資産運用する時の6つのリスク|お金のプロが回避策も合わせてご紹介!
資産運用について興味がある人は多いでしょう。
興味はあるけれど、例えば次のような疑問があって踏み出せない人はいませんか?
- ☑「投資はリスクが多いと聞くけれど、投資して大丈夫なの?」
- ☑「いろいろな投資方法があって決められない…安全な投資はあるの?」
しかし、疑問や不安を抱いているだけではお金は増えません。
大切なのは、あなたの疑問を解決した上で、自分の選択肢を広げることです。
本記事では、資産運用をする際のリスクとは、一体どのようなものがあるのかを徹底解説し、回避する方法についても具体的に紹介します。
また、投資商品別にリスクとメリットを分かりやすく説明していますので、自分に合った投資方法が見つかるでしょう。
本記事を読めば、資産運用におけるリスクが決して避けるべきものではないことが分かりますので、ぜひ最後までお読みください。
資産運用する時の6つのリスク
資産運用をする際は必ずリスクとリターンという言葉を目にするでしょう。
金融商品のリターンとは「資産運用をすることによって得られる収益」のことです。
では、リスクとは「危険なこと・危険の度合い」という意味なのでしょうか。
金融商品におけるリスクとは、一般的な「危険」という意味とは少し異なり、「リターンが不確実・値動きの振れ幅」として使われます。
つまり、金融商品の収益が不確実であったり、振れ幅が大きかったりすると、「リスクが大きい」となり、反対の場合は「リスクが小さい」と言えます。
「リスクが大きい」という場合は「損をする可能性が高い」という意味ではなく、「大きな収益を得られる可能性も高いが、大きく損失が出てしまう可能性も高い」という意味になります。
(1)投資商品の価格が変動するリスク
価格変動リスクとは、金融商品が上がったり下がったりする値動きによって生じるリスクです。
例えば、株式の場合は購入時の金額よりも上がれば利益を得られますが、一方、購入したときの金額より下がれば損をします。
金融商品の価格は企業の業績だけではなく、景気や為替相場などさまざまな要因によって変動しています。
価格変動リスクは資産運用する際に、最も認識するべきリスクと言えるでしょう。
(2)金利変動による商品価格変動するリスク
金利変動リスクとは、主に債券投資で生じ、市場金利の変動によって価格が変動するリスクです。
一般的に、市場金利が上がると債券価格は下落し、市場金利が下がると債券価格は上昇すると言われています。
例えば、利回り3%の債券の場合、市場金利が4%になると、その債券の価値は下がるので債券価格も下がります。
一方、市場金利が2%になると、利回り3%の債券は価値が上がるので、その債券の価格も上がるでしょう。
同様に、債券を組み入れている投資信託も金利変動の影響を受けます。
(3)運用元による信用リスク
信用リスクとは、株式や債券などの有価証券を発行する国や企業が、財政難や経営破綻などによって債務不履行になるリスクです。
一般的に、このような事態が予想される際には資産の価格が下落します。
また、クレジットリスクと呼ばれることもあります。
(4)為替変動による商品価格変動するリスク
為替変動リスクとは、為替レートの変動によって、投資している外貨建て資産が円換算したときに変動してしまうリスクです。
例えば、1ドル=100円のときに1万ドル購入した場合、円での支払い額は100万円です。
円安により、1ドル=110円になった場合は、110万円となりますので為替利益が出ます。
一方、円高により、1ドル=90円になった場合は、90万円となりますので損をしてしまいます。
(5)投資先であるカントリーリスク
投資先である国の信用リスクです。
海外の株式や債券、投資信託等の金融商品の価値が変動したり、国債に影響を受けたりします。
国の政治・経済の影響は大きく、また証券市場の混乱等によりリスクが生じることもあり、一般的には先進国よりも新興国の方がリスクは大きいと言われています。
経済が発展途上、または政治情勢が不安定な国は、特に振れ幅が大きくなるため注意が必要です。
(6)なかなか売れないなどの流動性リスク
流動性リスクとは、金融商品を売買する際に希望価格で売れなかったり、購入できなくなったりするリスクを指します。
また、取引そのものができなくなる状態も含まれます。
つまり、お金が必要なときに、簡単にお金に換えられない可能性があるということです。
リスクとリターンは表裏一体である
投資の世界では、リスクとリターンの関係は表裏一体であると言われています。
