30代におすすめのライフプランは?効率よくお金を貯める方法もご紹介
30代になり、そろそろライフプランを立てないと思われている方も多いのではないでしょうか。
社会にまだ出たばかりの頃と比較して、30代になると、給与面もそうですが生活状況にも変化が出始める頃です。結婚や出産、マイホームの購入などがその例と言えます。
その様な大きなライフイベントに備えるために、ライフプランを立ててお金を貯めることを考え始める時期が30代なのです。
本記事では、FPである私が30代から始めておきたいライフプランニングや、効率的なお金の貯め方について解説していきます。
なぜ30代はマネープランが重要なのか?
30代は、社会生活にも慣れてくる上に給与面でも少しずつ余裕が出てくる年代です。責任のある仕事を任せられることもあり、プライペートも充実してくる年代であると言えるでしょう。
なぜ30代になるとマネープランやライフプランが重要になってくるのかと言うと、それはこれから様々なライフイベントを迎える重要な年代であり、将来に向けて必ずお金が必要となってくるからです。
例えば、結婚を考える人もいれば、子どもが生まれてくる人もいるでしょう。子供が生まれれば子供の教育のことを考え始めますし、家族ができればマイホームの購入を考える人もいます。
このように、30代は自分自身の将来をしっかりと見つめ、これから先のマネープランやライフプランをしっかりと立てていく必要があるのです。
大きなライフイベントを迎えるにあたって、しっかりとした準備をしておくことが重要になります。
これからの人生設計で必要なお金を把握しておく
30代で迎えるライフイベントは様々です。そのライフイベントにかかるお金がどれくらいなのかを把握しておくことで、支出に備えてお金を貯めることができます。
ここからは、これから迎えることになるライフイベントごとに、どれくらいのお金がかかるのかを紹介していきましょう。
(1)結婚資金
一つ目は結婚資金です。
30代の大きなイベントとして考えられるのが結婚と言えるでしょう。30代になると既婚者の割合が増えてきます。総務省統計局が公表した「令和2年国勢調査 人口基本集計結果」を見てみましょう。
既婚者の割合は、男性の場合、30歳から34歳では51.7%、35歳から39歳では62.9%となっており、女性の場合では、30歳から34歳では57.4%、35歳から39歳では67.7%となっています。つまり、30代では過半数が結婚していることになります。
以上のことから、結婚は30代で迎える大きなライフイベントと言えるのです。
一方、結婚に必要な資金はいくらぐらいなのでしょうか。「ゼクシィ結婚トレンド調査2021(2020年度調査)」によれば、結婚に必要な金額は平均して約357万円(婚約+結婚式+新婚旅行費用の合計)となっています。もちろん、結婚式を挙げない、新婚旅行には行かないなど、それぞれの価値観によって金額は前後します。あくまでも平均してこの程度が必要になることを覚えておきましょう。
(2)住宅資金
二つ目は、住宅資金です。
30代になり、結婚して家庭を持つようになると考え始めるのが、マイホームのことではないでしょうか。
最近では、マイホームはいらないという考え方の人も増えているようですが、それでもマイホームがほしいと考える人が一定数いるのは確かです。
結婚の時と同様、総務省統計局が公表した「令和2年国勢調査 人口基本集計結果」によると、持ち家を所有している世帯は61.4%と過半数を占めています。
マイホーム購入に必要な平均金額は、「フラット35利用者調査2021年度」によると、
- ☑土地付注文住宅:4,455万円
- ☑建売住宅:3,605万円
- ☑注文住宅:3,572万円
- ☑マンション:4,528万円
となっています。
全額を用意しなくてはいけない訳ではありませんが、大きな金額ですのである程度の蓄えがある方が良いと言えるでしょう。
不動産を購入するときに必要ななる年収、必要な諸経費などについて、詳しく下記記事を参照にしてみてください。
(3)出産費用
三つ目は、出産費用です。
結婚した後の一大ライフイベントとして考えられるのが出産なのではないでしょうか。最近では、結婚しても子供は欲しくないという人の割合も増えてきているようです。
それでは、実際はどうなのでしょうか?既婚で子供のいる世帯の割合を、総務省統計局が公表した「令和2年国勢調査 人口基本集計結果」で見てみましょう。
統計している年代にズレがあるので、正確な割合を出すことはできませんが、30代ではほぼ半数の世帯で子供がいることを考えれば、出産費用を用意しておく必要があると言えます。
出産費用の全国平均は、40万円から50万円と言われています。利用する病院や病室のタイプによって差額が発生することも念頭に置いておくと良いでしょう。
