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投資信託の仕組みとは?事前に知っておきたい知識も分かりやすく解説

公開日:2022/10/15
資産運用

資産運用や投資には興味があるけれど、始めるには専門的な知識が必要だと考えている人は多いと思います。

確かに株式やFXなどの投資商品については、ある程度の知識やスキルが必要になってくることは確かです。しかし、今、初心者でも始めやすいとして注目を集めている投資商品があります。それが「投資信託」です。

本記事では、今、投資初心者からも注目を集める投資信託について、その仕組みなどについて解説していきます。

投資信託とは?投資信託の仕組みについて

女性

初心者にも始めやすいと注目を集めている投資信託ですが、どのような内容か分からないので不安だという方もおられるでしょう。

確かに、どのような投資商品なのかが分からないと安心できないのは当然です。

ここでは、その不安を解消していただけるように投資信託の基本的な知識や仕組みについて解説します。

(1)投資信託とは?

投資信託を簡潔に説明すると、「専門家に自分の持っているお金を預け、投資先の選択や運用を任せる」ものです。

もう少し詳しく見ていくと、投資信託は、多くの投資家からお金を集め、それをひとつの資金としてまとめて、専門家が株式や不動産などの投資先を決め投資・運用を行います。そして、その運用で得られた利益を投資家に、投資した額に応じて分配される分配金や償還金を目的とする投資商品です。

専門家に投資先や運用を任せることができますので、投資についての知識が殆ど無いという初心者でも始めやすい投資商品と言えるでしょう。

たくさんの投資家から資金を集めるので、少額から投資を始められることが人気を集めている理由の一つとも言えます。

また、株式や債権、不動産など複数の投資先に投資するため、分散投資を行うことができ、リスクを抑えながら資産運用を始めること可能です。

ただし、リスクを抑えることができるとは言え、元本を保証するものではありませんので経済状況によっては損益が出ることもあることにご注意ください。

(2)投資信託の仕組み

次に、投資信託の仕組みについて見ていきましょう。投資信託は、4者が関係することで成り立っています。その4者とは、投資家(受益者)、販売会社(銀行・証券会社等の金融機関)、委託会社(委託者)、受託会社(受託者)です。

ここからは、投資信託の仕組みを形成する4者のうち、販売会社、委託会社、受託会社の役割を見ていくことにしましょう。

販売会社

販売会社とは、委託会社と契約して投資信託の販売を行なう銀行や証券会社などの金融機関のことです。

販売会社の業務は投資信託の販売だけにとどまらず、投資信託を購入した際に投資信託のあらゆる情報が記載された投資信託説明書(目論見書)の交付や、分配金、償還金の支払い等の事務を行うことも含まれます。その他にも投資信託についての質問の受付業務や、相談に乗るなど、投資家の不安を解消するなどのサポート業務も提供しています。つまり、販売会社は投資家との窓口の役割を担う会社と言えるでしょう。

委託会社

委託会社とは投資信託委託会社の略称で、簡潔に言えば「投資家から集めた運用資産を実際に投資信託を運用する会社」です。そのことから「運用会社」とも呼ばれます。委託会社は受託会社との間で投資信託契約を締結し、投資信託に関しての運用や指図を行うことが仕事です。

委託会社には、アナリストやファンドマネージャーなどの専門家が在籍しています。アナリストは経済や金融についての情報を収集・分析し、ファンドマネージャーはその分析をもとに、そのノウハウを駆使して投資先や運用方法を決め、受託会社に対して運用指図を行うなどの業務を行っているのです。

委託会社はその他にも、投資信託約款の作成や受益証券の発行、投信法で義務付けられている運用報告書の作成・交付なども行っています。

色々と書いてきましたが基本的には冒頭に記載の通り、投資信託を運用する会社として考えてもらえれば大丈夫です。

受託会社

受託会社とは、委託会社から指示を受けた運用計画に基づいて株式や債権などの金融商品の売買や保管業務を行う会社です。また、投資主から集めたお金(信託財産)について名義人となり、受託会社の名義で管理を行います。このことから、受託会社は「管理会社」とも呼ばれます。

受託会社が管理する信託財産は、名義は受託会社となっていますが、固有の財産とは別個に管理・保管(分別管理)されており、受益者(投資家)の利益のために管理しなければならないと法律によって決められているため、受託会社の利益のために管理・処分することができない点が特徴です。

受託会社は、一般的に信託会社や信託銀行、信託業務を営むことができる銀行が務めています。

④J-REIT(不動産投資信託)について

ここで、今注目を集めているJ-REIT(不動産投資信託)について説明を付け加えておきましょう。一般的な投資信託同様、多くの資産家から資金を集め、商業施設やオフィスビル、マンションなど複数の不動産などを購入して、家賃収入や売買によって得た収益を投資家に分配します。

