東京の中古マンション相場上昇する?価格推移や購入タイミングを解説
これから、東京都心で中古マンションの購入を検討している人の中には、次のような悩みや疑問を持っている方もいるでしょう。
- ✅2023年は中古マンションを購入するのに最適な時期?
- ✅東京23区の中古マンションの相場価格を知りたい
- ✅中古マンションの価格はどのように決まる?
そこで本記事では、不動産に詳しいFPが中古マンション相場や、価格の決まり方、中古マンション購入のベストタイミングを解説します。
最後まで読むことで、現在の中古マンション市場の動向や、年収から見た適正予算などを把握できるのでぜひ参考にしてみてください。
2023年の中古マンション価格は上がる?
中古物件・新築分譲マンション問わず、ここ10年間マンション価格は上昇傾向が続いています。この勢いは、2023年になっても急激に値下がりするとは考えにくいです。
以下の図は東京カンテイによる「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格年別推移(22年・年間版)」の資料より引用したデータです。
出典:東京カンテイ「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格年別推移(22年・年間版)」
上記の図を見るとわかるように、東京都を中心とした首都圏の中古マンション価格の上昇率が高いのがわかります。
2021年が4,166万円だったのに対し、その後2022年では+13.2%の上昇で4,716万円になりました。
マンション価格が上昇していても、それ以上に収入が増えているなら購入しやすいのですが、非常に残念ながら日本の平均年収は30年以上変化していません。
他にも、次にお伝えするウクライナ情勢の影響もあり、中古マンションの購買力は下落しています。
(1)ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす市場への影響
近年世界に衝撃を与えているトピックにロシアによるウクライナ侵攻がありますが、中古マンション市場にも大きな影響を与えています。
原材料やエネルギー価格の高騰、それに伴う食料品や電気代の値上がりにより、生活が厳しいと感じる人が増えています。
経済の先行きが見えない中、中古マンションの成約率の減少は想像に難しくありません。
東日本不動産流通機構が集計した「月例速報Market Watchサマリーレポート2023年1月度」によると、中古マンションの成約率は2,581件、この数値は前年比で6.5%の減少ということです。
また、売上の鈍化は6ヶ月間連続で続いているとコメントされています。
2023年は、新築マンション・中古マンションともに成約率の減少が目立つ一方で、コロナ収束による東京都内の人口増加により、首都圏では賃貸需要の方が増している状況です。
(2)2023年は金利が上がる?
2023年は固定金利が少しずつ上がりはじめてきています。
日本銀行は2022年12月、長期金利の上限をそれまでの0.25%から0.50%に引き上げました。この修正により、長期金利に連動する固定金利が影響を受けている状況です。
実際、メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)の10年固定金利は、2023年1月より0.2%~0.3%引き上げられています。
一方短期金利に連動する変動金利については、変わらず低水準で横ばいしている状況です。
今後も、日銀は短期金利を低く抑えるマイナス金利政策を継続していくと考えられるため、依然として変動金利の急激な上昇は低いといえるでしょう。
【エリア別】東京23区の中古マンション相場一覧
ここでは東京23区の中古マンション相場を見ていきます。なお、データはLIFUL HOME’Sの2023年3月時点のものです。
東京23区 | 平均価格 |
千代田区 | 9,806万円 |
中央区 | 7,634万円 |
港区 | 8,855万円 |
新宿区 | 6,546万円 |
文京区 | 7,069万円 |
台東区 | 5,854万円 |
墨田区 | 5,788万円 |
江東区 | 5,137万円 |
品川区 | 6,784万円 |
目黒区 | 7,582万円 |
大田区 | 4,894万円 |
世田谷区 | 5,776万円 |
渋谷区 | 8,549万円 |
中野区 | 5,659万円 |
杉並区 | 5,183万円 |
