資産運用のポートフォリオとは?作る時のステップと事例も合せて解説
- ☑「ポートフォリオとはなに?」
- ☑「資産運用を始めたいけれど、どの投資商品にいくら投資すればいいの?」
投資経験が浅く、上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
資産ごとの投資割合をポートフォリオといい、効率的に資産運用する上で、非常に重要です。
この記事では、資産運用のポートフォリオについてお伝えしつつ、ポートフォリオを作る時のステップと事例も解説します。
これから資産運用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
資産運用のポートフォリオとは?
資産運用のポートフォリオとは、株式・債券・現金・不動産など、保有する金融商品の組み合わせのことです。
資産運用において一つの金融商品しか保有していないと、価格下落時に資産全体が目減りし、大きなダメージを被るリスクがあります。
ポートフォリオを組めば、資産の保有割合を把握できて、特定の投資先に偏ることが防げます。
資産運用で成功するためには、複数の金融商品に投資して、リスクとリターンのバランスを保つことが重要です。
資産ごとの割合を把握するためにポートフォリオは重要な役割を担っています。
ポートフォリオを作る時のステップ
次にポートフォリオを作る5つのステップについて説明します。
(1)投資目標を決める
ポートフォリオの作成にあたり、まずは投資目標を決めましょう。
いつまでに、いくら資産を用意したいのかによって、ポートフォリオの内容が変わってきます。
例えば20代・30代の人が、退職時に備えて老後資金を準備したいのであれば、ローリスクローリターンの金融商品を中心に組むとよいでしょう。
一方で、10年後に子どもの教育費を用意するため、資金を増やしたいという目標であれば、ハイリスクハイリターンな商品も組み込む必要があります。
目標によってポートフォリオの内訳が大きく異なるため、まず初めに投資目標を決めることが重要です。
(2)投資金額を決める
投資目標が決まったら、投資金額を決めましょう。
毎月の収入と支出から、いくらまでなら継続して投資できるのか試算します。
資産運用において、まとまったお金を一気に投資することも可能ですが、基本的には投資のタイミングを分けた方が、リスクの分散につながります。
当然のことですが、資産を増やしたいからと言って、最低限の生活費まで投資に回すことは危険です。
毎月3万円など、負担が少なく続けられる金額にしましょう。
(3)投資期間を決める
次に投資期間を設定します。
投資目標を達成するために、投資金額を何年積立てたらよいか、逆算しましょう。
例えば2,000万円が必要な場合、毎月3.5万円を想定利回り3%で運用すると仮定すると、運用期間は30年間必要であることが分かります。
(4)投資商品を決める
投資期間が決まったら、株式・債券・不動産など、投資する商品を決めましょう。
この際、金融商品ごとの性質をよく理解した上で、商品を選定することが大切です。
主な金融商品の特徴は次のとおりです。
金融商品 | 特徴 |
預貯金 | 元本割れのリスクが少ないですが、金利が低いため、リターンはほとんどありません。 |
投資信託 | 運用会社が複数の金融商品に投資し、運用益が分配金として支払われる商品です。 少ない投資金額でも分散投資の効果があり、初心者にもおすすめです。 購入時や保有期間中は手数料が発生します。 |
債券 | 国や自治体にお金を貸すことで、利息が受け取れ、満期になったらお金が返ってくる仕組みです。 国内債券はローリスクですが、大きなリターンは望めません。 国内債券と比較して、外国債券は利回りが大きい傾向にありますが、その分リスクも大きいデメリットがあります。 |
株式 | 企業が発行する株式を購入し、株価の値上がりや配当金、株式優待などにより利益を狙う商品です。 高い利回りが期待できますが、企業の業績によっては、元本割れするリスクもあります。 |
不動産実物投資 | アパートやマンションを購入し、家賃収入や売却益を狙う投資手法です。 安定的に収入が得られる魅力がありますが、多額の投資金額が必要となります。 空室になると収益がゼロになってしまう可能性もあり、ミドルリスクの金融商品と言えます。 |
REIT | 投資法人がさまざまな不動産に投資し、投資家は運用益を受け取れる商品です。 間接的に不動産に投資するため、物件管理の手間がかかりません。 |
FX | 2つの異なる通貨を売買して、その差益を狙う金融商品です。 レバレッジという仕組みにより、自己資金の最大25倍の金額で取引ができます。 為替相場の状況によっては大きなリターンが得られる可能性もありますが、反対に損失が生じるリスクもあり、 ハイリスクな商品と言えるでしょう。 |
仮想通貨 | ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を売買して利益を得る方法です。 値動きが大きいため、大きな利益が狙えますが、反対に多額の資産を失うリスクもあります。 また、仮想通貨取引所への不正アクセスなどにより、資産が盗まれてしまう恐れもあります。 |
