貯金2,000万円の人の割合は?年代別にお金を貯める時のコツを解説
2019年に金融庁が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」で指摘された、老後資金に関する問題で話題になったのが「貯金2,000万円」です。
この金額の妥当性については賛否両論ありますが、一つの目安としては使える金額だと思われます。
そこで本記事では、貯金2,000万円ある人はいったいどれくらいの割合なのかの他、年代別に2,000万円貯めるためのポイントを徹底解説します。
【年代別】貯金2,000万円以上の割合は?
貯金2,000万円といえば決して少ない金額ではないのですが、そこまで貯めている人の割合はどうなっているのでしょうか。
まずは、貯金2,000万円以上ある方の割合を、年代別に見ていきながらそれぞれの特徴を確認してみましょう。
(1)20、30代
一般的に社会に出て働き始めるのは20代前半からで、30台ともなれば働き盛りの中堅といえる世代です。
そんな若手世代で貯金が2,000万円ある世代の割合がどうなのか、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」から見てみましょう。
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
20代 | 1.0% | 1.2% |
30代 | 5.0% | 7.0% |
20代30代ともに2人以上世帯のほうが割合は高いのですが、それでも貯金2,000万円ある世帯は少数派といえます。
これは従来の年功序列型賃金では、貯金をするほど給与が十分でないことと、若年層ほど購買意欲が高いことが理由として考えられるでしょう。
2022年までは新型コロナウィルスの影響もあり、ライフスタイルにもさまざまな制約があったのですが、これからの消費行動や投資行動には変化が見られるかもしれません。
(2)40代
社会人として脂ののっている時期の40代は、同時に老後を視野に入れ、将来に向けてどのくらい貯金するべきか意識し始める年代です。
では40台の貯蓄2,000以上している世帯割合を確認してみましょう。
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
40代 | 9.7% | 10.6% |
20代30代と比べると割合が上がって、約10世帯に1世帯が貯金2,000万円以上持っていることが分かります。
40代は収入も増えている世代ですが、同時に教育費など支出も増えていくのが特徴なので、貯蓄を増やすのも簡単ではありません。
(3)50代
50代ともなれば、いよいよ老後というもの現実味を帯びてくる世代ですが、子どもが独立して負担も軽くなる時期とも重なります。
そんな50代で、貯金2,000万円以上ある世帯割合はどうなっているでしょうか。
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
50代 | 13.0% | 19.5% |
50代の特徴として、金融資産保有額の中央値と平均値が広がっていることがあります。
これは一部の富裕層が平均値を押し上げていると推定され、二極化の傾向といえるでしょう。
(4)60代以上
60代以上になると定年退職を迎え、セカンドライフに入ることになりますが、その過ごし方は様々です。
働き続ける方もいれば、趣味や旅行などを楽しむ方もいて、過ごし方には貯蓄額と相関関係がみられます。
では60代以上で、貯金が2,000万円以上ある世帯割合はどうなのか確認しましょう。
年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
60代 | 26.1% | 32.4% |
70代 | 28.4% | 34.0% |
50代までと比べ大きく増加していることが分かりますが、これは定年退職に伴い退職金を受け取っているためです。
ただ60代の貯蓄額を調査すると、「貯蓄がない」が28.8%で、それに続くのが「3,000万円以上」の17.7%なので、やはり二極化傾向が強まっていることが分かります。
【年収別】貯金2,000万円以上の割合は?
年収別に貯金2,000万円の割合を見ていくと、年収との明らかな相関関係があることが分かります。
まずは「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によるデータをもとに、年収別の割合を見てみましょう。
年収 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
無収入 | 4.2% | 3.9% |
300万円未満 | 11.1% | 12.9% |
300~500万円未満 | 14.4% | 17.0% |
500~750万円未満 | 26.0% | 21.1% |
750~1,000万円未満 | 58.8% | 26.8% |
1,000~1,200万円未満 | 46.2% | 33.6% |
1,200万円以上 | 55.0% | 47.2% |
年収500万円くらいを境に単身世帯の割合が高くなることから、生活費用が少なく済む一人暮らしが貯蓄だけに関しては有利なことがわかります。
ただ単身世帯で「1,000~1,200万円未満」の割合が低下しますが、これはこの年収ゾーンの単身者は租税等負担割合が大きくなるためだと考えられるでしょう。
また独身の方が投資などに回せる資金的な余裕があることから、ハイリスクハイリターンな投資をチャレンジしやすい点も見逃せません。
生涯未婚率が上がり続けている現状を考えると、この単身者層の動向が経済に与える影響は注目が高まることは確実です。
【年代別】貯金2,000万円を貯めるには?
