不動産投資を代表する8つの種類!メリット・リスクを分かりやすく解説
「不動産投資に興味があるけど、不動産投資の種類がたくさんあって何が自分に合っているか全くわからない・・」
将来の資産形成に向けて、または安定したインカムゲインを得るために、不動産投資を検討する人が増えてきています。
しかし、不動産投資には種類が多く、何が自分に合っているか分からず、最初の一歩が踏み出せないという人も少なくありません。
自分にあった不動産投資の手法を見つけることで、不動産投資で成功する確率は高くなります。
今回は、不動産投資を代表する8つの投資種類について、仕組みはもちろん、それぞれのメリットやリスクについても詳しく解説していきます。
そもそも不動産投資とは?不動産投資の収益方法
不動産投資で収益を得る方法としては、長期的に安定して受け取れる家賃収入があります。
その上で、値上がりした不動産を売却したときに売却益を得られる可能性もあります。
その他にも、インフレ対策としてインフレ時に資産価値が連動して上がりやすい現物資産を金融機関からの融資を受けレバレッジ効果を活用して保有できる、節税対策や団体信用生命保険を活用した生命保険対策など、さまざまな利点があります。
不動産投資を代表する8つの投資種類
不動産投資で選ばれる投資先としては、2023年現在、大きく8つの種類があります。
- 区分マンション投資
- 一棟マンション・アパート投資
- 戸建て投資
- 民泊
- 駐車場投資
- トランクルーム投資
- 不動産小口化商品
- J-REIT(不動産投資信託)
では、それぞれの特徴をお伝えしていきます。
区分マンション投資について
区分マンション投資とは、マンション一棟ではなく、マンション内の部屋単位で購入する不動産投資になります。
区分投資は購入価格が数百万円から数千万円と、不動産投資の中では比較的少額から取り組むことができ、物件が多いため選択肢が広がります。
賃貸経験のある方であれば、自身の賃貸経験を活かすことができるため、不動産投資初心者やサラリーマン投資家にも人気の投資方法となります。
(1)区分マンション投資のメリット・デメリット
区分マンションの場合、ワンルームマンションなどであれば数千万円という、不動産投資においては比較的少額から始められるという事もでき、マンションは売買の需要が多く流動性が比較的高いので、将来的に現金化もしやすいです。
一方、区分マンションを始めたばかりの頃は一室だけの保有になるケースが多いので、賃借人が退去したら収入はゼロになってしまいます。
マンション経営に慣れて知識も増えてきたら、区分所有の数を増やして空室リスクを減らすために分散投資をしつつ資産を拡大していくのもよいでしょう。
空室期間もマンションの管理費や修繕積立金、固定資産税といった維持費用はかかりますので、無理ない範囲の支出に抑えてスタートすることが重要です。
(2)新築VS中古
区分マンションは新築の場合、高い入居率から家賃収入が途切れる期間は少なくなりますが、その分、物件価格は割高になり、購入後の値下がりや将来的な家賃見直しも考えると利益を出し続ける難易度は高いといえます。
一方、中古マンションはハズレの中古物件を購入してしまわないように購入時の物件選びは難しいですが、割安の区分を購入できれば高利回りを期待できます。
また、エリアによっては物件価額が上昇することで、売却時のキャピタルゲインを狙うこともできるでしょう。
(3)都心VS地方
区分マンションは入居率の高さ、つまりは賃貸需要が高いかどうかが重要になります。
都心は人の出入りが多いですが、立地を間違えなければ安定的な入居率を確保できるでしょう。
一方、地方で区分マンション投資をするのであれば、将来的な人口増減や賃貸需要がある生活圏であるかなど事前に分析する必要があります。
地方で購入を検討する場合、マンションを管理する管理会社が多いかなど、様々な情報から賃貸需要の有無を綿密にチェックしていくことをお勧めします。
一棟マンション・アパート投資について
一棟マンション・アパート投資とは、マンションやアパートの一棟全体を所有して賃貸経営する手法になります。
一棟投資にはある程度の自己資金や高額の融資が必要になりますが、すでに土地を所有している人であれば、土地活用の手段として、比較的始めやすい不動産投資になります。
(1)一棟投資のメリット・デメリット
一棟投資のメリットとしては、複数の部屋を保有できるのでキャッシュフローがゼロになってしまう可能性は低くなります。
一方で、マンション経営、アパート経営を始めるための建物購入に必要なローンも、都心部であれば億単位になるなど高額になりがちですし、駐輪場やエントランスなどの共用部分の維持管理やリフォーム費用などの経費がかかりますので、長期に渡っての収益性の得られる物件であるのか、資金計画をきちんと行うことも重要になります。
(2)新築VS中古
一棟投資を新築で始める場合、土地も保有しておらず、土地建物を同時に取得するとなると、初期費用が高額になります。そのため、土地を保有している人であれば、新築で一棟を建てるのも選択肢になるでしょう。
一方、中古の場合、区分マンション以上に物件選定が難しくなります。
年数の経過したアパートやマンションであれば、物件自体に瑕疵がないかの事前調査も必要になり、小さな失敗から大きな損失が発生してしまうことを理解しておくことが必要です。