投資商品を決める際は、自分自身のリスク許容度も考慮しましょう。
リスク許容度は資産が値下がりした場合に受け入れられるマイナスの程度を表すもので、個人ごとの年齢や家族構成、ライフステージ、考え方によって違います。
もし許容範囲を超えて無理に投資してしまうと、想定外の損失が出た時に、大きな心理的ダメージを負うリスクもあります。
自分のリスク許容度を理解した上で、投資商品を選択することが大事です。
(5)投資商品の割合を決める
最後に投資商品の割合を決めましょう。
目標金額を達成できるように、複数の金融商品をバランスよく組み込むことが大切です。
例えばリスクを抑えて資産運用したいのであれば、ローリスクな金融商品を中心に、次のような投資割合が考えられます。
- ☑預貯金:35%
- ☑投資信託:60%
- ☑株式:5%
ポートフォリオの作り方はご説明の通りですが、一般的に運用期間が長くなると、運用資産の比率が変わってきます。
そのため1年ごとなど、一定期間おきに資産配分の見直しを意識しましょう。
ポートフォリオの5つの事例
では、具体的なポートフォリオの事例をご紹介します。
(1)短期間でリターンを得たい場合
短期間で大きなリターンを得たい場合は、ハイリスクハイリターンなポートフォリオがおすすめです。
先進国株式や新興国株式を中心に構成し、海外REITやFX、暗号資産を組み合わせることで、より高いパフォーマンスが狙えます。
資産種類 | 先進国株式 | 新興国株式 | 海外REIT | FX | 暗号資産 |
構成割合 | 50% | 20% | 15% | 10% | 5% |
(2)長期に渡り安定したリターンを得たい場合
長期的に安定したリターンを得たい場合は、ローリスクローリターンの商品をメインに構成するとよいでしょう。
投資信託と預貯金に加えて、債権や株式を少しずつ組み合わせることで、安定運用が見込めます。
預貯金の一部を、貯蓄性の生命保険に変更するのも選択肢の一つです。
資産種類 | 投資信託 | 預貯金 | 国内債券 | 外国債券 | 国内株式 |
構成割合 | 40% | 30% | 20% | 20% | 10% |
(3)リスク分散を重視した場合
リスク分散を重視するプランとしては、国内外の債権・株式をバランスよく組み込む構成がおすすめです。
さらに金にも投資することで、有事の際のリスクヘッジにもつながります。
資産種類 | 国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 先進国株式 | 金 | 預貯金 |
構成割合 | 20% | 20% | 20% | 20% | 10% | 10% |
(4)ドルなど海外資産を組み入れる場合
ドルなど海外資産にも投資したい場合は、次のようなポートフォリオを作りましょう。
国内不動産よりも高い利回りが見込める海外不動産と、先進国株式を中心に組み込むことで、積極的なリターンが見込めます。
資産種類 | 海外不動産 | 先進国株式 | 海外債券 | 国内株式 | 国内債券 |
構成割合 | 30% | 30% | 15% | 15% | 10% |
(5)インフレを重視した場合
インフレとは、お金の資産価値が下がり、物価が上がる現象です。
インフレ対策には、不動産や金などインフレに強い現物資産と、株式を組み合わせたポートフォリオが適しているでしょう。
資産種類 | 不動産投資 | 先進国株式 | 国内株式 | 海外REIT | 金 |
構成割合 | 40% | 25% | 15% | 10% | 10% |
投資初心者はFPなどの専門家に相談する
「資産運用に興味があるけれど、自分に合ったポートフォリオが分からない」という人もいるのではないでしょうか。
投資初心者の方は、我々FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談するとよいでしょう。
FPとは資産運用やライフプランニングなど、お金に関する総合的なアドバイザーのことです。
あなたの投資目標や資産状況に応じた、最適なポートフォリオを提案させて頂きます。
まとめ
資産運用のポートフォリオとは、資産の組み合わせ方のことを指します。
投資目標や投資期間によって、ポートフォリオの内容は大きく異なるため、次の5つのステップを踏むことが大切です。
- ☑投資目標を決める
- ☑投資金額を決める
- ☑投資期間を決める
- ☑投資商品を決める
- ☑投資商品の割合を決める
時間が経つと資産配分が変わってくるため、定期的にチェックして、リバランスを忘れないように注意しましょう。
予想外のライフイベントにより、投資目標が変化するケースなども、ポートフォリオの調整が必要です。
自分に合ったポートフォリオが分からない人や、資産運用に関して不安がある人は、FPなどの専門家に相談するのがおすすめです。
お金に関する豊富な知識をもとに、一人ひとりに合った資産運用方法をアドバイスさせて頂きます。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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