資産運用12種類の特徴を徹底分析|初心者に適しているのは?
近年、日本では低金利が続いており、資産運用の必要性が増しています。
「資産運用に興味があるけれど、種類が多くて始め方が分からない」と感じる人も多いでしょう。
本記事では、12種類の資産運用商品の特徴や注意点について解説します。
これから資産運用を検討されている方、投資商品の選び方で悩まれている方は、ぜひ最後お読みください。
資産運用商品12種類!それぞれのメリット・デメリット
まずは、資産運用商品12種類のメリット・デメリットについて説明していきます。
(1)預貯金
最もシンプルかつ簡単な資産運用方法は預貯金です。銀行や信用金庫の口座にお金を預け入れると、利息を得ることができます。
資産を大きく増やすには向いていませんが、安全性が高くリスクの低い資産運用方法です。
①メリット
必要なときにすぐにお金が引き出せる、流動性の高さが最大のメリットです。
預金保険制度により、銀行が破綻しても預金者1人につき元本1,000万円とその利息が保護されます。
②デメリット
近年は低金利の影響もあり、預貯金によって得られる利息はわずかです。
物価が上昇する局面では、相対的にお金の価値が目減りするインフレリスクがあります。
③オススメしたい人
資産を大きく増やすよりも、より安全に資産形成したい人に向いています。
近い将来、用途が決まっているお金を一時的に保管したい場合にも適しています。
(2)投資信託
投資信託は、運用会社が投資家の資金を元手に投資し、運用益を投資家に分配する金融商品です。
ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、さまざまな金融商品を選定して運用してくれるので、手軽に分散投資ができます。
①メリット
投資先の選定や運用・管理をプロに委託できるので、基礎知識がない人でも安心して投資ができます。
一般的な株式投資と違い、1口数百円~数千円程度の少額から投資できる点も大きなメリットです。
②デメリット
預貯金と異なり元本保証がないため、市場の値動きによっては元本割れするリスクがあります。
また、購入時手数料や信託報酬などの運用コストがかかります。
③オススメしたい人
運用・管理などをすべてプロに任せたい人や、分散投資で価格変動リスクを抑えた少額投資がしたい人におすすめです。
投資信託について詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(3)つみたてNISA
つみたてNISAは、年間投資上限額40万円が最長20年間非課税で運用できる税制優遇制度です。
長期間の積立・分散投資を推進するために、2018年に国が導入しました。
対象となる金融商品は、金融庁が認めた優良な投資信託やETFに限られており、初心者向けの投資方法です。
①メリット
非課税期間が最長20年間あり、金融商品の売却益や分配金に対して税金がかからないため、節税効果があります。
具体的には、投資信託の運用で10万円の利益を得た場合、通常は20,315円の税金がかかりますが、つみたてNISAを活用すると0円です。
②デメリット
あくまで金融商品への投資なので、運用状況によっては元本割れするリスクがあります。
なお、投資対象は金融庁の基準を満たした商品であるため、一般株式などは対象となりません。
③オススメしたい人
リスクを抑えて少額から積立投資をしたい人に向いています。
運用期間が長いほど利益が出やすいので、10年以上の長期運用ができる人におすすめです。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(4)iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは公的年金の上乗せとして、任意で加入できる私的年金制度です。
自分で拠出した掛金を好きな金融商品で運用し、60歳以降に一時金または年金として受け取る仕組みです。
①メリット
掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減されます。
運用益が非課税となっており、受取時も税金の控除制度が使えるため、税制面の優遇措置が受けられます。
②デメリット
iDeCoは老後のための資産形成を後押しするための制度なので、原則60歳になるまで掛金の引出しができません。
掛金は家計の負担にならない範囲で設定することが大切です。また、選ぶ商品によっては元本割れのリスクがあります。
③オススメしたい人
公的年金制度に上乗せして老後資金に備えたい人に向いています。
