不動産購入の流れを10ステップで紹介!FPが購入時の注意点も解説
マンションや戸建住宅など、現在不動産購入を検討している人の中には、以下のような悩みや疑問を持っている人も多いでしょう。
- ✅「不動産を購入する時の流れがわからない…」
- ✅「分譲物件や仲介物件の違いがわからない…」
- ✅「不動産売買の具体的な注意点を教えてほしい…」
そこで本記事では、不動産の専門知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)である私が、初心者でもわかるように詳しく不動産を購入するときの10 STEPを解説します。
不動産購入で後悔したくない方は、ぜひ最後までお付き合いください。
不動産の販売形態は2つ
まずはマイホームに伴う不動産購入を検討する際の、「販売形態」の違いをSTEP毎に把握しておきましょう。今回の記事では「分譲物件」と「仲介物件」それぞれについて解説します。
(1)分譲物件
「分譲物件」とは売主が直接販売する物件のことです。なお、通常個人間で直接売買することはないため、不動産会社から購入します。
分譲物件のメリットは「仲介手数料がかからないこと」です。さらに「査定が明確」「連絡や案内がスムーズ」「瑕疵担保が必須」「引き渡しまでスムーズ」といった点も挙げられます。
なお、瑕疵担保責任とは、物件に欠陥や問題があった場合に損害倍書を請求できる権利のことです。(新築物件:引渡し日から10年間)
例えば雨漏り問題が発覚した場合、その補修費用や損害賠償を請求できます。
一方で分譲物件は、インターネットや、デベロッパーの会員サービスに登録するなど「買主として物件を自分で探す必要がある」という問題が発生する点がデメリットです。
(2)仲介物件
「仲介物件」とは、売主から仲介の依頼を受けた不動産会社を通して購入する物件のことです。
仲介物件には、売主に対して「価格交渉を代理してくれる」「不動産売却の必要書類を揃えてくれる」「金融機関の手続きや契約時のサポートをしてもらえる」「決済時の抵当権設定や税金関係のアドバイスももらえる」といったメリットがあります。
一方で仲介手数料がかかる点はデメリットです。仲介手数料は上限が決まっており、400万円を超える物件の場合「物件価格×3%+6万円+消費税」で計算できます。スムーズな取引の為の必要経費とも考えられますが、状況によっては割引できる可能性もあります。
不動産購入するときの流れ
続きまして、実際に買主として不動産購入する時の流れを見ていきましょう。2つの販売形態のステップをご紹介します。
(1)分譲物件の場合
- ①エリア、間取りなど不動産の希望条件を決める
- ②不動産の予算など資金計画を立てる
- ③条件に合う物件を選ぶ
- ④物件の内覧、現地見学をする
- ⑤購入の申込みを行う
- ⑥住宅ローンの事前審査を申し込む
- ⑦事前に売買契約書の内容を確認
- ⑧不動産売買契約を結ぶ
- ⑨住宅ローンの本審査を受け契約する
- ⑩物件の引渡し(登記を行う)
家購入で失敗しないためには覚えておくべきSTEPになりますので、1つずつ確認してみましょう。
STEP①:エリア、間取りなど不動産の希望条件を決める
まずは、どのような不動産物件を購入したいか希望条件を整理しましょう。中古一戸建て、新築一戸建て、中古マンション、新築マンションと様々な選択肢があります。現状だけを考えるのではなく、将来の生活や家族構成など先を見据えて計画を立てるのが大切です。
不動産購入時に考えておきたい条件には以下のものがあります。
- ✅物件価格
- ✅間取り
- ✅立地
- ✅交通の利便性
- ✅築年数(中古マンションの場合)
- ✅設備
- ✅共用施設
それぞれ、ライフプランや目的に合わせて優先度を決めておき、予算が厳しくなる可能性や計画する上での不明点がある場合は、事前に相談するなど問題が発生しないようにしましょう。
STEP②:不動産の予算など資金計画を立てる
不動産購入の予算をどのように用意するか、資金計画を立てておきましょう。資金計画を立てる上で、考えておくべき予算の種類は以下の項目です。
- ✅頭金で用意する自己資金
- ✅住宅ローンの借入額
- ✅初期費用
- ✅リフォーム費用
- ✅家具代
- ✅都市計画税
なお、年収や所得に対する物件購入価格の目安や、不動産購入時にかかる諸費用の目安などについて下記記事にて解説しています。本記事と併せて参考にしてみてください。
STEP③:条件に合う物件を選ぶ