出産費用は「出産育児一時金」として、子供1人につき一律42万円が支給されることになっています。ただし、受給方法に違いがあるため、先に出産費用を支払う必要がある場合もありますので、用意しておくことがおすすめです。
(4)教育資金
四つ目は、教育資金です。
子供が生まれたら、考えておかなければいけないのが教育資金です。教育資金を貯めていく場合、最初にしておくと良いのが子供の教育方針の相談です。なぜならば、子供にどのような教育をしていきたいのかによって、用意しておくべき教育資金が変わってくるからです。
以下に、文部科学省が発表した「平成30年度子供の学習費調査」から分かる、進学ルートの4パターンにかかる費用を記載します。
- ☑幼稚園から高校まですべて公立のケース:約540万円
- ☑幼稚園は私立、それ以降は公立のケース:約635万円
- ☑高校は私立、それまでは公立のケース :約700万円
- ☑幼稚園から高校まですべて私立のケース:約1,860万円
更に、大学進学の場合にかかる費用は以下の通りです。こちらは、日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査」を参照しています。
- ☑国公立大学:約481万円
- ☑私立大学文系:約690万円
- ☑私立大学理系:約821万円
以上から、最も負担が少ない、幼稚園から大学まで国公立に通う場合には約1,021万円、最も負担が大きい、幼稚園から大学まで私立に通い、大学は理系に進学した場合には約2,681万円が教育資金として必要になります。
なお、子どもの教育資金について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(5)老後資金
五つ目は、老後資金です。
「30代から老後資金?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、2019年の金融庁の報告書によって問題となった「老後2,000万円問題」は記憶に新しいのではないでしょうか。
これは、「夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯においては、毎月5.5万円の不足が発生するため、20年から30年の間で生じる不足額が1,320万円〜1,980万円になる」という試算から出てきたものでした。
あくまでも、試算であるためこれがすべての世帯に当てはまる訳ではありませんが、最低でも1,300万円程度は必要になると考えておくと良いでしょう。
そのためにも、30代から定年退職後のことやその先の老後について考え、お金を貯めておくことが重要になってきます。
(6)その他車購入資金など
ここまでに紹介してきたのは、人生の節目となる大きなライフイベントについてでした。
その他にも、生活していく上で必要となるものについても考えておきましょう。
例えば、車の購入資金などが必要になってくることもあると思います。通勤や買い物、行楽に出かけるなど、車が必要になる場面は多々あります。
それでは、車購入資金はいくらぐらいを目安にしておけば良いのでしょうか。
一般的に「年収の半分くらい」とも言われていますが、軽自動車や普通自動車を含めた平均価格は約170万円とされます。
しかし、軽自動車だけを見てみると、約100万円〜200万円、普通自動車だけをみると200万円〜300万円とされています。
中古車でも良いという場合なら、この平均価格よりもう少し下がると思いますので、ご自身のライフスタイルに合わせて予算を考え、資金を貯めていくことがおすすめです。
早いうちからライフプランを立てるのが重要
ここまで読んでいただければ、ライフイベントには思った以上に大きなお金が必要であることがお分かりいただけたかと思います。
そこで、重要になってくるのがライフプランです。ライフプランは、ライフイベントを見越して、その際に必要になる金額を把握し、計画を立てていくことを言います。
ここでは、そのライフプランを早いうちから立てておくことのメリットを解説していきましょう。
(1)計画的に資金計画を立てることができる
ライフプランを早いうちから立てておくことで、計画的な資金計画を考えることができます。
ライフプランを立てることで、これから迎えるであろうライフイベントを考えながら、いつまでにどれくらいのお金を用意しておくべきかを明確にすることができるのです。
これから必要となる支出が明確になることで、ライフイベントを迎えるまでに必要な資金を貯めるには、
- ☑いつからいつまでにどれくらい貯めておく
- ☑いつからいつまでは、支出を控えてみる
などの計画を立てやすくなります。
(2)ゴールを明確にすることによって行動が明確になる
ライフプランを立てることでゴールが明確になると、何をすれば良いのかも明確になります。
「とにかく将来に備えて貯金をしておかなくては」と思いながらお金を貯め始めても、うまく行かないことが多いのではないでしょうか?
