年収2,000万円の人におすすめ節税方法6選!手取りを増やすコツも解説!
年収2,000万円は一般的な年収と比べるとかなりの高所得です。
その分、多額の税金や所得税を負担しなければならないのが悩みの種です。
事業者のようにかかった費用を経費計上しにくい給与所得者は、どうやって対策すればよいのでしょうか。
本記事では、さまざまな方法の中から年収2,000万円の人向けに、6つの節税方法や税・社会保険料の目安、注意点、資金管理の専門家であるFPに、相談することのメリットなどについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
年収2,000万円の人におすすめしたい節税方法6選
世帯年収が2,000万円と聞くと、かなり生活にゆとりがあるイメージを持つかもしれません。
しかし、日本は累進課税制度を採用しているため高収入になるほど税負担の割合も重くなってしまい、収入の3分の1が税や社会保障料として徴収されてしまいます。
ここでは、年収2000万円の人におすすめしたい6つの節税対策を徹底解説します。
(1)医療費控除、生命保険料控除を受ける
医療費控除は、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定金額を超えたときに受けられる控除です。
医療機関で支払った金額から保険金などで支払われる金額を差し引き、支払い金額が10万円以上だったときに課税所得金額となる所得から差し引かれ、差額分の税負担を軽減できる仕組みです。
自分の医療費だけではなく、「生計を一にする配偶者や親族」の医療費も含められるのがポイントです。
生命保険控除を受けることでも節税可能です。
保険に加入して支払った生命保険料に応じて、一定の金額が所得から差し引かれ、所得税や住民税が減額されます。
生命保険会社から送られてくる控除証明書は大切な書類ですので、なくさずに保管しておきましょう。
生命保険両控除の上限額は所得税が最大で12万円、住民税が7万円です。
所得税の場合、一般生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険控除の3つに分けられ、それぞれの限度額が4万円となっています。
保険に関連する選択肢の一つに個人年金保険料控除の活用があります。
民間生命保険会社が販売する個人年金保険は貯蓄型の保険です。
一定の条件を満たすと個人年金保険料控除の対象となり、所得税や住民税の負担を減らせます。
しかし、一定の要件を満たさなければ控除の対象となりません。
より詳しく知りたい方は、国税庁の「医療費控除」「生命保険控除」ページよりご確認ください。
(2)iDeCoで資産運用をしながら課税所得をおさえる
IDeCo(個人型確定拠出年金)は国民年金や厚生年金といった公的年金と別にかける私的年金制度です。
iDeCoの掛け金は全額非課税となり、運用期間中の利益についても本来なら課せられる20.315%の税(所得税・住民税・復興特別所得税)が免除されます。
所得控除される分、実質利回りを上げられる可能性が高まります。しかも、受け取るときに控除が大きくて有利です。
老後の不安を解消するための資産形成という点から見ても、十分検討に値する魅力的な仕組みだといえます。
iDeCoについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、動画でも解説していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
(3)つみたてNISA、NISAを使って非課税で投資する
NISA(少額投資非課税制度)とは2014年から始まった非課税制度で、NISA口座で購入した株式や投資信託の売却益・分配金・配当金などが非課税となる仕組みです。
設定された当初はつみたてNISAと一般NISA、ジュニアNISAという区分でしたが、2024年から新NISAに移行します。
新NISAは旧NISAに存在した運用期限がなくなり、課税上限も1,800万円まで増加しますので以前よりも資産形成がしやすくなっています。
1,800万円のうち個別の株式などに投資できる成長投資枠は、全体の3分の2にあたる1,200万円までです。
また、つみたてNISAの間投資枠は40万円でしたが、新NISAのつみたて投資枠の年間限度額は3倍の120万円です。
つみたてNISA枠で購入できるのは金融庁が厳選して認めた金融商品だけですので安心です。
余裕資金を非課税で運用できるため、高い節税効果が期待できる手堅い投資方法だといえるでしょう。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- ✅つみたてNISAの落とし穴
- ✅新NISAの注意点
- ✅実際に私が実践している投資商品
- ✅成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。
(4)不動産投資をして損益通算で課税所得をおさえる
不動産投資で発生した損失を給与所得から差し引くことで課税所得額全体を減らせます。この仕組みを「損益通算」といいます。