特に、公的年金が国民年金のみの自営業や専業主婦の人は、老後資金作りにおすすめです。
iDeCoについて知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(5)株式投資
株式会社が資金調達のために発行する有価証券を購入して、売買益や配当金の獲得を狙う投資方法です。
株価が上がるほど売却時に大きなリターンが得られますが、株価が下落すると大きな損失が出る可能性もあります。
損失を出さないためには、普段から経済情報をつかんでおくことが大切です。
①メリット
売買益の他に、企業に利益が出たときに配当金が得られることがあります。
また、自社商品やサービスを株主優待として還元する企業もあり、金銭以外のリターンがあるのも魅力です。
②デメリット
安く買って高く売ることで利益が生まれるため、株式の値動きを予測できる経験や知識が必要です。
また、投資先の業績不振により株価が大幅に値下がりするリスクや、企業が倒産して元本を失うリスクがあります。
③オススメしたい人
リスクがあっても大きなリターンを狙いたい人におすすめです。
経済や企業の動向に興味があり、将来性のある投資先を見極める力がある人に適しています。
(6)不動産投資
不動産投資とは、マンションやアパートのオーナーになって、他の人に家を貸すことです。
入居者からの家賃収入や物件売却時の売買益が得られます。
空室リスクや災害リスクを避けるため、物件の立地や周辺の環境を考慮して物件を選ぶ必要があります。
①メリット
物件に入居者が入っている限りは、毎月一定額が家賃収入として得られる点です。
一度入居する2~3年は住み続ける入居者が多いため、長期的に安定した収益につながります。
ローンを組んで物件を購入すれば、少ない自己資金でも効率的に利益を上げることが可能です。
②デメリット
入居者が入らなければ月々の家賃収入が0円となり、ローンを組んでいる場合は、返済金の負担が重くなります。
また他の投資方法と比べて費用が高めで、ローンを組んだとしても、物件価格の10%~15%の初期費用が必要です。
③オススメしたい人
社会的信用が高く、ローンの審査が通りやすいサラリーマンや公務員の人におすすめです。
入居者がいる限り毎月定期的に収入が入ってくるので、副業のために時間が割けない人にも向いています。
(7)金(ゴールド)投資
金投資とは、実物資産である金に投資することです。
金貨や金地金を貴金属店で購入する方法と、金に投資する投資信託を証券会社で購入する方法があります。
①メリット
金は希少性があり、世界共通で価値が認められているので、換金しやすいメリットがあります。
金は株価と反対の値動きをする傾向があり、株式投資のリスクヘッジとしても活用が可能です。
②デメリット
金投資は利息や配当金がないため、金の値上がり益のみを見込むことになります。
株や債券と違い、所有しているだけで得られる利益はありません。
金を現物で所有していると盗難リスクがある点もデメリットといえます。
③オススメしたい人
株や債券と反対の値動きをする傾向があるため、リスクを分散して投資したい人に適しています。
金(ゴールド)投資について知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(8)個人向け国債
国が発行する個人を対象とした債券を、個人向け国債といいます。
国債の保有期間中は年2回利子を受け取ることができ、償還日には額面金額の受け取りが可能です。
満期まで利率が変わらない商品と、実勢金利に応じて半年毎に適用利率が変わる商品があります。
①メリット
利子の支払いや元本の償還を国が保証する点で、安全性の高い金融商品です。
年率0.05%の最低金利が保証されており、金利がマイナスになることはありません。
1万円単位で購入できる手軽さも魅力的です。
②デメリット
元本割れのリスクが低い商品ですが、株式や投資信託と比べるとリターンは低くなります。
また、発行から1年間は原則、中途換金することができません。中途換金する場合でも、直近2回分の利子相当額が償還金額から差し引かれます。
③オススメしたい人
大きなリターンは望めませんが、安全に資産を運用したい人におすすめです。
(9)外貨預金
外貨預金とは、日本の円ではなく、外国通貨で預金をすることです。
一般的に外貨の方が日本円より金利が高く、より多くの利息が得られる可能性があります。
例えば、日本円100万円を1米ドル=100円の時に預け入れたら、預金額は1万米ドルです。
