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確定申告とは?初心者でも簡単にできる申告の流れを分かりやすく解説

公開日:2023/12/08
相談

確定申告は、1年間に個人が得た所得の合計額を算出し、納めるべき所得税を申告・納付する手続きです。

今年から副業を始めた方や、控除を受けて所得税を節税したい方のなかには、「確定申告のやり方がわからない」と面倒に感じている方も多いかもしれません。

本記事では、確定申告の対象となる人や流れなど、確定申告するための基礎知識を徹底解説します。

確定申告しなかったときの罰則や相談先も紹介しますので、正しく節税につながる確定申告をしたい方はぜひ参考にしてください。

確定申告とは?確定申告をする理由

人生

年間所得に対する税金を計算して申告する手続きである「確定申告」は、しなければならない対象者が確定申告を怠ると、本来の税額にペナルティが加算されてしまいます。

まずは、確定申告が必要な理由や罰則について、詳しく解説します。

(1)確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に個人が得た所得に対して課税される所得税(復興特別所得税を含む)を、自分で計算して税務署に申告・納税することです。

所得とは、収入や売上から必要経費を差し引いたもので、実質的な「もうけ」を指します。

確定申告が必要な所得の例は、事業を行って得られた「事業所得」や不動産の賃貸経営などによる「不動産所得」、不動産売買で得た「譲渡所得」、「山林所得」などが挙げられます。

会社に勤めて得られた「給与所得」は、給与から所得税が天引きされているため、確定申告の対象外です。

(2)確定申告の期間は?

令和5年分(2023年分)の確定申告受付期間は、令和6年(2024年)2月16日(金)から同年3月15日(金)の1か月間です。

確定申告の時期は、原則毎年同じ日程でスケジュールが組まれ、2月16日・3月15日が土日祝の場合は翌月曜日が期限日となります。

ただし、確定申告の必要がない方が、医療費控除などで税金の還付を受ける「還付申告」の場合は、対象年の翌年1月1日から5年以内であればいつでも申告可能です。

医療費控除は年間の医療費が10万円以上の場合に受けられる控除です。詳しい条件などについて確認したい方は、下記記事を合せてチェックしてみてください。

(3)確定申告をする理由

日本では、納めるべき税額の計算と申告を納税者自身が行う「申告納税制度」が採用されています。

そのため、個人が得た利益とそれに対する税金は、一人ひとりが正確に計算して税務署に申告しなければなりません。

個人が得た利益が会社からの給与であれば、給与を支払った会社側に、従業員に代わって所得税の申告・納税を行う義務が課されます。

(4)確定申告をしなかったら罰則ある?

確定申告の対象者が期限内に確定申告しなかった場合、本来の所得税額に延滞税などのペナルティが加算されます。

申告しないまま放置して「悪質な脱税行為」とみなされると、さらに厳しい罰則が課される恐れがあります。

延滞税は、所得税の納付期限の翌日から実際に納付するまでの日数に応じて加算され、最高税率は14.6%です。

さらに、期限内に申告しなかったことへの罰則である無申告加算税や、悪質なケースに発生する重加算税が発生する可能性があります。

期限後申告をしたり、申告しないまま税務署から所得金額の「決定」処分を受けたりすると、本来の税額よりも余計に納税しなければなりません。必ず期限内に確定申告しましょう。

確定申告が必要になる対象者とは?

確定申告しなければならない人は、自営業を営む方やフリーランスの方だけではありません。会社に勤めるサラリーマンであっても、条件によっては確定申告の対象者となる場合があります。

「サラリーマン」と「個人事業主」の2つのパターンで、確定申告の対象者を見ていきましょう。

(1)「サラリーマン」で対象となる人

正社員だけでなくパートやアルバイトも含めて、会社に雇用されて給料をもらっている給与所得者全体をサラリーマンとすると、ほとんどのサラリーマンは確定申告が不要です。

ただし、以下に該当する方はサラリーマンであっても確定申告の対象者となります。

  1. ✅本業の給与収入が2,000万円以上の方
  2. ✅給与以外の所得が20万円を超える方
  3. ✅2か所以上から給与収入があり、年末調整されない給与所得が20万円を超える方
  4. ✅年の途中で退職し年末調整をしない方
  5. ✅勤め先で源泉徴収されない退職所得がある方

