口座使い分けの実例あり|FPが教えるお金が貯まる口座の使い分けコツ
「ムダ遣いしていないのに、なぜかお金が貯まらない」と疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
実はお金を貯めるには口座の使い分けが効果的です。
複数の口座を使い分けることで、資産状況や入出金が見えやすくなります。
この記事では、お金が貯まる口座の使い分けのコツを、実例も含めてご紹介します。お金を効率よく貯めたい方、口座の使い分けを検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
なぜ銀行口座を使い分ける必要がある?口座使い分けするメリット
口座を使い分けた方がよい理由とは何なのでしょうか。
まずは、口座を使い分けするメリットをご説明します。
(1)使用用途によって管理ができる
口座を使い分けることで、使用用途ごとにお金が管理できます。
1つの口座でお金を管理した場合、「今月の生活費」や「現時点での貯金額」をすぐに把握するのは簡単ではありません。
用途ごとに口座を分けておくと、使用目的ごとのお金の状況を簡単に確認できます。
(2)無駄な出費を押さえることができる
口座を分けると、自分が何にいくら使ったか把握しやすく、無駄な出費を押さえることができます。
1つの口座で管理していると、口座にお金があるので、ついうっかり貯金に回すお金まで使ってしまうこともあるでしょう。
口座を「生活費用」「貯金用」など用途ごとに分けると、無駄遣いが減ってお金が貯まりやすくなります。
銀行口座は大きく3つに分ける
銀行口座は大きく生活費・貯金・緊急出費用の3つに分けて管理するのがおすすめです。
口座の使い分け方について詳しく説明していきます。
(1)生活費用の口座
給与の受取りや生活費の支払いなど、生活の中心となるのが生活費用の口座です。
3つの口座で最も使用頻度が高くなるため、引き出し手数料の安さや、他行への振込手数料の安さなどを基準に選びましょう。
(2)貯金用の口座
マイホーム購入や子どもの進学など、将来のまとまったお金を貯めるために使うのが貯金用の口座です。
お金を貯めるには、毎月給料を受け取ったら、先に貯金に回すお金を貯金用口座に移すことが大切です。
生活費から残った分を貯金しようとしても、手元にあるお金は使ってしまいやすく、なかなか貯金できません。
また目標の貯金額が貯まるまで、口座のお金には手を付けないようにしましょう。
ネット銀行などは毎月自動で他行から入金できるサービスもあります。
貯金用口座への入金を忘れてしまいそうな人は、自動入金サービスを利用するのもひとつの手段です。
(3)緊急出費用の口座
緊急出費用の口座は、突発的な出費や緊急時の支出に備えた口座です。
例えば冠婚葬祭、多額の医療費、家電製品の買い替え代など、まとまった資金が必要となる場合に活用します。
上記のような出費を貯金用口座から使ってしまうと、いつまで経っても貯金できないことになりかねません。
また、緊急時の出費を生活費で賄おうとすると、生活費が足りなくなり、結果的に貯金用口座のお金を使ってしまう可能性もあります。
緊急出費用の口座には常に一定金額以上を入れて、貯金や生活費とは切り分けておきましょう。
口座は大きく3つとお伝えしましたが、フリーランスの人は法人用口座もつくるのがおすすめです。
個人のお金とは分けて管理した方が、事業の状態や経費を把握しやすくなります。
また夫婦共働きの場合は、それぞれの個人口座から毎月定額を生活費用の口座に入金するなどルールを決めておくのもよいでしょう。
銀行種類によってサービスが違う!おすすめ口座の選び方
銀行には都市銀行からネット銀行まで、さまざまな種類があります。
それぞれの特徴を理解して上手く使い分けることが大切です。
ここでは都市銀行、地方銀行、ネット銀行の特徴とメリット・デメリットについて説明します。
(1)都市銀行
都市銀行は大都市に本店を構え、全国各地に支店やATMを展開しています。
メガバンクと言われる三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行が該当します。
①メリット
全国に店舗やATMがあるため、何かと使い勝手がよい点が特徴です。
地方でも都心部には支店があるケースが多く、引越ししても近くに店舗がなくて困ることは少ないでしょう。
