「金融リテラシー」とは何?身につけておきたい知識と勉強方法を解説
「金融リテラシー」というワードは耳にするものの、具体的な意味や自分にとっての必要性がわからない方も多いでしょう。
金融リテラシーとは、お金に関するあらゆる情報を適切に取捨選択する能力です。
インフレや長寿化が進む時代を豊かに生き抜くには、自分の資産は自分で守り育てるスキルが必要不可欠です。
本記事では、金融リテラシーの必要性、最低限身に付けておきたい金融リテラリーや効果的な勉強方法を解説します。
金融リテラシーを高めて正しい資産形成をおこないたい方は、ぜひ参考にしてください。
金融リテラシーとはなに?
金融リテラシーとは、お金に関する正しい基礎知識や判断力を指します。
「リテラシー(literacy)」はもともと「文章を読み書きできる能力」を意味し、現在では「何かの分野に関する知識や情報を活用するスキル」として使われることが多いです。
すなわち金融リテラシーは、金融や経済に関するさまざま情報を適切に取り入れ、自分の目的にあった金融商品・サービスを選別する力といえるでしょう。
金融リテラシーを重要視する動きは、金融庁や金融関係団体などをメンバーにおく金融経済教育推進会議による「金融リテラシー・マップ」からも読み取れます。
金融リテラシー・マップでは、国民一人ひとりが最低限身に付けるべき金融リテラシーが、小学生から高齢者までの年齢層別に体系化されています。
このように、国全体として金融教育が推進されるほど、金融リテラシーは現代社会において必須の生活スキルといえます。
金融リテラシーが必要と言われている6つの理由
金融リテラシーが重要視されるのには理由があります。
金融広報中央委員会が2022年に行った「金融リテラシー調査2022」によると、金融リテラシーに関わる正誤問題への正答率が高い人ほど金融トラブル経験が少ないという結果が現れています。
健全な社会生活をおこなう上で、金融リテラシーは欠かせない存在といえるでしょう。
さらに具体的な6つの視点で、金融リテラシーを身に付けるべき理由を解説していきます。
(1)家計管理がきちんとできる
金融リテラシーがあれば、適切な家計管理がおこなえます。
家計管理とは、家計の赤字を解消して黒字の維持を目指した収支管理を継続することです。
特に、若い新社会人は、生活面でも経済面でも自立していく時期を迎えます。
自分のお金を合理的に管理するために、知識やスキルを身に付けておくことが大切です。
(2)経済的に自立ができ、いい暮らしができる
適切な家計管理は、経済的な自立だけでなく、より豊かな暮らしへと繋がります。
社会で生活する以上、ライフステージごとにさまざまな「お金にまつわる判断」が求められます。
例えば、「住まいにはどれくらい予算をかけるのか」「車を一括で購入するのかローンを組むのか」など、お金の使い方を自分で判断しなければなりません。
金融リテラシーを高めていれば、その都度合理的な選択を取れるようになり、経済的に豊かな生活が実現しやすくなるでしょう。
(3)いい金融商品、金融サービスの選び方がわかる
IT技術の発達や国の制度改革などにより、金融商品や金融サービスは目まぐるしく変化しています。
そのような時代のなかで自身の大切な資産を守るには、適切な情報を取捨選択する力が必須です。
NISAやiDeCoといった非課税投資制度を理解して資産運用したり、ポイント還元率の高いキャッシュレス決済を選んで活用したりと、個人の的確な判断力が今後の経済力に繋がるでしょう。
(4)ケガや病気など緊急時の備えができる
万が一の事態に備えるためにも、金融リテラシーが役立ちます。
ケガや病気、トラブル時に経済的な支えとなる保険に加入したくても、無数にある商品のなかから自分の目的と予算に合ったものを選びぬかなければなりません。
また、適切な家計管理をおこなっていれば、予想外のトラブルにも対処できるだけの貯蓄を準備できる可能性も高まります。
(5)詐欺、多重債務などの金融トラブルを回避できる
昨今は悪質な詐欺トラブルが絶えません。
オレオレ詐欺のような現金をだまし取る詐欺だけでなく、「資金が短期間で数倍になる株」のような投資詐欺も巧妙化しています。
また、お金の管理がルーズになると、不足した生活費をクレジットカードやカードローンで穴埋めするような事態に陥ってしまうかもしれません。
高い金利が負担となり、返済困難な多重債務の状態になるリスクも高まります。
これらのような金融トラブルを防ぐには、うまい話や便利なサービスに隠れている危険性を見抜く理解力や慎重さが必要でしょう。
(6)資産運用の可能性が広げられる
効率的な資産運用には投資が効果的です。
金融リテラシーが低いと、「投資=ギャンブル」と捉えて拒否するか、知識がないまま始めて損をするかのどちらかのケースに当てはまってしまいがちです。
