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教育資金贈与を受ける時の注意点は?特例を使って課税されるケースも解説

2022年10月13日
祖母

ひとりの子どもが幼稚園から大学までにかかる学費は、文部科学省の発表データによると約1,000万円と言われています。

また、私立に通う場合は約2,500万円かかると言われており、多額の費用が必要となります。

孫に教育資金を残したいと考える祖父母も多いのではないでしょうか。

教育資金を贈与するときは、贈与を受ける孫にできるだけ贈与税がかからないように節税対策したいことでしょう。

しかし、多額の教育資金を一括で贈与してしまうと、タイミングや贈与方法によっては贈与税が課税されてしまいます。

本記事では、教育資金を都度贈与する場合と、一括で贈与する場合の教育資金一括贈与の特例について、どのような制度があり、非課税枠がいくらなのか、どのような手続きや契約書が必要なのかを分かりやすく説明していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、各制度のメリットデメリットを押さえて、できるだけ贈与税や相続税がかからない方法で孫に教育資金をプレゼントしましょう。

元々教育資金は必要なタイミングで贈与を受ける場合は非課税

税金

そもそも教育資金は必要なタイミングで贈与を受ける場合は非課税で、これは親から子、祖父部から孫へも同様です。

この「必要なタイミング」と金額が重要ですので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)教育資金は必要なタイミングで贈与を受ける場合は非課税

ほとんどの家庭では、子育て資金として学校や塾にかかる費用は親が負担しています。

大学の授業料などで、年間の教育費が110万円を超える年もあると思いますが、子供に贈与税が課税される事はありません。

もともと、親が子供に必要に応じて教育資金を譲渡することは扶養義務の範囲内なので、非課税です。

祖父母が孫に教育費を提供する場合も同様で、「都度贈与」の場合は贈与税が発生しません。

都度贈与とは、一般的に教育に必要なものを適度な金額で、祖父母が孫にその都度贈与することです。

例えば、孫の入学金や授業料をその都度、孫に提供しても、先ほど述べた親の場合と同様に扶養義務の範囲とみなされるので、贈与税はかかりません。

非課税の上限に決まりはありませんが、一般的な金額を超えない範囲が良いでしょう。

例えば、大学の入学金なら100万円、4年間の授業料なら400万円が目安になります。

また使用用途を明確にするため、領収書等を保管し、贈与額や贈与日をメモしておくことをおすすめします。

(2)将来のために教育資金を贈与する場合は課税される

孫が大学に進学するタイミングで、適度な資金を贈与しても、それは必要に応じた教育費用ですので贈与税がかかることはありません。

しかし、孫が小さいうち等に、将来の進学に備えてと資金を贈与した場合は、必要なタイミングで教育資金を贈与していないため、贈与税が課税される可能性があります。

(3)暦年贈与を利用するのもあり

贈与税が発生しないように教育資金を贈与する方法は、教育資金が必要なタイミングで贈与する他にも暦年贈与をする方法があります。

暦年贈与とは1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円の基礎控除額があり、110万円以下の贈与であれば贈与税は発生しないということです。

暦年贈与は使用目的や贈与者との関係なども限定されず、申告する必要もありません。

一方、暦年贈与は、例えば500万円や1,000万円などまとまった資金を贈与する場合にはある程度の年月が必要です。

また、毎年決まった時期に110万円ずつ提供すると定期贈与とみなされる場合がありますので、贈与する金額や時期は毎年変えると良いでしょう。

教育資金一括贈与の特例とは?利用方法について

祖父母

様々な理由で暦年贈与では都合が悪く、多額の資金を一括で贈与したい場合もあるでしょう。

そのような場合に、大変有効な贈与方法が教育資金一括贈与の特例です。

この項では教育資金一括贈与の特例の制度について分かりやすく解説し、利用方法や注意点についても説明します。

(1)教育資金一括贈与の特例とは

教育資金一括贈与の特例とは、両親や祖父母から30歳未満の子や孫に対して、教育資金に使用するための生前贈与を行う場合、金融機関を通じて教育資金非課税申告書を税務署に提出すれば、最高で1,500万円までの贈与が非課税という制度です。

