不動産投資で資産運用する6つのメリット!リスクや成功するコツも解説
政府の提唱する、「貯蓄から投資へ」や「資産所得倍増計画」などにより資産運用への関心は高まりつつあります。
その中でも、不動産投資は継続して安定的に収益をあげられるとして、注目を集めている資産運用方法です。
しかし、資産運用や投資という言葉を聞くと、どうしても「失敗したらどうしよう」や「投資って怪しいものじゃないの?」と考えてしまも人もいるのではないでしょうか。
本記事では、不動産投資について基礎的な知識からメリットやデメリット、その他の資産運用方法との違いなどを徹底的に解説します。
不動産投資とは?不動産投資の2つの収益方法
不動産投資とは、どのような仕組みの資産運用商品なのでしょうか。ここでは、不動産投資とはどのようなものなのか、また不動産投資はどのような収益方法があるのかを解説します。
(1)不動産投資とは?
不動産投資を最も簡潔に言い表すのであれば、「不動産を購入して、その不動産を他人に貸すことで家賃収入などを得る投資方法」です。具体的に言うのであれば、一戸建て住宅やマンションなど、人が住むための不動産を購入し、第三者に賃貸することで収益を得る投資商品です。
不動産投資商品として「ワンルームマンション投資」から、マンションやアパートを一棟丸ごと購入してマンション経営を行なっていく「一棟投資」や、一戸建て住宅を購入して賃貸に出す、「戸建投資」の3種類があります。
また、最近ではREIT(不動産投資信託)や不動産投資型クラウドファンディング、不動産小口化商品など、1万円〜10万円程度の少額から始められる不動産投資商品も出てきています。不動産投資が初めてという会社員など、投資資金が不安だと考えていた人々からも注目を集めています。
(2)不動産投資の2つの収益方法
不動産投資はどのような仕組みで収益を得ることができるのでしょうか。不動産投資の収益方法には2種類ありますので、その内容を解説します。
①家賃収入によるインカムゲイン
1つ目の収益方法は家賃収入です。不動産投資が継続的に安定した収益が得られるとされているのは、この家賃収入によるインカムゲインがあるからです。
インカムゲインとは、資産を保有していることだけで安定的な収入を継続して得られる利益を言い、運用益と呼ばれることもあります。
他の投資商品においてもインカムゲインは存在しており、株式投資で得られる配当金や投資信託の収益配当金、預金や債権の受取利息などがその代表的なものです。
不動産投資は長期的な運用を目的としていますので、継続的に安定して得られる家賃収入によるインカムゲインが主要な収益になっていると言えます。
②売却益によるキャピタルゲイン
2つ目の収益方法は売却益です。保有している不動産の価値が、購入時の価値よりも上昇したときに売却することで得られる利益をキャピタルゲインと言います。これに対して、購入時よりも価値が下がってしまったときに売却してしまうことを「キャピタルロス」と言います。
他の投資商品においてのキャピタルゲインの例は、株式や債権などを購入時の価値以上で売却した際に得られる売却益などが代表的なものです。
不動産投資は長期間運用することで、このインカムゲインとキャピタルゲインの合計を黒字にすることを目標としています。
不動産投資で資産運用する6つのメリット
注目を集めている不動産投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここからは、不動産投資で資産運用を行うメリットを6つ解説します。
(1)融資を活用することができる
不動産投資は初期に大きな費用がかかってしまうため、自己資金が無いと始められないと考えている人は多いのではないでしょうか。
確かに、自己資金を持っている場合には有利になることもあります。しかし、実際には不動産投資は自己資金が少ない人や、自己資産がまったくないと言う人も始めることができます。
それは、不動産投資物件の購入資金を銀行などの金融機関から融資を受けて開始することがほとんどです。その点において、不動産投資は株式投資などとは異なっていると言えます。自己資金のだけでなく、金融機関から融資を受けてローンを組むことで、自己資金だけで投資を行うよりも大きな金額を投資できるのです。
