50代の老後資金はいくら必要?FPが必要なお金と作り方について解説!
50代になると自身の将来の老後について考えることが増えます。
- ✅今のままでは老後資金は大丈夫なのか?
- ✅老後資金が不足になったらどうしょう?
- ✅老後資金の作り方を知りたい
など、不安を感じている方も少なくないでしょう。
この記事では老後を楽しく快適に過ごすために、誰でも簡単に実践できる老後資金の積み立て方法についての情報をシニアの皆様にお伝えします。
老後資金について不安を感じている方、老後資金を増やしたいを考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
老後資金とは何か
「老後資金」という言葉は具体的な定義がないものの、通常は仕事を退職後の暮らしに必要なお金を指します。
これは、老後において日々の生活費や医療費や食費だけでなく、趣味や娯楽の費用などの負担も含まれます。
50代の老後資金の現状と目指すべき老後資金はいくら?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」の世帯調査のデータを参考に、各年代の貯金平均額を調べてみましょう。
(1)50代の平均貯蓄額と目安
50代の人々の平均貯金額の平均値は約11,990,000円ですが、中央値は2,600,000円です。自分の貯金額を評価する際には、中央値を目安とすることがおすすめです。
(2)自分が必要となる老後資金の目安と不足額
2019年に金融庁が公表した報告書の家計調査によると、高齢夫婦の無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の世帯主と配偶者二人の無職世帯)を考えると、平均的には実収入よりも実支出が月額約55,000円多くなる出費が必要な赤字状態であることが指摘されています。
60歳で定年退職後の平均余命を30年と仮定し、老後に必要な資金を算出すると以下の通りです。
平均データを基準に残りの余命30年の不足金額を計算する場合は、「55,000円×12ヵ月×30年=19,800,000円」となります。いわゆる話題の2,000万円問題です。
2,000万円問題について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
なお、2,000万円問題はあくまでも平均値で計算した目安金額となり、ご自身が求めている老後生活によって必要となる金額が変わります。
例えば、毎月の生活費の他にゴルフ、旅行などの趣味をしっかり楽しみたい方は、月々の生活費が高くなる傾向になります。下記条件を仮定して不足金額を算出してみましょう。
- ✅毎月の費用:40万円
- ✅年金の他に不足金額:15万円
- ✅65歳から90歳まで:25年間
- ✅合計:15万☓12ヶ月☓25年=4,500万円
という試算になります。
自己資金が2,000万円ある場合は、不足となる老後資金は2,500万円になります。このように、自分が理想となる老後生活、そして貯金によって不足金額が変わりますので、ぜひご自身の不足金額を算出してみてください。
50代の方が効率よく老後資金の作り方について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
老後資金の作り方について下記動画でも解説していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
50歳からの老後資金を準備するポイント
50歳を過ぎてからでも、老後の資金対策を実施できる方法を説明します。
(1)年金を含めた老後の資金管理
公的年金の平均支給額を調べるために、「厚生年金保険・国民年金事業の概況」に掲載されているデータを確認しましょう。
①年金平均額とその活用
令和3年時点で国民全体がもらえる老齢基礎年金額の平均は毎月56,479円です。
さらに、会社員などが受給できる老齢厚生年金も受給する場合には平均支給額は145,665円になります(老齢厚生年金は現役時の平均年収によっても変わります。)。
この老齢年金が先ほど説明した「高齢夫婦の無職世帯の実収入」における主な収入源になります。具体的に自分が受け取れる予定の額はねんきん定期便をご覧ください。
より正確に年金額を計算したい方は、ぜひ下記動画をチェックしてみてください。
②年金なしでの老後資金の準備
年金なしでの老後資金の準備資産を築くためには、個人でも投資などに積極的に取り組むことが重要です。
つみたてNISAの制度を利用して積立投資を行うことやiDeCo (個人型確定拠出年金)が方法として考えられます。
つみたてNISAやiDeCoについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(2)保険と生活費の管理
老後資金に関連して保険と生活費の管理が大切です。
①保険の活用と見直し
終身保険は、不慮の事故や状況に備えて保険金を受け取るだけでなく、通常、解約時に解約返戻金を受け取ることもできます。
個人年金保険は、契約時に設定した年齢から年金を受け取ることができる保険です。ただし注意点として、保険に掛金を払い過ぎている場合は見直しが必要です。
②50歳の健康について
50代は、これまでの生活習慣の影響が体に現れる時期です。心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる疾患のリスクが増加します。
また、筋力が低下し、五十肩や腰痛などの体の不調が増えます。
この年代の人々は、食事や運動などの生活習慣に特に注意が必要です。
(3)子どもの独立と教育費の管理
文部科学省が公開している「子どもの学習費調査」のデータから、幼稚園から大学までにかかる教育費の年間金額の目安を確認しましょう。
①教育費の計算と貯蓄
子供一人あたりの養育費は、幼稚園から大学卒業まで全てを考慮すると、「全て国公立」の場合約8,000,000円、「全て私立」の場合約22,000,000円の教育費がかかることになります。
実際の進学パターンでは教育費の幅は通常、約8,000,000円から約22,000,000円未満の範囲内で変動することが一般的です。
②子どもの独立後の家計見直し
まず見直すべきポイントは、生命保険です。以前、お子さんが小さかった頃に加入した生命保険を、そのままの保障額で更新し、高額な月々の保険料を払っているケースがあります。
また、他にも車の維持費などに無駄があるケースがあります。車は通勤以外であまり使わないのに、大型の8人乗り車を維持しているような場合は無駄があると言えます。
食費を使いすぎの場合もあります。
(4)介護保険と介護資金の準備
(公財)生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によれば、一時的な費用が平均で約740,000円かかります。
また、介護の月々の費用は平均で約83,000円必要です。
介護期間は平均して5年1ヵ月なので、全体として考えると約5,800,000円以上の費用がかかることになります。
(5)年金ごとの老後資金の必要額を把握する
先述した通り、老後は実収入よりも実支出が平均約55,000円多くなることが想定されます。
参考に90歳までに生きた場合、年齢ごとの老後資金の必要額をシミュレーションすると以下の通りです。
- ✅60歳:55,000円×12か月×30年=19,800,000円(≒2000万円)
- ✅70歳:55,000円×12か月×20年=13,200,000円
- ✅80歳:55,000円×12か月×10年=6,600,000円
(6)引きこもりや病気を考慮した老後資金の目安
統計によると、引きこもりや病気を考慮した場合やセカンドライフにゆとりのある生活を送るためには毎月の支出額がさらに14万8,000円増えます。
70歳を例に考えると老後資金の目標金額は以下の通りです。
13,200,000円+148,000円×12か月×20年=48,720,000円
ただし、皆が前述の金額を無理に必ず用意する必要はなく、老後資金の必要額は個々に異なります。
資産運用を活用し老後資金を増やす
「人生100年時代」と言われる現代では、重要な概念の一つが「資産寿命」です。資産寿命とは、老後生活を送るために蓄えた資産が使い果たされるまでの期間を指します。
長寿化により、定年後の人生が長期化することから、自身の寿命を超える前に資産が底をつく可能性があることに気を付ける必要があります。
(1)収支を黒字にする方法
家計が赤字の場合、対策として取れる方法は「収入を増やす」か「支出を削減する」ことです。
①支出を見直す
家計の支出項目は大きく、固定費と変動費に分かれます。
固定費は、毎月一定の金額で支出される費用です。住居費や通信費、水道光熱費などが該当します。固定費を節約することは、長期的に支出を減らす効果があり、非常に効果的な節約方法です。
固定費の見直し方について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
②収入を増やす
収入を増やす際には、何でも良いわけではなく、生活費に充てられる金額や、収入の安定性が重要です。
給与や利息、賃料収入などがその例です。
しかし、収入増加の方法は限られており、手続きや手間がかかることもあるため、黒字化のために選択する際には注意が必要です。
