リフォームとリノベーションの違いは3つ!それぞれに向いている人も解説
家の改装や改築の意味合いで使われるリフォームとリノベーション。同じ言葉として混同されがちですが、実は明確な違いがあります。
この記事では、リフォームとリノベーションの違いや向いている人を徹底解説します。
両者のメリットやデメリットについても紹介していますので、リフォームやリノベーションで失敗しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
リフォームとは
リフォーム(reform)とは、「改良、改善」などの意味がある和製英語です。
「老朽化した部分の改装や増築などによって新築同様の状態に回復させること」を定義としています。
施工内容は、「タイル張りの在来浴室をユニットバスに変える」といった設備交換から全てを新しくするフルリフォーム、さらにはマンションリフォームまで幅広く対応が可能です。
建て替えと違って建物の基礎や構造躯体は残しておけるため、元の住居が大幅に変わる不安もなく、簡単に今の住まいを快適にアップデートできます。
リフォームとリノベーションとの違い
リフォームと似ている用語に、リノベーションがあります。
2つにはどんな違いがあるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。以下で徹底比較しています。
(1)リノベーションとは
リノベーション(renovation)とは、「革新、刷新」などの意味をもつ言葉です。
住宅用語では、元々ある住まいの状態よりも家の価値を向上させることを目的に行う大がかりな建物工事を指します。
リノベーション工事で多いのが、内部全てを解体撤去し、スケルトンと呼ばれる骨組みだけの状態から新たに居住空間をつくり直すフルリノベーション。
理想の住まいのイメージや要望に合わせて、使う素材や住まいのテイストをゼロから考えられるため、DIYが好きな人や家づくりを楽しみたい人を中心に最近人気を博しています。
また、間取りを大幅に変えた開放的な大空間も、お気に入りのインテリアや家具に囲まれたデザイン性の高い住まいも、リノベーションなら実現可能です。
築古の物件でも、デザイン性と機能性を兼ね備えたおしゃれで心地いい家づくりができるのが、リノベーションならではの魅力といえます。
古民家や中古物件を購入するため、物件数が多く、地価が高い人気のエリアでも比較的安く物件が手に入るのもリノベーションの魅力です。
既存の躯体を利用するため、新築マンションや一戸建てを購入するよりもコストを抑えられます。
(2)リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションの違いは主に3つ。ポイントごとに説明します。
①工事規模の違い
リフォーム工事には、おもに「経年劣化によって汚れた外壁や天井、壁紙、屋根などを塗り直す」「キッチンをシステムキッチンに改良する」などの部分的な施工が挙げられます。
そのため、工事を行うのは家の一部分です。よって小規模な工事になります。
一方、リノベーション事例は、「間取りを大幅に変えて土間をひとつながりのLDKにする」「外内装を和風から洋風に変える」など、家や部屋の全体的な工事がほとんど。リフォームに比べて大規模な工事になります。
②設備性能の違い
リフォームは、生活の中で暮らしにくさや設備の不具合がでてきたときに、増築や修繕、設備機器の交換などによって原状回復するのが目的になります。
そのため、基本的に性能は標準になる場合が多いです。
対してリノベーションは、既存の家や部屋を改装して家の価値を高めることが目的です。リノベーション業者によって取り扱っている設備機器や性能はさまざまですが、現状よりも高機能、高性能な住宅設備になるケースが多くなります。
③費用の違い
新しくする設備のグレードや数、種類などにもよりますが、リフォームの場合、費用は高くても500万円までで収まるケースがほとんどです。
屋根や外内装のちょっとした塗り替えであれば、数万円からできる場合もあります。
対してリノベーションは、比較的小規模のリノベーションか、フルリノベーションかによって、費用が大きく変動します。
一戸建ての一部屋や1LDK程度のマンションといった小規模のリノベーションであれば、費用は1,000万円以下の場合がほとんどですが、趣味や好み、こだわりの仕様など希望に応じて自由に空間をデザインできるフルリノベーションでは、1,000万円以上になることも多々あります。
さらに坪数、部屋数の多い戸建て住宅や、採用する仕様によっては2,000万円以上になる場合もあり、リフォームに比べて費用がかなり高額になるため注意しましょう。
リノベーションと比較したリフォームのメリット
リノベーションと比較してリフォームには大きく3つのメリットがあります。詳しくみていきましょう。
(1)工事をする期間が短い
上記でも説明したように、リフォームはリノベーションに比べて工事の規模が小さいのが特徴です。
工事をする範囲や工程が少ないため、工事期間も短くなります。
また、リノベーションは完工まで入居できないのが一般的なので、工事期間中は、仮住まいが必要なだけでなく、引越し費用も余分にかかってしまいます。
一方、リフォームでは工事箇所の使用はできないものの、家に住みながら工事が終わるケースがほとんどのため、普段の生活に支障がでにくく、工事期間中も安心です。
(2)費用が安い
リフォームは、老朽化による水まわりなど不具合箇所の修理や、増改築など必要な部分のみを対処するため、リノベーションに比べて工事費用が安くすみます。
必要な費用を抑えられるため資金計画が立てやすいのが魅力です。