このことから、不動産投資は「レバレッジ効果」が高い投資方法と言えるでしょう。レバレッジとは「てこの原理」のことを意味しています。金融機関から融資を受けて収益物件を購入することで、自己資金のみで投資するよりも大きな利益を得ることができるため、このように言われているのです。
例えば、自己資金の500万円のみで不動産投資を開始し、運用したときの利回りが5%と仮定するとその利益は25万円です。しかし、自己資金の500万円に金融機関から借り入れた1,000万円を組み込んで1,500万円の投資物件を購入して運用すると、利益が75万円となり自己資金のみで運用した場合の3倍にもなります。
このように不動産投資は、金融機関から融資を受けることで、レバレッジをきかせることができます。このような仕組みがあるため、不動産投資は自己資金が少ない場合でも始めることができ、大きな利益を出せるのです。
(2)インフレ対策になる
不動産投資が対象としているのは「不動産」そのものです。不動産は、金と同様に現物資産として知られています。現物資産とは、株式や債権とは違い「物」自体に価値がある資産のことです。
現金や株式などの金融資産がインフレの影響で価格が変動しやすいのに対し、不動産は現物資産であるため資産価値が下がりにくく、インフレに強い資産運用方法だと言われています。
また、インフレ時は物価が上昇するため、現金や株式など金融資産の価値は下がります。それに対して、不動産投資の収益である家賃収入はモノやサービスなどの価格が上昇するのにともなって上昇していく傾向にあるため、インフレ対策になるとされているのです。
また、不動産投資の場合、金融機関で不動産投資ローンを組むので、インフレになった場合、お金の価値が下がると相対的にローンによる借金の価値も下がることになり、実質的に借金が目減することになります。
(3)家賃収入を得ることで年金代わりになる
公的年金の受給額が引き下げられている話は、ニュースなどでよく取り上げられるため耳にしたことがあるでしょう。
また、「老後2,000万円問題」などが大きく取り沙汰され、老後30年の間に2,000万円が不足してしまい、受け取る年金だけでは生活が苦しくなるのではないかと心配になる人も多いはずです。
不動産投資のメリットとして、その老後の年金の代わりや不足分を補うことができるというメリットがあります。
不動産投資は、継続的に安定した家賃収入が長期的に得られるため、月々の年金だけでは不足すると予測されている金額を補うことが可能です。
老後の年金だけで暮らしていけるか心配だという人には、不動産投資は大きなメリットがある投資方法だと言えるでしょう。
(4)団体信用生命保険による保険代わりになる
一般的に不動産投資を始める際、不動産投資用物件をローンを組んで購入すると団体信用生命保険に加入することになります。この保険に加入すると物件を購入した不動産投資家がローンを残して亡くなった場合、ローン残債の支払い免除が受けられます。
その他にも団体信用生命保険には、通常の生命保険と同様の手厚い保障が受けられるものが用意されています。例えば「ガン保障特約付団信」などです。中には、所定のがんと診断された場合、死亡や高度障害に該当しない場合でもローン残債がゼロになるものもあります。
投資用物件を所有している人が亡くなると、その物件は相続財産として相続人が取得することになります。物件を相続した人は、前所有者と同様に家賃収入を得ることが可能です。つまり、遺族年金のような形で毎月安定した収入を継続的に得ることができます。団体信用生命保険に加入していると、相続の際にローンを完済した物件を所得することになり、キャッシュフローが増加している状態で収益を得ることも可能です。
また、投資用物件を相続する遺族は、引き続きマンション経営を行なって家賃収入を得ることもできますが、物件を売却することでまとまったお金を手にすることもできるため、生命保険金の代わりになると言えます。
(5)相続税などの税金対策になる
不動産投資で購入した投資物件を活用することで相続税対策が可能です。
一般的に、預金や株式などの金融資産を持っている場合、それらを不動産に変えておくことで相続税評価額が下がります。