購入したい不動産の特徴や希望条件が明らかになりましたら、いよいよ物件を選んでいきます。物件選びはモデルルームに足を運んだり、資料請求する方法などもありますが、SUUMO、ホームズなど不動産のポータルサイトから探すこともできます。
また、レインズといって不動産会社しか見れない物件情報サイトがあります。そこにはポータルサイトに掲載していない不動産売却の情報もありますので、不動産会社に問い合わせした場合は紹介してもらうことができます。
どちらもメリットとデメリットがありますので、より多くの情報を得たい場合は、両方とも活用して不動産売却の情報を集めるのがいいでしょう。
STEP④:物件の内覧、現地見学をする
お目当ての物件が見つかりましたら「内覧・現地見学」に出向きましょう。覚えておいてほしいポイントは、必ず自分の足で現地まで行ってみるということです。
実際に出向くことにより、駅からのアクセスや物件の状態などが具体的に把握でき、不明点が解決することで希望条件に見合うか確認できます。
内覧当日の天候や時間帯によって環境も変わりますので、購入後に問題がないエリアかきちんとチェックしておきましょう。
STEP⑤:購入の申込みを行う
不動産の購入を決意したら、購入申し込みに進みます。一般的には、売主である不動産会社に対して「不動産購入申込書」を提出する流れです。
不動産購入申込書とは、不動産売却をしている物件の所有者に対して、物件購入の意思表示を示すためのものです。
なお、購入申し込みは売買契約とは異なるため、必要書類を提出した後でも、リーガルの拘束がないためキャンセルが可能です。
他にも、新築マンションや一戸建てを購入する際は「申込証拠金」を用意するケースがあります。申込証拠金は購入の意思を示すために支払う費用で、相場は1~10万円程度です。
申込証拠金は契約締結後、通常手付金などの諸費用の一部に充てられます。
不動産購入申込書などの必要書類を提出するときの注意点などについて詳しく知りたい方は、下記記事をご参照ください。
STEP⑥:住宅ローンの事前審査を申し込む
住宅ローンの事前審査とは、正式に申し込む前段階として、利用者の年収や所得などから返済能力や信用情報などを簡易的に確認するものです。
本審査の審査期間が2~3週間程度かかるところ、事前審査なら早ければ即日で結果がでます。ただし、金融機関によっては1週間程度かかるケースもあります。
事前審査で必要な書面は以下の通りです。
- ✅購入物件の確認書類(金額や面積がわかるパンフレットなど)
- ✅収入証明書類(源泉徴収票や確定申告書など)
- ✅本人確認書類(免許証やパスポートなど)
- ✅他ローン書類(他に借り入れがある場合は提出する)
その他、身分証明書や印鑑なども準備しておくようにしましょう。
STEP⑦:事前に売買契約書の内容を確認
不動産売買契約を締結する前に「不動産売買契約書」は必ず確認しておきましょう。
不動産売買のトラブルを回避するために、契約内容や双方の契約条件を理解するのは大切なことです。
売買契約書には、購入金額や引渡し日をはじめ、その他契約違反が生じた際の解除の取り決めなどが細かく記載されています。
不安な方は、事前に売買契約書を共有してもらい、チェックポイントに従って不明点がないか、明確になるまで確認するのが良いでしょう。
STEP⑧:不動産売買契約を結ぶ
不動産売買契約書を確認した後、不動産取引のさまざまな内容に双方が納得できたのであれば、いよいよ不動産売買契約を締結するSTEPに入ります。
なお、その際に不動産会社の宅地建物取引士より、購入金額や購入物件に関して重要事項説明が行われます。(住宅ローンや不動産に関わる法律などの説明)
説明を理解しないままでいると、契約後トラブルにつながるリスクがあります。そのため、わからないことは必ず確認しておきましょう。
その後問題がないようであれば不動産売買契約を結びます。なお、その際「手付金」を支払う必要があります。(※不動産取引における手付金の相場は売買価格の5%~10%)
手付金とは、不動産取引における契約成立を証明する意味合いで支払うお金です。
STEP⑨:住宅ローンの本審査を受け契約する
契約を結んだあとは、住宅ローンの本審査に申し込みます。なお、以下の書類や書面が必要書類となるので参考にしてください。
- ✅住民票
- ✅印鑑証明
- ✅実印
- ✅本人確認書類
- ✅収入証明書類
- ✅対象となる物件の資料
- ✅預金口座通帳
2023年現在、一般的な本審査の期間は2~3週間程度かかります。結果が出るまで時間がかかるため、必要書類は事前に準備しておき早めに申し込むようにしましょう。
