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不動産担保ローンとは?メリット・デメリットや審査基準を分りやすく解説

公開日:2024/02/17
契約
  1. ✅「できるだけ低い金利でお金を借りたい」
  2. ✅「長期で返済したい」
  3. ✅「複数のローンを一本化したい」

そのように考えている方におすすめなのが不動産担保ローンです。個人向けのカードローンやフリーローン、事業資金向けのビジネスローンといった無担保ローンと比べて低い金利で長期間の借り入れが可能です。

本記事では不動産ローンの内容や利用するメリット・デメリット、審査基準、利用時の流れ、不動産担保ローンの活用事例をまとめ、よくある質問にお答えします。不動産担保ローンの活用方法について知りたい方は、ぜひ、参考にしてみてください。

不動産担保ローンとは

不動産

不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションといった不動産を担保提供してお金を借りる不動産担保型のローンのことです。基本的に本人所有の不動産を担保としますが、金融機関によっては家族名義や法人名義の不動産も担保として認められる可能性があります。

基本的に使途は自由です。資金使途が自由と定められている場合は使いみちを制限されることはないため資金を幅広い用途で使用できる金融商品です。プライベートな資金として生活費やリフォーム費用として使うこともできます。

不動産担保ローンを利用するメリット

不動産担保ローンのメリットは以下の3点です。

  • 借入金利が低金利
  • 借入限度額が大きい
  • 借入期間が長期

メリットの詳細を見てみましょう。

(1)借入れ金利は低い

不動産担保ローンの金利は出資法と利息制限法によって上限が定められています。

根拠となる法律上限金利
出資法年20%
利息制限法元本10万円未満年20%
元本10万円~100万円未満年18%
元本100万円以上年15%
著者作成

この上限金利は有担保でも無担保でも同じです。次に、一般消費者向けの無担保貸付けと有担保貸付の約定金利(実際の貸出金利)の平均を見てみましょう。

無担保貸付14.82%
有担保貸付4.02%
出典:日本貸金業協会

上記のデータを見ると、無担保と有担保でかなり適用金利に大きな金利差があるとわかります。無担保と比べ、有担保は借入条件が有利になり金利を抑えることができます。

(2)借入れできる限度額が大きい

借入限度額についても無担保と有担保では大きな違いがあります。借入上限はローン会社によって異なりますが、概ね1,000万円以下に定められています。しかし、この限度額はカードローン会社としての限度額であり、個別貸付けの利用限度額ではありません。

個別貸付けの限度額は、借入する人の属性情報(年収・他社からの借り入れ状況などの返済能力)や信用情報(過去の借り入れでトラブルを起こしていないかどうか)によって決まるため、融資限度額の満額の貸付けを受けられるとは限りません。

一方、不動産担保ローンの場合は担保となる不動産の価値次第でかなり大きな金額を借り入れることが可能です。そのため、ローンを取り扱っている金融機関は借入限度額を数千万円から1億円程度と設定することも珍しくありません。

(3)借入れ期間は長い

借入れ期間が長いことも不動産担保ローンのメリットです。住宅ローン並みの35年間のローンを提示している金融機関もあります。借入れ期間が長ければ長いほど毎月の返済金額を低く抑えられます。

その反面、返済期間の長期化により利息の負担が大きくなり、返済総額が増えてしまう点に注意が必要です。

不動産担保ローンを利用するデメリット

デメリット

金利が比較的低いことや限度額が大きいこと、返済期間を長くできることなど多くのメリットがある不動産担保ローンですが、注意すべき点が3つあります。

  • 審査に時間がかかる
  • 手数料が必要
  • 返済できないと担保が売却される

3つのデメリットを詳しく見てみましょう。

(1)融資審査に時間がかかる

1つ目のデメリットは融資に時間がかかることです。無担保融資であれば最短即日、長くても数日で融資を受けられますが、不動産担保ローンの審査にはスムーズにいったとしても少なくとも1週間程度の時間が必要です。