貯金2,000万円という金額が絶対的に必要だとはいえませんが、少なくとも老後の生活資金は多いに越したことはありません。
あえて2,000万円という貯金額を目標とした場合、年代別にどのような貯蓄計画を立て行動すべきかを考えてみましょう。
また目標達成の時期は、現在一般的な定年退職年齢となっている65歳時点であるとします。
(1)【20代】長期運用を視野に入れるべき
社会人となって間もない20代は、まだ年収が低く、貯蓄ができないケースが多いのではないでしょうか。
ただ65歳まで貯金2,000万円と考えた場合、そこまで長期のスパンで計画を立てられるのが20代の方の大きなアドバンテージです。
仮に、25歳の方が65歳までに2,000万円貯めるには毎月何円の貯蓄が必要か、運用利回りごとに計算すると下表にようになります。
年利0% | 年利0.3% | 年利3.0% | |
必要貯蓄額 | 41,667円 | 39,162円 | 21,461円 |
こうして見ると老後までまだ時間があるメリットから、非常に現実的な貯蓄額といえるでしょう。
期間が長いので、リスクの高低を意識しながら長期運用を考えると、大きな負担感なく貯金2,000万円を達成できます。
長期の運用期間を考慮した投資を中心に据え、貯蓄型保健を組み入れ安定的に貯めていきましょう。
(2)【30代】出費が多くなるため無理のない投資プラン
30代になってくると、結婚や出産・子育て、そしてマイホーム購入など大きなライフイベントによる出費が多くなってくることが一般的でした。
ただ30代後半の未婚率は男性で35.6%、女性で23.1%となっていることから、最近はライフプランも多様化したといえるでしょう。
ただあくまで65歳まで貯金2,000万円と考えた場合、それまでにいくら貯蓄できたかでもプランは変わってきます。
30代の平均貯蓄額は515万円という調査結果を35歳と仮定した場合、そこから65歳までに必要な毎月の貯蓄額は下表のとおりです。
また貯蓄の中央値の150万円と、全く貯蓄のないケースもシミュレーションしています。
年利0% | 年利0.3% | 年利3.0% | |
蓄額515万円の世帯 | 41,250円 | 38,770円 | 21,246円 |
蓄額150万円の世帯 | 51,388円 | 48,298円 | 26,467円 |
蓄額0万円の世帯 | 55,556円 | 53,018円 | 34,012円 |
出費が多くなり貯蓄に回せる金額が少ないことから、あまり無理な投資プランはおすすめできません。
しかし、まだ65歳まで期間があるので少しだけリスクがあっても利回りの高い投資も考えてみましょう。
こうして見ると、それまでの貯蓄額によって目標クリアのハードルが上がることが分かります。
つまりこの段階でも何も始めなければ、その後がどうなっていくか容易に想像がつくでしょう。
(3)【40代】老後資金を視野に入れ計画を立てる
40代になると65歳の定年退職を一つのゴールとすると、折り返し地点になる年代といえます。
この段階になると、老後の必要資金を具体的に視野に入れた計画を立てるべきでしょう。
ただ一方で、40代も子供がいれば進学のための学費など大きな出費が考えられるので、増えた年収と支出のバランスをよく考えた貯蓄プランが必要です。
またすでに貯めている貯蓄もあれば、投資の選択肢は多くなることもこの年代の特徴といえます。
しかし40代とはいえまだ先は長いので、リスクの低い長期投資商品も有効活用すべきでしょう。
投資の基本となる分散投資を強く意識して、運用商品や運用方法を比較検討するのがおすすめです。
大きな投資などを視野に入れている場合は、FPの相談も利用してみましょう。
(4)【50代】リスクが低い運用を中心にすべき
50代は、老後の具体的な生活が完全に視野に入ってくる年代で、平均貯蓄額も1,500万円を超えています。
若い世代であればリスクを冒して失敗しても取り返せますが、50代でそんなことは避けなければなりません。
すでに貯めている貯蓄を失うようなリスクは避け、安定的な資産運用を最優先に考えましょう。
早めに定年後の準備を始めていて、不労所得や副業など今後の働き方を設定している方もいるようです。
ただ基本的には、これまで積み重ねてきた資本を大きく損なうようなチャレンジは避けるべきでしょう。
50代からの資産形成には不向きだと思われている長期投資も、インフレによる資産目減りを防ぐ意味では有効なので活用しましょう。
(5)【60代以上】資産を守ることを重要視する
60代になると定年退職を迎え、それまで計画していたセカンドライフが始まります。
公的年金を受給できるのも60代からですが、その中から貯蓄を増やすことは現実的なことではありません。
現実的には、それまで貯めた貯蓄を取り崩していくことになるケースが多いので、資産を守ることを重要視しましょう。
安全かつある程度利回りを確保しながら、換価性の高い安全資産も保有することがおすすめです。
つまりこの年代になったら、それまでの投資方針を大きく見直す必要はなく、自分を信頼すべきだといえます。
2,000万円があれば老後生活は大丈夫?