豊島区 | 6,414万円 |
北区 | 5,278万円 |
荒川区 | 5,087万円 |
板橋区 | 4,389万円 |
練馬区 | 4,838万円 |
足立区 | 3,632万円 |
葛飾区 | 3,859万円 |
江戸川区 | 4,198万円 |
東京23区といっても、エリアによって中古マンション相場には大きな開きがあります。
最も平均価格が高い千代田区(9,806万円)と、反対に最も低い江戸川区(4,198万円)の間には、5千万円を超える開きがみられます。
千代田区の中古マンション相場が高い理由は、人口・世帯数ともに特に増加傾向にあるからです。
世帯数が増えているため、それだけ住居に対するニーズも増え価格が上昇しています。
中古マンションの価格を構成するのは「立地」「築年数」「広さ」
中古マンションには、新築マンションのように不動産価格に定価がありません。仲介を行う不動産会社が、周辺相場を踏まえた上で査定します。
しかし、最終的な売出価格の決定権を持つのは売主です。査定通りの価格で売るも、高く設定するも売主次第といえるでしょう。
ここでは、中古マンションの市場価値を見極める材料となる「立地」「築年数」「広さ」について解説します。
どのような中古マンションが高いのか、割高・割安を判断する基準となるため確認してみてください。
(1)立地選びで重要なポイント
中古マンションの資産価値に大きな影響を与える立地について解説します。
①アクセスが良い
中古マンションに限った話ではありませんが、都心部や例えば駅から1分や4分など、アクセスしやすい物件ほど、資産価値が高いため価格が上がる傾向にあります。
駅から距離が離れている物件は、マンション価格が下がるかもしれませんが、一方で毎日の通勤・通学がストレスに感じる可能性があるため注意が必要です。
駅からマンションまでの距離で悩んでいるなら「駅徒歩15分以内(約1.2km)」の物件がおすすめです。
徒歩15分以内の中古マンションであれば、徒歩7分や徒歩10分以内といった、駅近物件と比較し割安で購入できます。
また、徒歩15分の距離であれば駅周辺の繁華街から遠ざかるため、比較的静かな生活環境が期待できるでしょう。
中古マンションの立地選びで迷ったときは、1つの参考にしてみてください。
②生活の利便性が良い
交通の利便性だけでなく「生活の利便性が良いマンション」も、資産価値が高い物件です。
マンションの近くに、例えば買い物に便利なスーパーがある、またいざというときに駆け込める病院があれば安心です。このような充実した場所だと利便性は良いでしょう。
なお、生活の利便性を高める場所には、以下のようなさまざまな施設があります。
- ✅公共施設:公園・図書館など
- ✅公益的施設:小中学校・幼稚園・交番など
- ✅生活利便施設:銀行・病院・ショッピングモールなど
このような施設が近くにある中古マンションは需要があります。さらに人気エリアの物件であれば、価格が高いことが予想できるでしょう。
③エリア人気や街の発展性に注目する
中古マンションの中でも人気エリア、また街の発展性が期待できる場所だと、マンションの価格も高くなります。
SUUMOの「関東住みたい街ランキング2022」によると、住みたい街ランキングの上位TOP5には、以下のエリアがランクインしていました。
- 1位:横浜
- 2位:吉祥寺
- 3位:大宮
- 4位:恵比寿
- 5位:浦和
これらトップ5の街には映画館やショッピングモール、病院、公園など生活の利便性を高める施設が多数揃っています。
また恵比寿駅など昔から人気があるエリアのため、イメージの良さもあります。
ただし、これは住んでみたい街ランキングとなっており、住んでいないからこその憧れもありますので、ご自身の生活スタイル、生活環境に合せて選ぶといいでしょう。
(2)成約物件の平均築年数は23.33年
中古マンションといっても、例えば築0~5年の築浅物件と、築11年~15年の物件を比較すると1,000万円以上金額に開きがあります。
出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」
実際に、東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」のデータを見ると、中古マンションの成約物件の平均築年数は23.33年という結果でした。
よって、中古マンションの築年数で迷ったときは「築20年ほど」を目安に選ぶとよいでしょう。