その後、円安が進み、1米ドル=120円になったタイミングで払戻をすると、評価額は120万円となり、20万円の利益を得たことになります。
①メリット
預入時と払戻時の為替レートの差によって、為替差益が得られることがあります。
また外貨へ交換すること以外は、基本的に円預金と同じ仕組みであるため、投資経験の浅い人でも分かりやすいでしょう。
②デメリット
預入時と払戻時の為替レートによっては、損失が発生する可能性もあります。
為替レートを確認して、払い戻しのタイミングを見極める必要があります。
また、預金保険制度の対象外であるため、金融機関が倒産したときの元本保証はありません。
③オススメしたい人
元本保証がないため、こまめに為替レートを確認して、リスク管理ができる人に向いています。
(10)ETF
ETFは日本語で「上場投資信託」といい、投資信託の一種です。
一般的な投資信託が非上場なのに対して、ETFは上場している点が大きな特徴です。
証券取引所に上場しているため、リアルタイムで値動きが確認できます。
①メリット
値動きが分かりやすく、取引所が開いている時間帯はリアルタイムに取引が可能です。
また、一般的な投資信託と比較して保有期間中の手数料が安い傾向にあります。
②デメリット
一般的な投資信託は、運用で得た利益を自動的に再度投資することができます。
利益からさらに利息が生まれる複利効果で、効率的な運用が可能です。
ETFは分配金が再投資されないため、支払われた利益を再度自分で投資する必要があります。
また毎月決まった金額を買い付ける、積立投資ができないケースもあります。
③オススメしたい人
上場株式と同じように、値動きに応じてリアルタイムに売買したい人におすすめです。
(11)FX
FXは正式名称を「外国為替証拠金取引」といい、通貨を売買して為替差益を狙う投資方法です。
為替変動によっては多額の損失が発生することもあるので、無理のない余裕資金の範囲で投資しましょう。
①メリット
FXはレバレッジを利用して、自分の手元にある資金よりも多額の取引が可能です。
レバレッジが大きいほど、得られる利益も多くなります。毎日スワップポイントがもらえることもFXの特徴です。
スワップポイントとは2種類の通貨の金利差のことで、低金利の通貨を売って高金利の通貨を買うと発生する利益です。
反対に高い金利の通貨を売って低い金利の通貨を買うと、金利差分の支払いが発生します。
外貨預金の利息がもらえるのは通常、半年に1回ですがFXは毎日受け取りが可能です。
②デメリット
FXはレバレッジ効果で利益を得ることもありますが、反対に大きく損失が生じることもあります。
レバレッジが大きいほど損失も拡大し、手持ち資金以上の損失になる可能性もあるので、注意しましょう。
③オススメしたい人
為替相場は経済状況の変化により大きく変動することがあります。
そのため、こまめに為替レートをチェックしたり、日々経済ニュースなどから為替の動きを予想できる投資経験が豊富な人に向いています。
(12)先物取引
先物取引とは、将来の期日に特定の商品を、決められた価格で売買することを約束する取引です。
将来の期日が来たら、その時点での価格に関わらず、あらかじめ約束した価格で売買します。
その時の差額が利益になります。価格の変動によっては大きな損失になる可能性があり、リスクの高い投資方法といえるでしょう。
①メリット
先物取引は取引にあたり事前に証拠金を預け入れます。証拠金にレバレッジをかけて、手持ち資金の何倍もの大きな金額の売買が可能です。
また、取引を売りから始めることが可能で、価格が下がった時に買い戻すことで利益を出すことができる点もメリットです。
②デメリット
FXと同様に、レバレッジ効果により証拠金よりも大きな損失につながる可能性があります。
また、先物取引は取引の期日が設定されており、期日になると自動で決済されてしまいます。
株式投資などのように長期保有することができない点がデメリットです。
③オススメしたい人
少ない自己資金を元手に高額の利益が生み出せる可能性があるため、利益を重視する人におすすめです。
万が一損失が出てもポジティブに考えて判断できる人、自分で決めた投資ルールを守れる人にも向いています。
資産運用の2つの収益方法
資産運用によって生まれる利益は、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類です。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った資産運用方法を選びましょう。
(1)インカムゲイン