不動産所得はどのように計算すればよいのでしょうか。
計算式は「物件の収入-必要経費」で求められます。
物件の収入の内訳は入居者が毎月支払う家賃や駐車場の賃料が含まれます。
一方、投資物件購入のための借入金利、減価償却費、損害保険料、不動産会社に支払う管理費、修繕費などが経費として計上できます。
その金額がマイナスであれば給与所得から相殺されて差し引けるのです。
節税目的でマンションなどの物件購入を勧められる理由は、損益通算を利用して課税所得を抑えられるからなのです。
給与所得が2,000万円のとき、不動産所得が500万円のマイナスであれば、課税対象所得を1,500万円程度に抑えられます。
資産価値の高い物件は、安定して収益を上げる不労所得の源となり老後の生活を支えてくれるでしょう。
ただし、土地購入に関する金融機関からの融資の利息は損益通算の適用外ですので注意しましょう。
不動産投資のメリットについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(5)寄附金控除を受ける
国や地方自治体、NPO法人、学校法人など特定の団体に寄付を行うと寄附金控除が適用されます。
控除の方法は2つあります。
1つは所得控除で寄附額から2,000円を引いた金額を所得から控除します。
もう1つは税額控除で、寄付金額から2,000円を引いた金額に40%をかけ、所得税額から控除する方法です。
どちらの控除が有利か考慮すると、年収2,000万円の人であれば税額控除の方が減税効果が高くおすすめです。
(6)ふるさと納税で返礼品をもらう
寄附金控除の応用でふるさと納税を活用する方法もあります。
ふるさと納税は直接節税効果があるわけではありませんが、納税者本人が2,000円の負担することと引き換えに数々の返礼品が得られます。
ふるさと納税について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
なお、ふるさと納税改悪という話も出ていて、効率よく利用したい方は、ぜひ下記動画も合わせてチェックしてみてください。
年収2,000万円の税金、社会保険料の目安は?
税金や社会保険料は前年の収入を基準として課せられます。
2022年の収入であれば、2023年に税金や社会保険料を納めなければなりません。
給与収入などの収入が年間で2,000万円を超えると、税金や社会保障料はいくら負担しなければならないのでしょうか。
国に納める所得税、都道府県や市区町村といった地方自治体に納める住民税などの納税額、健康保険料をはじめとする社会保険料をいくら納めればよいか確認します。
(1)所得税の目安は「約369万円」
所得税を求めるには年収から所得控除を差し引いた年収を求める必要があります。
2,000万円の収入から給与所得控除額の195万円を差し引くと、1,805万円となります。
23歳未満の家族を扶養していると15万円の所得金額調整控除の控除対象となるため、15万円を差し引けます。
そうすると、課税対象所得は1,790万円となります。
この金額から基礎控除の48万円(令和2年に38万円から引き上げ)と社会保険料控除の159万円の合計207万円を差し引きます。
1,790万円から207万円を引くと、課税対象となる合計所得金額は1,583万円と割り出せます。
国税庁の公式サイトにある早見表をみると、900万円から1,799万9,999円までの所得税率は33%で、控除額は153万6千円となっています。
これに従い、1,583万円に33%をかけあわせ、所得控除額153万6千円をひくと、所得税額は約369万円となります。
(2)住民税の目安は「約159万円」
住民税の所得割額は、課税所得から各種控除を差し引いた金額に10%の税率をかけて求めます。
この計算方法に従うと、基礎控除43万円、社会保険料控除159万円で計算すると控除額は202万円となり、総所得1,790万円から202万円を差し引いた1588万円が課税所得となります。
住民税率は10%ですので、1588万円の10%で158万8千円となり、所得に関係なく一律に賦課される均等割りを5,000円と仮定すると、合計159万3千円となります。
(3)社会保険料の目安は「約159万円」
社会保険料に該当するのは健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料、労災保険料などです。
社会保険料は個人差があり、算出方法は家族構成によっても変化するためとても複雑です。
計算の詳細は割愛しますが、年収2000万円の場合はおよそ159万円となります。月額であれば約13万円の支払いとなります。
年収2,000万円の手取り目安は?
給与等の収入から税金や社会保障料を差し引いた金額を可処分所得といいます。
2,000万円から369万円の所得税、159万円の住民税、159万円の社会保険料を引くと、1,313万円となります。
この手元に残る金額(可処分所得)がいわゆる「手取り金額」となります。
節税対策が成功すれば、手取り金額を増やせる可能性があるのです。
年収2,000万円の注意点は?
