医療保険が不要と言われる3つの理由!不要と必要な人の特徴も解説
近年、民間医療保険の不要論が主張されていますが、医療保険は本当にいらないのでしょうか。
本記事では、医療保険が不要とされている理由や、医療保険が不要な人と必要な人の条件について徹底解説しています。
自分に医療保険が必要か分からない人や、医療保険の選び方で後悔したくない方はぜひ本記事をチェックしてください。
なぜ医療保険はいらない?不要と言われている3つの理由
まずは、医療保険がいらないと言われている3つの理由をチェックしておきましょう。
- 公的医療保険制度が充実しているから
- 高額医療費制度が利用できるから
- 高齢で医療保険に加入すると高額になるから
それぞれについて詳しく見ていきます。
(1)公的医療保険制度が充実しているから
公的医療保険制度とは、日本国民全員に加入義務がある国民皆保険制度のひとつで、国や自治体が運営する公的保険制度の一部でもあります。
公的医療保険制度には、健康保険と国民健康保険の主に2種類があり、2つの保険制度の違いは下記の通りです。
- 健康保険…会社員や公務員などが加入する(会社と本人が半分ずつ保険料を負担)
- 国民健康保険…自営業者や会社を退職した人などが加入する(保険料は全額自己負担)
これら公的医療制度が保険適用となるのは、医療機関にかかった際にかかった治療費や入院費用などの医療費用です。
一般・低所得者 | 現役並み所得者 | |
75歳以上 | 1割負担 | 3割負担 |
70歳~74歳 | 2割負担 | 3割負担 |
6歳~69歳 | 3割負担 | |
6歳未満 | 2割負担 |
年齢や所得によって負担額の割合は変わるものの、基本的に現役世代は医療費全額のうち3割のみが自己負担額となります。
そのため、病気やケガで手術・入院したとしても自己負担費用は3割程度ですむため、自己負担分を減らせるのです。
(2)高額医療費制度が利用できるから
公的医療保険制度には、健康保険制度の他に高額医療費制度の利用も可能です。
公的保険で医療費の自己負担割合が3割負担になるとはいえ、頻繁に診療が必要だったり、入院が長期化したりすると診察代や療養費などの出費が高額になる可能性があります。
高額医療費制度は、こうした通院や長期入院で病院にかかった場合に自己負担限度額を定めることで、毎月の医療費負担を軽減させる公的制度です。
1ヶ月あたりの上限金額は、被保険者の年齢や収入などによって下記表のように定められています。
- ✅70歳以上
適用所得区分 | ひと月の上限額 | |
現役並み | 年収約1,160万円~ (標報83万円以上/課税所得690万円以上) | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
年収約770万円~約1,160万円 (標報53万円以上/課税所得380万円以上) | 167,400円+(医療費-558,000)×1% | |
年収約370万円~約770万円 (標報28万円以上/課税所得145万円以上) | 80,100円+(医療費-267,000)×1% | |
一般 | 年収156万円~約370万円 (標報26万円以下/課税所得145万円未満等) | 57,600円 |
住民税非課税世帯等 | 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) | 15,000円 |
- ✅69歳以下
適用所得区分 | ひと月の上限額 |
年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
年収約770万円~約1,160万円 健保:標報53万円~79万円 国保:旧ただし書き所得600万円~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
年収約370万円~約770万円 健保:標報28万円~50万円 国保:旧ただし書き所得210万円~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 |
(3)高齢で医療保険に加入すると高額になるから
医療保険は一般的に高齢で加入するほど保険料が高くなる傾向にあります。
医療保障の内容が同じでも、若年者と高齢者では高齢者の方が月々の保険料は高額になりますのでご注意ください。