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で触れられ、不可思議な炎上をしたせいで2,000万円という数字だけが独り歩きしました。
しかし実際に老後資金で2,000万円が必要なのかは、この炎上とは別に考えることが必要です。
ここでは炎上した2,000万円問題の内容を確認し、実際に必要な老後資金の考え方について説明します。
(1)2,000万円問題
老後に2,000万円不足するという話は、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦のみの無職世帯で年金受給額だけでは毎月5.5万円不足が生じるため、20年間~30年間で不足額が約1,320~1,980万円に上るという試算が始まりでした。
つまり2,000万円という金額は、特定のモデルケースだけだったのが、それを基にした報道により、老後は2,000万円必要だと騒動になったのです。
ちなみに、事の発端となった報告書の試算では、高齢者世帯の収入は月額209,198円で月々の実支出を263,718円としているので、毎月54,520円の赤字ということになっています。
これをもって国の年金制度の失敗だと、野党政治家やマスコミが悪意をもって一斉に騒ぎ、老後生活費の不安を煽っただけでした。
ただ定年退職後の生活において、厚生年金や国民年金などの公的年金制度の受給額だけでは、収支に不足額が生じることは周知の事実です。
大切なのは2,000万円という漠然とした金額ではなく、実際に自分の世帯において老後の生活資金がいくら不足するのか、正確に把握しそれに備えることだといえます。
(2)自分が必要な老後資金を知ることが重要
報道やネットなどでは、「老後は2,000万円あっても足りない」とか「なくても大丈夫」など、よく理解できない解説が見られますが、それらに共通しているのは平均値という個別のケースとは合致しない数値をもとにしていることです。
つまり先の2,000万円問題のモデルケースも、そのまま自分には当てはまらないと考えるべきでしょう。
では本当に必要な老後資金とは何か?それをしっかり把握することを考えてみましょう。
①理想な生活に必要な生活費がいくら
人は生きていくために風雨をしのぎ食事をとることが必要ですが、それらは最低限のことであって、個人ごとに理想な生活像があるはずです。
一部の富裕層を除けば、老後に後先考えず散財など出来ないので、まずは理想な生活で毎月いくら生活費がかかるのか試算しておく必要があります。
一つの参考として、総務省統計局「家計調査 家計収支編(年次間) 2020年」において公表した、現役世帯と高齢世帯の生活費データを確認しましょう。
費目 | 59歳以下で二人以上の勤労世帯 | 65歳以上の夫婦の無職世帯 |
食費 | 7万9,712円 | 6万5,804円 |
水道光熱費 | 2万1,440円 | 1万9,845円 |
交通費・通信費 | 5万870円 | 2万6,795円 |
交際費 | 1万2,158円 | 1万9,826円 |
教養娯楽費 | 2万7,941円 | 1万9,658円 |
保健医療費 | 1万2,415円 | 1万6,057円 |
その他支出 | 10万7,092円 | 5万6,405円 |
【消費支出計】 | 31万1,667円 | 22万4,390円 |
非消費支出(税金や社会保険料) | 12万1,929円 | 3万1,160円 |
【支出計】 | 43万3,596円 | 25万5,550円 |
全体的に老後の支出がコンパクトになっていることが分かりますが、「非消費支出」と「交通・通信費」の減少が顕著です。
これが1人暮世帯の支出合計で見ると65歳以上では、月額14万4,687円となっています。
この表を見て「家賃などの住居費や住宅ローンは?」と思われるでしょうが、それは「その他支出」に含まれているので、この部分は個人差が大きくなると考えられます。
これらの支出を自分の生活に置き換えてみて、老後必要になる毎月の支出額を把握しましょう。
②生活費以外にかかる可能性がある費用はいくら
毎月の生活費以外にも備えておく必要がある支出がありますが、これも持ち家の有無や家族親戚の構成など、それぞれの実情で違いがあるものです。
子どもがいる世帯の場合は、子どもの結婚や孫の誕生、新居購入の援助などお祝い費用が必要になります。
持ち家があれば、リフォーム費用なども考えなければなりませんが、場合によっては売却なども老後資金の計算に入れるでしょう。
日本人の健康寿命は男性で約72歳、女性で約75歳ですが、これは平均寿命と8~12年の差があります。
つまり8~12年は、医療機関にかかり医療費などが大きくなる可能性があり、生活費以外にその備えが必要だということです。
また健康ではなくなると、自分だけの力では生活が出来なくなり介護サービスも必要になってきます。
生命保険文化センターが公表した「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」によると、月々の介護費用の平均自己負担額は8万3,000円にもなります。
そして人生の最後の時がきて、最後の支出となる葬儀費用や後始末のことも考えなければなりません。
こう考えると毎月の収支だけではなく、ある程度の余力がなければ不安を覚えます。