そのため、中古で購入する場合は、中級者以上におすすめといえます。
(3)都心VS地方
複数室を保有する一棟投資は、賃貸需要の増減がより大きな影響を与えます。
特に地方で賃貸需要が減少しているエリアですと、都心と違い、入居率50%以下の築古物件も少なくありませんので注意が必要です。
(4)木造VS鉄筋コンクリート
木造は鉄筋コンクリートに比べて建築費を抑えられる反面、定期的なメンテナンスや修繕が求められます。
鉄筋コンクリートは耐用年数も長く、長期に渡り収益を得られますが建築費は高額になってしまいます。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、物件の規模、ご自身の資金計画などを合わせて決められるといいでしょう。
戸建て投資について
戸建て投資とは、一戸建ての住宅を所有して賃貸を行い家賃収入を得る方法です。
一棟投資と同様に土地を保有できるので、建物が劣化しても土地という資産を保有していられる特徴があります。
(1)戸建て投資のメリット・デメリット
アパート、マンションに比べて賃貸している一軒家は少ないので、競争相手が少なく、また一度入居されると長期に渡って住み続けてもらえるケースが多いです。
一方で、賃貸需要は限定的とも言えますので、長期に渡って空室が続いてしまう可能性もあります。
ある程度の空室にも耐えられるような自己資金を準備したり、シェアハウスにして新たな利用者の需要を作り出すなど、賃料が途切れないように様々な対策をしておきましょう。
(2)新築VS中古
土地を保有していれば、新築で戸建てを建築してオーナーとなり、賃貸するのも投資対象としてオススメです。
逆に、土地からの購入となると、土地の整備に戸建ての建築と期間と費用が大きくなりますので初心者が始めるには難易度が高い傾向にあります。
一方、中古であれば建築費用は抑えられますので、きちんと物件調査ができるのであれば、選択肢に入ってくるでしょう。
(3)都心VS地方
戸建の場合、アパート、マンション以上に賃貸需要の影響が大きくなります。
地方での空き家問題がニュースになるように、長期間空室になって維持費だけがかかってしまうようなことがないように気をつけましょう。
民泊について
民泊とは、マンションや戸建てをホテルのかわりに旅行客などに提供して、宿泊に対しての宿泊料を得る手法になります。
(1)民泊のメリット・デメリット
民泊は旅行客というインバウンド需要を取り込めるので、エリアによっては高い利用率と宿泊費用を得られる可能性があります。
また、国内の賃貸事業に比べて新規ビジネスになりますので、集客やPRに工夫の余地があり差別化をしやすいです。
一方、外国人観光客がメインになりますので、近隣トラブルや苦情、行政への届け出や管理など、一般的な不動産投資とは違った運用方法もあるので注意点もあります。
(2)新築VS中古
民泊であれば、新築にこだわらなくてもエリアによって十分な集客が見込めます。
むしろ、新築物件を保有できるのであれば、営業日数が制限されている民泊よりも、一般的な賃貸で家賃収入を得る方が効率よくリターンが期待できるケースが多いでしょう。
(3)都心VS地方
民泊の場合、都心か地方かという観点よりも、観光需要が多いエリアかどうかが重要になります。
外国人観光客がどの程度集まるのか、一般的なホテルなどの宿泊施設がいくらくらいなのかを把握した上で民泊運営を行うのがよいでしょう。
実績のある民泊専門の不動産会社に立地について事前に相談したり、民泊専門のセミナーに参加して勉強するなども有効でしょう。
駐車場投資について
駐車場投資は、土地を駐車スペースに整備した上で、駐車場使用料を得る投資手法になります。
アパートやマンションですと、駐車場だけでなく、駐輪場などもある場合が多いので、確認しておくほうがいいでしょう。
毎月の使用料を決める月極と、時間貸しのコインパーキングで運営する方法があります。
(1)駐車場投資のメリット・デメリット
駐車場経営は、戸建てやアパートの建設に比べて比較的安価に始められるので、不動産を建てるには適していない土地がある場合には駐車場投資を検討するのも良いでしょう。
将来的に用途をかえる場合でも、駐車場からなら少額で原状回復ができます。
注意点としては、戸建てのように固定資産税の軽減対象にはならないので、固定資産税の支払いで収支が圧迫されないか確認するのが重要になります。
(2)都心VS地方
賃貸に比べて、駐車場の需要に関しては予測が難しく、思った以上に駐車場として使用されないという可能性もあります。
都心、地方であるかにこだわらず、周辺の駐車場や駐車スペースの使用状況や、アパートや戸建てに車を停める場所がどの程度あるかなどを参考に、広い視点から市場調査を行うのが良いでしょう。
トランクルーム投資について
トランクルーム投資は更地にコンテナを設置すれば始められるため、初期費用を抑えることができます。
住宅のように設備故障や近隣トラブルなど起こりにくいため、初心者でもリスクを減らして始めることができます。
一方、トランクルームで得られる収益は限定的であり、そもそも需要がないエリアもありますので選び方には注意が必要です。
ファミリータイプの賃貸物件が多いエリアで、季節によって収納が足りなくなるような場合にトランクルームが使われるケースが多いので、周辺環境の情報はきちんとチェックしておきましょう。
