初心者向け!ネット証券の始め方やおすすめのネット証券7選を紹介
パソコンやスマートフォンを使って、気軽に株式投資や投資信託(ファンド)の売買ができるネット証券。
投資に興味があっても、始め方がわからなかったり、どの証券会社を選ぶかで迷ったりして、なかなか始められない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、ネット証券の始め方・選び方について、投資初心者にもわかりやすく徹底解説します。
ネット証券とは?
ネット証券とは、インターネット上で株式・投資信託といった金融商品の取引を行う証券会社のことです。
パソコンやスマホアプリなどで、手軽に証券口座開設や取引ができるのが特徴です。
また実店舗を持たない分、人件費などがかからないため、店頭取引と比べて投資家が払う取引手数料等が安くすむメリットがあります。
その他にも、ネット証券は経済や金融商品に関するさまざまな情報を、公式サイトやメールマガジンで提供しています。
そのため、ネット証券を利用することで、簡単に最新情報を収集することが可能です。
初心者でもすぐできるネット証券の始め方
ネット証券を始めるための手順について解説します。
証券会社によって多少の違いはありますが、一般的に以下の(1)〜(6)のような流れで手続きを行います。
(1)ネット証券を選ぶ
最初に、利用したいネット証券を選びます。
どのネット証券にするか迷った時には、以下の5つのポイントを比較して選ぶとよいでしょう。
- 取扱商品数
- 利用者数(口座開設数)
- 取引手数料
- ポイント還元率・付与条件
- 機能性(スマホアプリの有無など)
ネット証券の口座は無料で開設できるため、サービスを利用してみて使い勝手が悪く感じた場合でも、他の証券会社で改めて口座開設すれば問題ありません。
ただし、NISA口座については1つの証券会社でしか持てないことに注意が必要です。
他社のネット証券へNISA口座を移管することは可能ですが、一度でも取引があれば、その年は移管できないなどの制約があります。
(2)口座開設に必要なものを手元に準備する
口座開設の手続きをスムーズに行うために、事前に必要書類等を用意しましょう。
証券会社によって若干異なる可能性はありますが、基本的に以下のものを揃えれば事足ります。
- ✅現住所記載の本人確認書類(運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)
- ✅マイナンバー確認書類(マイナンバーカード・通知カード・マイナンバー記載の住民票など)
- ✅メールアドレス
なお、マイナンバーカードがあれば本人確認書類とマイナンバー確認書類を兼ねるため、よりスピーディーに口座開設ができます。
(3)「新規口座開設」の手続きを進める
ネット証券の公式サイトから、新規口座開設の申し込み手続きを行います。
指示された手順に従い、必要事項を登録します。
最近は、口座開設時に必要書類を携帯電話のカメラで撮影し、アップロードすることで提出が完了するネット証券が多いです。
証券口座には、下記のような種類があります。
- ✅一般口座…確定申告と税金関係の計算が必要
- ✅特定口座(源泉徴収なし)…証券会社作成の年間取引報告書をもとに確定申告が必要
- ✅特定口座(源泉徴収あり)…証券会社が源泉徴収を実施するため、確定申告は不要
- ✅NISA口座…非課税制度が適用されるため、確定申告は不要
確定申告をするつもりがない場合、「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば手間が少なく済みます。
加えて、NISAを始めたい場合には「NISA口座を作る」にチェックを入れましょう。
(4)口座開設完了の通知を受け取る
口座開設の申込み手続き後には、証券会社が審査を行い、問題なければメールまたは郵送で、口座開設の完了通知が届きます。
完了通知に記載されているIDとパスワードでマイページにログインし、初期設定を済ませましょう。
完了通知は、早ければ当日〜2営業日ほどで送信されます。
ただし、税務署の審査があるNISA口座は、タイミングによっては開設されるまでに2〜3週間程度かかるケースもあるようです。
(5)投資金額を入金する
口座開設が完了したら、早速証券口座に投資資金を入金しましょう。
購入する商品が決まっていなくても、先に購入費用を入金しておけば、欲しい商品が見つかった時にスムーズに取引できます。
銀行窓口やATMに行って専用口座に振り込むやり方もありますが、インターネットバンキングで証券口座に入金する方法であれば、移動の手間が省けるのでおすすめです。
また、証券会社のグループ銀行の口座と連携させる自動入金サービスを利用すれば、即時反映が可能になるなど、さらに手軽に入金できるようになります。
(6)商品の購入を開始する
投資資金を入金したら、いよいよ取引開始です。
利益を非課税にしたい場合は「NISA口座」を選択し、欲しい金融商品を注文します。
以下では、投資信託と株式(現物取引)の買い方について説明します。
①投資信託の場合
投資信託の主な購入方法は、「積立購入」または「スポット購入」です。