(2)資産運用をする
通常の60歳での退職以降も働く機会が増えるかもしれませんが、一度働かなくなった後は、年金が主な収入源となるでしょう。
年金だけでは足りない場合は資産運用・資産形成が必要です。
①具体的な投資プランを立てる
老後のための貯金を単に使い続けるだけでは、途中で貯蓄が底をついてしまうかもしれません。
これを防ぐためには、具体的な投資プランを立てて、金融資産の割合を考えて総額を増やすために投資を検討する必要があります。
②50代から考える投資のリスクとリターン
ただし、ここで高リスクな投資を行って、預貯金を減らしてしまうのは賢い選択ではありません。
リスクが低く、効率的な資産運用方法を探すことがおすすめです。
③50代の方におすすめな投資商品5選
資産運用の方法について、50代の方におすすめな投資商品を一つずつ紹介していきます。
- ■投資信託
資産運用と聞くと、多くの人が株式投資を思い浮かべるかもしれません。
しかし、株式投資にはリスクが伴い、1つの銘柄が急落すると貯蓄が大幅に減少する可能性があります。
そのため、金融資産として投資信託がおすすめされます。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
一方で投資商品の中には絶対に損をする商品もあります。下記動画ではそのような商品の特徴を解説していますので、損をしたくない方はぜひご覧ください。
- ■金(ゴールド)投資
金は非常に高い価値があり、しかもその価値は世界中で共通です。
日々の相場は変動しますが、長い期間を見れば、金の価値は基本的に上昇傾向にあります。
金は限られた資源であり、長い間保有し続けてもその価値がゼロになることはほとんどありません。
金投資について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
- ■不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングは、小額の出資を通じて不動産に投資し、出資比率に応じた収益を契約期間内で受け取るオンラインサービスです。
すべての契約や取引がインターネット上で行われます。
このサービスは、少額から始めやすく、老後資金の準備に適しています。
- ■外貨預金
50代の資産運用初心者にもおすすめな金融商品の一つは「外貨預金」です。
外貨預金は、日本円に比べて金利が高い通貨を保有できるため、運用効率を高めやすいです。
ただし、外貨預金には為替レートの変動によって資産が減る可能性があるというデメリットがありますので注意しましょう。
外貨預金について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
- ■国債
個人向け国債とは、個人が1万円から手軽に購入できる国が発行する債券のことです。
銀行、郵便局、証券会社などで購入でき、個人にとって利用しやすい仕組みを持っています。
個人向け国債は元本割れのリスクがないため、資金を一時的に保管するのに適しています。
不安な方はFPに相談
老後資金について不安な意識をお持ちの方はFPに相談してみましょう。
(1)FPに何が相談できる?
ファイナンシャルプランナー(FP)は、ライフプランや家計、保険、資産運用、税金対策、相続、事業承継など、幅広いお金に関する知識を持っています。
FPは幅税金対策や保険の見直しなど、顧客のニーズに合わせた解決策を提供します。
金融機関では得られない多様なアドバイスを受けられます。
(2)FPに相談するメリット
FPに相談すると、現在の課題解決だけでなく、マネープランを立てやすくなります。
家計分析を通じて、将来のマイホーム資金や老後資金のための計画を立てる手助けが受けられます。また、現在の経済的困難に対処するための具体的な提案も受けられます。無料の相談もあります。
まとめ
老後のイメージがしっかりとは湧かず、色々と考え始めると答が見つからずに戸惑うこともあるでしょう。
そんなときは今できることから始めるのがオススメです。金融サービスや制度にも様々なものがありますが、自分のライフプランに合わせて積立金額や契約内容を調整できるものもありますので、現在の自分の生活に無理をかけず、将来への準備を着実に進めましょう。
今回の記事が読者の皆様の老後資金に対する理解を深めるきっかけになれば幸いです。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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