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子供の教育資金の積立で何が一番おすすめ?FPが様々な手法を徹底解説

公開日:2022/09/24 最終更新日:2023/06/01
教育資金

子供がいる家庭なら気になるのが、教育資金の問題です。

子供が成人するまでお金のやりくりができるのか、不安に感じる人も多いでしょう。

教育資金の貯め方はさまざまですが、確実にお金を貯めるには積立がおすすめです。

この記事では教育資金の積立でおすすめの方法に加えて、その他の資産運用方法についても解説します。

子供の教育資金の積立を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

子供の教育資金いくら必要?積立てる金額を明確にする

教育資金

まず子供の教育資金はいくら必要なのか、統計を見ながら確認していきましょう。

(1)こどもの平均教育資金いくら必要?

幼稚園から高校卒業までにかかる費用を公立・私立ごとに見てみましょう。

 幼稚園小学校中学校高等学校合計
公立223,647円321,281円488,397円457,380円1,490,705円
私立527,916円1,598,691円1,406,433円969,911円4,502,951円
出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」を参照に著者作成

全て公立の場合は約150万円、全て私立の場合は約450万円かかります。小学校と中学校の公立・私立の費用の差が大きく開いています。

次に、大学4年間でかかる費用を見ていきます。

国公立2,425,200円
私立文系4,079,014円
私立理系5,511,961円
私立医薬系学部16,333,322円
出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」を参照に著者作成

国公立か私立かによって費用に差があることが分かります。私立でも理系・医薬系学部であれば、さらに高額になります。

幼稚園から大学まで、進路ごとに教育費用を計算した結果を下の表にまとめました。(私立大学は文系とします。)

進路教育費用
全て公立の場合3,915,905円
幼稚園~高校までは公立、大学だけ私立の場合4,302,661円
幼稚園・小学校は公立、中学高校は私立、大学は公立の場合5,346,472円
全て私立の場合4,606,930円

著者作成

進路によって差はありますが、教育費用は500万円程度かかると考えておきましょう。

(2)家の教育方針を明確にする

ひとことに教育費用と言っても、進路によって金額が大きく異なります。

幼稚園から大学まで公立に通わせる、大学だけ私立に通わせるなど、家庭の教育方針を明確にしておきましょう。

早めに決めておけば、どうやって教育費を貯めるかという戦略も立てやすくなります。

子供の教育資金の積立でおすすめ方法5つ

教育資金を積立てる方法5つと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

(1)子供の名義で預金する

最もシンプルで簡単な方法は、銀行口座へ預金することです。

日常的に使う口座と分けて、子供名義の口座に預金することで、預金額が明確に分かります。

口座への入金は、給与口座などから自動振替を設定しておくと便利です。

子供名義の口座を開設する時は、一般的に以下の持ち物が必要となります。

  1. ☑子供の印鑑
  2. ☑子供の本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  3. ☑親権者の本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  4. ☑子供と親権者の続柄が分かる書類(子供の健康保険証など)

メリット

現金の形で手元に置いておくよりも、ついうっかりお金を使ってしまう事態を防げます。

急にお金が必要になった場合は、すぐにお金を引き出すことも可能です。

最近は金利が低いため預金が大きく増えることはありませんが、積み立てた分だけ確実に教育資金を増やすことができます。

デメリット

金利が低いため、教育資金を大きく増やしたい人には向いていません。

また、子供の成人後は基本的に本人しか手続きができなくなるため、親が手続きをする場合は委任状が必要となります。

口座への入出金等がない状態で10年以上経過すると、休眠口座として預金が民間公益活動に使われてしまう可能性がある点も注意が必要です。

(2)学資保険

学資保険は、教育資金を貯めるための貯蓄型の保険商品です。

毎月保険料を支払うことで、子供が大きくなった時にまとまった資金が受け取れます。

保険期間中に親が亡くなった場合でも保障が受けられる、「保険料払込免除特約」を付帯して契約するのがおすすめです。
加入できる子供の年齢上限を6歳~7歳までとする学資保険が多いため、加入を希望する場合は早めに手続きしましょう。

