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ライフプランニングからキャッシュフロー表|FPが教える簡単にできる5つのステップ

公開日:2022/10/09 最終更新日:2023/05/25
カップル

結婚や出産、マイホーム購入など人生の節目で、お金について考える人も多いでしょう。

このようなタイミングでお金について考えることは、もちろん大切です。

しかし人生100年時代と言われる現代では一時的なお金だけでなく、子供の教育費、住宅取得費用、生涯通してお金に困らないよう、夫婦の収入金額を把握した上で、あらかじめ目標を決め、ファイナンシャルの計画を立てておくことが非常に重要です。

ライフイベントに備えて生涯の資金計画を立てることを「ライフプランニング」といいます。

この記事では、ライフプランニングを行う上での基本となるライフイベント表・キャッシュフロー表の作成方法について、ファイナンシャルプランナーが分かりやすく解説します。

ライフプランニングとは?ライフプランニングを行うメリット

カップル

ライフプランニングとはどのようなものか、そのメリットと合わせて説明します。

(1)ライフプランニングとは?

ライフイベントに備えてあらかじめ資金計画を立てることをライフプランニングといいます。

具体的には「ライフイベント表」「キャッシュフロー表」を作成して、将来のお金の流れや貯蓄残高などを予想します。ライフプランニングを行うことで、長期的な目線でお金を管理することが可能です。

(2)ライフプランニングを行うメリット

将来のイベントや必要となる資金を予想することで、いつ・どれくらいのお金が必要か把握しやすくなります。

必要な資金を考えずに過ごしていると、いざという時にお金が足りず困ってしまう可能性もあるでしょう。

ライフプランニングを行うと、人生のどの時期までにいくらお金が必要か分かるので、生活設計ができて計画的にお金を用意できます。


また必要となる資金を事前に把握することで、以下のようなメリットもあるでしょう。

  1. ☑必要な資金を把握することで、無計画なお金の使い方が減る
  2. ☑漠然としたお金に対する不安が軽減できる
  3. ☑ゆとりを持って老後資金を準備できる

ライフイベント表を作る

自分や家族のライフイベントと、それに必要な資金を時系列に並べてライフイベント表を作ります。

(1)ライフイベントに必要な資金額を明確にする 

ライフイベントとは一般的に以下のような人生の大きな出来事を指します。

  1. ☑結婚
  2. ☑出産
  3. ☑マイホームの購入
  4. ☑転職
  5. ☑退職
  6. ☑子どもの進学

特に人生の3大支出といわれる教育資金・住宅購入資金・老後資金は、まとまったお金が必要となります。

ライフイベントごとにどれくらいの資金が必要なのか、自分の希望などから具体的にイメージしましょう。

例えば、教育資金は子どもの進路によって金額が大きく異なります。

もし作成時点で教育方針が決まっているなら、実際かかる費用に近い金額で記載しましょう。

結婚式も、ちゃんとした披露宴にするか、2次会みたいなパーティーにするかによっても、結婚費用が大きく変わります。

住宅購入資金に関しても、購入するのがマンションか戸建住宅かによって異なります。
60歳で定年退職した場合の退職金については、自分が勤める会社の退職金や厚生年金などから算出するとよいでしょう。

実態に近い数値で計算することで、より正確にシミュレーションできます。

(2)いつまでにいくらを貯金するなどのゴールを明確にする

ライフイベントで必要となる資金を準備するために、いつまでに・いくら貯金するなどのゴールを決めておきましょう。

例えば30歳の会社員が40歳でマイホームを購入することを予定している場合、頭金・初期費用が500万円であれば、10年後までに500万円の貯金が必要と分かります。
「いつまでに・いくら貯金する」というゴールを意識し、そこから逆算してお金を貯めましょう。

(3)ライフイベント表に書き込む

ライフイベント表には、年、自分や家族の年齢、イベント、かかる費用などを記入して作成します。30歳男性のライフイベント表の作成例は次のとおりです。

夫の年齢妻の年齢子どもの年齢ライフイベントかかるお金
2022年30歳27歳結婚300万円
2023年31歳28歳
2034年32歳29歳0歳出産200万円
2025年33歳30歳1歳
2026年34歳31歳2歳
2027年35歳32歳3歳
2028年36歳33歳4歳
2029年37歳34歳5歳
2030年38歳35歳6歳子どもの小学校入学10万円
2031年39歳36歳7歳
2032年40歳37歳8歳マイホーム購入500万円

著者作成

実際には予定通りにならず、ライフイベントの時期が遅れたり、想定外の出来事が発生する可能性もあります。

ライフイベント表は定期的にチェックして、必要資金に変更があれば修正しましょう。

キャッシュフロー表とは?作成するための5のステップ

階段

次にキャッシュフロー表の作成について説明します。

(1)キャッシュフロー表とは?