特に、相続により取得する不動産が不動産投資用の賃貸物件の場合、より価値が下がることになります。これは、所有している不動産を第三者に利用させることになるため、所有者自身が自由に処分できなくなるからです。自由に処分できないため、不動産の評価額が最大で50%程度に下がることがあり相続税を大きく節税することができます。
また、不動産投資によって得られる不動産所得が赤字となっている場合には所得税や住民税を軽減することが可能です。給与所得から不動産投資で発生した赤字分を損益通算することで、課税所得額を引き下げることができます。管理費や修繕費、不動産登記の際に発生する登録免許税、契約時の印紙税、不動産取得税などについては、しっかりと計算し必要経費として計上することで節税効果が期待できます。
これらの節税対策の効果を得ようと考えた場合には、確定申告を行う必要がるので注意が必要です。
(6)資産価値がゼロになることはない
株式などに代表される金融資産は、価格の変動が大きいため、価格が急騰した場合は大きな利益を得られます。その反面、価格が急落すれば大きな損失を被ることもあります。更に、発行している企業が業績悪化によって倒産してしまった場合、資産価値がゼロになることもあるでしょう。
それに対して、不動産投資の対象となる不動産は、先述の通り現物資産と呼ばれており、その不動産自体に価値があります。また、金融資産とは違い、価格が急騰したり急落することは滅多にありませんので、大きく損益を被る可能性も少ないと言えるでしょう。
ただし、一戸建てやマンションなどの建物の場合、地震や台風などによる災害や火災などによって全壊や全焼してしまった場合には、価値がなくなってしまう可能性もありますので、注意が必要です。
不動産投資で資産運用する5つのデメリット
不動産投資をすることによって得られるメリットについては、理解していただけたと思います。しかし、当然ではありますが不動産投資にはデメリットもあります。
ここからは、不動産投資で資産運用する際のデメリットについて解説していきましょう。
(1)空室による「空室リスク」
不動産投資のリスクの中で、特に気をつけておきたいのが「空室リスク」です。空室リスクが発生した場合、期待していた収益を得られず自己資金を崩す必要が出くるでしょう。
空室リスクとは、購入した投資物件に入居者が見つからず、期待していた家賃収入などの収益を得られなくなるリスクを言います。
ローンを組んで投資物件を購入した場合、空室期間が長期におよんでしまうとローンの返済を自己資金から出すことになります。その場合、自己資金を取り崩すことになるため損益が発生して赤字になってしまうでしょう。特に不動産投資ローンを頭金を入れない、フルローンで組んでいると最悪の場合、返済が不可能になり自己破産してしまう可能性もあります。
空室リスクは市街地や最寄駅から離れていればいるほど高くなるとされています。物件購入の際には立地条件や物件のあるエリアについても詳しく調べておくようにしましょう。
(2)返済期間中に金利が上昇する「金利上昇リスク」
ローンを組む際には「金利上昇リスク」に注意しておきましょう。世界情勢や経済情勢が変化すると金利が変動します。金利が上がれば、利息額もアップするため、月々の返済額も高くなるので適切な金利を選択しなくてはいけません。
不動産投資で物件を購入するために融資を受ける際には、金利を「固定金利」と「変動金利」の2種類から選択することになります。
固定金利は、返済期間中に金利が変わらないことが多く、金利上昇リスクはないと言えるでしょう。しかし、金利が一定のため総返済額は増えてしまいます。
変動金利は、半年に1度金利が見直され、5年に1度返済額が見直されるタイプがほとんどです。このような特徴から、変動金利は金利上昇リスクの影響を受ける傾向にあります。世界各国と比べて、日本では低金利状態が続いており、変動金利を選択する人が多いようです。しかし、国の金融政策や金利政策の転換があり、大きく金利を上げる方向に舵が切られると金利が上昇する可能性があるので世界情勢や経済情勢を注視する必要があります。
(3)入居者による「家賃滞納リスク」
