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老後の心配しすぎは無駄?心配しすぎる理由と老後不安の解決法を紹介

公開日:2023/10/08 最終更新日:2024/02/20
老夫婦

人生100年時代と言われるように、平均寿命が延びたことで、定年後の人生は昔と比べて長くなりました。

老後に意識を向ける時間が増え、不安を抱える人も増えています。

特に、2019年に「老後資金2000万円不足問題」が話題になったように、生活の基盤となるお金の問題は、寿命が長いほど重要になります。

この記事では、老後のお金について、多くの日本人が心配しすぎる理由と具体的な対策について解説します。

日本人の老後についての心配と対策

老人

老後の不安と言っても、心配や不安の内容は年代によって異なります。

各年代が抱く心配や不安、貯蓄がなくても人生を楽しむ方法を紹介します。

(1)各年代の日本人が抱く老後への心配と不安

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が行った「老後とお金に関する調査」によると、老後生活費について「不安に思う」「どちらかと言えば不安に思う」という回答した割合は全体の81.3%で、年齢によらず多くの人が老後の資金について不安を抱いていることが分かります。

特に不安が多いのは40代で、91%です。

年代別の調査では、20代から50代までは「年金がもらえるのか心配」、60代および70代以上では「老後の医療費や介護費がいくらかかるかわからない」という不安がそれぞれ第1位でした。

また、50代以外の全ての世代で「貯蓄ができない」が第2位に選ばれています。

出典:日本FP協会「老後とお金に関する調査」

(2)貯蓄が少なくても老後を楽しむ方法と資金の見える化

上記のアンケートから、多くの世代が「貯蓄ができない」ことに不安を抱えていることが分かります。

しかし、後で詳しく説明しますが、生活するだけであれば、福祉や生活保護など頼ることができます。

その上で、貯蓄が少なくても幸せに暮らすにはどうすれば良いのでしょうか。

そのためには、何よりもまず、体の健康管理を行うことが大事です。

高齢になるほど体力や免疫力が低下し、病気にかかりやすくなるため、医療費がかさむようになります。

健康的な食生活、規則正しい生活、軽い運動などを意識的に取り入れましょう。

健康であれば、働いて収入を得ることもできます。

また、社会から孤立しないように、積極的に人とのつながりを持つことも大切です。

新しい趣味やスポーツを見つけてサークルに参加したり、地域活動やボランティアに参加したりすることで、交流を増やすことができます。

寂しさがまぎれるだけでなく、何かあったときに頼れる友人や仲間ができるかもしれません。

一方で、資金の見える化を行い、家計収支を具体的に把握することも重要です。

老後資金に対する不安の大部分は、お金が見えていないことや、どこに使われているのか分からないことに起因しています。

家計簿アプリを使えば、お金の収支が簡単に見えるようになり、無駄な出費を減らせます。

弊社では簡単にお金を管理できるアプリ「マネソル」(特許あり)を開発しています。家計簿から資産管理までワンストップでできます。また、弊社FPにて無料相談することもできますので、家計の見直し、将来に必要なお金などについて気軽に相談することができます。

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日本と欧米の老後に対する見方の違いと心配しすぎの原因

2019年に金融庁が発表した「市場ワーキング・グループ報告書」により、老後資金が2,000万円程度不足するという問題が浮上し、日本国内で大きな話題となりました。

これは2017年の総務省「家計調査」のデータを基にしており、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦の無職世帯が、公的年金の受給額だけで暮らそうとすると、毎月5.5万円不足額が生じるため、これが老後30年間続くと総額で2,000万円程度不足するという話です。

なぜこの問題が日本で注目されたのか、またなぜ欧米ではこのような問題が起きないのかを説明します。

(1)欧米で老後2,000万不足が起こらない理由

欧米でこのような老後問題が起きない理由は、日本の企業とは異なり、欧米では専門性の高いスペシャリストが評価される傾向にあるからです。

経理や総務など、バックオフィスとして働く人もいますが、欧米ではバックオフィスとスペシャリストは明確に分けられており、働き方も住んでいる世界も異なるものと認識されています。

スペシャリストは、高い専門性を持っていることにより、企業や部署で仕事がなくなっても、専門性が高いまま転職やフリーランスへの移行が可能です。

そのため、寿命が延びて働く時間が伸びたとしても、専門性を活かした働き方が可能であり、悲観することがないのです。

(2)日本人が老後に恐怖を感じるメカニズム

一方で、日本の企業は、幅広い知識を持つゼネラリストを求める傾向が強く、異なる分野への異動や転勤がよく行われます。欧米では明確な区別のあるスペシャリストとバックオフィス間の異動もたびたび発生します。