銀行などの金融機関で、住宅ローンの融資を受ける際の審査基準や、購入金額に対しての税金、審査通過のポイントについては、下の関連記事で詳細をお伝えしています。本記事と併せて読んでみてください。
STEP⑩:物件の引渡し(登記を行う)
最後に「物件の引き渡し」です。なお、不動産を取得する際に住宅ローンを利用すると抵当権設定など登記簿への登記手続きが必要となります。また、購入した土地や一戸建て、マイホームの所有を確定させるために「所有権保存登記」もしくは「所有権移転登記」を行います。
所有権保存登記 | 新築マンションや新築の建売住宅など、所有権の登記がされていない不動産に対して、所有権を示すための登記 |
所有権移転登記 | すでに所有権の登記がされている不動産に対して、売主から買主に所有権が移転したことを示す登記 |
登記は自分自身でも手続きできますが、専門知識が必要で手間もかかるため、一般的には司法書士に依頼します。
(2)仲介物件の場合
続いて、仲介物件の場合、購入の10ステップを解説していきます。
- ①不動産の希望条件を決定する
- ②希望条件に見合う物件の仲介を依頼する
- ③資金計画を立てる
- ④物件の内覧を行う
- ⑤購入の申し込みを行う
- ⑥住宅ローンの事前審査を受ける
- ⑦契約内容を確認
- ⑧不動産売買契約を結ぶ
- ⑨住宅ローンの本契約を行う
- ⑩物件の引き渡しを受ける
分譲物件と仲介物件の大まかな流れは同じになりますが、売主が個人であったり、条件交渉を仲介会社に依頼するために媒介契約を結ぶなど、取引形態において異なる部分を重点的に解説していきます。
STEP①:不動産の希望条件を決定する
まずは、購入したい不動産物件の条件を決定しましょう。
ポイントとして、現時点の条件や物件の特徴にだけこだわるのではなく、家族構成や今後の収支バランス、住宅ローン控除を適応した場合の手取り額の変化など、将来まで見通して検討することが大切です。
物件を探しながら条件を明確にしていくこともありますが、
基本的な条件として、
- ✅物件価格
- ✅間取り
- ✅立地
- ✅交通の便
- ✅周辺環境
- ✅築年数(新築・築浅・中古など)
購入後、数十年住むということを前提に考えておきましょう。
STEP②:希望条件に見合う物件の仲介を依頼する
希望条件が決まったら、実際に物件の情報収集を始めましょう。
物件選びには様々な方法があります。
気軽にインターネット検索やチラシで調べることもできますし、ハウスメーカーや建売住宅の内覧会に足を運ぶこともあるでしょう。
また、仲介業者と媒介契約を結んだ上で、担当者と相談して決めていくという方法もあります。
仲介物件の場合、売主が個人であることも多いので、どういった理由で売り出しや査定がされているのか。住まいの特徴や、良い点、気になる点はなにか。戸建ての場合は土地や道路の問題点がないかなど、仲介の担当者を経由して事前に物件調査やヒアリングを依頼しておくのが良いでしょう。
事前にさまざまな住まい選びに関する希望条件に見合うか整理、確認をした上で、現地に足を運んで物件確認をするようにしましょう。
不動産購入の予算をどのように用意するか、資金計画を立てておきましょう。
資金計画を立てる上で、考えておくべき予算の種類は以下の項目です。
- ✅頭金で用意する自己資金
- ✅住宅ローンの借入額
- ✅初期費用
- ✅リフォーム費用
- ✅家具代
- ✅都市計画税
なお、年収に対する物件購入価格の目安や、不動産購入時にかかる諸費用の目安などについて下記記事にて解説しています。本記事と併せて参考にしてみてください。
STEP③:資金計画を立てる
続いて資金計画になります。
不動産を購入するための資金をどのように準備して、支払っていくかを計画してきます。
住宅購入は気軽にできるものではありませんので、返済期間の間、無理せず月々の支払いができるか慎重に確認しましょう。
仲介物件の場合、売主の事情により、引き渡し日や売買価格の交渉ができるケースが少なくありません。
急いで売りたい方の場合、相場よりも割安で購入できることもあります。
上記の交渉を踏まえ、以下の項目について資金調達の目処をたてていきましょう。
- ✅頭金
- ✅住宅ローンの借入額と金利
- ✅物件取得時の諸費用
- ✅リフォーム費用(リフォームが必要な場合)
- ✅引越し費用
STEP④:物件の内覧を行う
希望物件と資金計画ができたら、実際に物件の内覧を行いましょう。
分譲物件と異なるのは、売主がまだ住んでいる物件も多いということです。
仲介会社の担当者が立会をしてくれますが、早朝や夜遅くに内覧をするのは難しい場合も少なくありません。