給与以外の所得の例は、副業や不動産投資による所得、源泉徴収がされない口座での配当所得です。

ただし、副業による雑所得や不動産所得が20万円以下の場合でも、住民税の申告は必要となります。

一方、確定申告の対象者以外でも、確定申告による還付申告をしたほうが「お得」になる場合があります。

  1. ✅医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除、雑損控除などの各種控除を受ける場合
  2. ✅住宅ローン控除を初めて受ける場合
  3. ✅特定口座による株取引で損失が出た場合

以上に該当しない場合でも、確定申告が必要なケース、したほうが得するケースがあるため、心配な方はFPなどの税務に詳しい専門家に相談してみましょう。

(2)フリーランス、自営業などの「個人事業主」で対象となる人

会社に雇われずフリーランスや自営業を営む「個人事業主」は、1年間の所得金額が48万円以上であれば確定申告しなければなりません。

所得税の基礎控除額48万円であるため、年間の収入金額から必要経費を差し引いた課税所得金額が48万円以下の場合、確定申告は不要です。

さらに、課税売上高が1,000万円を超える課税事業者であれば消費税の確定申告も必要となります。

また、公的年金等を年間400万円以上受給している方も、確定申告の対象者です。

確定申告をする時の流れ

書類

実際に確定申告をするときは、5つのステップで進めていきます。

  • 必要な書類を準備する
  • 「白色申告」or「青色申告」を選ぶ
  • 4つの作成方法を選ぶ
  • 申告書を作成して提出する
  • 税金の納付または還付を受ける

手順を詳しく紹介します。

(1)必要な書類を準備する

確定申告に必要な書類は、「自分で作成する書類」「準備しておく書類」にわけられます。

  1. 【自分で作成する書類】
  1. ✅確定申告書
  2. ✅収支内訳書(白色申告の場合)/青色申告決算書(青色申告の場合)
  1. 【準備しておく書類】
  1. ✅所得を明らかにできる帳簿類(領収書やレシート)
  2. ✅源泉徴収票(給与所得がある場合)
  3. ✅本人確認書類(マイナンバーカード、もしくは通知カードやマイナンバーの記載のある住民票の写し+運転免許証、健康保険証などの身元確認書類)
  4. ✅銀行口座がわかるもの
  5. ✅所得控除や税額控除のための証明書(生命保険料控除証明書、医療費控除の明細書、寄付金の受領書など)

令和3年4月1日以降は、確定申告書に印鑑の押印は不要となりました。

ほかにも、申告内容によって必要な添付書類等が異なるため、早めに用意を開始するのが大切です。

(2)「白色申告」or「青色告」を選ぶ

確定申告方法は「白色申告」「青色申告」の2種類から選べます。

白色申告は、単式簿記の簡易な方法での帳簿付けで済むため、確定申告時にかかる負担を軽減できます。

一方の青色申告は、複式簿記での記帳が必要となり、事前に開業届と青色申告承認申請書を提出しておかないと選択できません。

白色申告と青色申告の大きな違いは「節税できるかどうか」です。白色申告に節税効果はありませんが、優遇措置のある青色申告なら、事業収入から最大65万円か55万円もしくは10万円の青色申告特別控除が適用されます。

ほかにも、最大3年間の事業損失(赤字)の繰越、少額減価償却資産の特例など、さまざまな方法で税負担を減らせるのが青色申告の特徴です。

白色申告と比較して難しそうに感じる青色申告ですが、確定申告ソフトなどを活用すれば簿記や会計知識がなくてもスムーズに申告できます。

今後も事業を継続していく予定であれば、節税対策となる青色申告を選びましょう。

(3)4つの作成方法を選ぶ

それでは、具体的に「確定申告書」「収支内訳書/青色申告決算書」を作成する4つの方法を説明していきます。

  1. ✅確定申告書作成コーナーで作成する
  2. ✅PCで確定申告ソフトにて作成する
  3. ✅手書きで申告書を作成する
  4. ✅税理士などの専門家に作成してもらう