しかし、投資商品への理解をしっかり深めたうえで健全な長期投資をおこなえば、安定したリターンが十分期待できます。
金融・経済への知識や理解力が、将来の資産を効率よく育てるのに役立つでしょう。
最低限身につけておきたい金融リテラシー4つ
金融経済教育推進会議が作成した「金融リテラシー・マップ」には、国民が最低限身に付けるべき金融リテラシーが体系化して記されています。
そのなかから、特に身に付けておきたい知識や情報を、具体的な4つの観点で解説していきます。
(1)「人生の三大支出」で使う家計管理とライフプラン(人生設計)
人生の三大支出といわれる「教育費」「住宅の購入費」「老後の生活費」に備えるためには、「正しい家計管理」と「明確なライフプラン」が必要不可欠です。
ライフプランとは、どのような人生を送りたいか構想し、それを実現するための時系列での生涯生活設計です。
ライフプランを作る目的は、年ごとの金銭収支の「見える化」です。
年表上には、理想の人生で起こり得るライフイベントとかかる費用と、予測される収入や貯蓄額を記入します。
それによって、いつまでにどれくらいお金が必要なのかを理解でき、計画的に資金の準備がおこなえます。
毎月の貯金目標額を設定したら、目標達成できる家計の仕組みを整えましょう。
具体的な方法としては以下のような例があります。
- ✅自動的に貯金できる自動積立を設定
- ✅固定費の見直し
- ✅長期的な投資
- ✅収入を上げるための転職や副業
適切な家計管理とライフプランの作成をとおして、多くの金融知識や情報を吸収できるでしょう。
(2)ケガや病気に備えるための公的保険制度と民間保険
万が一のケガや病気、トラブルへの備えとして「保険」は必要不可欠なものです。
ただし、「周りも同じような保険に入っているから」と、きちんと理解しないままいくつも保険を契約してしまうのは、家計を圧迫してしまう恐れがあります。
まずは、公的保険制度である年金保険、医療保険、介護保険などの保障内容や保障額をきちんと把握することが大切です。
そして、家族構成や貯蓄額、自身のライフプランに合った保障内容や保障額を決めて、公的保険では賄えない部分だけを生命保険や医療保険などの民間保険でカバーするようにしましょう。
民間保険には数多くの商品が存在し、似たような保障でも保険料に大きく差があるものも少なくありません。
保険商品の仕組みを理解して「良い保険」を選ぶ目を養っていきたいところですが、専門家の力を借りるのも有効な手段です。
複数社の保険商品を扱う代理店やFP(ファイナンシャルプランナー)などへ相談しながら、自分に合った保険を選んでいきましょう。
(3)不動産投資、金融商品を活用した資産形成
資産形成には貯金と投資の2つの方法があります。
超低金利が続く預貯金だけでは、理想のライフプランを実現するための目標額に到達するのが難しいかもしれません。
そこでトライしたいのが、不動産や金融商品への投資です。
投資するときには「安全性」「収益性」「流動性」の3つの観点でチェックすると、比較検討しやすくなります。
例えば、「不動産」は安全性や収益性にある程度期待ができても、流動性は低いです。
購入時よりも2〜3倍に値上がりするのも珍しくない「株式」は、収益性が高い分安全性は低くなります。
特に、安全性と収益性は両立せず、高いリターンには高いリスクがある点を理解しておく必要があります。
投資による資産形成をおこなうには、投資コスト、分散投資や長期運用の効果、国内外の経済情報など、さまざまな視点からの情報を取り入れるスキルを身に付けていきましょう。
資産運用について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(4)お金を借りる時に知っておくべき住宅ローン、リボ払いなど
社会生活をおこなううえで、「お金を借りる」機会に直面することもあるでしょう。
マイホームを購入するときの住宅ローンのような高額な借入だけでなく、普段使いしているクレジットカードでの買い物も「カード会社にお金を借りて購入する」行為なのです。
お金を借りるときには、「実質的なコスト」を把握するようにしましょう。
お金を借りると利息や手数料が発生するため、実際に返済するトータル金額は借りた金額よりも高くなります。
クレジットカードの場合、利用した翌月の請求時に返済ができずに滞納してしまったり、分割払いやリボ払いでの返済を選択したりすると、利息や手数料が加算されます。
高い利息や手数料を支払ってまでも、今借りないといけないお金なのかを冷静に検討しましょう。
そして、自分がいくらまでなら返済できるのか、どれくらいの金額をいつまでに返済するのかをふまえて、慎重に借入額を決める必要があります。
まずは、安易にお金を借りない習慣を身に付けることが、健全な家計への第一歩となります。
金融リテラシーを高めるための勉強方法は?