審査に時間が必要な理由は、不動産を評価し担保価値を算出するための時間が必要だからです。銀行系のローンの場合は仮審査から融資実行までの目安は1週間から1カ月程度です。

それに比べるとノンバンク系(信販会社や消費者金融など銀行以外の金融機関等)の不動産担保ローンであれば最短で1週間程度で融資が受けられます。不動産担保ローンで資金を調達する際は日数がかかることを考慮し、時間に余裕をもって早めに申し込みましょう。

(2)融資を受けるのに手数料がかかる

融資を受けるには手数料や諸費用を支払わなければなりません。主な手数料・諸費用は以下のとおりです。

  1. ✅事務手数料
  2. ✅印紙税
  3. ✅登記費用
  4. ✅火災保険料

事務手数料は金融機関によって異なります。たとえば、楽天銀行であれば借入金額の2.20%(最低38,500円)、住信SBIネット銀行では保証委託事務手数料が1.32%、融資事務取扱手数料が0.88%となっています。この中に不動産鑑定に関する費用を含めることがあります。

印紙代は契約書を作成する際などに課される税金のことです。契約時の借入金額が1,000万円以上5,000万円未満であれば2万円、5,000万円以上1億円未満であれば6万円の印紙代がかかります。

登記費用とは担保となる不動産に抵当権を設定する際に発生する費用のことです。内訳は司法書士への報酬と登録免許税です。登録免許税は借入額の0.4%で、司法書士への報酬は数万円程度と考えるとよいでしょう。

不動産担保ローンを利用するためには火災保険に入っていなければなりません。詳細については各金融機関に確認したほうがよいでしょう。火災保険は10年で20万円程度が相場となっています。

金融機関によっては、上記以外の手数料が発生する可能性もありますので、事前確認が必要です。また、保証会社を利用した場合はその分の手数料も必要になるので覚えておきましょう。

(3)万が一返済ができなくなると担保不動産が売却される

債務者が返済不能となった場合、金融機関は抵当権を行使します。抵当権とは融資をする際に設定する権利のことです。抵当権者である金融機関が抵当権を実行すると、裁判所が担保物件を差し押さえて競売にかけます。売却代金は金融機関が融資の元金や利息として回収します。

不動産担保ローンの審査基準

融資条件を審査する際、対象となるのは以下の2点です。

  • 借りる人の信用力
  • 不動産の価値

それぞれの内容を見てみましょう。

(1)借りる人の信用力

信用力とは借りる人の返済能力のことです。金融機関は複数の視点で返済能力の有無を判断します。

  1. ✅年収
  2. ✅勤続年数
  3. ✅職業
  4. ✅年齢
  5. ✅信用情報
  6. ✅借入状況

年収や年齢は最も基本的な情報です。収入が多ければ多いほど信用力が高いと判断されますし、勤続年数が長いほど収入が安定しているとみなされます。定期的な収入の見込みがあるサラリーマンのような職業も安定性が高いとみなされるでしょう。個人事業主のように事業を営んでいる場合は、事業の採算や将来性なども審査されます。

高齢であれば返済を不安視される可能性も否定できません。特に、完済時の延齢が高くなるほど条件が厳しくなると考えられます。

過去の借入で延滞していたり、破産したりといった金融事故を起こしている場合は信用情報機関に記載されています。そうした情報を信用情報といいます。貸し出しに際しては金融事故の有無が重視されるため、金融事故の経歴があると融資が下りない可能性が高まります。

他社からの借り入れ状況も重要な判断要素です。年収に対する返済額の割合(返済負担率)が高くなれば、返済が滞る可能性があるリスクの高い借り手とみなされるため審査に通りにくくなります。

信用力を高めるため連帯保証人を設定することもできます。本人以外が所有する物件を担保として提供する場合、物件所有者が連帯保証人となることを求められることがあります。