 J-REITは、投資信託商品でありながら法律に基づいて、「不動産投資法人」という会社のような形をとっているのが特徴です。「投資証券」と呼ばれる株式会社で言うところの株式に当たる証券を発行しますし、株主総会に当たる「投資主総会」があり規約変更には投資主総会の決議が必要です。社債に該当する「投資法人債」を発行することもできます。取締役に当たる「執行役員」がおり、資産運用会社と委託契約を結ぶ場合などには役員会が開かれるなど、株式会社のような機関が備わっています。

不動産投資信託は資産の運用、管理や一般事務についてそれぞれについて専門の会社と委託契約や代理契約を結び、運営上の責任を担っている点も特徴的です。ここで言う一般事務とは、投資主総会や役員会の運営に関する事務であったり、投資主名簿等の作成及び備置、投資法人債原簿などの作成、財務に関する事務、投資主からの権利行使に関する請求やその他申出に関する事務、納税に関する事務などを指し、ほとんど株式会社の仕組みと変わりがありません。

投資信託商品でありながら、会社のような機能を持つものがあるのは、面白く感じていただけるのではないでしょうか。

資産運用会社と証券会社の違いは?

投資信託の仕組みについて解説しましたが、資産運用をするのが初めてという場合には、委託会社(以下、資産運用会社)と証券会社の違いが分からないという方もおられるかも知れません。そこで、ここでは資産運用会社と証券会社の違いについて解説します。

(1)証券会社

投資信託を始めようと考えた場合、まず証券会社や銀行など投資信託を扱っている金融機関へ出向くことになります。これらの金融機関は上記で説明した通り、販売会社として投資商品である投資信託を販売している会社です。投資家との窓口の役割を果たすのが証券会社などの販売会社と言えます。

今までは証券会社の窓口で取引を行うことが多かったのですが、最近ではネット証券(インターネット証券)の利用が増加傾向にあるようです。その理由として、手数料の安さと株式等の売買を行う際に手早く行えるという点があげられます。楽天証券や松井証券などがインターネット上ではランキング上位に位置しており、人気を集めているネット証券会社です。

(2)資産運用会社

資産運用会社は、専門家が様々な経済情勢や金融情報を収集・分析を行い、運用方法や投資先について信託銀行に指示を出す会社です。また、投資信託の商品を作り、投信営業を行うなどの業務も資産運用会社が担います。

つまり、投資家から集めた資産をまとめ、実際の運用を行うなどアセットマネジメント業務を行う会社が資産運用会社となります。野村アセットマネジメントやアセットマネジメントOne、アレス投資顧問株式会社などが代表的な資産運用会社です。

なお、投資信託の商品を作り、投資先や運用方法を指示し、実際に運用を行うのは資産運用会社であることは間違いがありませんが、実際に投資信託を販売しているのは証券会社です。投資家との窓口となる証券会社選びは重要になります。取扱商品や手数料が各証券会社によって違いますので、しっかりと比較することがおすすめです。

投資信託を購入する際に知っておきたい販売価格とコスト

計算

投資信託を購入する前に、販売価格やコストを把握しておきましょう。投資信託の販売価格は株式などとは異なっているので注意が必要です。株式などの投資商品は常に価格が変動していますが、投資信託の場合は「基準価額」が売買の価格となります。この基準価額は常に変動しているわけではないということに注意が必要です。

さらに、投資信託を購入し、運用を始めると様々なコストがかかることも注意しておきましょう。

(1)投資信託の販売価格

投資信託の販売価格のことを「基準価額」と言い、購入や解約(換金)のときの基準となるものです。その単位は「口」で表され、1口=1万円のように示されます。

基準価額は株式や為替などのように、市場が開いている間、常に価格が変動しているわけではありません。それは、投資信託の投資対象が株式や債権、不動産など多岐にわたるため、リアルタイムで販売価格を決定することができないからです。

基準価額は、1日に1つの価額として公表されることになっています。基準価額が公表されるのは取引の申込が締め切られた後です。これは「ブラインド方式」と呼ばれ、投資家の公平性を保つために採用されており、投資家は基準価額が分からない状態で取引を行うことになります。基準価額は運用会社や販売会社、投資信託協会などのホームページや新聞で確認することが可能です。

基準価額は、投資信託が運用している株式や債権などの時価を計算し、配当収入を加え、そこから必要な費用を差し引いて純資産総額を出し、それをその日の総口数で割ることで算出されます。通常は1万口あたりの価格として示されていますので、1口あたりの金額と間違えないように注意しておきましょう。