リスクとリターンには相関関係があり、「リスクが大きいとリターンも大きい」「リスクが小さいとリターンも小さい」という関係にあります。
つまり、大きな収益が期待できる一方でリスクも高まり、大きな損失が出る可能性がある(ハイリスク・ハイリターン)ということです。
反対に、大きな収益は期待できませんが、リスクは低く、大きな損失は出ない(ローリスク・ローリターン)ということも言えます。
投資をする場合は、リスクとリターンの程度を考え、自分の資産や目的に合った金融商品を選ぶことが大切です。
リスクを回避する3つの対策
リスクの種類、リスクとリターンの関係について解説してきました。
この項では、リスクを回避する方法(リスク対策)について具体的に解説していきます。
(1)投資する商品を分散する
投資するときは、資金を一つの金融商品に集中させるのではなく、さまざまな金融商品に分散させることで、一度に値下がりする危険性が小さくなります。
例えば、不動産投資・投資信託・株式投資といったように複数の金融商品に資金を分散させると良いでしょう。
たとえ値下がりする商品があっても、他の商品でカバーできるからです。また、投資先を分散させる方法もあります。
例えば投資信託をする場合、株式や債券だけではなく、不動産投資(REIT)やコモディティなど投資対象の異なる投資信託を複数保有する方法がおすすめです。
(2)積立投資による時間を分散する
投資するときは、一度にまとまった金額を投資するのではなく、毎月一定額を積立投資するなど時間を分散させることで、リスクを小さくできる可能性が高まります。
投資信託や株式などを購入する際に、「ドル・コスト平均法」という方法があります。
ドル・コスト平均法とは、価格が変動する金融商品を、長期にわたり一定の金額で時間分散して購入する方法です。
このように長期間、定期的に金融商品を購入することによって、金融商品の価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量は少なくなります。
そのため、結果として購入価格の平均が割安になることを目指せるでしょう。
ドル・コスト平均法は、長い時間をかけてじっくりと資産運用したい、という場合に特に効果的です。
(3)基本的には長期投資を意識する
投資するときは、基本的に長期投資を意識して計画を立てるようにしましょう。
金融商品は、短期間でみると一時的な要因で大きく変動し、場合によっては価格が下がることがあります。
しかし、ほとんどの金融商品は長期間保有することで、変動リスクは小さくなると言われています。
例えば、投資信託の場合、購入して数年は大きく下がることもありますが、20年、30年と長期保有することでプラスに転じると言われています。
また、投資信託は長期的に保有することで複利の効果も期待できます。
投資を続けている間に発生する利子や分配金などを再投資することができ、利子や分配金にも利息をつけることができるので、結果として資産が増えていくということです。
このように時間によって複利の効果を最大限に活用できますので、長期投資を心掛けることをおすすめします。
【投資商品別】リスクとメリット
ここまでお読みの方は、投資するポイントがだんだんつかめてきたのではないでしょうか。
この項では、リスクとメリットについて投資商品別に分かりやすく解説していきます。
(1)金融機関の預貯金
銀行や信用金庫に資金を預け、利息の支払いを受ける方法です。
一般的に安全と言われている貯金ですが、銀行や信用金庫に預ける方法にもリスクやメリットはあります。
①リスク
2023年現在、定期預金を含め、預金は金利が低いため利息はほとんど付きません。
また、銀行や信用金庫に預けているとインフレの影響を受けることがあります。
インフレとは継続的に物価が上がることですが、預金がインフレの影響を受けるとはどのようなことでしょうか。
例えば、銀行に100万円預けていると仮定します。
100万円のマンションを購入したい場合、今すぐに100万円下ろせば、そのマンションは購入できます。
しかし、銀行に100万円預けたままで、5年後に同じマンションを購入しようとしたら、インフレの影響で200万円になっていました。
200万円出さないとマンションは買えませんが、銀行預金は100万円のままですので、同じ100万円でもその価値は半分になってしまったということになり、これがインフレの影響を受けるという意味になります。
②メリット
必要なときにすぐに引き出せるので、流動性が高いと言えます。
また、ひとつの金融機関で預金者1人につき元本1,000万円が保証されています。
