不動産購入の流れを10ステップで紹介!FPが購入時の注意点も解説

マンションや戸建住宅など、現在不動産購入を検討している人の中には、以下のような悩みや疑問を持っている人も多いでしょう。
- ☑「不動産を購入する時の流れがわからない…」
- ☑「分譲物件や仲介物件の違いがわからない…」
- ☑「不動産購入時の具体的な注意点を教えてほしい…」
そこで本記事では、不動産の専門知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)である私が、初心者でもわかるように詳しく不動産を購入するときの10 Stepを解説します。
不動産購入で後悔したくない方は、ぜひ最後までお付き合いください。
不動産の販売形態は2つ

まずはマイホームに伴う不動産購入を検討する際の、「販売形態」の違いを把握しておきましょう。ここでは「分譲物件」と「仲介物件」それぞれについて解説します。
(1)分譲物件
「分譲物件」とは売主が直接販売する物件のことです。なお、通常個人間で直接売買することはないため、不動産産会社から購入します。
分譲物件のメリットは「仲介手数料がかからないこと」です。また「連絡や案内がスムーズ」そして「瑕疵担保が必須」といった点も挙げられます。
なお、瑕疵担保責任とは、物件に欠陥があった場合に損害倍書を請求できる権利のことです。(新築物件:引渡し日から10年間)
例えば雨漏りが発覚した場合、その補修費用や損害賠償を請求できます。
一方で分譲物件は、インターネットや、デベロッパーの会員サービスに登録するなど「物件を自分で探す必要がある」という点がデメリットです。
(2)仲介物件
「仲介物件」とは、売主から仲介の依頼を受けた不動産会社を通して購入する物件のことです。
仲介物件には、売主に対して「価格交渉を代理してくれる」また「金融機関の手続きや契約時のサポートをしてもらえる」といったメリットがあります。
一方で仲介手数料がかかる点はデメリットです。仲介手数料は上限が決まっており、400万円を超える物件の場合「物件価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。
不動産購入するときの流れ
続きまして、実際に不動産購入する時の流れを見ていきましょう。大きくは以下の10 STEPで進んでいきます。
- ①エリア、間取りなど不動産の希望条件を決める
- ②不動産の予算など資金計画を立てる
- ③条件に合う物件を選ぶ
- ④物件の内覧、現地見学をする
- ⑤購入の申込みを行う
- ⑥住宅ローンの事前審査を申し込む
- ⑦事前に売買契約書の内容を確認
- ⑧不動産売買契約を結ぶ
- ⑨住宅ローンの本審査を受け契約する
- ⑩物件の引渡し(登記を行う)
家購入で失敗しないためには覚えておくべき内容になりますので、1つずつ確認してみましょう。
(1)エリア、間取りなど不動産の希望条件を決める
まずは、どのような不動産物件を購入したいか希望条件を整理しましょう。現状だけを考えるのではなく、将来の生活や家族構成など先を見据えて計画を立てるのが大切です。
不動産購入時に考えておきたい条件には以下のものがあります。
- ☑物件価格
- ☑間取り
- ☑立地
- ☑交通の利便性
- ☑築年数(中古マンションの場合)
- ☑設備
- ☑共用施設
それぞれ、ライフプランや目的に合わせて優先度を決めておき、予算が厳しい場合は重要性を考えて妥協点を探しましょう。
(2)不動産の予算など資金計画を立てる
不動産購入の予算をどのように用意するか、資金計画を立てておきましょう。資金計画を立てる上で、考えておくべき予算の種類は以下の項目です。
- ☑頭金で用意する自己資金
- ☑住宅ローンの借入額
- ☑初期費用
- ☑リフォーム費用
- ☑家具代
- ☑都市計画税
なお、年収に対する物件購入価格の目安や、不動産購入時にかかる諸費用の目安などについて下記記事にて解説しています。本記事と併せて参考にしてみてください。
(3)条件に合う物件を選ぶ
購入したい不動産の希望条件が明らかになりましたら、いよいよ物件を選んでいきます。物件選びはSUUMO、ホームズなど不動産のポータルサイトから探すことができます。
また、レインズといって業者しか見れない物件情報サイトがあります。そこにはポータルサイトに掲載していない物件情報もありますので、不動産に問い合わせした場合は紹介してもらうことができます。