金融リテラシーの向上は、国民一人ひとりが経済的に自立した暮らしの実現を目的とする「金融経済教育」として国家戦略で推進されています。
2013年に設置された金融経済教育推進会議によって、小学生から高校生のさまざまな教科に金融経済教育が組み込まれたカリキュラムが作られています。
国家規模で推進される金融教育ですが、学ぶ機会の少ない大人にとっては生活のなかでの「実践」が最も効果的な勉強方法です。
今すぐできる勉強方法を3つのステップでご紹介します。
(1)家計管理を習慣化にする
まずは、資産形成の基礎となる家計管理を習慣化しましょう。
家計管理は次のような流れで進めていきます。
- 家計簿をつける
- 収支状況の流れを把握
- 問題点を見つけ改善する
家計簿を続けるには、スマホの家計簿アプリなどの便利なツールを活用するのがおすすめです。
買い物したその場で入力できるうえに、銀行口座やキャッシュレス決済を紐づけ設定すれば、支出や収入が自動で転記されます。
収支状況を把握できたら、削れそうな支出項目がないか検討してみましょう。
削減効果の高い固定費のなかでも、特に保険料やスマホ料金などが無理なく削減しやすいポイントです。
家計簿の作成や支出の見直しにより、さまざまな金融サービスを比較検討するきっかけにもなるでしょう。
弊社では家計簿機能から資産管理まで簡単にできるお金の管理アプリ「マネソル」(特許あり)があります。ご登録いただくと無料にてFPとも相談することができます。1ヶ月間の無料お試し期間がありますので、ぜひ体験してみてください。
(2)ライフプラン(人生設計)を立てる
次に、理想の将来像を思い描いてライフプラン(人生設計)を立てていきましょう。
結婚や出産、就職や転職・独立、マイホーム購入、子どもの進学など、実現させたいライフイベントを思いつくままに年表に書き出します。
そして、そのイベントにかかる費用を算出し年ごとに書き出すと、いつ頃にいくらぐらいのお金がかかるのか「家計の経済事情」を可視化できます。
さらに、年ごとに予測収入や貯蓄額も書き入れると、お金の不足分が明確化します。
ライフイベントにかかる費用の算出や、将来の収支状況を予測して資産形成の道筋を立てる作業は、自分の資産と主体的に向き合う経験になります。
金融リテラシーの向上へと直結しますので、楽しみながら積極的に取り組んでみましょう。
初心者でも簡単にライフプランの作り方を下記記事にて紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
(3)FPなどの専門家に教えてもらう
一方、家計の見直しやライフプラン作成は、自分一人でおこなうだけでは偏った視点になりがちです。
また、自分の資産と向き合うと、「自分にはこれ以上貯金できない」「このままだと子どもの教育費が準備できない」など不安や焦りを感じて落ち込んでしまうかもしれません。
家計やライフプランに対して難しいと思われている方は、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談をおすすめします。
お金の専門家であるFPは、自分一人では気が付かなかった問題点の解決法や、プロならではのアドバイスをさせていただきます。
信頼できるお金のアドバイザーを確保しておくと、問題に直面したときにもスムーズにサポートが受けられます。
金融分野の情報は簡単には理解がしにくいものです。
外部の知見をうまく活用できるスキルも、金融リテラシーの向上につながる重要な要素といえます。
アルファのFPができること
完全独立系FP事務所であるアルファは、中立公平な立場からお客様にとって最適なアドバイスを提供いたします。
アルファのFPができること、アルファで相談すると得られるメリットを3点ご紹介します。
(1)アルファはお客様の金融リテラシーを高めることが目標
アルファのFPは、相談を依頼されるお客様の金融リテラシーが向上することを目指しています。
アルファは特定の企業との結びつきがなく、金融商品を販売して得られるマージンを主な収入源としておりません。
お客様それぞれが金銭的に豊かになることをゴールとして、そのために最適な情報を選択し提供します。
(2)ライフプラン、不動産などあらゆる分野の対応ができる
アルファの強みは「人」、そして「情報力」です。
弊社には60名以上のFPや不動産コンサルタントが在籍しています。
それぞれに強みをもつFP達が収集した選りすぐりの情報を共有しているため、金融・経済・不動産などに関わる幅広い知見を有しています。
家計管理や保険の見直しだけでなく、投資信託や不動産投資、税金など、お金に関するあらゆる分野に対応が可能です。
サービス内容についてより詳しく知りたい方は、サービスラインナップをご確認ください。
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まとめ
金融リテラシーとは、お金とうまく付き合うための知識や情報、そしてそれらを取捨選択する判断能力です。
金融リテラシーがあると適切な家計管理がおこなえ、経済的に豊かで安心できる暮らしの実現へと繋がっていきます。
特に、人生の三大支出である教育費、住宅費、老後資金に備えるには、家計管理とライフプランに基づいた資産形成が欠かせません。
専門家の知見を適切に活用するのが金融リテラシーが高い方の特徴でもあります。
お金のプロであるFPを上手に利用して、主体的に自分の目指すライフプランを歩んでいきましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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