- ✅積立購入…定期的に決まった金額をコツコツと積み立てる場合
- ✅スポット購入…単発で購入する場合
②株式(現物取引)の場合
株式の注文方法は、「指値(さしね)」または「成行(なりゆき)」を選び、何株買うかを入力して発注します。
- ✅指値注文…価格を指定して購入したい場合
- ✅成行注文…価格を決めずに、何円でもいいので購入したい場合
なお発注しても、株式相場の株価と指値の金額が折り合わない場合や、注文が殺到している際には、注文が成立しない(購入できない)こともあります。
初心者におすすめのネット証券4選
投資初心者におすすめのネット証券を4つ紹介します。
それぞれの特徴を下記の表にまとめました。
証券会社 | 口座開設数 | 国内株式 取引手数料 | 投資信託 取扱い数 | 公式サイト |
SBI証券 | 約1,100万 | 100万円まで無料 (アクティブプラン) | 約2,600 | SBI証券公式ページ |
楽天証券 | 約710万 | 無料 (ゼロコース) | 約2,550 | 楽天証券公式ページ |
SMBC日興証券 | 約380万 | 137円〜 ※取引金額により異なる | 約1,500 | SMBC日興証券公式ページ |
auカブコム証券 | 約140万 | 100万円まで無料 (1日定額手数料コース) | 約1,750 | auカブコム証券公式ページ |
各社の詳細について、以下で解説します。
(1)SBI証券
SBI証券は、国内No.1の口座開設数を誇る、最大手のネット証券会社です。
1日定額のアクティブプランを選択すると、国内株式の取引手数料が1日100万円まで無料になるなど、手数料の安さが好評を博しています。
外国株式のラインナップも多彩で、計9ヵ国もの外国株の取引ができる充実ぶりです。
また、新規公開株(IPO)の取扱数が、他のネット証券と比べて豊富なのもSBI証券です。
ちなみに2023年のSBI証券のIPO取り扱い実績は91社で、2位の楽天証券(61社)を大きく引き離しています。
その他にも、獲得できるポイントがTポイント・Pontaポイント・dポイント・Vポイントの4種類の中から選べるなど、魅力的なサービス等を多く打ち出しています。
(2)楽天証券
楽天証券は、SBI証券に次いで口座数の多いネット証券です。
楽天ポイントを効率的に貯めたり、積立投資に使ったりできるため、楽天市場などのユーザーには特におすすめです。
楽天カードでのクレカ決済・楽天銀行口座との紐づけといった、楽天グループのサービスとの連携や条件クリアにより、さらにポイントが貯まりやすくなっています。
また、手数料ゼロコースを選択すれば、日本株の売買手数料が約定代金に関わらず0円になるため、取引コストが節約できるのもおすすめポイントです。
(3)SMBC日興証券
SMBC日興証券は、三井住友フィナンシャルグループ傘下であることに加え、老舗の大手証券会社である日興証券の基盤も持つ証券会社です。
実店舗もありますが、オンライントレードのできる「ダイレクトコース」にも力を入れています。
AIを活用したポートフォリオ作成ツールを導入するなど、最新技術を駆使したサービスを取り入れているのが特徴です。
SMBC日興証券での投資はdポイントに対応しているので、ドコモユーザーであればさらにメリットが感じられるでしょう。
(4)auカブコム証券
auカブコム証券は、三菱UFJとKDDIの子会社が株主の大手ネット証券です。
自社で開発した取引システムを導入することで、高水準のリスク管理を実現しています。
au Payカードを利用して投信積立などの取引をすることで、Pontaポイントを効率的に貯めることが可能です。
またauカブコム証券では、単元未満株の株式売買が可能です。
通常は100株単位でしか買付できない株式でも、1株から購入できるため、気軽に少額投資が始められます。
さらに、「1日手数料定額コース」を適用すれば、国内株式取引手数料が1日100万円まで無料になるのも嬉しいポイントです。
ネット証券を利用する時の注意点
ネット証券を利用するに当たって、注意すべきポイントを3点紹介します。
(1)操作ミスを注意する
外出先でも、インターネット経由でかんたんに取引できるネット証券ですが、操作ミスには気をつけましょう。
便利な反面、片手間でも取引できてしまうため、購入金額や数量を間違って注文するなどのミスをしてしまう場合があります。
注文が約定(確定)してしまうと取り消せないため、取引する際は集中して操作を行いましょう。
(2)ネット証券からのお知らせをチェックする
口座開設後に届く、証券会社からのメールには必ず目を通しましょう。
通常、メール配信されるのは投資情報やキャンペーンの告知など、対応不要な内容がほとんどですが、中にはチェックするまで取引が制限されてしまうお知らせもあるためです。
そういったお知らせは、規約の変更や法改正といった重要な内容のものである可能性が非常に高いため、しっかり確認することも大切です。
(3)ログインパスワードなど個人情報の取り扱いに注意
マイページにログインするためのIDやパスワードは、厳重に管理するように心がけましょう。