購入した物件に入居者が見つかり空室リスクを回避できたとしても、安心できない場合があります。それは、入居者の事情により家賃を支払えない、または支払ってもらえなくなる場合です。このような事態に陥ると、せっかく空室リスクを回避したのに安定した家賃収入を得られなくなってしまいます。これが家賃滞納リスクです。空室リスク同様、家賃収入をローン返済に当てている場合には自己資金を支出しなくてはいけないため損失を被ってしまいます。
家賃滞納リスクは、家賃収入が得られないというリスクだけではなく、更にコストを要してしまうかもしれないリスクが潜んでいます。それが、家賃を滞納している入居者を退出させるためのコストです。一般的に3ヶ月以上の家賃滞納があると、立ち退きを求めて裁判に訴えることができます。しかし、実際に裁判を起こして入居者を強制的に退去させるためには、10ヶ月程度かかることがほとんどだとされているのです。
その間、家賃が支払われる訳でもありませんし、訴訟費用や強制代執行にかかる費用が30〜40万円程度かかると言われています。更に部屋の原状回復費用も必要となり、トータルすると一人当たり約100万円のコストがかかる可能性もあるのです。
家賃滞納リスクを回避するためには、入居時に家賃保証会社への加入を必須条件とする対策方法があります。保証料は入居者が支払うので、オーナーに負担はかかりません。また、賃貸会社に入居審査を厳しくしてもらい、入居希望者と直接面談を行うという方法も、家賃滞納リスクへの対策として有効的でしょう。
(4)地震、火災などによる「天災リスク」
日本は海外に比べても、自然災害などの天災が多い国です。近年においては、地震や台風による被害も甚大なものになる傾向にあります。これらの天災や火災などによって引き起こされる建物に対する被害は、不動産価値が下落してしまう一因です。一戸建てやマンション、アパートなどの不動産は現物資産であり、簡単に移動させることはできないので、天災や火災などに巻き込まれてしまうことは、日本全国どこででも起こり得ます。
地震や台風などに巻き込まれてしまうことで、建物が損壊してしまうと多額の修復費用がかかります。最悪の場合、建物が全壊、全焼してしまい家賃収入が得られなくなることもあるでしょう。
地震などの自然災害は、いつどこで発生するのか予測することが困難なリスクです。天災によるリスクを知るためには、物件の建っている地域が出しているハザードマップや、内閣府防災担当が発表している「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」を確認しておくことがおすすめです。また、地震保険や火災保険に入っておくことで、万が一、被災した際には保険金が下り、損失を完全にではありませんが補うことができます。
(5)築年数が古くなるによる「家賃減少リスク」
建物は年数が経つと劣化していくリスクを抱えています。これを経年劣化と言いますが、この経年劣化を放っておくことで発生するリスクが2つあることをご存知でしょうか。
1つ目が、「家賃減少リスク」です。上記の通り、建物は必ず経年劣化していきます。その劣化にともない、家賃も減少していく傾向にあるので注意が必要です。新築の建物であっても、10年を目処に家賃の減少幅が大きくなることが知られています。
家賃が減少することで、期待していた家賃収入が得られなかったり、利回りが低くなるなどのリスクを負うことになります。また、複数の投資物件を持っていたり、一棟投資をしている場合には、築年数が古いことで入居者が入ってこなくなり、家賃収入が減少してしまうことも考えられるでしょう。
家賃減少リスクの回避方法としては、築20年以上の物件を購入することがおすすめです。築20年を超えた場合、家賃の減少幅が緩やかになるためです。また、外観や設備を修繕して新しくしていくことで、入居率を上げ家賃減少を防ぐことができます。
不動産投資のリスクについて詳しく知りたい方は、下記記事参照にしてみてください。
不動産投資と株などの金融商品との違い
不動産投資のメリット・デメリットをご理解いただいたところで、ここからは株などに代表される金融商品との違いを解説させていただきます。
不動産投資を始めるか、金融投資を始めるかに悩んだ際の参考にしてみてください。
(1)金融商品の特徴
金融商品とは「預金」や「株式投資」、「投資信託」、「FX投資」、「仮想通貨(暗号資産)」などに代表される、実体は持たないものの評価額の換算や現金化ができるものを指します。