(2)投資信託を購入する時にかかるコスト

①購入時手数料

投資信託を購入する時にかかるコストとしては、まず「購入時手数料」があげられます。購入時手数料は、投資信託を購入するたびに販売会社に対して支払う手数料です。基準価額の1〜3%がかかるとされますが、販売会社ごとに違いますので確認しておきましょう。また、最近は手数料のかからない「ノーロード型」と呼ばれる商品の取り扱いも増えています。

②運用管理費

投資信託を購入し、運用が開始されると購入時手数料の他に「信託報酬」が発生します。これは「運用管理費」とも呼ばれ、販売会社、委託会社、受託会社に支払われるものです。コストとしては、基準価額の0.1%から2.5%となっています。投資信託を保有している間、払い続けるものですが、投資家が直接支払うわけではなく運用資金から差し引かれるため、見えないコストと言えるでしょう。長期間保有する場合、利率の違いで大きな差が出てきますので注意が必要です。

③信託財産留保額

投資信託にかかるコストとしては「信託財産留保額」もあります。これは、投資信託を解約する際に手数料などとは別に徴収されるコストです。基準価額の0.2%から0.5%が解約代金から差し引かれます。購入時手数料や信託報酬のように販売会社や委託会社に支払うものではありませんが、信託財産に留保されることになります。最近では、信託財産留保額がかからないものや購入時にかかるものもあるので注意が必要です。

④その他コスト

この他にも、「監査報酬」「売買委託手数料」など、様々なコストが投資信託にはかかることになりますので、投資信託説明書に目を通しておくことをおすすめします。

把握すべき投資信託のリスクとリターン

投資商品である限り、どのような資産運用方法にもリスクとリターンが存在します。程度の差はありますが、もちろん投資信託にもリスクとリターンは存在しているのです。

一般論ではありますが、「リスクが大きいものはリターンも大きい(ハイリスク・ハイリターン)」「リスクの小さいものはリターンも小さい(ローリスク・ローリターン)」という傾向があります。大きな利益を得ようと思った場合は、リスクも大きくなり、大きな損失を被る場合もあることを認識しておきましょう。投資信託も購入する商品によって投資対象はさまざまなので、リスクとリターンの大きさもさまざまになります。そのリスクとリターンの程度を考えて、目的に合った投資信託を選ぶ必要があります。

投資信託の具体的なリスクの例としては、価格の大きな変動による元本割れが挙げられるでしょう。投資信託も株式やFXなどと同じように、元本を保証するものではないことを念頭に置いておくことが重要です。

実際の運用方法は?

お金

投資信託を実際に運用していこうと考えた場合、まず信頼できる金融機関を選ぶことです。商品の品揃えが多いところや、コンサルティングルームの有無など、自身が必要なサービスを考え、その環境が整っているところを選ぶようにしましょう。

次に考えるべきことは、どのように運用していくかです。自身の目標を達成するために、いかにリスクを下げてリターンを得るのかを考えた場合、「長期・分散・積立」という投資方法が重要になってきます。

(1)長期投資

長期投資は、同じ商品を長期的に保有し続ける方法を指します。一時的に大きな価格変動があった場合でも、長期的には価格が安定していくためリスクを抑える効果があります。

(2)分散投資

分散投資は、投資先や購入時期などを分けて投資する方法です。一つの商品の価格が大きく下がり損失を出しても、別の商品の価格が上がった利益でそれをカバーすることでリスクを抑えることができます。

(3)積立投資

積立投資は、自身で決めた金額とタイミングで、定期的に一定額や一定量の商品を購入する投資方法です。一定額を購入する場合、基準価額が高い場合は少なく、基準額が低い場合には多く購入することで購入額が平均化され、リスクを抑えることができます。これが「ドルコスト平均法」呼ばれるものです。

投資信託にもリスクがあることを理解して、そのリスクを上記3つの投資方法を意識しながら運用していくことで、自身の目標を達成していきましょう。更に、NISAなどの税制優遇がある資産運用方法を取り入れることで、より目標達成に近づくかもしれません。

まとめ

相談

資産運用は難しいものだと考えている人は多いでしょう。しかし、投資信託は資産運用のプロが投資先を選定し、運用もしてくれる投資商品です。そのため、資産運用初心者の皆様にもおすすめの方法だと言えるでしょう。ただし、どのような投資にもリスクは存在していますので、投資判断はしっかりと考えてから行うことが重要です。

もっと詳しく知りたいことや不安なことがあれば、ぜひファイナンシャルプランナー(FP)相談してください。我々FPはお金のプロとして投資信託などの資産運用についての知識を持っています。ポートフォリオの作成やどのような商品が自身に合っているのか、どのような方法で運用をしていくのかのアドバイスをさせて頂きます。

投資は難しいと思っている方は、一度FPに相談をしながら自身に合った資産運用方法を探してみてはいかがでしょうか。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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