どちらもメリットとデメリットがありますので、より多くの情報を得たい場合は、両方とも活用するといいでしょう。
(4)物件の内覧、現地見学をする
お目当ての物件が見つかりましたら「内覧・現地見学」に出向きましょう。覚えておいてほしいのは、必ず自分の足で現地まで行ってみるということです。
実際に出向くことにより、駅からのアクセスや物件の状態などが具体的に把握できます。
(5)購入の申込みを行う
不動産の購入を決意したら、購入申し込みに進みます。売主である不動産会社に対して「不動産購入申込書」を提出する流れです。
不動産購入申込書とは、物件の所有者である売主に対して、物件購入の意思表示を示すためのものです。
なお、購入申し込みは売買契約とは異なるため、リーガルの拘束がないため提出した後でもキャンセルが可能です。
他にも、新築マンションや一戸建てを購入する際は「申込証拠金」を支払うケースがあります。申込証拠金は購入の意思を示すために支払う費用で、相場は1~10万円程度です。
申込証拠金は契約締結後、通常手付金などの諸費用の一部に充てられます。
不動産購入申込書を提出するときの注意点などについて詳しく知りたい方は、下記記事をご参照ください。
(6)住宅ローンの事前審査を申し込む
住宅ローンの事前審査とは、正式に申し込む前段階として、利用者の返済能力や信用情報などを簡易的に確認するものです。
本審査の審査期間が2~3週間程度かかるところ、事前審査なら早ければ即日で結果がでます。ただし、金融機関によっては1週間程度かかるケースもあります。
事前審査で必要な書面は以下の通りです。
- ☑購入物件の確認書類(金額や面積がわかるパンフレットなど)
- ☑収入証明書類(源泉徴収票や確定申告書など)
- ☑本人確認書類(免許証やパスポートなど)
- ☑他ローン書類(他に借り入れがある場合は提出する)
(7)事前に売買契約書の内容を確認
不動産売買契約を締結する前に「不動産売買契約書」は必ず確認しておきましょう。
不動産売買のトラブルを回避するために、契約内容や契約条件を理解するのは大切なことです。
売買契約書には、売買代金をはじめ支払時期や引き渡し時期、その他契約違反が生じた際の解除の取り決めなどが細かく記載されています。
不安な方は、事前に売買契約書を共有してもらい、不明な点がないかを確認するやり方もできます。
(8)不動産売買契約を結ぶ
不動産売買契約書を確認した後、納得できたのであれば、いよいよ不動産売買契約を締結する工程に入ります。
なお、その際不動産会社の宅地建物取引士より、購入物件に関する重要事項説明が行われます。(住宅ローンや不動産に関わる法律などの説明)
説明を理解しないままでいると、契約後トラブルにつながるリスクがあるため、わからないことは必ず確認しておきましょう。
その後問題がないようであれば不動産売買契約を結びます。なお、その際「手付金」を支払う必要があります。(※相場は売買価格の5%~10%)
手付金とは、売買契約における契約成立を証明する意味合いで支払うお金です。
(9)住宅ローンの本審査を受け契約する
契約を結んだあとは、住宅ローンの本審査に申し込みます。なお、以下の書類が必要となるので参考にしてください。
- ☑住民票
- ☑印鑑証明
- ☑実印
- ☑本人確認書類
- ☑収入証明書類
- ☑対象となる物件の資料
- ☑預金口座通帳
など
本審査の期間は2~3週間程度かかります。結果が出るまで時間がかかるため、必要書類は事前に準備しておき早めに申し込むようにしましょう。
銀行などの金融機関で、住宅ローンの融資を受ける際の審査基準や、通過のポイントについては、下の関連記事で詳細をお伝えしています。本記事と併せて読んでみてください。
(10)物件の引渡し(登記を行う)
最後に「物件の引き渡し」です。なお、不動産を取得すると登記が必要となるため「所有権保存登記」もしくは「所有権移転登記」を行います。
所有権保存登記 | 新築マンションや新築の建売住宅など、所有権の登記がされていない不動産に対して、所有権を示すための登記 |
所有権移転登記 | すでに所有権の登記がされている不動産に対して、売主から買主に所有権が移転したことを示す登記 |
登記は自分でも手続きできますが、専門知識が必要で手間もかかるため、一般的には司法書士に依頼します。
不動産購入時の注意点