③もらえる年金はいくら
老後の収入で柱になるのが年金受給額ですが、日本の年金制度は2階建てとなっている公的年金制度と、企業が実施したり個人で加入する私的年金制度で成り立っています。
国民皆年金制度のもと全日本国民が国民年金に加入しており、会社員や公務員はさらに厚生年金にも加入しているでしょう。
公的年金は、国民年金による老齢基礎年金が基本となり、それに上乗せ部分として老齢厚生年金が支給されます。
また私的年金には、個人で加入する個人年金保険や企業が補助する厚生年金基金など、公的年金の上の3階部分の役割を果たしています。
そこで「もらえる年金がいくら」なのかですが、自分の年金受給額を把握するには「年金定期便(ねんきん定期便)」を活用するとよいでしょう。
「年金定期便」は、国民年金や厚生年金の加入者全員に送付される書簡で、これまでの年金制度の加入状況や将来的に受け取れる年金受給額の見込みが記載されています。
毎年の誕生日の月に日本年金機構から送付されているので、見たことがあるのではないでしょうか。
とくに50歳以上の人に送られる年金定期便は、これまでの加入実績などを基に計算された正確な年金受給額が記載されています。
ただ少子高齢化の進展で、年金受給額はそれまで収めた年金保険料と比べ低下していくことも予想されているので、可能であれば個人でも備えておきたいものです。
④不足金額を算出する
老後生活で毎月必要になる生活資金と生活費以外の備えを算出し、もらえる年金額との差額が出れば老後の不足金額が分かるはずですが、ここで大きな問題があります。
言いにくいことですが、それはズバリ「あなたが何歳まで生きるのか?」ということです。
毎月の不足額が3万円だったとして、90歳まで生きるのと75様で生きるのでは15年間も差があり、金額にすると540万円も違ってきます。
また老後とはいえ、人生100年時代といわれる昨今は仕事やアルバイト、投資や家賃収入など他の収入源を維持することも考えられます。
また貯めた老後資金も、銀行などの金融期間に預貯金として預けていても無駄になるので、株式投資や金融商品で運用益を生むことも考えられます。
もちろん安全な投資が前提ですが、貯めたものをただ取り崩すという考えは賢明ではありません。
自分に必要な老後資金の算出方法について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
老後資金を作るのにオススメな投資商品6選
老後資金にいくら必要なのか、概算でも算出したら、その金額をどのように貯めていくのか考える必要があります。
年代と投資商品によって、毎月の必要金額やメリット・デメリットに違いがありますが、ここでは様々な局面に対応できるオススメの投資商品を6種類紹介します。
(1)投資信託
「投資信託」は、各投資家が少しずつ拠出した資金を運用の専門家が国内株式・国内債券だけだはなく、海外株式・海外債券にも投資・運用し、その運用益を各投資家に分配する投資商品です。
投資信託は、資産形成の入門編ともいえる投資商品で、銀行や証券会社などの金融機関で広く募集しています。
投資家は行う一般的な株式投資や債券投資と違い、投資信託商品は投資先を分散させてリスクヘッジをしているので、一点投資のようなギャンブル性は低い点が特徴です。
商品の特徴は目論見書を見ることでおおよそ理解できるなど、投資初心者にも分かりやすく、投資期間が長くなるほど複利効果によって収益が期待できます。
小額投資から始められ効率的なので、若い世代にもおすすめで、その他の世代であってもポートフォリオには入れておくべき投資対象です。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
なお、下記動画ではこれを買ったら絶対に損をする投資信託商品を解説しています。損をしたくない方はぜひご覧ください。
(2)外貨預金
外貨預金は、日本円ではなく外国の通貨で預金するもので、外貨を持つのと同義といえる投資です。
代表的な外貨はドルやユーロですが、世界には様々な通貨がありリスクや金利を含めて非常に多い選択肢があります。
外貨預金のメリットで分かりやすいのが、日本と投資先通貨の金利差と為替レートの変動による利益です。
日本では長いこと超低金利が続いているので、諸外国と金利差が大きくなっているので、利息収入が期待できます。
また円安となった場合の資産防衛手段としても使えますが、円高に振れた場合は資産価値が減ることも考えられます。
一方で外貨預金のデメリットもあります。事前に把握しておきたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(3)金(ゴールド)投資
古代から現在まで金ほど普遍的な価値を持ち続ける資産はありませんが、そこへ投資するのが「金(ゴールド)投資」です。
金貨や金地金の現物を購入する方法や、毎月定額又は定量の金を購入する積み立てなど、投資方法が多いのも特徴です。
投資で大きなリターンは見込めない代わりに、投資価値がなくなるリスクがないところが大きなメリットです。
金の価値は、全世界の物価の変動に連動しており、インフレに非常に強い投資資産です。
日本を含めた先進国ではインフレ傾向が強まっているので、貨幣価格の下落に備える意味ではオススメの投資といえます。