貯金口座の選び方について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(2)投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金を資金として、運用のプロであるファンドマネージャーが運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。
①リスク
先述した金融商品における全てのリスクが想定できますが、特筆すべきは価格変動リスクです。
市場の値動きや社会情勢により、損失が出る可能性があります。
②メリット
運用のプロがさまざまな投資対象に分散投資するので、リスクはあっても大きな損失が出る可能性は低いでしょう。
また、1万円などの少額から始められるので、投資初心者の人も取り組みやすい投資方法と言えます。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(3)外貨預金
外国の通貨で預金し、利息や為替の差異によって利益を得る方法です。
日本円の普通預金と異なり、元本保証はありません。
①リスク
主に為替変動リスクがあります。
為替リスクによって、結果として元本割れをしてしまう可能性があります。
また、リスクとは少し意味合いが違いますが、手数料がかかる点にも注意しましょう。
外貨預金は、預金と名前が付いていますが、為替変動と手数料によって、結果として損をしてしまうこともあります。
②メリット
日本円での預金に比べて金利が高い傾向にあります。
また、為替差異により、利益が得られる可能性があります。
リスクはありますが、基本は預金なので初心者の人も取り組みやすいでしょう。
(4)株式投資
株式投資とは、株式会社が発行する株式を売買して利益を得る投資方法です。
①リスク
先述した金融商品における全てのリスクが想定できますが、特に価格変動リスクが高い投資方法と言えます。
企業の業績悪化や市場動向、また新型コロナウイルスなどの社会情勢により株価が下がり、結果として損をすることがあります。
また、企業が倒産した場合はその株式の価値はなくなってしまいます。
②メリット
株価が安いときに購入し、値上がり後に売却すれば、値上がり益(キャピタルゲイン)が期待できます。
場合によっては、大きなリターンが得られるかもしれません。
また、配当金(インカムゲイン)や株主優待も株式投資の楽しみと言えるでしょう。
(5)不動産投資
不動産投資とは、マンションやアパート、土地などの不動産を購入し、家賃収入や売買益で利益を得る投資方法です。
一般的に、ミドルリスク・ミドルリターンと言われています。
①リスク
主に価格変動リスクや流動性リスクが想定されます。
また、不動産投資の特性上、入居者がいなければ収入が入らない空室リスク、地震などによる災害リスクもあります。
リスクとは少し異なりますが、初期費用としてまとまった資金が必要になりますので、一時的に資金が少なくなる点にも注意しましょう。
不動産投資のリスクや回避策について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
②メリット
所有物件に入居者がいる限りは、毎月一定額の収入が得られることが最大のメリットです。
所有している不動産を購入したときより高く売却できれば、まとまった金額を得ることも可能です。
また、不動産投資のメリットとして、節税効果も挙げられます。
(6)金(ゴールド)投資
金投資とは、言葉通り金に投資することで、コインやゴールドバーなどの現物を購入する方法から、純金積立や投資信託で金を購入する方法まで、さまざまな投資方法があります。
①リスク
主に価格変動リスク、為替変動リスク、流動性リスクが想定されます。
また、金投資の特性上、金を現物で保管した場合は紛失リスクや盗難リスクもあります。
よって、多くの人が貸金庫などに預けることになりますが、手数料がかかることを忘れないようにしましょう。
②メリット
自分のスタイルに合わせて、さまざまな投資方法から選べるのが金投資の魅力のひとつです。
また、金はインフレのときに値上がりする傾向にあるので、「有事の金」として大切な資産を守ることができます。
世界のどこでも共通した価値があり、取引も可能なので、比較的売却もしやすいでしょう。
金(ゴールド)投資について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(7)つみたてNISA
つみたてNISAとは「少額投資非課税制度」の愛称で、少額からの長期・積立・分散投資を支援するために2018年にスタートした制度です。