それぞれの特徴やメリット・デメリットをチェックしていきましょう。

確定申告書等作成コーナーで作成する

国税庁のWebサイトには「確定申告書等作成コーナー」が設置されています。

必要事項を入力するだけで確定申告の必要書類が作成でき、スマートフォンでも使える無料のツールです。

民間の会計システム会社が提供する確定申告ソフトに比べると、わかりやすさ・使いやすさが劣る面があるため、収支計算や経費計上が複雑でない方に向いているでしょう。

②PCで確定申告ソフトにて作成する

Freeeやマネーフォワードなどが提供している「確定申告ソフト」は、初めて確定申告をする方でも簡単に使用できる点が特徴です。

収入や経費などの情報を画面の指示どおりに入力すると、確定申告書等の書類が自動作成できます。

銀行口座とのデータ連携機能をもつクラウド型であれば、転記作業も必要ありません。

購入費用や毎月の利用料がかかるソフトが多いですが、毎日の経費管理が効率化でき、経理作業にかかる時間や労力を大幅にカットできます。事業を継続していきたい方は導入して損はないでしょう。

手書きで申告書を作成する

紙の確定申告書を取り寄せて、手書きで記入する方法も可能です。申告書の入手方法は、税務署や申告相談会場へ取りに行く、国税庁ホームページからダウンロードして印刷するなどがあります。

手書きのため計算ミスや記載ミスなどの間違いが生じるリスクはありますが、申告期間であれば書き方や内容を税務署で確認してもらうことも可能です。

昔ながらの方法に慣れている方、パソコンが苦手な方には選択肢の1つになるでしょう。

税理士などの専門家に作成してもらう

確定申告を税理士に代行してもらう方法もあります。正確かつ節約効果のある確定申告ができる安心感がありますが、それなりの報酬を支払わなければなりません。

税務処理に費やす時間を事業に充てたい方、税務調査対策をしたい方など、事業規模が大きくなってきた段階で選択するケースが多い方法です。

(4)申告書を作成して提出する

「確定申告書」は、給与所得や年金所得など事業以外の所得と、各種保険料、医療費などの控除について申告するものです。

確定申告書の第一表にそれぞれの金額を記入し、第二表には第一表の詳細を記入します。

「収支内訳書/青色申告決算書」は、事業所得や不動産所得の申告をするもので、収入や経費の内訳を記載する必要があります。

前章で説明した4つの方法で、これらの必要書類を作成しましょう。

確定申告書等の提出方法は大きく分けて3つです。

  • e-Tax(オンライン上で税務署に送信する電子申告)
  • 納税地を管轄する税務署窓口
  • 郵送・時間外収集箱への投函

e-Tax(国税電子申告・納税システム )は、国税庁の確定申告等作成コーナーや確定申告ソフトで作った申告書をインターネット経由で提出できます。混雑する税務署に足を運ぶ手間なく、自宅から24時間いつでも提出できる点がメリットです。

e-Taxの利用には、マイナンバーカードとマイナポータルのスマホアプリによる「マイナンバーカード方式」が便利ですが、マイナンバーカードを持っていない場合でも「ID・パスワード方式」にて利用できます。

ただし、ID・パスワード方式でe-Taxを使うには、事前に税務署での本人確認を済ませなければなりません。

そのほか、PCやスマホで作成した提出書類を紙に印刷したものや、手書きで作成した申告書を提出することもできます。

税務署の開庁時間に窓口で直接提出するか、設置された時間外収集箱に投函する、もしくは税務署への郵送で提出が可能です。

時間外収集箱への投函や郵送の場合、マイナンバーカードや本人確認書類の写しを添付する必要があります。

申告書の控えを手元に保管しておきたいときには、切手を貼った返信用封筒と申告書のコピーも同封しておきましょう。

また、郵送の注意点としては、消印が期限日当日のものまでが期限内とみなされる点、宅配便などではなく郵便物・信書便物として送付する点が挙げられます。

(5)税金の納付または還付を受ける

確定申告後は、確定申告の提出期限と同じ3月15日までに、算出した所得税を納付しなければなりません。納税方法は、現金納付のほかさまざまなキャッシュレス決済から選べます。