事前に、内覧可能日を確認の上、余裕を持ったスケジュールにしていきましょう。
また、入居者がいることで、入居後の家具の配置などイメージしやすくなるということもあります。
引渡し日にトラブルにならないよう安心して進めるためにも、気になることはきちんと確認をしておきましょう。
STEP⑤:購入の申込みを行う
内覧をして物件が気に入ったら、物件購入の意思表示のため「不動産購入申込書」を提出します。
不動産購入申込書などの必要書類は、一般的に、仲介会社が準備してくれるので基礎知識がなくても問題ありません。
内容を確認の上、不明点があれば事前に問い合わせをしてから署名捺印すればオッケーです。
また、あくまでも購入希望の意思表示なので、売買契約書とは異なり、申込後のキャンセル対応もすることができます。
とはいえ、売主の立場からしたら購入してくれると期待して契約準備をしてくれますので、むやみにキャンセルが続くことがないように吟味していきましょう。
STEP⑥:住宅ローンの事前審査を受ける
正式な売買契約に向けて、住宅ローンの事前審査を受けます。
住宅ローンは、正式に申し込む前の段階として、借り入れする利用者の返済能力や信用情報を簡易的に審査してくれます。
本審査の場合、2週間前後かかるところですが、事前審査なら必要書類も少なく、数日以内で結果を確認できます。
事前審査では、購入希望者の与信確認と合わせて、借入金額に対して妥当な返済計画ができるか、万が一の返済方法として、融資金を回収できる価値のある物件かどうかのチェックがされます。
必要な書面としては、
- ✅本人確認書類
- ✅収入証明書
- ✅購入物件の金額や面積が分かる書類
- ✅他ローンの書類(他に借り入れがある場合)
STEP⑦:契約内容の確認
不動産売買契約を締結する前に、宅地建物取引士が説明してくれる「重要事項説明書」を必ず確認しておきましょう。
重要事項説明書は、宅地建物取引士が身分を証明する宅建士証を提示した上で、説明をしてくれます。
特に重要な金額や日時に関する項目や、契約解除や重要な特約に関する条文など、必ず自分でも目を通し、気になることは契約前に質問して解消しておきましょう。
売主が個人のケースが多い仲介物件の場合、建物に思わぬ不備があって購入後に発覚するケースもあります。
不備が見つかった時の瑕疵担保責任は何年間、どのような保障があるかについても、きちんと説明を受けるようにしましょう。
STEP⑧:不動産売買契約を結ぶ
重要事項説明書を確認した上で、不動産売買契約書も相違がないかをチェックしたら、正式に売買契約締結のため、署名捺印に進みます。
契約成立の時点で、一般的には、手付金として売買価格の5%から10%を支払います。
手付金の上限は売買価格の20%が上限になりますので、手付金の割合も事前に確認しておき、不足が無いように注意しましょう。
STEP⑨:住宅ローンの本契約を行う
売買契約の締結後、住宅ローンの本契約を行います。
事前審査は即日から3日程度で結果が出ましたが、本審査は審査のSTEPも多く、購入物件の査定や物件調査なども行うため、おおよそ2週間ほどかかります。
審査内容としては、
- ✅健康状態
- ✅年齢
- ✅勤務先と勤続年数
- ✅物件評価
- ✅収入と返済のバランス
- ✅過去の借り入れなどの信用情報
STEP⑩:物件の引き渡しを受ける
住宅ローンの本審査に通過したら、いよいよ物件の引き渡しです。
物件の鍵を受け渡しをするだけではなく、法務局に対して、権利関係である所有権の移転登記や、ローン契約の場合は抵当権の設定を行います。
新築物件の場合、所有権の保存登記も合わせて行うことになります。
登記に関する手続きは複雑になります。
インターネットなどで個人で登記するマニュアルなども確認できるため、無理ではありませんが、実際に登記費用を抑えるために個人でやるケースは少なく、ほとんどの場合が司法書士による手続きになります。
不動産購入時の注意点
ここでは不動産購入時の注意点を解説します。不動産会社によって購入までのSTEPは異なりますが、目当ての一戸建てや土地、マンションは時間を変えて見に行く、売買契約後の契約条件変更や解約は難しい、など後悔しないために覚えておくべき内容です。
(1)時間を変えて複数回内見、現地見学に行く
希望の物件が見つかったら、スケジュール調整の上、必ず時間帯を変えて複数回内見(現地見学)するようにしましょう。
というのも、例えば昼間と夜では雰囲気が違いますし、日当たりの具合も異なるため、見学を1回だけに固定してしまうのはリスクです。
例えば、内見の当日に日当たりが良いと感じても、実際に住んでみるとわずか数時間しか日が当たらない、ということもあり得る話です。
