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不動産購入したら確定申告を忘れずに!必要書類や手続きの方法を解説

公開日:2022/07/20 最終更新日:2023/04/20
家計

不動産の購入は人生でも一大イベントであり、購入後は満足感で満たされるかもしれません。しかし、税制面の恩恵を受けるためには確定申告を忘れずに行う必要があります。とは言っても、どのような流れで手続きをすれば良いのかわからない人も少なくないでしょう。

この記事では、不動産購入後に行う確定申告の手順について解説します。確定申告の際に必要となる書類についても詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産を購入したら確定申告が必要

女性

マンションや一戸建てなど、不動産を購入したら確定申告が必要です。少し手間のかかる作業ですが、確定申告をするとしないとでは支払う税金に差が出ます。まずは、不動産購入時における確定申告の必要性について解説します。

(1)確定申告とは?

確定申告とは、前年の所得を計算し、それにかかる税金の申告・納税をする手続きのことです。

確定申告は「フリーランスや個人事業主がするもの」とイメージされがちですが、一般企業に勤める会社員でも申告が必要となる場合があります。また、申告することで節税につながる可能性があることも覚えておきましょう。

(2)不動産の購入で確定申告が必要な理由

不動産を購入した際に必ず利用したいのが住宅ローン控除です。この制度を使うことで、毎年支払う所得税や住民税が還付されます。ただし、住宅ローンを利用して不動産を購入すれば控除を受けられるわけではなく、確定申告をしなければなりません。

他にも一定の条件を満たす必要がありますが、住宅ローンの年末残高において0.7%の控除を受けられる制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」と言い、住宅ローンを借りる際に発生する金利の負担を軽減するために設けられました。

従来の住宅ローン減税が2021年で終了しましたが、2022年度からは新たな制度の内容が適用されています。住宅ローンの控除率1.0%から0.7%に切り替わるなど、いくつか変更点があるため、旧制度の内容と間違わないように注意しましょう。

その他の変更点については、下記国税庁の図を参照にしてみてください。

不動産の購入で住宅ローン控除が適用される条件

住宅ローン控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。条件は大きく分けて、申請する本人に対するものと、担保となる住宅や土地に対するものの2つです。

また、住宅ローン控除を受けるには、自ら居住していることが大前提です。そのため、投資用マンションや土地のみの購入には、住宅ローン控除を利用できません。ただし、転勤などで本人が一時的に住んでいなくても、家族が居住している場合には適用されます。

(1)申請者の条件

住宅ローン控除を申請する人が満たす条件は以下のとおりです。

  1. ✅住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  2. ✅年間の合計所得金額が2,000万円以下であること
  3. ✅贈与によって取得した住宅でないこと
  4. ✅取得時に生計を共にする身内から購入した住宅でないこと

(2)新築物件を購入した場合の条件

新築物件を購入して住宅ローン控除を申請する場合の条件は以下のとおりです。

  1. ✅住宅を購入または新築した日から6ヶ月以内に居住すること
  2. ✅住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  3. ✅購入または新築した住宅の床面積が50m2以上であること(2023年までに建築確認を受けた新築住宅は40m2以上、ただし所得要件1,000万円以下)
  4. ✅床面積の2分の1以上が自分の居住用であること

(3)中古物件を購入した場合の条件

中古物件を購入して住宅ローン控除を申請する場合の条件は以下のとおりです。

  1. ✅住宅を購入した日から6ヶ月以内に居住すること
  2. ✅住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  3. ✅購入または新築した住宅の床面積が50m2以上であること
  4. ✅床面積の2分の1以上が自分の居住用であること
  5. ✅1982年(昭和57年)以降に建築された住宅(新耐震適合住宅)であること

不動産購入で確定申告する際の手順と必要書類

ドキュメント

一般企業に勤める会社員だと、これまでに確定申告をした経験がない人も少なくないでしょう。いざというときに迷わないためにも、事前に必要な書類と簡単な流れを把握することは大切です。不動産購入後における確定申告の手順について解説します。

(1)確定申告に必要な書類をそろえる

不動産購入後に住宅ローン控除を受けるために必要な書類は以下のとおり。

必要書類入手可能な場所
確定申告書税務署、または国税庁のサイト
住宅借入金等特別控除額の計算明細書税務署、または国税庁のサイト
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し不動産会社の契約書類
建物・土地の登記事項証明書法務局(窓口またはオンラインで申請)
源泉徴収票勤務先
住民票の写し役所などで発行
本人確認書類の写し(いずれか) ・マイナンバーカード ・マイナンバー通知カード/マイナンバーが記載されている住民票+本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)役所などで発行
著者作成

