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医療保険はいくら節税できる?計算方法を分かりやすく解説

2022年9月29日
医療

生命保険や医療保険は、万が一の備えとして加入している方は多いことでしょう。

一方で、生命保険や医療保険に加入していることで、税金が安くなる可能性があることをご存知でしょうか?それが、生命保険料控除の制度です。

本記事では、生命保険料控除の制度や、生命保険料控除による節税の効果を分かりやすく解説していきます。現在、保険の満期が迫ってきて、家計の節約について保険額の見直しを検討しているなどの対策を考えている方は是非ともご一読ください。

生命保険料控除とは?3区分について

健康

生命保険料控除の制度は、当初から用意されていた「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」に、2012年1月1日の改正にともない、「介護医療保険料控除」が追加されました。

ここでは、生命保険料控除の制度および生命保険料控除の3区分について解説していきましょう。

(1)そもそも生命保険料控除とは?

生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料に応じて一定の金額が、所得から差し引いてもらえる制度です。

なぜ、生命保険料控除を受けると税金が安くなるのでしょうか?

所得税や住民税は、年収から必要な経費と一定の金額を差し引いた「課税所得」をもとに計算されます。生命保険料が控除されると、課税対象となる所得から所得税や住民税が減額されることになるので、税負担が軽減されるという仕組みです。

(2)生命保険料控除の3区分

生命保険料控除の種類は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3区分に分かれており、控除額が決まっています。

ここでは、3区分それぞれの控除額について解説します。

一般生命保険の控除額

一般生命保険料控除は、定期保険や終身保険、学資保険などが対象です。

将来のリスクについて考えている40代、50代の方は終身保険などに加入しておられるでしょうし、子供がいる20代、30代の方は教育資金の確保のために学資保険に加入してられるのではないでしょうか。

一般生命保険料控除の限度額は、所得税が4万円、住民税が2万8,000円となっています。

所得税と住民税の控除額の計算は、以下の表の通りです。

  1. ☑所得税の控除額
年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律 40,000円
出典:国税庁
  1. ☑住民税の控除額
年間の支払保険料等控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超〜32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超〜56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律 28,000円
出典:東京都主税局

介護医療保険の控除額

介護医療保険料控除は、介護保険の他、がん保険などが対象です。

介護医療保険料控除は、保険料控除制度が改定された際に新設されました。

これらの保険は、70歳や80歳と高齢になった場合、病気になったり介護が必要になった場合のリスクに備えて加入している方も多いでしょう。

それでは、介護医療保険料控除の所得税、住民税の控除額を見ていきましょう。限度額は、所得税が4万円、住民税が2万8,000円となっています。

所得税と住民税の控除額の計算は、以下の表の通りです。

  1. ☑所得税の控除額
年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律 40,000円
出典:国税庁
  1. ☑住民税の控除額
年間の支払保険料等控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超〜32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超〜56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律 28,000円
出典:東京都主税局

個人年金保険料控除

個人年金保険については、個人年金保険料控除額の他、個人年金保険自体の利率などもあり、税軽減のない金融商品よりも効率的にお金が貯められるとして加入している方もいるのではないでしょうか。

しかし個人年金保険料控除は、「個人年金保険料税制適格特約」が付帯されていないと適用されません。この個人年金保険料税制適格特約が付帯されていない場合には、一般生命保険料控除の対象となり、個人年金保険料控除は受けられないので注意が必要です。

適用される要件の例としては、原則として満60歳になってから受け取ることができるとされている10年以上の定期、または終身の保険であることなどなどがあります。

それでは、介護医療保険料控除の所得税、住民税の控除額を見ていきましょう。限度額は、所得税が4万円、住民税が2万8,000円となっています。

所得税と住民税の控除額の計算は、以下の表の通りです。

  1. ☑所得税の控除額
年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律 40,000円
出典:国税庁

☑住民税の控除額

年間の支払保険料等控除額
12,000円以下支払保険料等の全額
12,000円超〜32,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超〜56,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超一律 28,000円
出典:東京都主税局

以上のことから、3区分それぞれが適用された場合、所得税の控除限度額は12万円となります。ここで注意してもらいたいのが、住民税の控除限度額です。住民税の控除限度額は、3区分それぞれが適用された場合でも、合計で7万円となります。8万4,000円ではない点に注意しましょう。

(3)改正前の生命保険料控除との違い

2012年1月1日に、生命保険料控除の制度が改正されました。旧制度では「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」の2区分だけでしたが、改正の際に「介護医療保険料控除」が新たに作られ、3区分とされたのです。