金融商品の特徴は、商品ごとに異なりますが3つの要素で分けられるとされています。その3つの要素とは、「安全性」、「流動性」、「収益性」に分けられます。
「安全性」とは、元本や利子などが確実に支払われること、「流動性」とは、必要な時に換金ができること、「収益性」とは運用によって大きな利益が得られるかどうかを表しています。
預金の場合、利回りが決まっており、1,000万円までであればペイオフの対象となり元本保証されていますし、全国どこでも引き出すことが可能ですので、安全性と流動性が特徴と言えるでしょう。その反面、利率は低くなっているため収益性はあまり見込めません。
株式投資や投資信託などは、投資する銘柄やタイミングによっては大きな利益を得ることができるため収益性に優れていることが特徴です。その反面、大きな損失を出す可能性や元本割れしてしまう可能性もあるため、安全性に欠けると言えるでしょう。
このように、金融商品はそれぞれに特徴がありますので、ご自身の目的に合ったものを選ぶようにすることが大事です。
(2)不動産投資と比較して金融商品のメリット
不動産投資と比較した際、金融商品にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、一番のメリットとしては、必要な時にすぐに現金化できる点があげられます。急にお金が必要になった場合、預金は銀行で引き出すことが可能です。また、株式も保有している分を売却すればすぐに現金化することができます。それに対して、不動産投資の場合、緊急でお金が必要となっても売却にかなりの時間を要するため、すぐに現金化することはできません。
次に、大きな利益を獲得できる可能性があることがメリットと言えるでしょう。特に、「株式投資」や「FX投資」などは購入した銘柄やタイミング次第で、莫大な資産を得られる可能性があります。一時期、流行った言葉に「億り人」がありましたが、これも金融商品を購入して運用した結果、億単位の利益を上げた人々を指す言葉でした。
(3)不動産投資と比較して金融商品のデメリット
不動産投資と比較した場合、金融商品のデメリットは何があるのでしょうか。
これは、上記の大きな利益を得ることができることにともなうリスクと言っても良いでしょう。つまり、大きな利益を得られる反面、購入した銘柄や売買するタイミングによっては大きな損失を被る可能性があるということです。損失の大きさによっては、元本割れしてしまう可能性もあり大きなリスクを負うことになるでしょう。
また、価格変動も大きい上に市場が常に開いているため、いつ大きな価格の上昇や下落があるか分からず、常に値動きを気にしていなければならないという点もデメリットと言えます。特に、本業を持っている人は、常に市場のチェックをできるわけではありません。市場の値動きに気を取られてしまっては、本業に支障が出てしまうことになるので注意しましょう。
不動産投資に適している人
では、一体どのような人が不動産投資に適しているのか、その特徴を紹介しましょう。
(1)公務員、サラリーマンなど収入が安定している人
不動産投資を始める際には、銀行などの金融機関から融資を受けることがほとんどであることは繰り返しお伝えしてきました。借入れの際には審査が行われますが、その時に重要視されるのが継続して安定した収入があることです。つまり、安定した収入がない場合は、ローンを組むことができず、自己資金だけで不動産投資を始めるか、自己資金がない場合は自己資金を貯めてから始めるしかありません。
ローンを組む場合の審査基準は金融機関によって異なりますが、返済能力を重視するところがほとんどだと言われています。安定した収入があることは、返済能力の有無に直結しますので安定した収入のある公務員やサラリーマンは不動産投資に適していると言えるでしょう。
また、公務員の場合、倒産や解雇という心配がなく収入も俸給表などから予測しやすいため、融資を受けやすいことから、不動産投資に適していると言われています。
公務員が不動産投資をする時の注意点などについて詳しく知りたい方は、下記記事をあわせて読んでみてください。
(2)長期的に資産形成をしたい人