不動産小口化商品のメリット・デメリット
不動産小口化商品とは、高額な物件や商業施設などを1口数万円から数十万円と小口にして販売する投資商品になります。
金融商品ではなく、現物の不動産に投資をする形態になりますので、配当金ではなく不動産所得として収入を得ることができます。
似たようなサービスで、不動産投資型クラウドファンディングがあり、1口数十万円程で出資が可能になります。
デメリットとして、不動産投資の融資を活用できないので、自己資金の範囲内でしか投資ができないので注意が必要です。
また、金融商品への投資になるため、不動産所得にはなりませんので、不動産を活用した節税効果として、相続税対策などを目的に検討している人も注意が必要です。
J-REIT(不動産投資信託)について
J-REITは日本(Japan)で行われている不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の略語になります。
多くの投資家から資金を集め、プロである運用会社が複数の収益物件に不動産投資を行い、得られた利益を投資家の投資金額に応じて分配する仕組みです。
現物資産に直接投資をする不動産投資に比べて、1口1万円程度の少額から始めることができるのが魅力で、運用を専門とする企業に任せることで入居者の管理や更新の手続き、管理費や修繕費の管理といった手間はほとんどありません。
また、ファンドに運用を任せることで、現物不動産投資の基礎知識が少なくても始めやすいという特徴があります。
一方で、不動産投資のメリットである、融資を活用してのレバレッジを活かすことはできないので、あくまで自己資金の範囲内でしか投資はできません。
自分に合った不動産投資種類を選ぶには?
ここまで8つの不動産投資の種類について解説してきました。
その上で、本当に自分に合った投資を選ぶにはどうしたらいいかの流れを解説していきます。
(1)投資目標
まずは、不動産投資を始める目標を決めます。
短期間で大きな利益を得るために売却益を狙うのか、家賃収入を増やすして会社員を辞めて不動産大家さんを目指して規模を拡大していくのか、目標によって取るべき選択肢は変わってきます。
- ✅目標が定まっていないと、今後、いくらの頭金を準備したらいいのか分からない
- ✅不動産投資の始め方に関する様々なノウハウに振り回されてしまう
といったように方向性が定まらなくなってしまいます。
まずは、不動産投資を始める理由について、きちんと考えをまとめておきましょう。
(2)投資できる予算
不動産投資を行う上での予算を決めていきましょう。
不動産投資の種類にもよりますが、よくある失敗例として、資金計画が曖昧で自己資金が尽きてしまうということがあります。
自己資金に加えて、不動産融資も活用できる場合は、どの程度、金融機関からの融資額と利息条件を得られるかも重要です。
(3)今の自分の現状
不動産投資は若いうちに始めて、長期に渡って投資をすることで収益を大きくしていくことができます。
長期間、投資目的で不動産を保有することで、借り入れの返済も負担を少なくして資産を形成していくこともできるでしょう。
現状の年齢、性別、保有資産、属性(年収や勤続年数など)によって、より良い選択肢は変わってきます。
すでに土地がある人なら、一棟投資や駐車場活用など、土地を活かして不動産投資を選ぶのも良いですが、土地を持っていない場合、一棟投資はハードルがあがります。
自分の現状を書き出しておくなどして、客観的に自己分析するのが不動産投資で成功するためのコツになります。
そのためにも不動産投資について、個人でも書籍で勉強するなど準備をおき、最適なタイミングで不動産投資を始める判断ができるようにしておくことが重要になります。
(4)FPなどのプロのアドバイスをもらう
投資目標、投資資金、そして自分の現状をまとめたら、目指すべきゴールに向けてアプローチが適切かどうか、物件購入は信頼できる不動産会社からの提案かどうか、うっかり漏れているポイントがないかをFPなどのプロの専門家からアドバイスをもらうのが良いでしょう。
お金の専門家であるFPや、すでに不動産投資を実践されている先輩大家さんなどの目線で良い評価を貰えれば、不動産投資の成功率は高まってきているといえるでしょう。
まとめ
今回、本記事では不動産投資の種類について8つの投資方法を解説してきました。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、一番良い手法をみつけるというよりは、ご自身にあう不動産投資はどの手法かを分析していくことが大切です。
不動産投資を始める前は不安も多いと思いますが、初心者向けの書籍やセミナー、コラム記事などで入念に情報収集していくことで、自信を持って不動産投資を始められる状態を目指し、安定収入の得られる不動産事業者を目指していきましょう。
本業としても、副業としても不動産投資は人気であり、初心者からでも参入できる業界ですので、各投資手法のポイントを抑えて、是非、不動産投資にチャレンジしてみましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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