年収2,000万円を超えると不利な事柄もあります。
どのようなことに注意しなければならないのか、3つの注意点を解説します。
(1)年末調整ではなく確定申告が必要
年収が2,000万円を超えると、税務署に対して確定申告を行わなければなりません。
会社員の場合、勤務先の会社が従業員から所得税を源泉徴収して年末調整で税務署に納税しています。
そのため、個人で確定申告する必要がありません。
しかし、自営業者や年収2,000万円を超えたサラリーマンは年末調整の対象とならないため、自分で確定申告という手続きを取らなければなりません。
確定申告の対象となるのは1月1日から12月31日までです。
対象となる年の翌年2月16日から3月15日までの期間内に、所轄の税務署に確定申告書を提出して納税しなければなりません。
期限内に確定申告をしなかった場合は、納付すべき税額の15~20%にあたる無申告加算税が課されてしまいますので注意しましょう。
(2)配偶者控除やひとり親控除が対象外になる
配偶者控除は所得額が1,000万円超となると対象外となります。年収が2,000万円の人は、ほぼ所得が1,000万円以上となるので対象外となると考えてよいでしょう。
また、2020年から新設されたひとり親控除も対象所得が500万円以下ですので、年収2,000万円の人は基本的に対象外となります。
(3)住宅ローン控除も対象外になる
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して家を建てた人の所得税を控除する仕組みです。
住宅引き渡しから半年以内に居住することや所得金額が2,000万円以下であること、対象となる住居のローンが10年以上あることなどの条件を満たす人を対象として一定額の所得税から控除します。
具体的には住宅ローン残高の1%を10年間にわたって所得税から控除してもらえます。
ただ、年収2,000万円ではなく所得2,000万円が条件ですので、年収が2,000万円を超えたからといって直ちに対象外となるわけではありません。
正確に効率よく節税するにはFPに相談
節税は正しい知識を理解し、効率よく行わなければなりません。
節税の仕方を間違うと脱税となり、国税庁から指摘を受ける可能性があるからです。
その時は、ぜひ身近な専門家としてはFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるのはいかがでしょうか。
(1)FPに何が相談できる
FPの特徴は税金や年金、不動産、金融、相続など幅広い分野の知識を持っています。
FP資格には国家資格と民間資格があります。
FPの主な仕事はライフプラン(生涯生活設計)にあわせて資金計画を作るときにアドバイスすることです。
相談者の生活レベル・支出をチェックし、今後の人生設計などについてサポートしてくれます。
FPは税金を含む幅広い分野の相談に応じることができますので、ご自身のライフプランにあったアドバイスをしてもらうことができます。
(2)FPに相談するメリット
FPに相談するメリットは幅広い視野で税に関するアドバイスが受けられることです。
税理士は税に関する専門家であり、節税や税の計算のプロです。
しかし、ライフプランやライフイベントに応じた資金計画などの中長期的なアドバイスとなるとより広い分野の知識をもっているFPの利点が大きくなります。
継続的な支出削減なども相談できるので安心です。
FPの中には税理士資格を持っている人もいますので、中長期的な視点と税務の両方の相談や節税方法のメリット・デメリットを相談するのに向いています。
FPから一般的な節税方法を聞いたうえで、自分で税務処理を行ったり、FPに税理士などの専門家を紹介してもらったりするといった活用法もあります。
実際に弊社にあった相談事例を公開していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
まとめ
今回は年収2,000万円以上の人におすすめの6つの節税方法や年収2,000万円の人がチェックすべきこと、節税でFPを活用する方法やメリットについて解説しました。
医療費控除や生命保険料控除、寄付金控除といった各種控除を活用することで課税対象所得を減らすことができます。
NISAやiDeCoの非課税枠や不動産投資の損益通算を活用することでも所得を減らすことができるでしょう。
少しでも課税対象所得を抑え、手取り額を増やすためにはお金の専門家であるFPに相談するのが重要です。
場合によってはFPから税理士などの専門家を紹介してもらい、具体的な節税方法を教えてもらうことも必要でしょう。
大事なことは、不確かな知識で節税するのではなくFPなどの信頼できる専門家の意見を有効活用しながら慎重に節税対策することです。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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