このような環境下では、スペシャリストが育ちにくく、その上、出世できるかどうかは、30代までに決まるとされています。

定年後も働く時代になれば、スペシャリストになれず出世もできないまま同じ会社で働き続けなくてはいけません。

それが嫌いな仕事であれば、辛いまま仕事を続けることになり、その事態に恐怖を感じるのです。

(3)公的年金を心配しすぎることの無駄

公的年金だけでは2,000万円不足してしまう、ということを心配していても事実は何も変わりません。

そもそも、2,000万円不足というのは、特定のケースから算出したものであり、皆が当てはまるわけではありません。

受給できる年金額も異なりますし、どのような生活を送るかで支出も変わります。

年金収入だけでは、収支がマイナスになるというのであれば、支出を見直して無駄を削減するか、年金以外の収入を増やすことが必要になります。

その上で、長く働くのであれば、好きなことややりたいことを始めることをおすすめします。

日本の企業にスペシャリストが少ないのであれば、何か専門性を身に付ければ優位に立てる可能性があります。

公的年金を心配しすぎるよりも、長く働くために今から何ができるのかを考えてみましょう。

老後の心配のしすぎについて

心配

老後の心配について、心配しすぎるべきではない理由心配が的中した際の資金調達方法を紹介します。

(1)「老後はなんとかなる」は危険?でも心配しすぎるべきではない理由

「老後はなんとかなる」と考え何もしないのは問題ですが、過剰に心配する必要もありません。

まず、ほとんどの人は国民年金を受給できるため、仕事をリタイアしたからといって収入が0になるわけではありません。

会社員であれば、上乗せして厚生年金も受け取れます。

さらに、現代では定年後も働くことが普通になっています。

これらを踏まえて、収入の範囲内の支出で暮らせるのであれば、問題ないでしょう。

(2)「老後資金2,000万円足りない問題」の背景と福祉の制度の活用法

老後資金2,000万円足りないという話を聞くと、公的年金とこれまでの貯金を崩したお金で生活することを考える方もいるでしょう。

2022年に発表された「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、世帯主が60代の2人以上世帯の金融資産保有額は、平均値が2,317万円、中央値は1,270万円となっています。

多額の資産を保有している人も含まれるため、平均値は高くなりますが、中央値である1,270万円を見ると、多くの人の貯金が十分でないことが分かります。

こうした背景も、「老後資金2,000万円足りない問題」が騒ぎとなった要因と言えるでしょう。

経済的に困った際には、福祉の制度を活用することも選択肢の一つです。

「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者や高齢者の生活を経済的に支える目的で設けられた制度で、無利息、または低金利で貸し付けを受けることができます。

また日本には病気や高齢などで十分な収入を得られない方のために、生活保護があり、収入が一定未満の場合に、申請が可能です。

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」

2,000万円問題について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

(3)万一心配が的中したときの資金調達方法

老後資金が足りなくなったときのために、働くこと以外での資金調達方法を知っておくことも大事です。

足りない老後資金の調達方法として、「投資や資産運用」「借り入れ」「資産の現金化」の3つが考えられます。

しかし、投資や資産運用はリスクが高く、老後の資金調達には向いていません。

つみたてNISAのようなリスクが低い投資もありますが、こちらは運用年数の影響を受けやすく、長期投資に適しています。

投資を初めて数年後に引き出そうとしても、元本割れする可能性があり、現実的ではありません。

現実的な選択肢として、借り入れか資産の現金化が残ります。

現役時代に入手した資産で現金にできるものがないか確認してみましょう。

(4) 住宅を売却して得た資金で老後を過ごす方法

持ち家がある場合、住宅を売却して現金化するのもおすすめです。

また、不動産は売却してまとまった資金を得る以外にも、賃貸にする、担保にして融資を受けるなど、活用方法があります。

持ち家を売る方法の一つに、リースバックというものがあります。

リースバックとは、住宅を売却した後も、賃貸物件として取引することで、引き続き同じ家に住み続けられるサービスのことです。

すぐにまとまったお金が得られるほか、住宅の維持費用の負担をなくすことができます。

引っ越しをする予定がある場合も、余裕を持って次の住処を探せます。

老後不安の解消法

ここまで、老後に不安を抱える理由や解決するために知っておくべき内容についてお伝えしてきました。

具体的にはどのように進めればいいのか、今から実践できる老後不安の解消法を紹介します。

(1)どんな老後にしたいかをプランニングする

老後を充実したものにするために、まずはライフプランを立てることが大切です。

日常生活を送るためのお金が十分あったとしても、頻繁に海外旅行に行ったり、趣味にお金をかけたりすると、収支が赤字になる可能性があります。

自分がどんな生活をしたいのか、そのために必要な資金はどれくらいなのかを知り、不測の事態に備えるためにも、老後のプランニングは欠かせません。

定年退職後にはこれをすべき、といった老後を指南する書籍が数多くありますが、そこに囚われる必要はありません。

これら指南書が全くの無駄というわけではないですが、「自分自身で考える」「自分らしく生きる」ことは人生の醍醐味でもあります。参考程度にとどめておく方が良いでしょう。