キャッシュフロー表とは、現在の収支状況とライフイベント表の内容に基づいて、将来のお金の流れと貯蓄残高をまとめたものです。

ライフイベント表では、いつ・どれくらいの資金が必要なのかを記載しましたが、日々のお金の流れまでは記載していませんでした。

キャッシュフロー表を作成することで、長期的なお金の推移を見ることができます。

(2)キャッシュフロー表を作る5つのステップ

それでは、キャッシュフロー表を作る5つのステップについて説明します。

家族構成、年齢を記載する  

まず家族構成と年齢を記載します。
年齢は毎年12月末、翌年度3月末など、あらかじめ基準日を決めて計算しましょう。

ライフイベントを記載する

次にライフイベント表で記載したライフイベントと費用を記載します。
かかる費用は、「一時的な支出」の項目に記入しましょう。

年間の収入、支出及び貯蓄額を記載する

収入は社会保険料や所得税・住民税を引いた可処分所得で記入しましょう。
支出については、光熱費、食費、通信費などの日常生活費、住宅費、保険料など家計簿と同じような項目に分類すると分かりやすいです。また、たまに行く旅行の費用、病気になった時の医療費などは固定費と分けて記載するようにしましょう。

家計簿は手書きでつけている方もいますが、ライフプランを立てるという観点では、便利ツールである弊社が開発したお金の管理アプリ「マネソル」(特許あり)がオススメします。家計簿の機能だけではなく、将来のライフプランをシミュレーションする機能も搭載していますので、ぜひ試してみてください。

貯蓄額は「今年の貯蓄残高=(前年の貯蓄残高×変動率)+今年の年間収支」で算出します。貯蓄額に含める資産の例は次のとおりです。

  1. ☑現金
  2. ☑預貯金
  3. ☑金融商品(株式、債券、投資信託)
  4. ☑その他の資産(iDeCo、財形貯蓄など)

年間収入・支出及び貯蓄額を記載する際に大切なのが、変動率を設定することです。

変動率とは物価の上昇などに合わせて増減する変化の割合をいいます。
給与であれば手取り収入の上昇率、日常生活費等であれば物価の上昇率、貯蓄残高であれば利回りを表します。

一方、毎年定額で支払う保険料や住居費などは変動率を考慮しません。なお、iDeCo・財形貯蓄・つみたてNISAについて詳しく知りたい場合は下の記事を参考にしてください。

また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。

  • つみたてNISAの落とし穴
  • 新NISAの注意点
  • 実際に私が実践している投資商品
  • 成功するための鉄則

などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。

セミナー

翌年度分以後も記載する

①~③の内容を翌年度分以降も記載します。キャッシュフロー表の作成イメージは下表のとおりです。

変動率20222023202420252026
夫の年齢 30歳31歳32歳33歳34歳
妻の年齢 27歳28歳29歳30歳31歳
子どもの年齢   0歳1歳2歳
ライフイベント 結婚 出産  
夫の収入1%500万円505万円510万円515万円520万円
児童手当   18万円18万円18万円
収入合計 500万円505万円528万円533万円538万円
日常生活費2%180万円183万円187万円191万円195万円
住居費 144万円144万円144万円144万円144万円
生命保険料 3万円3万円3万円3万円3万円
一時的な出費 300万円 200万円  
支出合計 627万円330万円534万円338万円342万円
年間収支 -127万円175万円-6万円195万円196万円
貯蓄残高1%500万円680万円680万円883万円1,087万円

著者作成

定期的にキャッシュフロー表見直しをする

キャッシュフロー表についても一度作成したら終わりではなく、定期的に見直しましょう。
当初見込んだよりも費用が多かったり、ライフイベントが遅れる可能性もあります。

年1回などタイミングを決めて見直すことで、予定外の出費・イベントにも余裕をもって対応できるでしょう。

キャッシュフロー表でお金の流れは分かりますが、どのくらい負債があるかまでは把握できません。

より家計の健全度を把握したい場合は、個人のバランスシートの作成もおすすめです。

バランスシートは資産・負債・純資産の3つの項目から構成されます。

資産から負債を引いた「純資産」が本当の意味での資産といえます。資産・負債の例は次のとおりです。

  1. ☑資産:金融資産、保険、持ち家、自動車など
  2. ☑負債:住宅ローン、自動車ローンなど

金融資産はその時点での評価額、保険は解約返戻金、持ち家や自動車は時価額で記入します。またローンはその時点の未返済額を記載しましょう。

  1. ☑バランスシートの作成イメージ
【資産】
預貯金:300万円
株式:100万円
生命保険:100万円
自動車:100万円
【負債】
自動車ローン: 90万円
【純資産】
510万
資産合計:600万円負債・純資産合計:600万円

著者作成

年間収支が赤字な場合はすぐFPに相談

キャッシュフロー表で年間収支が赤字の場合は、注意が必要です。
たまたま大きなライフイベントがあり、一時的にマイナスとなることは問題ありませんが、シミュレーション結果が毎年赤字であれば、今後の対策を考えましょう。

娯楽費が多すぎる、外食の出費が多いなど、赤字には何かしら理由があるはずです。

まずは必要のない支出を減らすことから始めて、家計を黒字にしましょう。
原因は分かっても解決策が思いつかないという人は、すぐにFP相談することをおすすめします。

まとめ

夫婦

「ライフプランニング」はライフイベントに備えて生涯の資金計画を立てることです。

ライフプランニングを行う上で基本となるのがライフイベント表の作成です。

予想されるライフイベントとその費用を時系列で書き出します。

さらに、お金の流れを把握するために以下の手順でキャッシュフロー表を作成します。

  • 家族構成、年齢を記載する
  • ライフイベントを記載する 
  • 年間の収入、支出及び貯蓄額を記載する
  • 翌年度分以後も記載する 
  • 定期的にキャッシュフロー表の見直しをする 

ライフイベント表やキャッシュフロー表は、日本FP協会などから提供されているツールで簡単に作成することもできます。ぜひ活用してみてください。

キャッシュフロー表で年間収支が赤字の人は支出を見直す、資産運用をして収入を増やすなどの対策が必要です。

自分ひとりでライフイベント表・キャッシュフロー表が作成できるか心配な人は、FPに相談することをおすすめします。より詳細なシミュレーションやアドバイスをさせて頂きます。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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