控除額も、改正前は50,000円を所得税の控除限度額、35,000円を住民税の控除限度額とされていました。

また、改正にともなって、生命保険料控除の対象から外れる特約もあります。例えば、身体に障害が発生した際に保険金が出る傷害特約や災害割増特約が特約の対象外になりました。保険の契約を締結する際には、生命保険料控除の対象となるかどうかを確認しておくようにしましょう。

医療保険でいくら節税になる?シミュレーションをしてみる

管理

生命保険料控除制度を受けることで、節税ができることは理解していただけたと思います。ここでは、控除制度を利用したことでどれくらい節税ができるかシミュレーションしてみましょう。

(1)医療保険の控除額

上述している通り、生命保険や医療保険に加入している場合、一定額の控除が受けられます。

再度、確認のために受けられる控除額を確認しておきましょう。

所得税、住民税の控除額について「一般生命保険料控除」「介護医療保険控除」「個人年金保険料控除」の3区分をまとめた表を下に掲載します。

☑所得税の控除額(一般生命保険料控除・介護医療保険控除・個人年金保険料控除 3区分共通))

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律 40,000円
出典:国税庁

☑住民税の控除額(一般生命保険料控除・介護医療保険控除・個人年金保険料控除 3区分共通))

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+6,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料等×1/4+14,000円
80,000円超一律 28,000円
出典:東京都主税局

3区分のそれぞれに控除が適用された場合には、所得税の控除限度額は12万円、住民税の控除限度額は7万円です。

(2)実際に医療保険控除を受けた時のシミュレーション

それでは、ここから実際に医療保険控除を適用した場合に税負担をどれだけ減らすことができるのかを解説していきましょう。

シミュレーションの条件として、以下の通り設定しています。

  1. ☑職業:会社員
  2. ☑年齢:35歳
  3. ☑家族構成:同居家族なしの独身男性
  4. ☑生命保険料控除額:所得税12万円(3区分適用)、住民税7万円(3区分適用)
  5. ☑社会保険料率:健康保険4.920%、厚生年金9.15%、雇用保険0.3%の計14.37%

 ※東京都で協会けんぽ加入を推定した場合の保険料率となっています。

 ※令和3年度保険料額を参照。

これから行うシミュレーションは、あくまでも節税額の目安を理解してもらうために算出するものです。所得税や住民税の額、節税額が実際とは異なる場合がありますので、ご注意ください。

①年収300万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合55,400円118,300円
医療保険料控除ありの場合49,400円111,300円
節税額6,000円7,000円

著者作成

②年収400万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合85,250円178,000円
医療保険料控除ありの場合79,250円171,000円
節税額6,000円7,000円

著者作成

③年収500万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合138,600円243,600円
医療保険料控除ありの場合126,600円236,600円
節税額12,000円7,000円

著者作成

④年収600万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合204,200円309,200円
医療保険料控除ありの場合192,200円302,200円
節税額12,000円7,000円

著者作成

⑤年収700万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合315,300円118,300円
医療保険料控除ありの場合291,300円111,300円
節税額24,000円7,000円

著者作成

⑥年収800万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合466,500円454,500円
医療保険料控除ありの場合442,500円447,500円
節税額24,000円7,000円

著者作成

⑦年収900万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合627,700円535,100円
医療保険料控除ありの場合603,700円528,100円
節税額24,000円7,000円

著者作成

⑧年収1,000万円のケース

 所得税住民税
医療保険料控除なしの場合799,100円620,800円
医療保険料控除ありの場合775,100円613,800円
節税額24,000円7,000円

著者作成

(3)医療保険はあまり節税にならない?

見ていただくとお分かりだと思いますが、医療保険控除を受けた場合、年収が上がるほど節税額が上がっていきます。これは、所得税が一定額を超えるたびに税率が高くなるためです。

その一方で、住民税については原則10%となっているため年収が上がっても節税額に変わりはありません。

一見すると思ったよりも節税額が安いため、節税にならないのでは感じる方もいると思いますが、医療保険による控除は、会社員が利用できる限られた節税方法の一つでもありますので、有効に活用するといいでしょう。

医療保険控除の手続きの流れ

申し込み

生命保険や医療保険の控除を利用しようと思った場合、申告する必要があります。申請には、毎年10月〜11月頃に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」という、保険料控除額が記載された書類が必要になるので、この書類はなくさないように保管しておきましょう。

生命保険料控除の申請手続きは、サラリーマンなどの被用者と自営業者で異なるので注意してください。

(1)被用者の場合(サラリーマン)

被用者の場合は、年末調整の手続きの時に生命保険料控除を申告する方法で行います。勤務している会社から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を書き、生命保険料控除証明書と共に提出することで手続き完了です。

控除の申告を行い、所得税が安くなった場合、多く払っていた所得税が還付されたり翌年の住民税が減額されたりすることになります。

年末調整で申告し忘れた場合には、確定申告を行うことで利用することが可能です。

(2)自営業者の場合

自営業者の場合、2月中旬〜3月中旬の確定申告の際に手続きを行うことになります。確定申告では「第一表」「第二表」を記入する必要がありますが、それぞれに生命保険料控除の欄があり、記載する金額が異なるので注意が必要です。「第一表」には生命保険料控除額を記載し、「第二表」には実際に支払った保険料を区分に応じて記載してください。

確定申告で手続きを行う場合にも、年末調整同様に生命保険料控除証明書が必要になります。

生命保険料控除の改正前後が混在している場合は?