  1. 【現金納付】
  1. ✅税務署の窓口や金融機関の窓口・ATM
  2. ✅コンビニ納付(バーコードやQRコード付き納付書のみ)
  1. 【キャッシュレス決済】
  1. ✅e-Taxを使った電子納税(ダイレクト納付、インターネットバンキング)
  2. ✅「国税クレジットカードお支払いサイト」からのクレジットカード納付
  3. ✅「国税スマートフォン決済専用サイト」からのスマホ決済(PayPayなど)
  4. ✅指定の口座からの自動引き落としである振替納税

振替納税の手続きを1度行うと以降は自動的に口座振替となり、翌年以降の納付手続きは必要ありません。

振替納付日が4月中旬〜下旬となり、ほかの納付方法よりも納付期限に1か月以上猶予ができる点もメリットといえるでしょう。

反対に、控除申告などにより源泉徴収額や予定納税の金額よりも本来の所得税が少なくなった場合は、所得税が還付されます。

国税還付金として、1~2か月程度で指定の口座に入金されます。

申告した内容を修正したい場合は?

確定申告の期間内であれば、提出後であっても1度目と同様に再提出することで、何度でも修正が可能です。

確定申告の期限を過ぎたあとで誤りが発覚した場合、「税額を多く修正するのか」「税額を少なく修正するのか」によって対応が変わります。

申告していた税額よりも多い金額に修正する場合、納付した金額が本来の税額に足りていないため、不足分を「滞納」していることになります。

延滞税が発生し、さらには過少申告加算税や重加算税が加わる可能性があるため、できるだけ早く修正申告書を提出しなければなりません。

申告していた金額よりも少ない金額に修正する場合、本来の税額よりも多く納付しているため、余計に納めた分の還付の受け取りが可能です。

申告期限から5年間経過するまでに、更正の請求書を所轄税務署に提出しましょう。

「確定申告」と「年末調整」の違い

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確定申告と年末調整は、どちらも個人の1年間の所得税を確定して納税する手続きという点は共通しています。

確定申告は給与所得以外の所得がある人が行う手続きであり、年末調整は会社から源泉徴収されている給与所得がある人が正確な所得税額に調整するための手続きです。

自分の税金は自分で計算して納める申告納税制度を採用する日本では、本来であれば所得を得た個人すべてが確定申告しなければなりません。

その手間を省くためにあるのが、会社が従業員に代わり税金を計算して天引きする源泉徴収であり、源泉徴収額と正確な税額との差分を精算する年末調整なのです。

勤務先で年末調整をする会社員でも、給与収入が2,000万円を超える方や、本業以外に一定の所得額がある方などは確定申告が必要です。

また、年末調整では処理できない医療費控除や1年目の住宅ローン控除などを受けるには、還付申告のための確定申告をしなければなりません。

年末調整は省略できないため、両方とも忘れずに手続きするよう注意しましょう。

税金を抑えたい人はFPに相談

相談

確定申告に関する相談をするなら税理士というイメージが強いかもしれませんが、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)も相談先の1つです。

税理士資格を持たないFPは、個々の具体的な税額計算や確定申告の作成業務などは行えません。

ただし、確定申告の仕組みや節税ポイントなどについては伝えられるため、FPへの相談でも十分に有益な情報を得られます。また、家計の見直しも合せてご相談が可能です。

節税もそうですが、家計の見直しをするだけで手元のお金を増やすケースも十分に考えられますので、ぜひ一度FPに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

女性

個人事業主や副業収入があるサラリーマンが、納めるべき所得税を計算して申告・納税する手続きが確定申告です。

年末調整していても、確定申告したほうがお得になるケースや、しなければならないケースがあるため、確定申告漏れでペナルティを受けてしまわないよう確認が必要です。

確定申告ソフトやe-Taxなど、確定申告を簡単に行えるツールを使えば知識がなくても自分で手続きできます。

また、お金全般に知見を持つFPは、確定申告や税金に関する一般的なお得情報も持ち合わせています。

面倒な確定申告をスムーズに済ませるために、FPの活用も検討してみましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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