金(ゴールド)投資について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(4)不動産投資
不動産を購入し、それを他人に貸し出すことで家賃収入を得るのが「不動産投資」で、歴史的にも古典的な投資といえます。
不動産の購入と聞けば多額の資金が必要と想像しますが、200万円ほどの手持ち資金があれば不動産投資のための融資を利用できるので、レバレッジ効果が期待できます。
また不動産投資は、毎月の家賃収入を得る以外に賃貸物件を売却することによる売却益(キャピタルゲイン)も期待できるので、不動産購入時の物件選びは重要です。
ただ不動産ローンを活用した投資は、長期的な計画で運用する必要があるので、まとまった資金があるからといって安易に手を出すのは危険です。
不動産投資は、ある程度の専門知識や確定申告など所得税の手続きも必要なので、税理士やFPなどの専門家へ相談してみましょう。
不動産投資のメリット・デメリット、回避策などについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(5)つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは、正確には「小額投資非課税制度」のことで、小額投資の運用益が非課税になる制度です。
つみたてNISAのメリットは、運用益・分配金が長期にわたって非課税になることで、通常の投資で運用益・分配金に課税される20.315%の所得税が掛からない点です。
そのため長期の投資先として非常に魅力的で、投資信託と同じように低リスクなことも大きなポイントといえます。
2024年以降は、年間投資枠・非課税期間ともに拡大されるので、投資期間が長いほど大きな効果が期待できるので、とくに若い世代は積極的に検討すべき商品です。
NISAを始めるには、銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があり、どのような金融商品を取り扱っているかは個々の金融機関によって異なります。
NISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- つみたてNISAの落とし穴
- 新NISAの注意点
- 実際に私が実践している投資商品
- 成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。
https://s.lmes.jp/landing-qr/1654415164-1klP0WOz?uLand=7MsZ67
(6)iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金(individual-type Defined Contribution pension plan)の略称で、簡単にいえば公的年金では不足する老後資金に備えるための積立年金です。
iDeCoは、支払った全額が所得控除の対象になり、運用益も非課税になるので非常に節税効果が高いといえます。
掛金を60歳まで引きだせないデメリットはありますが、一定額を積立に回す余力がある方にとっては節税しながら資産形成ができる魅力的なものです。
満期になった積立金は一時金で受け取るか、年金として受け取るか選択できますが、前者の場合は退職金と同じ扱いとなり、後者の場合年金と同じ扱いになります。
iDeCo(イデコ)について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
また、つみたてNISAとの違いなども把握しておきたい方は、下記記事を併せてお読みください。
より効率よく貯めたい方はFPに相談
本文中でも触れましたが、大騒ぎされた貯蓄2,000万円という金額は、ある仮定に基づいた試算のひとつに過ぎません。
とはいえ多くの場合、老後に得る収入より支出額が多くなるのは間違いないので、現役世代のうちから備えておくのは重要です。
しかし毎月一定額を普通預金に貯めることは、資産形成ができないばかりか、インフレ下にあっては物価の上昇率によって資産が目減りしてしまいます。
そこでオススメなのは、お金や投資の専門家FP(ファイナンシャルプランナー)の相談することです。
目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導くFPの助言を受け、年代に合った無理のない貯蓄計画を考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
「市場ワーキング・グループ」の報告書で指摘された「老後生活の不足資金」ですが、あの騒ぎはともかくとして、貯えがなければ理想の老後生活を送れないのは事実です。
一番大事なポイントは「一刻も早く備え始める」ことである一方、ある程度の歳になってからでも出来うる方法はあります。
肝心なことは、置かれた状況で最善の策を考えることで、不安があったらFPなどの力を借りて老後に備えることです。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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