(2)理想な老後を達成するにはいくら足りないかを計算する

老後の理想的な暮らしがイメージできたら、次に必要なのは、その暮らしの必要額の計算です。

十分でない場合は、やりたいことを諦めるか、不足分を補う方法を検討することになります。

最初の方で説明した、家計収支の「見える化」を行い、具体的に考えていきましょう。

収入に関しては、公的年金やその他の収入源、退職金の有無などを確認します。

貯蓄を切り崩して生活する場合には、90歳や100歳まで賄えるのかを考えます。

支出については、まず現在の支出をチェックし、無駄な出費がないか確認します。

特に、月々の固定費は、無意識に支払っているものがあるかもしれません。

不要な保険やサブスクリプションがあれば、早めに解約しておきましょう。

その上で、老後の生活費ややりたいことにかかる費用などを試算します。

自分が必要となる老後資金の計算方法について、詳しく下記記事を参照にしてみてください。

また、下記の動画でも解説してますが、老後が心配で無駄に貯金する必要もありません。気になる方はぜひチェックしてみてください。

(3)足りないお金を貯める仕組みを作る

足りないお金がある場合には、計画的にお金を貯める仕組みを作ります。

例えば、毎月の貯蓄を「収入-支出=貯蓄」と考えるのではなく、「収入-貯蓄=支出」というように、貯蓄額を先に決めて、貯蓄を引いた分で生活すると資金が貯まりやすくなります。

現役で働いていて余裕があるのなら、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「つみたてNISA」の活用も良いでしょう。

iDeCoとは、公的年金とは別に受けられる私的年金制度です。

毎月の掛金で投資信託などを運用して積み立てるもので、60歳を過ぎると一時金や年金として受け取れます。

掛金が全額所得控除となり税金を減らせる、運用益が非課税になるといったメリットがありますが、60歳になるまで資金を引き出せないデメリットもあります。

iDeCoについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

つみたてNISAとは、2018年から始まった少額投資非課税制度です。

対象商品は、長期の積立に適した投資信託のみに絞られており、毎月少額の投資をすることで、長期的な資産形成を行いたい方向けの制度です。

つみたてNISAも運用益が非課税になります。

非課税投資枠が年間40万円で、投資期間が最長20年でしたが、2024年から新NISAが始まり、投資枠は年間120万円、非課税保有期間が無期限化します。

つみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。

  1. ✅つみたてNISAの落とし穴
  2. ✅新NISAの注意点
  3. ✅実際に私が実践している投資商品
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などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。

セミナー

安心できる老後を送るためにも、お金を貯める仕組みづくりは大事です。

老後不安を解消したい方は一度FPに相談

相談

自身で調べながら進めていくと、どうしても分からない部分が出てくると思います。

疑問があれば、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)相談することをおすすめします。

(1)FPに何が相談できる?

FPは、老後の様々な悩みに対して、経済的観点からサポートするお金の専門家です。

相談できる内容は、これまでも登場した「老後資金はどのくらい必要か」や「老後資金の貯め方」「老後の福祉制度」などです。

必要な老後資金は、ライフスタイルや家族構成によって異なります。

資金を貯める方法や制度についても、個人の価値観や現在の状況によって適切な対応が変わるでしょう。

詳細に相談することで、自身に合った個別のアドバイスを受けることができます。

(2)FPに相談するメリット

記事の中で、老後不安解消の対策について、いくつか説明しましたが、最終的には、何が自分に最適かを知ることが必要です。

何も考えず、人に勧められた方法を取ると、思いもよらない損失を被る可能性があります。

FPに相談すれば、老後不安に対する最適な対策が理解でき、そのために必要な情報や準備すべきことなどを教えてもらえます。

また、自分自身でも老後について真剣に考えるきっかけになります。

まとめ

老夫婦

老後資金の不安解消は、家計収支を「見える化」することから始まります。

老後の理想的な暮らしをイメージして、できることからコツコツ行いましょう。

分からないことがあれば放置せず、お金の専門家であるFP相談することも大切です。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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