メリット

毎月の保険料をきちんと払っていれば、満期時にまとまった資金が受け取れるため、それほど労力をかけずに貯蓄が可能です。

お金が戻ってくる割合(返戻率)は105%前後となっており、銀行口座へ預金するよりも多くのお金を受け取れる可能性があります。

また、学資保険は生命保険商品の一種なので、生命保険料控除を使って所得税・住民税の軽減につながります。

保険料免除特約を付帯すれば、万が一のリスクに備えることも可能です。

デメリット

学資保険は保険期間中で解約した場合、元本割れしてしまうケースが多いです。

資金繰りが悪化し解約することにならないよう、継続して支払える保険料で契約しましょう。

なお保障内容を充実させると、満期返戻金が支払った保険料総額を下回ることもあります。
契約する際は保障内容だけでなく、返戻率も確認することが大切です。

学資保険は日本生命、明治安田生命など保険会社だけなく、郵便局、JA共済でも取り扱っており、さまざまな選択肢があります。保障内容や返戻率などを総合的に見て検討しましょう。

(3)つみたてNISA

つみたてNISAは年間40万円までの投資額を20年間非課税で運用できる制度です。

長期の積立・分散投資に適しており、投資初心者の人でも利用しやすい仕組みになっています。

20歳以上の人が対象の制度なので、親名義の口座で運用することになります。

メリット

つみたてNISAの対象となるのは、金融庁が認めた一部の投資信託・ETFに限定されており、初心者の人でも安心です。

一般的な株式投資と違い、1万円程度の少額から投資できるため、負担のない範囲で資産運用ができます。

デメリット

つみたてNISAは投資対象が限定されているため、上場株式やFXに投資することはできません。

あくまで投資であるため、運用結果によっては元本割れするリスクがあります。

特に短期間で売却と運用益が出ない可能性もあるので、無理のない金額で積立てましょう。

参考:金融庁「つみたてNISAの概要」

つみたてNISAについて詳しくは知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。

  • つみたてNISAの落とし穴
  • 新NISAの注意点
  • 実際に私が実践している投資商品
  • 成功するための鉄則

などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。

セミナー

(4)ジュニアNISA

ジュニアNISAはNISAのジュニア版で、正式名称を「未成年者少額投資非課税制度」と言います。

未成年者の名義で口座開設ができ、年間80万円までの投資額が5年間非課税で運用可能です。

ただし、ジュニアNISAは2023年末に終了してしまうため、口座開設を希望する場合は早めに手続きしましょう。

メリット

つみたてNISAと異なり上場株式にも投資できるので、上手く運用できれば運用益を非課税で得られます。

預金や学資保険と比べて、高い利回りで教育資金を増やせる可能性があります。

デメリット

運用状況によっては元本割れのリスクがあります。

また子供が18歳になるまで原則払出しができないため、注意しましょう。※2024年以降は払出しが可能となります。

参考:金融庁「ジュニアNISAの概要」

(5)児童手当も積立てる

子供が生まれてから中学校を卒業するまでの間、児童手当が支給されます。満額支給される場合の支給額は次の通りです。
■児童手当の支給額

年齢一人当たりの支給月額
0歳~3歳未満一律15,000円
3歳~小学校修了前10,000円(3人目以降は15,000円)
中学生一律10,000円
出典:内閣府「児童手当制度のご案内」

児童手当の総額は約200万円と大きな金額になるため、大学進学時の資金に充てるのがおすすめです。

支給されたら使ってしまわず、全額を積立に回しましょう。

なお、児童手当は子供を養育する人の収入額によっては、満額支給されません。
例えば子供1人と年収103万円以下の配偶者がいる場合、扶養親族は2人となり、所得制限限度額698万円(収入額の目安は917.8万円)以下であれば満額支給されますが、所得制限限度額を超える場合は児童一人あたり一律5,000円の支給となります。

さらに令和4年10月支給分からは、所得制限限度額934万円(収入額の目安は1,162万円)の場合は、支給額は0円となります。

子供の名義で預金する場合は、税金に注意

男性

子供名義の口座に年間110万円超の入金があった場合は贈与税がかかるため、注意が必要です。

贈与税は誰からいくら贈与するかによって税率・控除額が変わります。
成人した子供が直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合は「特例贈与財産」として特例税率が適用されます。
特例贈与財産に該当しない場合は「一般贈与財産」として一般税率を適用します。

①一般贈与財産(一般税率)

基礎控除後の課税価額200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

②特例贈与財産(特例税率)