インカムゲインとは、資産を所有している間に得られる収益のことです。
株の配当金、不動産の家賃収入、預貯金の利息などが該当します。
収益率はあまり高くはありませんが、安定して継続的に利益が得られます。
安定的に手堅く収益を上げたい人には、インカムゲインがメインの投資がおすすめです。
(2)キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有していた資産を売却するときに得られる売買差益のことです。
例えば、FXの為替差益や株・不動産の売買差益などが代表的です。
大きな利益を得られる可能性もありますが、反対に損失を被るリスクもあります。
リスクを負ってでも、大きな利益を狙いたい人に向いています。
初心者が資産運用する時の注意点
では次に、初心者が資産運用する時の注意点について見ていきましょう。
(1)短期、長期と投資目標を設定する
資産運用を始めるときは、「マイホームの購入費用を貯める」「教育資金を貯める」などの運用目的から目標を設定しましょう。
例えば、30代の人が老後資金を貯める場合は、投資信託や投資目標から目標金額や運用期間を決めることで、どのような運用方法を選択すべきか明確になります。
しかし、投資初心者の方はご自身で目標設定するのは非常に難しいと考えている方も多いでしょう。
そのような不安を抱えている方は、ぜひ弊社のFPに相談してみてください。
あなたに合った目標設定、投資プランを提案させて頂きます。
(2)投資商品のリスクを理解しリスクヘッジをする
投資する金融商品のリスクを理解して、リスクヘッジすることも大切です。
例えば、株や投資信託を所有している場合に金投資を行うことで、不安定な経済状況に対するリスクヘッジができます。
また、資産が現金化できないなど不測の事態に備えて、一部を現金として保有しておくこともリスク軽減策の一つです。
(3)分散投資をしリスク分散する
投資対象を一部に限定せず、複数の投資先に分けることで、リスクの分散が可能です。
例えば、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券・現金など値動きが異なる金融商品をバランスよく保有してリスク分散が可能です。
また、投資するタイミングを分散することで、高値づかみのリスクを避け、取得価格の平均値を引き下げる効果が期待できます。
(4)自分に合った投資プランを立てる
投資目標を明確にした上で、自分に合った投資プランを立てましょう。
例えば、短期間で多くの資金が必要なのであれば、ハイリスクハイリターンな投資方法も視野に入れて検討すべきです。
一方で、30代の人が老後資金を準備したいのであれば、つみたてNISA・投資信託などローリスクローリターンな長期投資の選択も可能です。
目標から逆算して投資プランを決めることで、目標金額を達成しやすくなるでしょう。
資産運用についての考え方、より詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
FPなどの専門家に相談する
さまざまな資産運用方法をご紹介しましたが、「自分のやり方で良いのか不安」という方もおられるでしょう。
特に投資初心者の方は、金融商品の思わぬリスクで損失を被らないためにも、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談するのがおすすめです。
資産状況や投資目的などの観点から、最適なプランを提案させて頂きます。
まとめ
資産運用には色々な方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
投資目標を明確にした上で、自分に合った金融商品を組み合わせて運用することが重要です。
専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った選択肢を検討したい人や、ぜひ我々FPに相談してみてください。
資産運用を含めた、お金に関する悩みごとを解決しましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
最新の投稿
- 税金2024年2月27日不動産を相続したら相続税はいくら?手続き、計算方法や活用方法を解説
- 不動産投資2024年2月24日不動産所得がある場合は確定申告が必要!計算方法や申請手順を解説
- 税金2024年2月23日不動産の生前贈与はした方がいい?メリット、手続きや注意点を解説
- 不動産投資2024年2月21日不動産投資クラウドファンディングとは?おすすめ商品も合わせて紹介