それは、「いつまでにどれくらいのお金を貯めておく」というゴールが見えていないことが原因と言えます。
目標が定まると、その目標に向けてお金を貯めていくことになり、達成しやすくなります。例えば、無駄使いを控え、その分を貯蓄に回すなど、行動にも変化が表れてくるでしょう。
(3)日々の収支を明確にし、無駄使いを防げる
ライフプランを立てるにあたり、まず行うのが家計の見直しです。お金の使い方を見直すのは、面倒だと思う方もいるかもしれませんが、家計の収支を見直してみることで分かることも多くあります。
趣味のために使うお金が多すぎたり、固定費が大きかったりする場合、その支出を見直すなどがその例です。
このように、家計を見直し、日々の収支を明確にすることで何にどれくらい使うべきかが分かります。それによって、無駄使いを防ぎ目標に向けてお金を貯めていくことができるのです。
収支を明確にするには弊社のお金管理アプリ「マネソル」(特許あり)をぜひご活用ください。
「マネソル」(特許あり)は目の前の現状管理だけではなく、現状を分析しながら将来の資産管理もできます。また、弊社のFPへの相談が無料にて対応できます。ぜひ一度利用してみてください。
(4)生活に余裕を持てる
ライフプランを立てることで、生活に余裕を持てるようにもなります。
将来、どれくらいのお金が必要かというのは大きな悩みの一つです。ライフプランを立てていない場合、明確な金額が分からないため、お金に対して漠然とした不安を抱えながら生活することになってしまいかねません。
しかし、ライフプランを早いうちに立てていれば、将来どれくらいのお金が必要で、いつまでにどれくらい貯めておけば良いのかが明確になっています。そのため、漠然とした不安を抱えることなく、余裕を持って生活を送ることができるのです。
具体的にライフプランの立て方について知りたい方は、下記記事を合わせてお読みください。
効率よく資産形成をする4つの方法
ライフプランを作成し、マネープランと照らし合わせながら具体的な金額を設定できたら、それを行動に移していきましょう。
ここからは、資産形成方法の基本である預貯金や保険以外に、効率的にお金を増やしていく方法を4つ紹介していきます。
(1)投資信託
投資信託とは、たくさんの投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめて、運用の専門家が株式や債権などに投資・運用する金融商品です。
投資信託は、投資・運用の成果として、投資額に応じて配分される配当金などを目的としています。
投資・運用を行うのは専門家なので、専門的な知識がなくても始めることができるので、投資初心者にも人気です。様々な銘柄に分散して投資を行うのが特徴ですので、リスクを抑えるながら投資を行うことができます。
投資信託は、専門家が投資・運用を行いますが、元本割れするリスクがあることは念頭においておきましょう。また、手数料コストが高い点やリアルタイムでの取引ができないというデメリットがあることにも注意が必要です。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を合わせてお読みください。
(2)外貨預金
外貨預金とは、日本円を米ドルやユーロなどの外国の通貨に換えて行う預金のことを言います。
外貨預金は、日本円で預金する時と同じように銀行などの金融機関で外貨預金口座を開設し、日本円を外貨に換えることですぐに始めることが可能です。
外貨預金の特徴としては、日本円で預金するよりも高い金利が設定されていることがあるので、日本円を預金している場合より効率的にお金を貯めることができます。
ただし、外貨預金は為替レートの変動(円高や円安)によっては、損益が出てしまうことがあるので注意が必要です。
また、「為替手数料」という、日本円を外貨に、外貨を日本円に換える際に手数料が発生します。そのため、為替レートの影響を受けなかったとしても、為替手数料を支払うことで元本割れしてしまう可能性があるので、この点も念頭に置いていてください。
(3)不動産投資
不動産投資は、土地や建物などの不動産を購入し、賃貸に出して家賃収入を得ることを目的とした金融商品です。最近では、マンションなどの一室を購入する人が多くなっています。
不動産投資は大きな値動きがない上に定期的な収入が得られ、その分を貯金やその他の投資資金として利用することで効率的にお金を増やすことが可能です。また、最終的には売却して利益を得ることもできます。
不動産自体が大きな資産であるため、不動産投資にはある程度の資金が必要です。ローンを組むことで手持ちのお金以上の物件の購入が可能ですが、家賃収入を返済の原資とする場合、返済完了までは家賃収入分を貯蓄等に回すことができませんので注意してください。
また、購入した不動産の周辺環境が悪い場合には、空室リスクが生じる可能性があります。ローンを組んで運用していると、長期間空室が続いた場合、自己資本から返済しなくてはならない点にも注意が必要です。