また、新築マンションと比較し戸数が多い中古マンションは、立地条件の選択肢が多いのも魅力です。
他にも、新耐震基準を満たしていることを覚えておきましょう。
(3)中古マンション購入時の専有面積の目安
専有面積(広さ)も、中古マンションの価格を構成する要素の1つです。狭いよりも広い方がゆとりを持って生活できますが、その分お金がかかるのはデメリットです。
専有面積を判断する際は「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」の違いを把握しておきましょう。
最低居住面積水準とは、生活していく上で必要不可欠な面積です。一方、誘導居住面積水準は、確保できればより生活が向上すると考えられる面積です。
厚生労働省の「住生活基本計画における居住面積水準」によると、各居住面積水準は以下のように記載されています。
単身 | 2人 | 3人 | 4人 | |
最低居住面積水準 | 25㎡ | 30㎡ 【30㎡】 | 40㎡ 【35㎡】 | 50㎡ 【45㎡】 |
誘導居住面積水準 (都市居住型) | 40㎡ | 55㎡ 【55㎡】 | 75㎡ 【65㎡】 | 95㎡ 【85㎡】 |
単身者~4人家族の最低居住面積と誘導居住面積の目安は表の通りです。【】内の数値は、3~5歳児が1名いるケースを意味しています。
東京で中古マンションを購入する際、専有面積で悩んだときの目安にしてみてください。
中古マンション価格の仕組み
中古マンションの価格は、取引状況次第で変わってきます。
はじめに、仲介を担当する不動産会社が査定を行い、その後売主と合意の上で売出価格を決定します。
しかし、最終的な買主との成約価格(売却時の価格)は異なるかもしれません。
中古マンションの価格には次の3つがあるので参考にしてください。
- 査定価格
- 売出価格
- 成約価格
成約価格については、例えば売主が早くマンションを売ってしまいたいと考えている場合は、割安で購入できる可能性もあります。
中古マンションの相場を知る際は販売価格と市場動向を注視する
ここでは、購入対象となるマンションの中古価格相場を理解するため、販売価格と成約価格の調べ方と、また市場の動きを探る必要性について解説します。
(1)中古マンション相場の調べ方
中古マンションの相場情報を知るためのコツとして「販売価格」と「成約価格」の調べ方をお伝えします。
①販売価格を確認する
販売価格は、例えば不動産の物件情報サイトat home「価格相場から中古マンションを探す」から、無料で簡単そして気軽に確認できます。
東京の市区町村はもちろん、全国都道府県の中古マンション相場のチェックが可能です。
サイトでは「地域別」やJRの総武線や、都営三田線、東京メトロ日比谷線といった路線ごとの「沿線・駅別」で確認できるため、使い勝手が良いです。
また「間取り別」「専有面積別」に価格相場を知ることもできます。
②成約価格を確認する
成約価格を調査するには、レインズマーケットインフォメーション、そして土地総合情報システムを活用しましょう。
レインズマーケットインフォメーションでは、地域、駅からの距離、築年数などの条件から、直近1年間の1平米当たりの単価が検索できます。
目的の面積を掛ければ成約価格の判断が可能です。また、土地総合情報システムは、国土交通省が運営している不動産の取引情報や価格、地価公示を検索できるサイトです。
東京はもちろん全国エリアで、たとえば駅までの距離や築年数、面積といった条件から、過去5年の成約価格を確認できます。
(2)中古マンション市場の動向を探る
中古マンションの相場を知るには、販売価格や成約価格に加え、中古マンション市場の動向を把握しておくことも大事です。
次の3つのサイトは、市場の動向を探るのにオススメです。
- ✅東京カンテイ
- ✅レインズデータライブラリー
- ✅不動産流通推進センター
東京カンテイの「市況レポート」では、不動産の専門家による、最新の中古マンションの「70㎡換算価格推移」の調査結果や、価格の上下を示す「価格天気図」を提供しています。
また「レインズデータライブラリー」でも、最新の不動産取引動向に対応した価格推移を確認できます。
サマリー・データ・全国版など、中古マンションの毎月の市況がわかりやすくまとまっています。
「不動産流通推進センター」では、レインズの情報を分析したデータが掲載されています。
中古マンションの毎月の成約情報などが、見やすくグラフ化されており、価格の推移を掴むのに役立ちます。
自分の年収から見る適正予算は?