不動産会社の担当者に迷惑がかかるからと躊躇せず、決済後に問題がおきないよう、手間はかかりますが複数回内見しましょう。なお、内見の際は以下のポイントを押さえて確認してみてください。
- ✅平日・休日
- ✅朝・昼・夜
- ✅雨の日・晴れの日
(2)新耐震基準に満たす物件を選ぶ
「新耐震基準」を満たす物件かどうかも確認すべきポイントです。
新耐震基準とは、1981年6月1日に施行された耐震基準であり、それ以前のものは旧耐震基準と呼ばれます。
中古住宅で見られる旧耐震基準では、震度5程度の中規模地震に対し、倒壊および崩壊する可能性があるか、というのが1つの基準です。
一方新耐震基準では、震度6強~7に達する大規模地震が起きても、倒壊しないことが追加されています。
さらに、2000年6月1日以降に建てられた物件では、2000年基準が設定されており、より耐震基準が厳しくなりました。
中古物件の中には旧耐震基準の建物もあり、不動産査定にも大きな影響があります。その場合、耐震性の面で査定にも不利な条件となるため注意してください。
(3)ハザードマップにて周辺地域について確認する
不動産を購入する際は、周辺地域のハザードマップもチェックしましょう。
ハザードマップとは、起こり得る自然災害の被害や、避難経路、避難場所などが記載された地図のことです。
ハザードマップを確認することで、購入する物件の周辺の土地で発生し得る、土砂崩れや洪水などの被害を予測できます。
例えば川の近くの建物だと、水害が発生した際に浸水の恐れがあります。そのため、家を購入する前には、ハザードマップで周辺環境の自然災害を予測するのが大切です。
(4)売買契約後の解約は難しいので注意が必要
「売買契約後は解約が難しい」ということを覚えておいてください。不動産の売買契約時には手付金を支払います。手付金は売買契約が成立した証です。
それを買主都合で契約をキャンセルしてしまうと、手付金を放棄しなくてはいけません。また、場合によっては違約金を支払う必要があるため注意が必要です。
手付金は売買金額の5~10%のため高額です。つまり4,000万円の物件であれば、200万円~400万円支払うわけですから、それを手放すリスクは大きいです。
その点十分注意してください。
(5)住宅ローンの審査は複数の金融機関に申し込む
住宅ローンの事前審査・本審査は、複数の金融機関に申請するのがおすすめです。というのも、住宅ローンの審査は必ず通過できるものではないからです。
1つの金融機関だけで審査を進めてしまうと、落ちた場合に物件購入を逃してしまうリスクがあります。
一方、複数の金融機関でフラット35などのも含め、さまざま住宅ローンの審査を進めることができれば、審査に通過できなかったときのリスクヘッジになります。
ただし、本審査には複数の書類が必要となるため、5社や10社など申し込むのは現実的ではありません。3、4社程度を目安に申し込むとよいでしょう。
(6)事故物件かどうかを事前に確認する
不動産購入の際には、事故物件かどうかの確認をしましょう。
近年お笑い芸人が敢えて事故物件(心理的瑕疵物件)に住み、そこで起きた心霊現象をレポートするような話もありますが、大半の人は自身は住みたくないと考えるでしょう。
事故物件については、買主に説明する義務(告知義務)があり、それを知らせずに購入した場合は解除ができます。
ただし、自然死の場合は告知義務がないため知らされないケースもあるため、物件調査が必要です。
また、物件自体の査定が厳しくなり資産価値が低下する理由にもつながるので、購入する物件だけでなく、同じマンションにいないかも確認しましょう。
事故物件情報は「大島てる」というサイトで調べられます。興味がある場合は情報収集してみてください。
(7)再開発計画があるかどうかも確認する
不動産購入を検討しているエリアで「再開発計画」があるかも確認すべきです。
再開発の対象エリアでは、将来的に交通アクセスの向上や、商業施設の建設に伴う生活の利便性アップなどが期待できます。また、資産価値が上がる点でもメリットです。
なお、再開発エリアに建設されるマンションでは、周辺相場と比較し割高に見られる査定もありますが、後々購入時よりも価格が上昇することは珍しくありません。
再開発エリアの確認方法は、各都道府県のホームページでチェックできます。なお、東京は「東京都都市整備局」で確認できます。
不動産を購入する時によくある質問
不動産購入時によくある質問について、Q&A形式で回答してきます。
(1)物件はどうやって探したらいいの?