資金力・信用力があるため、取引する上で安心感もあります。
②デメリット
地方の場合は、地方銀行と比較して支店やATMの数が少ないケースもあります。
頻繁に利用する場合は不便さを感じるかもしれません。
またネット銀行などと比較すると、「コンビニATMでの引出し手数料が無料」「他行への振込手数料が月○回まで無料」などの特典は少なく、金利も低めです。
(2)地方銀行
地方都市に本店を構え、その地域に根ざした営業を行っています。
地元の中小企業や個人を中心に取引を行っており、地域社会を活性化する役割も担っています。
①メリット
地域密着型のサービスを提供しており、拠点となる地域では都市銀行よりも店舗数が多めです。
そのため、その地域に長く住む人には利便性の高い銀行と言えます。
②デメリット
地方銀行は拠点となるエリア外では支店やATMが少ないというデメリットがあります。全国規模で頻繁に転勤するような人にとっては使いづらい点が多いでしょう。
また都市銀行と同様に、ネット銀行と比較すると手数料や金利などコスト面では見劣りします。
(3)ネット銀行
ネット銀行とはインターネットでのサービス提供を中心とした銀行のことを指します。
口座開設もインターネット上で完結する銀行が多く、忙しい人でも時間や場所を問わず手続きが可能です。
①メリット
都市銀行や地方銀行と比べて実店舗が少ない分、金利が高い傾向にあります。
コンビニATMでの引出し手数料や他行への振込手数料が月一定回数まで無料など、サービス面も充実しています。
②デメリット
ネット銀行では一般的に通帳が発行されないため、紙ベースで入出金状況を確認したい人には不便かもしれません。
また実店舗がほとんどないため、店頭で直接相談するのは難しいケースもあります。
では実際に、都市銀行の三菱UFJ銀行、地方銀行の千葉銀行、ネット銀行の楽天証券の金利・手数料を比較してみましょう。
三菱UFJ銀行 | 千葉銀行 | 楽天銀行 | |
普通預金金利 | 0.001% | 0.001% | 300万円まで:0.10% 300万円を超えた分:0.04% |
他行あて振込手数料 | 3万円未満:154円 3万円以上:220円 | 個人向けネットバンキング:165円 ATM(キャッシュカード):330円 | 145円(ただし、会員ステージに応じて最大月3回まで無料) |
コンビニATM引き出し手数料 | 規定時間内:198円~220円 規定時間外:308円~330円 | 220円(ただし、取引状況に応じて月3回無料または回数制限で無料) | 220円~275円(ただし、会員ステージに応じて最大月7回まで無料) |
都市銀行の三菱UFJ銀行と地方銀行の千葉銀行では、金利・手数料に大幅な差はありません。
一方、ネット銀行である楽天銀行は金利が高く、手数料面でも取引状況に応じた特典が豊富な印象です。
資産形成するための口座開設もおすすめ
銀行口座は大きく3つに分けるのがおすすめですが、資産形成用の口座を検討しても良いでしょう。
税金面でメリットがある資産形成制度と、おすすめの証券会社ついて紹介します。
(1)つみたてNISA
年間40万円までの投資により得た利益・分配金が非課税となる制度です。
非課税期間が20年と長く、長期の積立投資に適しています。
投資対象は金融庁の基準を満たした商品に限られており、初心者でも比較的リスクの少ない投資方法です。
つみたてNISAを始めるには、金融機関で口座を開設し、つみたてNISAに申し込む必要があります。
つみたてNISAについては下記記事にて詳しく紹介してありますので、ご興味がある方はぜひ読んでみてください。
また、私が講師を務める「新NISA制度丸わかりセミナー」の動画をLINE友達限定にて公開しています。
- つみたてNISAの落とし穴
- 新NISAの注意点
- 実際に私が実践している投資商品
- 成功するための鉄則
などリアルな情報がたくさんです。つみたてNISAで損をしている方、これからNISAを検討している方は、ぜひご覧ください。
(2)iDeCo(イデコ)
iDeCoとは公的年金の上乗せとして、自分で掛金を拠出・運用する制度です。
年金受給時に掛金および運用益を受け取ることができ、ゆとりある老後生活を送りたい人におすすめです。
通常の投資と比べて、税制上のメリットが大きいのが特徴です。
運用期間中は、掛金が全額所得控除の対象となるので、所得税や住民税が軽減されます。