自分の年収でいくらの中古マンションを購入できるのか、三井住友銀行の「住宅ローンシミュレーション」を使用し算出しました。
なおここでは、年収500万円の人が中古マンションを購入することを想定しています。また、シミュレーションを行う上で次の条件を設けています。
- ✅返済負担率:手取り金額の20%
- ✅住宅ローン金利:0.475%(変動金利)
- ✅借入期間:35年
わかりやすいよう頭金は考慮していません。正確性重視というよりはあくまでも目安ですが、参考にしてみてください。
なお、返済負担率とは年収に対する年間のローン返済額の割合のことです。手取り金額の20%が無理のない値のため今回設定しています。
額面年収 | 500万円 |
手取り金額 | 400万円 |
毎月の返済額 | 6万円 |
年間返済額 | 80万円 |
金利(変動金利) | 年0.475% |
借入期間 | 35年 |
借入金額の目安 | 2,320万円 |
住宅ローンの借入金額の目安は2,320万円という結果が出ました。この金額を、中古マンションを購入する際の1つの目安にしてみてください。
なお、マンション購入の適正年収を確認したい場合は、下記記事を参考にしてみてください。
中古マンションの購入タイミングはいつ?
「中古マンションはいつ買うのがお得?」という疑問もあるかもしれませんが、今後価格が下がるかどうかの明らかな予想はできません。
一方で、一年を通して中古マンション価格が安い時期は、閑散期と呼ばれる「7~8月」または「11~12月」です。
「1~3月」は新生活のためマンションを購入しようと考える人が増えます。つまり需要が高まる時期です。安く買いたいと考えるなら、1~3月を避けた方がよいでしょう。
また、マンションの購入は外部の要因はありますが、ご自身の要因となるタイミングも非常に重要です。
例えば有利な条件で融資を受けたい場合は、年収が上がった時、転職をされる前などが一つのタイミングと言えます。または、結婚された時、子どもが生まれた時などライフスタイルの変更をするのも一つのタイミングと言えます。
このように人によってタイミングも様々ですので、ご自身のライフプランに合せて計画することが重要です。とは言え、マンション購入する時は物件価格の他に諸経費もかかります。今と思って簡単にできないお買い物なので、事前にどんな費用がかかるかも把握しておきましょう。
下記記事にて不動産を購入する時にかかる諸経費についてまとめていますので、ぜひ合せてチェックしてみてください。
失敗しないマンション購入はFPに相談すべき
ここまで、中古マンションの価格動向や相場の詳細などをお伝えしてきましたが、自分に合ったマンションの購入タイミングがわからないという人もいるかもしれません。
そのような場合は、不動産の専門知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。
弊社FP(ファイナンシャルプランナー)は、これまでマンションに関する2万件以上の相談実績を持っています。
あなたのライフプランから、住まいの購入タイミング、住宅ローンの最適な借入額などをアドバイスさせていただきます。ぜひお問い合わせください。
具体的にFPにどんなことが相談できるかについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また弊社にあった相談事例も合せて紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
今回は、2023年の中古マンションの価格動向や、相場、価格を構成する仕組みまで広く解説しました。
これまでの状況を考えると、今後も中古マンション価格が上がる可能性は否定できません。
とはいえ、先の予測については断言できないものでもないため、ご自身や家族のライフプランを基準に購入のタイミングを決めることが大切です。
マンションの購入予算やタイミングについて悩まれたら、弊社不動産の専門知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。
マンション購入の資金計画や、将来の資産運用まで総合的にアドバイスさせていただきます。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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