この制度のポイントは、1,500万円までという「大金」「一括で」渡してしまうという2点です。

なお、教育資金一括贈与の特例は2013年に創設され、期間が限られた制度でしたが、税制改正により2023(令和5)年3月まで延長されました。

この制度を利用する際はくれぐれも期限に注意しましょう。

(2)教育資金贈与で非課税になる項目は2つ

教育資金とは教育に必要なお金ですが、教育資金一括贈与の特例の制度を利用する場合は、いくつか注意点があります。

まずは、教育資金贈与で非課税になる項目について説明します。

①学校に直接支払われた場合は最大1,500万円まで非課税

学校等の正規の教育機関のための費用は、1,500万円の枠いっぱいまで使用できます。学校等というのは公立・私立を問いません。

また、保育園・幼稚園、小学校、中学校、高校、大学はもちろん、専門学校や職業訓練校等も含まれます。

認められている支出目的は、以下の通りです。

  1. ☑入学金・授業料、入園料・保育料、施設設備費
  2. ☑入学試験・入園試験の受験料
  3. ☑在学証明・成績証明等の手数料
  4. ☑学用品の購入費・修学旅行費・学校給食費その他必要な費用

(※国税庁「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」より抜粋)

なお、詳細は国税庁のホームページを参照にしてください。

②学校以外の場合は500万円まで非課税

正規の教育機関ではない学習塾や、習い事等の費用はどうでしょうか。

この場合は、1,500万円の枠のうち500万円まで使用できます。

認められている支出目的は、以下の通りです。

  1. ☑習い事(学習塾、サッカー教室、ピアノ教室その他)の月謝
  2. ☑習い事の教室・指導者を介して購入した物品の代金
  3. ☑習い事のための施設使用料
  4. ☑通学定期代
  5. ☑海外留学のための引越しに伴う渡航費
  6. ☑国内の遠方の学校への進学のための引越しに伴う交通費

(※国税庁「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」より抜粋)

こちらも、詳細は必ず国税庁のホームページで確認しましょう。

(3)教育資金一括贈与の非課税制度を利用する方法

教育資金について明確になったところで、次は教育資金一括贈与の非課税制度を利用する方法について手順を追って説明します。

銀行、信託銀行などの金融機関にて専用口座開設

教育資金一括贈与の非課税制度を利用するには、銀行や信託銀行等などの金融機関にて教育資金口座を開く必要があります。

楽天銀行などのネット証券は取り扱っていない可能性もあります。

また、楽天証券などの証券会社で取り扱いがあるかどうかについても事前に確認しましょう。

保有できる口座は、贈与される人(受贈者)1名につき1口座のみで、複数の金融機関で教育資金口座を開設することはできません。

教育資金非課税申告書を管轄税務署に提出

口座開設時には、教育資金非課税申告書を金融機関を通じて納税地を管轄する税務署に提出します。

教育資金非課税申告書は、口座開設を行った金融機関が税務署へ提出しますので、贈与者は金融機関で申告書の記入を行うだけで問題ありません。

祖父母に直接学校に振り込んでもらう

手続きが完了したら、祖父母に直接学校に振り込んでもらいましょう。

しかし、学校や法人によっては祖父母からの振り込みができない場合もありますので、その場合は銀行に振り込んでもらいます。

なお、一括という名前から間違いやすいポイントですが、1,500万円までなら一括ではなく追加で預け入れることも可能です。

孫が授業料などを支払い、領収書を受け取ります。

教育資金口座を開設した金融機関へ領収書を持参し手続きをすることにより、現金を引き出します

なお、この手続きは金融機関により異なる場合があり、口座から先にお金を引き出せるケースや請求書を金融機関へ渡すことで金融機関から学校等へ振り込むケースなどもあります。

※贈与した教育資金を払い出し手続きできるのは通帳の名義人である孫(未成年の場合は親権者)が教育資金として払い出す場合に限られ、祖父母などが中途解約することはできません。

(4)教育資金一括贈与の非課税制度を利用する時の注意点

この項の最後に教育資金一括贈与の非課税制度を利用する時の注意点について説明します。

この制度はやや複雑で、場合によっては贈与性が課税されてします可能性がありますので、注意点をよく読みましょう。

毎年必ず銀行に領収書を提出する

教育資金一括贈与の特例はあくまで、贈与されたお金が教育資金として使われることを前提とした制度です。

よって、トラブルにならないように、教育資金として使ったことを証明する必要があります。受贈者(子や孫)がお金を引き出して教育資金に使用した場合は領収書などを保管し、毎年銀行などの金融機関に提出する必要があります。

30歳までに全額を使い切る必要がある

教育資金一括贈与の特例は、受贈者(子や孫)が贈与された全てのお金を教育資金として使うことが前提です。

受贈者(子や孫)が30歳になるまでの間に使い切れなかった場合、余った金額は制度の趣旨にあてはまりません。

よって、贈与者が30歳になった時点で余った金額には贈与税がかかります。

教育資金以外で使わない

教育資金一括贈与の特例は、受贈者(子や孫)が贈与されたお金を教育資金として使うための制度です。

教育資金にあてはまらない使用は、言うまでもなくこの制度の趣旨に反しますので、贈与税がかかることになります。

教育資金一括贈与を利用しても税金がかかる場合がある?