また、運用益は通常20.315%の税金がかかりますが、iDeCoなら非課税です。
受取金を一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、税金が軽減されます。
iDeCo(イデコ)ついては下記記事にて詳しく紹介してありますので、ご興味がある方はぜひ読んでみてください。
(3)おすすめの証券会社
つみたてNISAやiDeCoを始めるにあたって、おすすめの証券会社を紹介します。
ご自身に合った証券会社を見つけてみてください。
①SBI証券
SBI証券はネット証券の中で、国内株式の個人取引高が最も多い証券会社です。
ネット証券は低コストという特徴がありますが、その中でもトップクラスの売買手数料の安さです。
1日の取引合計高によって手数料が決まるアクティブプランでは、1日100万円まで売買手数料0円で取引が可能です。
取扱商品の種類も豊富で、特に外国株やIPOの取扱数が充実しています。
②楽天証券
SBI証券と並んで売買手数料が安く、1日の取引合計高によって手数料が決まるいちにち定額コースでは1日100万円まで売買手数料が無料です。
株の売買や投資信託残高に応じて楽天ポイントが貯まる特典があります。
楽天市場・楽天銀行も利用することで、ポイント還元率も高くなるため、楽天ユーザーにおすすめの証券会社です。
③大和証券
大和証券は国内大手の総合証券会社です。
全国に180を超える店舗を構えており、利用者へのサポートが充実しています。
店頭で担当者から説明を受けられる「ダイワ・コンサルティングコース」と、自分でインターネットを中心に取引を行う「ダイワ・ダイレクトコース」があります。
「ダイワ・ダイレクトコース」であっても、コンタクトセンターに電話で相談が可能です。
分からないことが出てきても、対面や電話で相談ができる点はネット証券にはないメリットですが、その分手数料はネット証券と比較して高めです。
参考にしたい!口座の分け方実例
口座の分け方の実例として、3口座・4口座の使い分けパターンを紹介します。
(1)3口座
- ☑一般口座、貯蓄用口座、証券口座
- ☑一般口座、貯蓄用口座、緊急出費用口座
- ☑一般口座、クレカ引き落とし口座、貯蓄用口座
- ☑一般口座、副業用口座、貯蓄用口座
一般口座の他に、貯蓄用口座、緊急出費用口座、引き落とし口座などとの使い分けができます。
3口座あれば最低限の使い分けが可能なので、あまり口座を増やしたくない人にとって、最適な口座数なのではないでしょうか。
(2)4口座
- ☑一般口座、生活費用口座、保険・税金支払い用口座、貯蓄用口座
- ☑一般口座、貯蓄用口座、証券口座、教育費用口座
- ☑給料受取口座、生活費用口座、証券口座、定期預金口座
- ☑給料受取口座、生活費用口座、クレカ引落し口座、貯蓄用口座
- ☑一般口座、生活費用口座、ローン用口座、貯蓄用口座
4口座になると、一般口座以外に生活費用口座、貯蓄用口座、支払い用口座、証券口座などの使い分けができます。
管理する口座は増えますが、より資産状況が把握しやすいメリットがあります。
(3)口座分けすぎる時のデメリット
口座を作りすぎると、口座間でお金を移動させる際、振り込み手数料がかかるデメリットもあります。
給与受取口座から毎月複数の口座へ移し替えるような場合は、手続きの手間もかかります。
口座の数は3つまたは4つ、多くても5つまでに収めて、ストレスのない範囲で使い分けましょう。
なお、口座の分け方がわからない方は、ぜひお金のプロである我々FPに相談してみてください。
まとめ
お金を貯めるには、口座の使い分けが大切です。
口座を目的ごとに使い分けることで、お金の状況が把握しやすくなります。
銀行口座は下記の3つに分けて管理するとよいでしょう。
- ☑生活費用の口座
- ☑貯金用の口座
- ☑緊急出費用の口座
定期的に口座残高や入出金状況をノートにまとめておくと、より管理しやすいでしょう。
最近ではマネーフォワードMEのような家計簿アプリも多く、資産状況が簡単に把握できます。
自分に合った管理方法で家計を管理し、効率よくお金を貯めましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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