信頼できる不動産会社の担当者を見つけましょう。
不動産情報はインターネットや広告チラシに大量に溢れています。
数多くある物件から、希望条件に見合う物件を選定するのは簡単ではありません。
また、良い物件は早く成約してしまうため、残っている物件には何かしらのデメリットがあるからこそ価格が安いケースも少なくありません。
不動産に慣れていない個人がうっかり見落としてしまって、損をしてしまっては後悔しきれませんので、まずは不動産会社に相談をして、良い担当者が見つかったら媒介契約を締結して不動産を探してもらいましょう。
(2)売主が住んでいる物件も内覧はできるの?
遠慮なく内見依頼をして見学をしましょう。
仲介物件の場合、売主が住んだままであることも少なくありません。
人の部屋をジロジロ見るのは気が引けるという方もおりますが、遠慮せずに内覧していきましょう。
不動産売却をしたい売主とマイホームが欲しい買主の双方が合意した上で売買契約が締結されます。
せっかく売主と会えますから、気になる部分は遠慮なく質問して納得した上で購入を検討するのをおすすめします。
もちろん、内覧の当日は、仲介業者の担当者が立ち会いの上、物件の説明や不明点の確認も行ってくれますので安心です。
(3)売買契約を結んでから、実際に引っ越しできるまでの期間は?
一般的には1ヶ月から2ヶ月前後です。
ただし、売主が住んでいる場合は事前に確認と相談をしておきましょう。
引越し先や仕事の関係で、引き渡し可能日が決まっているケースもあります。
いざ、申し込みをした後で、希望日までに新居での暮らしが始められないとなっては問題ですから、内見の際などにヒアリングしておくのが良いでしょう。
(4)住宅ローンを組めなかったらどうしたらいい?
本審査に落ちてしまった場合は、白紙解約と特約で定めているケースが一般的です。
仮審査が通過していたとしても、状況がかわり、本審査で落ちてしまうケースは事実としてあります。
基本的には、本審査でローンを利用できなかった場合、白紙解約(違約金がなく、手付金も返還される)となる特約が記載されています。
契約時には、ローン特約があるかをきちんと確認するようにしましょう。
そもそも住宅ローンに落ちないように、フラット35などを含め3つ前後は事前査定審査をしておくことのがコツです。
不動産購入でFPに相談することができる
不動産産購入のステップで不明点がある場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。
お金のプロフェッショナルである弊社FP(ファイナンシャルプランナー)は、不動産に関する専門知識も持っています。
あなたの年収やライフプランに最適な不動産の購入計画や、税金対策などをアドバイスさせていただきます。ぜひご相談ください。
具体的には、マイホーム購入後にかかる火災保険料、購入希望物件の査定額が妥当かどうか、不動産取得後の抵当権設定や住宅ローン控除申請について、契約手続きを計画的に進めるためにどうしたらいいかなど多岐にわたります。
マイホーム購入でFPに何が相談できるかについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、実際に弊社にあった不動産購入の相談事例を紹介しています。ぜひ合わせてお読みください。
まとめ
今回は、分譲・仲介といった販売形態の違いから、不動産購入の流れや具体的なSTEP、そして注意点について解説しました。
手続きの段階が多く、難しく感じた箇所もあったかもしれません。ですが、あなたが理想とする不動産を手に入れるためには欠かせない条件です。
特に、不動産購入時の注意点については、快適に暮らすためだけでなく、将来物件を手放す際の資産価値や利益にも関わる重要な内容です。
不動産購入で不安に感じている方は、ぜひ弊社FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。住宅ローンの組み方や返済額について、また資金計画など、あなたの理想にふさわしい住まいの購入計画をアドバイスいたします。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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