なお、つみたてNISAは一般NISAとの併用は不可ですが、2024年に新NISAが導入され、改正によって併用が可能になります。詳細は金融庁のHPも確認してください。
①リスク
投資信託同様、先述した金融商品における全てのリスクが想定できますが、やはり特筆すべきは価格変動リスクです。
リスクとは異なりますが、デメリットとしては投資対象が限定されている点があります。
つみたてNISAは金融庁が選定した投資信託・ETFに限定され、銘柄が自由に選べません。
また、株式投資など他の投資もできませんので注意しましょう。
①メリット
つみたてNISAの最大のメリットは、最長20年間、年間40万円まで運用益が非課税になることです。
また、最初の項で説明したドル・コスト平均法を活用できます。
つみたてNISAは約33,333円を上限に毎月一定額を積み立てることができますので、ドル・コスト平均法を活用することで結果として購入価格が安定し、損をする可能性が減らせるでしょう。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(8)iDeCo(イデコ)
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」の愛称で、自身が拠出した掛金を、自身が選んだ投資方法で運用して60歳以降に受け取る私的年金制度です。
①リスク
先述した金融商品における全てのリスクが想定できますが、iDeCoで特に注意したいのは流動性リスクが高いという点です。
原則として60歳になるまでは、拠出したお金を一切引き出すことはできませんので注意しましょう。
また、やや誤解を招きやすいですが、iDeCoは元本割れの可能性があります。
運用商品の価格変動リスクも低くないという点もおさえておきましょう。
②メリット
iDeCoの最大のメリットは節税効果が高い点で、掛金は全額所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。
また、iDeCoは配当金などが非課税で投資されます。
つまり、税制上の優遇措置を受けながら、老後資金を準備できる投資方法のひとつと言えるでしょう。
iDeCo(イデコ)について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
不安な方はFPに相談する
資産運用のリスク、投資商品のメリットや注意点について解説してきましたが、お金に対する悩みは人それぞれですので、疑問が残っている人もいるかもしれません。
あなたの悩みを解決するために、専門的な知識と経験が豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)などお金の専門家に相談することをおすすめします。
FPに相談するメリットは次の通りです。
- ☑本記事で分からなかった用語が理解できるようになる
- ☑リスク許容度や資産分散など、投資についてさらに勉強できる
- ☑投資方法について、自分に合った選び方や始め方が分かる
- ☑将来に備えて、金融資産がどのように増えていくのかシミュレーションしてもらえる
FPに相談することは、リスクを正しく理解し、資産運用を始めるきっかけにつながるでしょう。
具体的にFPにどんな相談ができるのか詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
まとめ
「卵を1つのカゴに盛るな」という投資の格言があります。
これは、卵を1つの籠に入れておくと、籠を落としてしまったときに全ての卵が割れてしまいますが、複数の籠に入れておけば全滅は防げる、という意味です。
分散投資の重要性を示すことが多いですが、大切なのは「リスクを少なくする行動を取ること」ではないでしょうか。
投資である以上、必ずリスクがあります。
しかし、それは先述してきたように、危険という意味ではなく、「リターンが不確実」という意味であり、リターンを目指す以上は避けられないものです。
必要以上にリスクを恐れず、正しい知識を身に付けることが、資産形成への近道と言えるでしょう。
しかし、調べる時間がなかなか取れない人や、勉強しても不安な人もいるでしょう。
そのような場合は、弊社のFPにお気軽にご相談ください。
お金のプロがあなたの資産運用をお手伝いさせていただきます。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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