長期的に資産形成をしたいと考えている人にとって、不動産投資は適した投資方法です。もともと不動産投資は長期的に運用することを目的とした投資商品だからです。マンションやアパートなどの不動産は長年に渡って利用することができます。そして、長期に渡って継続的に家賃収入などの利益を得ることができ、最終的には売却によってキャピタルゲインを得られます。不動産投資は、このインカムゲインとキャピタルゲインを最大化することが目的の投資ですので、長期的に資産運用をしていきたいという人に適していると言えるのです。
(3)インフレ対策をしたい人
現金や株式などの金融資産は、国際情勢や経済情勢によって価格が大きく変動する可能性があり、インフレになった場合には物価上昇と対照的に、金融資産の価値は下落してしまいます。
不動産投資の場合、資産価値が急激に下落することがない上に、物価の上昇にともなって家賃価格も上昇する傾向にあります。更にお金の価値が下がるということは、相対的にローン金利も下がることになるため、インフレ対策を考えている人は金融資産を保有するよりも、不動産投資を行うことが適していると言えるのです。
(4)相続税などの税金対策を考えている人
現金や株式などの金融資産は、相続税の評価の際には時価で計算されることになり、現金であれば口座に残っている金額そのものが、株式などの金融資産であれば、その時点での株価によって決まります。
不動産の場合、時価よりも安く設定された相続税評価額で計算されることになりますので、相続税の対策として利用できるのです。また、第三者へ賃貸に出している場合には、自由に処分することができないため、より一層評価額を抑えることも可能になります。
このように、相続税の税金対策を考えている人にも、不動産投資が適していると言えるでしょう。
不動産投資で成功させるためのコツ
不動産投資は初期費用に大きな金額が必要となるため、失敗しないかと心配になり敬遠する人もいるのではないでしょうか。しかし、不動産投資には、成功に導くためのコツが存在します。
ここでは、不動産投資を成功に導くためのコツを5つ解説していきます。
(1)リスクを把握し回避策を立てる
不動産投資も投資であるため、必ずリスクは存在します。先述の通り、空室リスクや金利上昇リスク、天災によるリスクなどです。しかし、それらのリスクをしっかりと把握し、回避策を立てておくことで不動産投資を成功に導けると言えます。リスクの存在を把握しているか、していないかでは大きな差がつくことになるでしょう。
どのようなリスクがあるのかを把握していれば回避策を立てることができますが、リスクを把握していなければ、そのリスクに無防備の状態となり、リスク発生時に慌てることになるかもしれません。リスクを完全に回避することは難しいかもしれませんが、事前に対策を打てていればリスクを抑えることはできます。
リスクの存在を把握しておくことは、リスクの存在を知らずに不動産投資を始めてしまったことで、実際にそのリスクに遭遇した場合に対応できず大きな損害を被ってしまう可能性を回避することが可能です。リスクを把握して回避策を立てておくことは、不動産投資を成功させるコツと言えるでしょう。
(2)長期的な視点で運用する
不動産投資は長期的な視点で運用することで成功に導くことができます。
不動産投資は、継続して安定的な家賃収入を得ることができるインカムゲインと、最終的に売却することにより得られるキャピタルゲインの合計を最大にすることが目的です。これは、長期的に運用することを想定しているためでもあります。
株式投資などのように価格変動の大きな投資方法は、購入時の価値を上回ったタイミングで売却を行うことで利益を得ることを目的とした短期的な運用が適していると言えます。対照的に、不動産投資は急激な価格変動が起こることはほとんどないため、購入してすぐに売却しても利益はほとんど出ません。
不動産投資は、株式投資と同じように短期で保有して売却するのではなく、長期間に渡って運用しインカムゲインとキャピタルゲインをトータルして利益を出すことを意識することで成功に導くことができるでしょう。
(3)リスク分散をきちんとする
どのような投資にも言えることですが、投資を行う場合には「分散投資」を行うことを意識してください。分散投資を行うことで、損失を抑えることが可能になります。