ここでは不動産購入時の注意点を解説します。目当ての物件は時間を変えて見に行く、売買契約後の解約は難しい、など後悔しないために覚えておくべき内容です。
(1)時間を変えて複数回内見、現地見学に行く
希望の物件が見つかったら、必ず時間帯を変えて複数回内見(現地見学)するようにしましょう。
というのも、例えば昼間と夜では雰囲気が違いますし、日当たりの具合も異なるため、見学を1回だけに固定してしまうのはリスクです。
例えば、内見の当日に日当たりが良いと感じても、実際に住んでみるとわずか数時間しか日が当たらない、ということもあり得る話です。
担当者に迷惑がかかるからと躊躇せず、大きな買い物なので、手間はかかりますが複数回内見しましょう。なお、内見の際は以下のポイントを押さえて確認してみてください。
- ☑平日・休日
- ☑朝・昼・夜
- ☑雨の日・晴れの日
(2)新耐震基準に満たす物件を選ぶ
「新耐震基準」を満たす物件かどうかも確認すべてきポイントです。
新耐震基準とは、1981年6月1日に施行された耐震基準であり、それ以前のものは旧耐震基準と呼ばれます。
中古住宅で見られる旧耐震基準では、震度5程度の中規模地震に対し、倒壊および崩壊する可能性があるか、というのが1つの基準です。
一方新耐震基準では、震度6強~7に達する大規模地震が起きても、倒壊しないことが追加されています。
さらに、2000年6月1日以降に建てられた物件では、2000年基準が設定されており、より耐震基準が厳しくなりました。
中古物件の中には旧耐震基準の建物もあります。その場合、耐震性の面で不利な条件となるため注意してください。
(3)ハザードマップにて周辺地域について確認する
不動産を購入する際は、周辺地域のハザードマップもチェックしましょう。
ハザードマップとは、起こり得る自然災害の被害や、避難経路、避難場所などが記載された地図のことです。
ハザードマップを確認することで、購入する物件の周辺の土地で発生し得る、土砂崩れや洪水などの被害を予測できます。
例えば川の近くの建物だと、水害が発生した際に浸水の恐れがあります。そのため、家を購入する前には、ハザードマップで周辺環境の自然災害を予測するのが大切です。
(4)売買契約後の解約は難しいので注意が必要
「売買契約後は解約が難しい」ということを覚えておいてください。不動産の売買契約時には手付金を支払います。手付金は売買契約が成立した証です。
それを買主都合で契約をキャンセルしてしまうと、手付金を放棄しなくてはいけません。また、場合によっては違約金を支払う必要があるため注意が必要です。
手付金は売買金額の5~10%のため高額です。つまり4,000万円の物件であれば、200万円~400万円支払うわけですから、それを手放すリスクは大きいです。
その点十分注意してください。
(5)住宅ローンの審査は複数の金融機関に申し込む
住宅ローンの事前審査・本審査は、複数の金融機関に申請するのがおすすめです。というのも、住宅ローンの審査は必ず通過できるものではないからです。
1つの金融機関だけで審査を進めてしまうと、落ちた場合に物件購入を逃してしまうリスクがあります。
一方、複数の金融機関で住宅ローンの審査を進めることができれば、審査に通過できなかったときのリスクヘッジになります。
ただし、本審査には複数の書類が必要となるため、5社や10社など申し込むのは現実的ではありません。3、4社程度を目安に申し込むとよいでしょう。
(6)事故物件かどうかを事前に確認する
不動産購入の際には、事故物件かどうかの確認をしましょう。
近年お笑い芸人が敢えて事故物件(心理的瑕疵物件)に住み、そこで起きた心霊現象をレポートするような話もありますが、大半の人は住みたくないと考えるでしょう。
事故物件については、買主に説明する義務(告知義務)があり、それを知らせずに購入した場合は解除ができます。
ただし、自然死の場合は告知義務がないため知らされないケースもあるため、確認が必要です。
また、物件自体の資産価値が低下する理由にもつながるので、購入する物件だけでなく、同じマンションにいないかも確認しましょう。
事故物件情報は「大島てる」というサイトで調べられます。興味がある場合は情報収集してみてください。
(7)再開発計画があるかどうかも確認する
不動産購入を検討しているエリアで「再開発計画」があるかも確認すべきです。
再開発の対象エリアでは、将来的に交通アクセスの向上や、商業施設の建設に伴う生活の利便性アップなどが期待できます。また、資産価値が上がる点でもメリットです。
なお、再開発エリアに建設されるマンションでは、周辺相場と比較し割高に見られるケースもありますが、後々購入時よりも価格が上昇することは珍しくありません。
再開発エリアの確認方法は、各都道府県のホームページでチェックできます。なお、東京は「東京都都市整備局」で確認できます。
不動産購入でFPに相談することができる

不動産産購入で不明点がある場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。
お金のプロフェッショナルである弊社FP(ファイナンシャルプランナー)は、不動産に関する専門知識も持っています。
あなたの年収やライフプランに最適な不動産の購入計画や、税金対策などをアドバイスさせていただきます。ぜひご相談ください。
マイホーム購入でFPに何が相談できるかについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、実際に弊社にあった不動産購入の相談事例を紹介しています。ぜひ合わせてお読みください。
まとめ

今回は、分譲・仲介といった販売形態の違いから、不動産購入の流れ、そして注意点について解説しました。
手続きの段階が多く、難しく感じた箇所もあったかもしれません。ですが、あなたが理想とする不動産を手に入れるためには欠かせない条件です。
特に、不動産購入時の注意点については、快適に暮らすためだけでなく、将来物件を手放す際の資産価値にも関わる重要な内容です。
不動産購入で不安に感じている方は、ぜひ弊社FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。住宅ローンの組み方や返済額について、また資金計画など、あなたの理想にふさわしい住まいの購入計画をアドバイスいたします。
著者

- 株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
-
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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