(4)iDeCo(イデコ)やつみたてNISAを活用する
今、注目を集めている投資方法として、iDeCo(イデコ)やつみたてNISAがあります。これらの投資方法は、節税しながらお金を効率的に増やしていくことができるとして人気です。
また、両制度ともに分散投資によってリスクを抑えながら投資が可能である投資信託商品を購入することも可能ですので、初心者が始める場合にも大きなメリットがあると言えるでしょう。
注意しておきたい点は、iDeCoの場合、途中で解約ができない点にあります。iDeCoは「個人型確定拠出年金」とも呼ばれる私的年金制度であるため、原則として60歳以降でないと受け取ることができないのです。
つみたてNISAについても、元本割れの可能性があるなどのデメリットがありますので、注意が必要になります。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を合わせてお読みください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- つみたてNISAの落とし穴
- 新NISAの注意点
- 実際に私が実践している投資商品
- 成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。
30代女性のライフプランは?
女性の場合、人生の中で迎えるライフイベントのたびに自分自身の仕事やキャリアを考える機会が多いと思われます。
近年は、「自分らしく生きたい」と願う方も多くなってきています。自分の人生を設計することはライフプランの大きな目的です。ここからは、30代女性のライフプランについて解説していきます。
(1)独身の場合
30代独身女性の場合、様々なライフイベントが考えられます。それはもちろん、結婚であったり、出産であったりです。
しかし、仕事に一生懸命取り組んできた女性が結婚や出産といったライフイベントを迎えた場合、心配になるのはキャリアでしょう。特に出産や育児によってキャリアの継続が不可能となってしまうことも考えられます。
このような点を考えた上で、女性の場合はライフプランを立てなくてはいけません。一番重要なのは、自分自身がどうしたいのか、つまり「自分らしく生きる」とはどういうことなのかを考えることが重要になってきます。結婚せず、キャリアアップを考える人もいますし、結婚して家庭を持ちたいと強く望む人がいるのも事実です。
まずは、ご自身がどうしたいのかをしっかりと考えることから、ライフプランを立てる作業に入ってみるのが良いでしょう。
(2)既婚の場合
既婚者の場合、大きなライフイベントとして出産があげられるのではないでしょうか。子供が生まれれば、教育資金のことも考えなくてはいけません。また、出産後も仕事を続けるのかどうかなども考える必要も出てくるでしょう。
このような場合には、夫婦で相談することが重要です。出産・育児の期間は仕事を離れ、育児に専念するのか、それとも、夫婦で協力して育児を行い、仕事も続けていくのかなどを決めておくことが大事になります。
夫婦ともに働いた場合、教育資金や老後資金などを貯めやすいことは事実ですが、子供の面倒は誰がみるのかなどの問題も出てくると思いますので、一度、夫婦でしっかりと相談することをおすすめします。
ライフプランで悩まれている方はFPに相談
ライフプランの立て方について、Web上には様々な方法が紹介されており、簡単なライフプランなら自分で作れるようになりました。
しかし、家計の見直しや保険の見直しなど、お金に関することについてはどうしても不安が残ると思います。
そんな悩みや不安がある場合には、フィナンシャルプランナー(FP)に相談することをおすすめします。FPは家計に関するお金の専門家であり、ライフプランを立てるプロフェッショナルです。ライフプランを立てる際に悩みが不安があれば、ぜひご相談ください。
まとめ
30代は男女ともに、数々のライフイベントを迎える年代だと言えます。結婚や出産、教育資金に老後資金など、お金について不安になることもあるかもしれません。
その時、ライフプランを立て、マネープランと照らし合わせながら具体的な計画をしておくことで、先々必要になるお金が明確になります。そのことによって、漠然とした不安がなって余裕を持った生活を送ることが可能です。
お金に関する不安やライフプランに関する悩みがあるなら、お近くのFPが力になってくれることでしょう。将来、必要になるお金を明確にし、余裕のある生活を送る手助けに、ぜひFPに相談してみてください。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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