分散投資の基本的な考え方は、「地域の分散」、「時間の分散」、「通貨の分散」、「商品の分散」という4つがあるとされています。不動産投資で考えておきたい分散方法は、地域の分散、時間の分散、商品の分散となるでしょう。
地域の分散は、不動産経営を行う際に一つのエリアだけに物件を購入するのではなく、複数のエリアで物件を購入することです。一つのエリアで集中して物件を購入した場合、何らかの要因で資産価値が下がってしまうと大きな損失を被ってしまいます。しかし、別のエリアに物件を所有していた場合、一つのエリアでリスクが発生しても、別のエリアの利益で補うことができるので、大きな損失を防ぐことが可能です。
時間の分散は、一つの物件を購入後、周辺地域における物件価格や自分が所有する物件価格に大きな変動がないことを見極めてから、次の物件を購入することを指します。不動産投資のリスク分散の中では、一番始めやすい分散方法と言えるのではないでしょうか。
商品の分散とは、投資する物件の種類を変えることです。具体的には、ワンルームマンションだけでなく、一戸建てを購入するなどの方法があります。さまざまな種類の物件に投資することで、リスクを分散することが可能になります。
このように、リスク分散を行っておくことで損失を抑えることができますので、不動産投資を成功に導くことができるでしょう。
(4)経済の動きなどを勉強する
不動産投資には金利上昇リスクが存在することは上述した通りです。金利上昇リスクは、国際情勢や経済情勢の変化によって発生することがあります。金利が上昇すれば、利息額が増えてしまうため損失を被ってしまいます。
このようなリスクを回避するには、国際問題や経済の動きについて常にアンテナを張って勉強しておく必要があります。
最近の事例で言えば、アメリカなど欧米各国が金利の引き上げを発表したにも関わらず、日本は金利の抑制をおこなっていました。このことで世界と金利差が開くことになり、日本経済に円安などの影響を引き起こす結果となりました。
このように、世界と日本の経済、国内の経済状況は不動産投資にも大きな影響を及ぼす可能性を持っています。不動産投資は誰にでも始めやすい投資ではありますが、ただ物件を購入して運用をするだけで成功するわけではありません。不動産投資についてもちろん、経済の動きなども勉強することで、一層成功に近づくことができるのです。
(5)信頼して相談ができる専門家がいる
いくら経験豊富な不動産投資家でも、一人の力だけでは不動産投資を成功させるのは困難だと言えるでしょう。さまざまな物件の中から、成功しそうな物件を探しだすのは個人の力だけでは難しいものです。
このようなときに重要なのが、信頼できる専門家がいるかどうかです。専門家のアドバイスと自分自身で勉強して身につけた知識を合わせることで、不動産投資を成功に近づけることができます。
専門家としてまず挙げられるのは、不動産会社や不動産投資会社です。不動産投資のスタート時から最終的なゴールである売却までの長期間を共にするパートナーだからです。不動産取引を行う中で、日々新しい不動産や情報に接する機会が一番多いのは不動産会社と言えるでしょう。だからこそ、相談への的確なアドバイスはもちろん、最新の有益な情報や不動産投資への提案をしてもらえるのです。しかし、不動産会社の情報を鵜呑みにすることはしないようにしましょう。
本当にいい不動産かどうかを判断するには、我々FPにセカンドオピニオンをする方が増えています。第3者という中立的な立場だからこそ、より正確なアドバイスをすることができるといえるでしょう。
まとめ
不動産投資は、他の投資商品よりも初期費用が大きいため、始めるのをためらっている人が多いかもしれません。
しかし、現在は少額からでも始められ、リスクを抑えながら運用が可能な不動産投資信託などの商品も出てきていますので、身近になりつつある投資方法であるとも言えます。
本記事で、不動産投資の基本的なことを理解していただき、メリットやデメリット、リスクをご理解いただき、不動産投資に興味を持っていただいたり、不動産投資を始めていただければ幸いです。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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