女性

教育資金一括贈与の特例は正しく利用すれば大変有効な制度ですが、税金がかかる場合もあります。

贈与税が課税される場合相続税が課税される場合について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)贈与税が課税される場合

まずは贈与税が課税される場合について説明します。

30歳超えても金額が残っている場合

受贈者(子や孫)が30歳を超えても贈与されたお金が残っている場合、贈与者に戻す場合は贈与者の持ち物に戻るので非課税です。

しかし、受贈者が残額を受け取る場合は贈与税が課税されます。

贈与税には110万円の基礎控除がありますので、贈与額から110万円を差し引いた金額贈与税の課税対象です。

贈与税の金額は下記の速算表で計算します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超~400万円以下15%10万円
400万円超~600万円以下20%30万円
600万円超~1,000万円以下30%90万円
1,000万円超~1,500万円以下40%190万円
1,500万円超~3,000万円以下45%265万円
3,000万円超~4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
国税庁ホームページの贈与税の速算表を元に著者作成

仮に、残った金額が550万円の場合、基礎控除額を差し引くと、550万円− 110万円は440万円です。

速算表から、贈与税の課税対象となる金額が440万円の場合は、税率が20%控除額が30万円ですので、440万円× 0.2 − 30万円となり、贈与税の金額は58万円です。

教育資金以外で使われた場合

前項で述べたように、教育資金一括贈与の特例は、子や孫が贈与されたお金を教育資金として使うための制度ですので、教育資金以外で使われた場合は、贈与税が課税されます。

(2)相続税が課税される場合

次に相続税が課税される場合について説明します。

教育資金を贈与してから3年以内に祖父母が死亡した場合、教育資金口座の残高は相続財産となり、受贈者は相続人にあたりますので、相続税の申告が必要になる場合があります。

ただし、受贈者が23歳未満の場合や、23歳以上でも学校に在籍していたり、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けていたりする場合は、相続で取得したお金とはみなされません。

教育資金贈与に関するQ&A

質問

最後に、教育資金一括贈与の特例を利用するときに、よく受ける質問についてお答えします。

(1)祖父母4人がいる場合の非課税贈与額は3,000万円になる?なりません。

孫にとって祖父母は4人存在しますが、片方の祖父母から1,500万円の贈与を受けた場合、もう一方の祖父母から1,500万円の贈与を受けることはできません。

つまり、合計3,000円の贈与を受けることはできませんので注意しましょう。

ただし、例えば両方の祖父母から750円ずつ贈与し、合計で1,500万円となることは可能です。

(2)孫ではなく、子への贈与でも適用される?

適用されます。教育資金一括贈与は子や孫から見て直系尊属からの贈与でなければならない、と定められています。

つまり、贈与を受ける子や孫から見て、自分の祖父母と両親から30歳未満の直系の子や孫への贈与となります。

配偶者の直系尊属は含まれません(民法727条に規定する養子縁組による親族関係がある場合を除く)。

まとめ

祖父母

教育資金一括贈与の特例とは、30歳未満の子や孫に、教育資金として使用してもらう目的で最高1,500万円のお金を一括して贈与する制度です。

教育資金一括贈与の特例のメリットは、例えば何らかの理由で都度贈与が難しくなった場合でも、必要なお金を贈与税非課税という形でプレゼントできることでしょう。

また、教育資金の融資や保険などを検討していた子や孫にとっても、大変有難い制度です。

本記事を読んで制度のメリットデメリットを理解し、あなたにとって一番良い贈与方法で教育資金を贈与していただきたいと願っています。

ヤフーなどで検索するだけでも沢山の情報が得られる現代ですが、教育資金一括贈与の特例はやや複雑な制度ですので、ご不明な点は我々専門家であるFP相談することをおすすめします。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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