基礎控除後の課税価額200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

年間の入金額が110万円以内なら贈与税はかかりませんが、贈与の度に「贈与契約書」を作成して、贈与の記録を残すことが望ましいです。
特に毎年110万円近くのお金を贈与するようなケースでは、税務署からの問い合わせにも備えて、贈与契約書を作成しておきましょう。

積立の他に資産運用も検討する!初心者におすすめする投資商品

積立だけでなく他の資産運用も組み合わせることで、効率的に教育資金を増やせる可能性があります。

ここでは初心者におすすめの投資商品を4つ紹介します。

(1)投資信託

投資信託は多くの投資家のお金を運用の専門家が株式や債権に投資・運用する制度です。
運用によって得られた利益は投資家に分配されます。

投資信託は大きく分けて「インデックスファンド」「アクティブファンド」の2種類があります。
インデックスファンドは日経平均やS&P500といった指数と同じ値動きになるよう運用されており、比較的手数料が安いのが特徴です。

一方、アクティブファンドはインデックスを上回る運用を目指しており、手数料は高めです。
インデックスファンドよりも積極的な運用により、短期間で利益が出ることもあります。
それぞれの特徴を理解した上で投資先を選びましょう。

投資信託はつみたてNISAやジュニアNISAでも購入できるため、ポートフォリオ上、NISA枠では足りない投資先を検討してみてもよいでしょう。

投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

なお、投資信託で絶対に買ってはいけない商品を下記動画にて解説していますので、損をしたくない方はぜひご覧ください。

(2)株式投資

株式投資は会社に投資して、配当金や売却益を得る方法です。
会社の業績や業界情勢を踏まえて自分で投資先を判断する必要があります。
専門家が投資・運用してくれる投資信託と比べて、リスクは高めですが、短期間で大きな利益を得られる可能性はあります。

もう一つの特徴として、「株主優待制度」を導入している会社であれば、自社製品やサービスなどの優待を受けることができます。
株式投資は、多少のリスクがあっても積極的に利益を狙いたい人や株主優待を得たい人におすすめです。

(3)不動産投資

不動産投資は、不動産を人に貸して得られる賃貸収入や、物件売却時の売却益を狙う投資方法です。

初心者の人は、比較的入居者ニーズが高い、都心部の単身者向けのマンションがおすすめです
入居者が入っている間は、基本的には何もしなくても家賃収入が入ってくる点がメリットです。

ただし、物件購入にあたりローンを組む場合は、ローンの審査に通ることが前提です。
すでに持ち家のローンがある場合は、審査に通りにくい可能性もあります。
また、ローンが組めたとしても、物件価格の10%~15%ほどの初期費用がかかるため、資金に余裕のある人におすすめの投資と言えます。

(4)外貨預金

日本の円を外国の通貨に換えて預金する投資方法です。
一般的に外貨は日本円より金利が高いため、日本円で預金しておくよりも、お金が増える可能性があります。
預け入れ時よりも円安になっていれば、外貨を日本円に払い戻した時に利益が得られます。

しかし、反対に円高の影響による元本割れリスクもあります。
外貨預金の預け入れ・引き出しのタイミングによって、運用結果が異なるため、余裕資金の中で行うのがよいでしょう。

効率よく積立てるにはFPに相談することおすすめ

ファイナンシャルプランナー

ここまでの説明で、積立や投資の種類は分かったものの、自分の判断がベストなのか迷う人もいるでしょう。
効率よく積立てるにはぜひ弊社のFPに相談してみてください。
それぞれの家庭の資産・収支状況を見た上で、最適な積立方法をアドバイスをさせて頂きます。

まとめ

貯金,子供

子供の教育費用は500万円前後のお金がかかります。

実際の子育てでは、教育費に加えて、食費、医療費、被服費などの養育費も必要です。

教育費用はまとまったお金が必要となるため、教育方針を早めに決めて、資金繰りを計画することが大切です。

教育資金の積立てには、次の5つの方法がおすすめです。

  1. ☑子供の名義で預金する
  2. ☑学資保険
  3. ☑つみたてNISA
  4. ☑ジュニアNISA
  5. ☑児童手当の積立

ぞれぞれメリット・デメリットがあるので、複数の方法を組み合わせるなど、自分に合った方法を見つけましょう。
さらに教育資金を増やすために、積立以外の資産運用も検討してみてください。
効率的に積立てたい人は、FPに相談するのがおすすめです。

お金を理由に子供の未来の可能性を狭めてしまわないように、教育資金は計画的に貯めましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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