また、リフォームを対象にしたローンもあります。
リフォームローンには公的と民間の2種類があり、それぞれ金利のタイプが異なるため、自分に合ったローンを選ぶのが大切です。
さらに、耐震性や耐久性、省エネ性能に関わるリフォームには、条件を満たすと補助金や助成金がもらえる支援制度もあるため、該当する人はお得にリフォームを行うことが可能です。
ただし、申込みには見積書などの提出が求められる場合があるので、制度を利用する場合は施工会社や工務店などに事前に確認をし、準備してもらうのがよいでしょう。
(3)完成した時のイメージがしやすい
家や部屋の全体を変えるのではなく、一部の間取りや設備機器を変更するリフォームは、完成後のイメージがつかみやすいです。
全体的な家のデザインは変わらないため、雰囲気はそのままで不具合箇所の修繕が可能。
家事動線にもあまり影響しないため、工事後もストレスなく快適に過ごすことができます。
リノベーションと比較したリフォームのデメリット
一方、リフォームにはデメリットもあるため注意が必要です。デメリットは以下のとおり。
(1)設計の自由が低い
リフォームは設備機器の交換や内外装の修繕などの限られた範囲の工事がほとんどです。そのため、設計の自由度はリノベーションより低くなります。
「せっかくリフォームするならおしゃれな家にしたい!」と思っても、家のデザイン自体はそのままなので、設計に制限があるケースも考えられます。
自由な設計で家を改装したいなら、リノベーションの方がおすすめです。
リノベーションは配管や間取りなどの大規模な改修が可能なため、ライフスタイルや家族構成の変化に応じて柔軟に対応が可能。
リノベーションを担当するデザイナーのアイデアによって、自由度の高い住まいが実現します。
(2)デザインはほとんど求められない
リフォームは間取りを大きく変更することができないため、現状の家に合うサイズの設備のみとなり、デザインに妥協しなければならない場合も出てきます。
リフォーム会社によりますが、いくつかの商品ラインナップから選択する場合がほとんどです。
また、リフォームをした場所と他の場所では統一感が失われる可能性もあります。
デザインにこだわりがあり、自分たちだけのオリジナリティ溢れる空間をつくりたい人は、リノベーションを検討したほうがよいでしょう。
リフォームの相場は
国土交通省の「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、リフォーム費用の平均額は201万円でした。
このうち、自己資金は8割の161万円。預貯金や有価証券の売却代金、退職金をリフォーム費用にあてる人が最も多いという結果でした。
出典:国土交通省 令和3年度 001477550.pdf (mlit.go.jp)
また、個別のリフォーム費用の相場はLIXILを参考に下記にまとめています。リフォームを検討している人はチェックしてみてください。
- ✅キッチン:100~300万円
(取り替えだけなら100万円以内、間取りの変更や背面収納などの採用は~300万円)
- ✅浴室:50~150万円
(取り替えだけなら100万円以内、古いタイプからの変更などは100~200万円)
- ✅トイレ:~100万円
(取り替えだけなら50万円以内、タンクレスや壁紙リフォームは50~100万円)
- ✅洗面台:~100万円
(標準仕様なら50万円以内、選択できるデザインを増やすなら~100万円)
リフォームにかかる金額は、リフォーム業者によってさまざまです。
見積もりだけであれば、無料で行っている場合もあるため、複数の会社で見積もりをしてもらい、要望と予算に合うリフォーム会社を見つけるのがおすすめです。
出典:LIXIL「リフォーム事例と費用の相場」
リフォームに向いている人
リフォームの魅力は、今あるデザインはそのままで気軽に仕様をアップデートできるため、全体的には今の家に満足しているけど、部分的に改善したい場所があるという人におすすめです。
また、リノベーションに比べて費用が安く、工事期間が短いのも特徴。
時間や費用をかけずに暮らしをより快適にしたい人は、リフォームを検討してみるとよいでしょう。
リノベーションに向いている人
リノベーションは、柔軟性が高く自由な設計が魅力です。そのため、デザインなどゼロから家づくりがしたい人におすすめです。
また、物件探しやプランニング、施工など住むまでにはかなり時間がかかるため、リノベーションはじっくり家づくりを楽しみたい人にも向いています。
こだわりたい部分が多く、徹底的に自分好みの住まいを追求したい人は、リノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、リフォームとリノベーションの違いやメリット、デメリットについて解説してきました。
リフォームは、設備機器や家の一部を直して新築同様の状態に戻す工事、リノベーションは、付加価値をつけて現状よりも家の価値を高める工事を指します。
費用をかけず手軽さを求めるならリフォーム、時間と費用をかけてこだわりの家づくりをするならリノベーションがおすすめ。
予算と理想の住まいをイメージに合わせて、最適な工事を選択するのが重要です。
リフォームかリノベーションのどちらにしようか迷う人は、プロに相談してみるのも選択肢のひとつ。料金やサービスの説明をプロの目線でアドバイスしてくれます。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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