証券会社側でも、暗号化技術を使って個人情報が漏洩することのないように尽力していますが、個人でも対策は必要です。
例えば、他のサイトと同じパスワードを使い回さない・PCのセキュリティを強化する・OSをこまめにアップデートするなどの対策が有効です。
新NISAにおすすめのネット証券3選
売却時の値上がり益や配当金の税金が上限まで非課税になる「新NISA」も、ネット証券で始めるのが最適です。
以下ではネット証券が新NISAに適している理由と、新NISAを始めるのにおすすめのネット証券を3つ紹介します。
(1)新NISAにはネット証券がおすすめの理由
2024年1月から始まった新NISAを活用するにあたって、店舗型の銀行や証券会社よりも、ネット証券をおすすめする理由は以下の2点です。
①取り扱っている商品数が多いから
金融機関の窓口は、投資信託の取り扱い本数がネット証券に比べて少ない傾向にあります。
例えば、普段街中で買い物する時、品揃えの少ない店より多いお店に行った方が、自分の欲しい商品に出会える確率が高いはずです。
同様に、投資信託の取り扱い数が豊富なネット証券で新NISAを始めた方が、選択肢が広がり、希望に近い条件の投資商品が買える可能性が高くなります。
②金融商品の営業をされることがないから
金融機関の窓口で口座開設や取引をした場合、対面で金融商品の営業をされる場合があります。
その点、窓口の人と顔を合わせることがないネット証券は、金融商品の営業をされることがなく、煩わしさを感じることなく取引ができます。
(2)新NISAにおすすめのネット証券3選
新NISAにおすすめのネット証券は、以下の3社です。
証券会社 | 口座開設数 | 国内株式 取引手数料 | 投資信託 取扱い数 | 公式サイト |
松井証券 | 約140万 | 26歳以上は50万円まで無料(25歳以下は売買代金に関わらず無料) | 約1,900 | 松井証券公式ページ |
マネックス証券 | 約190万 | 55円〜 ※取引金額により異なる | 約1,750 | マネックス証券公式ページ |
GMOクリック証券 | 約48万 | 無料 (1日定額プラン) | 約140 | GMOクリック証券公式ページ |
それぞれのネット証券の詳細を、以下で解説します。
①松井証券
松井証券は、創業100年を超える老舗の証券会社ですが、インターネット取引にも注力しています。
また、25歳以下の顧客は国内株取引の手数料が約定金額に関わらず全て無料になるという、他社にはない特典を設けています(26歳以上は1日50万円まで国内株式手数料無料)。
加えて、投資信託を保有するだけで貯まる「松井証券ポイント」が、PayPay残高やAmazonギフトに交換できる点も魅力のひとつです。
②マネックス証券
マネックス証券は海外株式に強みを持ち、米国株式や中国株式を購入したい人にオススメのネット証券大手です。
円から米ドルに替える際の為替手数料が無料のため、その分お得に米国株を購入できます。
さらに、米国株の取扱銘柄数が約5,000銘柄と、業界トップクラスの取り扱い数を誇っています。
また、中国株の取り扱い数も豊富で、香港証券取引所に上場しているほぼ全ての銘柄が購入可能です。
③GMOクリック証券
GMOクリック証券はFX最大手のネット証券のため、株や投資信託だけでなくFXにも挑戦したい人には特におすすめです。
投資信託の取り扱い本数が他のネット証券に比べて少ないのがデメリットですが、人気商品の取り扱いもあるので、購入したい銘柄が既に決まっている人は問題ないでしょう。
なお、新NISAについて詳しく知りたい方は下記記事を参考にしてみてください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- ✅つみたてNISAの落とし穴
- ✅新NISAの注意点
- ✅実際に私が実践している投資商品
- ✅成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。
新NISAを始めたい人はFPに相談
譲渡益・配当金といったリターンを非課税にできる新NISAをはじめ、個人投資で資産を増やす試みは、これまで以上に注目を集めています。
資産運用に大切なのは、自分自身で勉強や情報収集をした上で、チャレンジする姿勢です。
ただし、時には専門的な知見を持ち、信用できる第三者の意見に耳を傾けた方が、より成功に近づける場合もあります。
新NISAや資産形成についてアドバイスやサポートを受けたい時には、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、ネット証券の始め方についての解説と、おすすめのネット証券7社を紹介しました。
ネット証券を選ぶ際に、基準にすべきポイントがわかったのではないでしょうか。
気になった証券会社の公式サイトを見るなどして投資の知識を深め、まずは新NISAの口座開設からスタートしてみましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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