下記は25歳男性と55歳男性の保険料と保険料総額を比較した表です。
- 例)入院1日5,000円の医療保険(保険料を65歳まで支払う)に加入する場合
保険料 | 保険料総額 | |
25歳男性 | 月1,904円 | 約91万円 |
55歳男性 | 月9,688円 | 約116万円 |
上記例をみてみると、保険期間が短いはずの55歳男性は、25歳男性より総額が高くなっています。
保険料や保障内容は保険によってさまざまですが、加入時期によっては保険料で損する可能性があることを理解しておきましょう。
医療保険に加入した方がいい!必要な人の特徴
(1)治療などの選択肢を広げたい人
治療方法の中には、先進医療とよばれる身体への負担を極力抑えるものや、入院期間が短くてすむものなどがあります。
ただし、先進医療技術を使った治療は公的医療保険制度の対象外なので、医療費は全額自己負担となるのはデメリットといえます。
そこで、保険適用外の先進医療に備えたい人におすすめなのが、医療保険に先進医療特約を付けるプランです。
先進医療特約はがん治療などに対して先進医療を受けた場合、かかった技術料を保障してくれるため、豊富な医療サービスを希望する人は、医療保険加入を検討するのもよいでしょう。
(2)医療費を支払う余裕がない人
はじめにもお伝えしたように、日本には公的医療保険制度があるため、病気やけがによる医療費は原則3割負担です。
しかし、怪我の状況や病気の種類によっては長期間の入院が必要となり、いくら自己負担が3割といえどもかなり高額になってしまいます。
「金銭的に余裕がなく治療が受けられない」といった事態にならないよう、経済的に不安な人は万が一のリスクに備えて医療保険に加入しておくと安心です。
医療保険が無駄になる?必要ない人の特徴
医療保険が不要な人に共通するのは、貯蓄額が多いことです。
貯金が多く、生活費に十分なゆとりがあるなら、公的医療保険の不足部分を余裕資金で充分に補填できます。
また、世帯収入が高額でかつ安定している場合、専業主婦(夫)や子供など被扶養者の医療保険は不要といえます。
妻(夫)は公的医療保険で3割負担、子どもは全国に設けられている医療費負担制度で2割負担、自治体によっては無料になりますので、給料だけで医療費を充分にまかなえるのです。
年代別で考える医療保険の必要性
ここからは、医療保険の必要性を年代別に分けて確認していきましょう。
(1)20代
20代は社会人になって間もない人が多く、学生も含むため貯金はこれからという人がほとんどです。
収入が少なく、病気になる可能性も低いため焦って医療保険に入る必要はありません。
ただし、20代は仕事やプライベートなど環境の変化によってストレスを感じやすい年代でもあります。
過度なストレスは精神的な疾患につながる可能性もあるため、考え方によっては保険料が安いこの時期に医療保険に加入しておくのもよいかもしれません。
(2)30代
30代はキャリアアップによって20代の頃よりも年収が増える傾向にあります。
一方、結婚や妊娠・出産、マイホームの購入など家族構成やライフスタイルの変化によって支出が多くなるのも30歳代なので就労不能になるリスクには備えたいものです。
収入が安定していて公的医療保険の負担額を収入で十分にまかなえるのであれば、医療保険は不要と思いますが、事故や病気で万が一働けなくなった場合のリスクにも備えるなら医療保険に加入しておくと安心感につながるでしょう。
(3)40代
40代は子どもの教育資金が最も多くなりやすい年代です。
子どもの大学進学を考えている家庭は特に、死亡保険や就業不能保険などで働けなくなるリスクに備えることが大切といえます。
また、女性は40歳から乳がんや子宮頸がんなど、女性特有のがん確率が急激に高まるといわれています。
家族や親族の中にがんになった人がいる場合は特に、がん保険でがんのリスクに備えておきましょう。
(4)50代
50歳からは子どもが独立し始めたり、住宅ローンを完済したりして教育費や生活費が少なくなり、貯蓄がしやすくなります。
公的医療保険の負担分を貯蓄でまかないやすくなりますので、医療保険に加入している方は保険見直しのよい機会です。
医療費をカバーできる余裕資金がある方は、医療保険を解約しても大丈夫といえます。