簡単に入手できるものから、用意に時間がかかるものまでさまざまです。余裕をもって行動するのはもちろん、すべての書類がそろっているかを確認しましょう。

(2)確定申告書に必要事項を記入し提出する

事前に用意した書類をもとに、所得控除などを確定申告書に記入しましょう。管轄の税務署でもらえますが、国税庁のサイトからでもダウンロードできます。

また、確定申告書には(A)(B)の2種類に分かれています。会社員など給与所得者で住宅ローン控除を受けたい場合は「確定申告書(A)」を使いましょう。

書き方について同じく「国税庁」のページに見本がありますので、ぜひ参照にしてみてください。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」にも必要事項を記入する必要があります。

基本的に確定申告に必要な書類は税務署もしくは「国税庁」のサイトから入手可能です。詳しくは国税庁のページよりご確認ください。

記載方法など記入例も国税庁のページより調べることができますが、少しでも不安に感じる人は、税務署の相談窓口に相談しに行くのが良いでしょう。

また、確定申告書類の提出方法は「税務署の窓口」「e-Tax」「郵送」の3通りです。いずれの方法でも問題ありませんが、還付金はe-Taxでの申告が最短で振り込まれます。

(3)2年目以降は年末調整を行えば控除される

2年目以降は会社員なら年末調整で住宅ローン控除を申請します。これまでは金融機関から発行される「年末残高証明書」の提出が必要でした。しかし、制度改正により税務署から届く「住宅ローン控除申告書」のみで申請できるように変更されています。

個人事業主やフリーランスの場合は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を添付して、期日中に税務署へ提出する必要があります。

不動産購入後の確定申告における注意点

住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要ですが、初めてのことで不明点も多いのではないでしょうか。簡単な手続きではないため、できれば一度で終わらせたいところです。ここでは、不動産購入後の確定申告における注意点を解説します。

(1)確定申告は期限内に行う

不動産を購入したら、その翌年に確定申告を行うことになります。確定申告はどのタイミングで行っても良いものではなく、以下のように期間が決められています。

  1. ✅会社員の場合:購入・入居した翌年の「1月~3月15日」
  2. ✅自営業の場合:購入・入居した翌年の「2月16日~3月15日」

上記の期限内に確定申告を行えば、1ヶ月から1ヶ月半後に還付金が指定の口座に振り込まれます(※e-Taxで提出した場合は3週間前後)。

普段とは違う行動になるため、スケジュールに組み込んでおきましょう。

(2)提出書類は有効期限内のものを利用する

確定申告で必要な書類は入手が簡単なものもあれば、用意に時間がかかるものもあります。期限内に終わらせるためにも早めの準備は大切ですが、あまりに早いと提出書類の有効期限が過ぎてしまう可能性があり要注意です。

たとえば、法務局で取得可能な「登記事項証明書」に有効期限は設けられていません。しかし、取得日からかなりの時間が経過していると、無効になる可能性もあります。

書類の有効期限は基本的に3ヶ月のものが多く、確定申告から1~2ヶ月前を目安に書類をそろえたり、記入を進めたりするのが望ましいでしょう。

(3)必要書類の紛失や破損に気を付ける

住宅ローン控除を受けるために必要な書類の紛失や破損にも気を付けましょう。確定申告をする1年目は慎重に書類を保管するかもしれませんが、2年目以降は要注意です。

たとえば、年末調整で必要な「住宅ローン控除申告書」は、確定申告をした翌年の10月ごろに税務署から送られてきます。控除が受けられる期間分の申告書がセットとなっているため、紛失する可能性が高まります。

税務署に再発行の手続きのための書類を提出することで再交付を受けられますが、手間を省くためにも必要書類は大事に保管しておきましょう。

(4)確定申告をしないとどうなる?

うっかり確定申告をし忘れたということもあるかもしれません。そんな不測の事態でも住宅ローン控除を受けられないわけではなく、税金の還付申告は5年間の請求猶予期間が設けられています。

つまり、確定申告を「忘れた!」という場合でも、5年以内に手続きを行えば住宅ローン控除が適用されます。とは言っても、あとから申請できるから大丈夫と余裕をもつのではなく、気づいたタイミングで早めに申告するようにしましょう。

まとめ

ドキュメント

今回は、不動産購入後における確定申告の手順について解説しました。住宅ローンを利用して不動産購入をした場合、確定申告をすることで住宅ローン控除を受けられます。適用されるにはいくつかの条件がありますが、毎年支払う所得税や住民税が還付される制度です。

会社員などこれまで確定申告の経験がない人だと、手続きに戸惑うこともあるかもしれません。スムーズに確定申告を済ませるためには、早めの行動が大切です。2年目以降も年末調整が必要になるため、忘れずに申告をしましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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