円の家賃収入を得ていたとされ、この件が『佐賀新聞』を含む複数のメディアで報じられました。

消防副士長は、消防庁からの改善命令に従わなかったことを理由に、懲戒免職処分を受けました。

報道によると、この副士長は佐賀市内外にマンション、貸店舗、駐車場など、計12件の不動産を所有しており、消防局からは「5棟10室未満、駐車台数10台以下、賃貸収入500万円以下」に縮小するように指示されていました。

しかし、副士長は期限を守らずに指示に従うことを拒否し続け、最終的に懲戒免職の処分を受けたとのことです。

副士長は聞き取り調査において、「損失を被るつもりはない」「兼業を禁じるのは現代の流れに合っていない」と述べたと報じられています。

参照:佐賀新聞ニュース2016/09/01

公務員の懲戒免職は最も厳しい処分であり、退職金の不支給など、大きな不利益を引き起こします。

この副士長がなぜ懲戒免職の対象となったのか、重大な違反として判断された理由について考察してみましょう。

消防士を含む公務員は、一定の不動産の所有や貸し出しは認められています。

ただし、不動産投資を行う際には、特定の条件を満たす必要があります。

具体的には、不動産投資物件が5棟10室未満年間の家賃収入は500万円未満、さらに投資物件の管理を専門の管理会社に委託することが条件です。

今回の事例において、具体的な報道には触れられていませんが、もしも管理会社への委託が行われていない場合、副業禁止規定に抵触することがないよう、迅速に適切な管理会社を見つける必要があるでしょう。

不安な方は消防士出身のFPに相談する

相談

投資を始めるにあたって、基本的な金融リテラシーを身につけることは最低限必要です。しかし、実際の運用においては、初心者の知識や経験だけでは対処しきれない場面も当然あります。

そのような時には、頼りにできる相談相手が必要です。たとえば、ファイナンシャルプランナー(FP)などが、投資に関する相談先としておすすめです。

弊社の場合は消防士出身のFPも所属しています。消防士の働き方、悩みなどについて熟知しており、それにあった適切なアドバイスをさせて頂きます。ぜひ気軽に相談してみてください。

まとめ

投資

消防士は退職金が支給されますが、それだけで老後の生活費を賄うのは難しい状況です。平均的な生活を維持するには、最低でも約2,000万円の貯蓄が必要です。

また、将来的に年金支給額が減少する可能性もあるため、老後資金がより多く必要になるでしょう。

不労所得を得るための王道の投資法として、不動産投資が挙げられます。

物件の管理や家賃の回収などの煩雑な作業は、管理会社に委託すれば自分で行う必要がありません。

専門の会社に任せることで、自身の本業に支障をきたさずに不労所得を得ることができます。

このような不動産投資は、忙しい消防士にとって最適な選択肢と言えるでしょう。

副業にあたらず、かつ時間的にも無理なく行える不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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