(2)不動産の価値

不動産の価値が高いほど高額の借入が可能となります。不動産は土地と建物に分けて考えます。土地の価値(地価)には国土交通省が発表する「公示地価」と都道府県が発表する「基準地価」、国税庁が出す「路線価」、市町村が出す「固定資産税評価額」の4つがあります。

審査時にどの地価を基準とするかは金融機関によって異なります。よく用いられるのは路線価です。路線価は公示地価や基準地価の8割ほどで設定されています。実際の売却価格よりも低く設定することで、将来的に地価が値下がりしても融資した資金を回収できるよう貸し手のリスクを軽減しているのです。

実際に不動産担保ローンを利用する時の流れ

契約書

不動産ローンを利用する流れは以下のとおりです。

  • 仮審査
  • 本申込
  • 不動産の調査
  • 審査
  • 契約手続き
  • 融資

公式サイトなどから仮審査を申し込みます。仮審査は事前審査に近い位置づけですが、申込む前に申込者の本人確認書類など必要書類をそろえておきましょう。

仮審査の結果に基づいて借入希望者と金融機関の担当者が面談して正式に本申込みとなります。本申込後、金融機関は不動産の担保価値を調べ、融資可能かどうかの審査に入ります。審査結果が出るまで短くて1週間、長ければ1カ月ほどかかります。

審査通過後、金銭消費貸借契約や抵当権設定登記などの手続きを行ったうえで融資額が決定し、融資が実行されます。手数料や諸費用は融資金から差し引かれます。

不動産担保ローンを活用した事例3選

会社

実際に活用した3つのケースを取り上げます。

(1)事業の運転資金として活用

事業を行うための運転資金を確保するために不動産担保ローンを活用した事例があります。特に、創業間もないためアピールできる実績が不足している企業や赤字決算の企業が当面の運転資金を確保するための資金調達方法として活用できます。

(2)新規投資の資金として活用

設備投資を含む新規投資の資金として活用した事例もありますが。顧客のニーズに合わせて新たな事業を行うための資金が不足していたため、保有していた不動産を担保として新規事業のための資金を調達しました。

(3)借換えで活用

利率を下げるために無担保ローンから不動産担保ローンに借り換えした事例もあります。借換条件によっては、無担保ローンより金利負担が軽くなることや返済期間を延ばすといったことも可能となります。

複数の借入を一本化するおまとめローンとして活用することもできるでしょう。これらのほかにも不動産購入の資金や住宅のリフォーム資金など、幅広い用途で利用可能となっています。

不動産担保ローンによくある質問

質問

ここからはよくある5つの質問に答えます。

(1)決算書がなくても融資を受けられますか?

対応可能です。

事業計画書の内容や将来性で融資の可否を判断します。

(2)赤字でも融資を受けられますか?

利用可能です。

提出された事業計画や経営改善案の内容をもとに審査します。返済計画や担保となる不動産の価値を総合的に判断して融資するかどうか決定します。

(3)平均的な貸付金利はどのくらいですか?

金融機関によって異なりますが、年率7~12%前後で設定されることが多いです。

(4)即日融資に対応してもらえますか?

即日融資は基本的に困難です。不動産の価値の審査に一定の時間が必要だからです。不動産担保ローンの利用を考えているのであれば、ゆとりをもって速めに準備をして申し込みましょう。

(5)繰上返済は可能ですか?

可能です。

ただし、手数料が発生する可能性があるため、事前に借り入れている金融機関に相談したほうがよいでしょう。

まとめ

男性

今回は不動産担保ローンについて解説しました。無担保ローンに比べて融資のハードルが下がり、金利負担を軽減できるといったメリットがあります。長期借り入れが可能であるため、月々の支払いを低く抑えられるのも大きなメリットです。

しかし、返済期間を長くすると返済総額が大きくなってしまいます。資金が足りないからといって安易に借り入れるのではなく、将来的な資金繰りを計算してから申し込んだ方がよいでしょう。

不動産担保ローンを組むべきか判断に迷った場合はFP(ファイナンシャルプランナー)や融資の担当者などにご相談ください。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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