また、50代は三大疾病のリスクがかなり高くなるといわれています。
先進医療を利用しようと考えている人は特に、医療保険の三大疾病特約で将来に備えておく方がよいでしょう。
(5)60代以後
60歳以降は子どもが独立している場合がほとんどなので、これまでにかかっていた生活費や教育費を老後資金に回せるようになります。
また、70歳~75歳未満は医療費の負担が2割、75歳以上は医療費の負担が1割なので、医療保険に入る必要はほとんどありません。
ただし、60代以降は会社を退職して年金生活になる人が増えるため、収入減少が考えられます。
公的医療保険を活用しつつ医療保険の必要性を判断し、心配な方は医療保険を継続するとよいでしょう。
ケース別で考える医療保険の必要性
ここでは、医療保険の必要性を加入者のケース別に4つご説明します。
(1)子ども
世帯収入が高い家庭の子どもは、公的医療保険と収入で医療費を十分にまかなえるため、医療保険の加入は不要です。
ただし、子どもが病気がちな場合や持病がある場合は、治療期間が長くなって医療費が高額になる可能性があるため、必要に応じて医療保険に加入しておきましょう。
(2)新社会人
学生の頃から親が保険をかけている人は、保障内容が重複する可能性があるため医療保険に入る必要はありません。
また、会社で医療保険に入っている人も民間の医療保険は原則不要です。
自分が会社でどのような医療保険に入っているか分からない人は、勤務先に確かめるとよいでしょう。
(3)独身
独身の場合、貯蓄が多く公的医療保険の負担額をまかなえるのであれば医療保険は必要ないでしょう。
また、公務員や会社員の場合は社会保険などの公的保険が充実しているため、医療保険に入らなくていいケースがほとんどです。
ただし、個人事業主やフリーランスは公的保険が手薄なので、万が一働けなくなった場合を想定して、早めに医療保険で備えておく必要があります。
(4)公務員
公務員は福利厚生がしっかりしており、病気休暇制度もあります。
病気休暇とは、何らかの理由で働けなくなった場合に給与の全額~8割程度の金額が支給される制度です。
そのため、自身に万が一のことがあっても収入がなくならいため、医療保険に入る必要はあまりないといえるでしょう。
ただし、病気休暇は公務員を退職した場合利用できなくなりますので、公務員を退職した後の医療費に備えたり、終身保険を考えたりしている人は医療保険への加入を検討しましょう。
不安な方はFPに相談
FPとはファイナンシャルプランナーの略で、お金に関する専門家を指します。
FPにはファイナンシャル・プランニング技能士やAFP、CFPなどの資格があり、それぞれの試験に合格した人のみがお金のプロとして、相談者の悩みに対してアドバイスができます。
(1)FPに相談できること
FPは保険や投資の基礎知識はもちろん、お金に関する相談内容であれば何でも対応可能です。
FPに相談できる例は下記の通りです。
- ✅資産形成や資産運用の提案
- ✅家計相談
- ✅投資や金融商品に関する一般的な説明
- ✅保険商品の一般的な説明
- ✅ライフプラン
- ✅住宅ローン
- ✅教育資金の計算方法
- ✅相続 など
具体的に相談できる内容について知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(2)FPに相談するメリット
FPに相談するメリットは、お金に関する困りごとを無料相談できる点です。
お金の問題は生活に支障をきたすにもかかわらず、他人には相談しづらいため1人で悩んでいる相談者が多くいます。
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まとめ
この記事では、医療保険加入の必要性について、医療保険が必要な人と不要な人の特徴を紹介してきました。
医療保険は対象者の年齢や職業、健康状態などさまざまな要素によって必要か不要かが異なります。
医療保険への加入を検討する際は、自分にとっての損得を考慮して加入を決めましょう。
本記事が、今後医療保険の契約を考える際の参考になりましたら幸いです。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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