考える

生命保険料控除は2012年1月1日に改正され、新制度へと移行しています。

それでは、改正以前に契約していた場合、生命保険料控除はどのような取り扱いとなるのでしょうか。

まず、改正前(以降、旧制度)の生命保険料控除がどの様になっていたのか、下の表をご覧ください。

  1. ☑旧制度における所得税の控除額(一般生命保険料控除 ・ 個人年金保険料控除  )

年間の支払保険料等
控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超〜50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超〜100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律 50,000円
出典:国税庁
  1. ☑旧制度における住民税の控除額(一般生命保険料控除 ・ 個人年金保険料控除)

年間の支払保険料等
控除額
15,000円以下支払保険料等の全額
15,000円超〜40,000円以下支払保険料等×1/2+7,500円
40,000円超〜70,000円以下支払保険料等×1/4+17,500円
70,000円超一律 35,000円
出典:東京都主税局

新制度と旧制度の違いとしては、「介護医療保険制度」が創設されていないことと控除額に違いがある点です。

控除額に違いがあるため、新制度と旧制度が混在している場合に問題が発生します。

それでは、新制度と旧制度が混在している場合、その控除額はどの様になるのか具体例を見てみましょう。

旧制度の適用を受けるのは一般生命保険料控除、新制度の適用を受けるのは、個人年金保険料控除と介護医療保険料控除として考えます。

それぞれ支払保険料等が10万円以上と仮定した場合の控除額は以下のようになります。

  1. ☑一般生命保険料控除額:50,000円
  2. ☑個人年金保険料控除額:40,000円
  3. ☑介護医療保険料控除額:40,000円

上記を合計した生命保険料控除額は、13万円となります。しかし、上限控除額は改定によって12万円と定められていますので、こちらが適用されます。

住民税も同様に、新制度で定められた上限控除額である7万円を超える場合は、7万円が適用されるのでご注意ください。

この様に、新制度と旧制度が混在している場合には、併用計算をして控除額を合計した後に、上限控除額に注意する必要があります。

損したくない方はFPに相談することがおすすめ

ファイナンシャルプランナー

生命保険料控除の制度は節税効果のメリットを得られることがご理解いただけたと思います。すぐにでも利用したいと考えた方も多いのではないでしょうか。

しかし、やみくもに保険に加入することはおすすめできません。その理由として、入る保険を間違えてしまったり、受取人を間違えて契約してしまったり、保険の種類を間違うと生命保険料控除の対象から外れてしまい、節税効果を得られず支払っていた保険料が無駄になってしまうことがあるからです。

個人年金保険料控除については、条件をクリアした上で「個人年金保険料税制適格特約」をつける必要があり、約款をしっかり読み理解しなければいけないなど、それなりの知識が必要とされます。

その他にも医療費が年間で一定額以上かかった場合に受けらえる医療費控除の制度などもあります。

生命保険料控除の制度でしっかりと節税効果を得たいと考えている場合、ファイナンシャルプランナー(FP)相談するのがおすすめです。

FPはお金に関する専門知識を持ったプロフェッショナルですので、生命保険料控除について的確なアドバイスをすることができます。これから生命保険料控除を受けてみたいと考えている方はもちろん、保険の見直しを考えている方にもおすすめです。

まとめ

女性

生命保険や医療保険に加入していると、税負担を減らすことができます。ところが、実際に生命保険料控除を受けている方の中には、年収によってはあまりその効果を得られないと感じている方もおられるのではないでしょうか。

確かに、生命保険料控除制度は年収が上がるほどに税負担は軽減されるため、効果をあまり実感できないことも事実です。しかし、生命保険料控除制度は、控除制度の中でも会社員が利用できる限られた制度であることは確かですので、利用しておくことで損をすることはありません。

実際に今の日本には100種類以上の保険商品があると言われています。素人がその中から自分に合った商品を選ぶのはもはや至難の業です。そんな時は保険にも詳しいFPに相談してみるのはいかがでしょうか?

お金の専門家であるFPであれば、生命保険料控除の相談だけでなく、様々な角度から保険の見直しのアドバイスをすることができます。ぜひお近くのFPにご相談ください。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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