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住宅ローン控除が受けられないの?適用要件、確定申告の手続きを解説

2022年10月16日
男性

「住宅ローン控除」という制度をご存じでしょうか。

家を購入すると最大で13年間、税額控除を受け所得税や住民税が軽減され、払いすぎた税金の還付金をもらえるというお得な制度です。

しかし控除の適用条件が分かりにくく、手続きが複雑だと感じる人もおられるでしょう。

この記事では住宅ローン控除の適用条件と確定申告の手続きについて解説します。

これから家を購入する人はぜひ参考にしてみてください。

そもそも住宅ローン控除とは?

住宅ローン

住宅ローン控除は正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、個人の住宅所得を後押しするための制度です。

個人が家を購入し、給与所得者であれば住宅ローンを借りる時に所得税が控除される仕組みです。
住宅購入には多くのお金がかかるため住宅ローンの金利も高くなりますが、この控除制度によって金利の負担を軽減できます。


生命保険料控除やふるさと納税は、税金計算のための基礎数字から控除する所得控除であるのに対して、住宅ローン控除は所得税から直接控除されます。

したがって年収や所得に関係なく、同じ金額が控除されることになります。控除額の計算方法は次のとおりです。

  1. ☑「控除額=住宅ローンの年末時点の残高×0.7%」

所得税額よりも控除額が大きくなり所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から控除されます。

住民税からの控除は自動的に行われるため、特段手続きは不要です。ただし、以下のとおり控除できる金額には上限があり、控除限度額があります。

  1. ☑購入時の消費税が8%または10%の場合:所得税の課税総所得金額等×7%(最高136,500円)
  2. ☑それ以外の場合:所得税の課税総所得金額等×5%(最高97,500円)

出典:国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」

住宅ローン控除は税負担が軽減される魅力的な制度ですが、一定の要件を満たす必要があります。

次の章で住宅タイプ別の要件について説明します。

住宅タイプ別!住宅ローン控除を受ける要件

家

住宅ローン控除は住宅の種類によって控除の要件が異なります。住宅タイプごとの適用条件について説明していきます。

(1)新築住宅・買取再販住宅の場合

買取再販住宅とは、中古物件を住宅メーカーが買い取り、一定の増改築等でリフォームされた物件のことです。
新築住宅および買取再販住宅の条件は次のとおりです。

  1. ☑住宅取得後6カ月以内に入居し、継続して居住していること
  2. ☑住宅の床面積が50㎡以上であること※
  3. ☑床面積の2分の1以上が、居住用であること
  4. ☑住宅ローンの返済期間が10年以上であり、分割して返済していること
  5. ☑控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であること

※令和5年以前に建築確認を受けた住宅は、床面積が40㎡以上50㎡未満であっても控除を受けることができますが、その場合の所得金額は1,000万円以下である必要があります。

出典:国税庁「マイホームを持ったとき」

床面積は登記簿上の面積で判断します。住宅購入時のチラシや売買契約書に記載されている面積と異なる場合もあるので、注意しましょう。

なお、新築住宅・買取再販住宅の中でも認定住宅ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅は別途基準が設けられており、所得要件等が異なります。

(2)認定住宅の場合

認定住宅とは、認定長期優良住宅・低炭素建築物及び低炭素建築物に認定された建物のことです。
簡単に説明すると、住宅を長持ちさせるために耐震性・省エネ性能・リフォームのし易さなどの基準が定められており、これらの基準を満たす住宅を認定住宅といいます。

控除を受けるための条件は、新築住宅の要件に加えて以下の要件を満たすことです。

  1. ☑長期優良住宅建築計画の認定通知書(又は低炭素建築物新築等計画の認定通知書)及び住宅用家屋証明書などにより証明されたものであること

認定物件は長期にわたり住み続けられる良質な住宅として、住宅ローン控除上限額が新築物件よりも高く設定されています。

(3)中古住宅の場合

中古住宅の要件は次のとおりです。

  1. ☑住宅取得後6カ月以内に入居し、継続して居住していること
  2. ☑住宅の床面積が50㎡以上であること
  3. ☑床面積の2分の1以上が、居住用であること
  4. ☑住宅ローンの返済期間が10年以上であり、分割して返済していること
  5. ☑控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下であること
  6. ☑建築後使用された住宅であること
  7. 次のいずれかに当てはまる住宅であること
    ①昭和57年1月1日以後に新築されたものであること
    ②取得日前2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合するものであると証明されたもの(耐震住宅)であること
    ③①②以外の住宅(要耐震改修住宅)で、取得日までに耐震改修を行うことについて申請し、かつ、居住日までにその耐震改修により住宅が②の基準に適合することが証明されること

昭和57年1月1日より前に建てられた住宅は現行の耐震基準を満たしていない可能性があるので、耐震住宅でないと控除を受けられません。

(4)住宅ローンを利用せず認定住宅などの場合

住宅ローンを利用せずに、認定住宅やZEH水準省エネ住宅を取得した場合は、以下の要件を満たせば控除が受けられます。

  1. ☑住宅の取得後6カ月以内に入居し、継続して居住していること
  2. ☑住宅の床面積が50㎡以上であること
  3. ☑床面積の2分の1以上が、居住用であること
  4. ☑認定住宅等の新築または建築後使用されたことのない認定住宅等の購入であること
  5. ☑入居した年の所得金額が3,000万円以下であること
  6. ☑入居した年に控除しきれない額を翌年分の所得税から控除する場合には、翌年分の所得金額が3,000万円以下であること

住宅ローンを利用して認定住宅を取得する場合と比べると、控除上限額は下がります。

2022年(令和4年)からの住宅ローン控除の6つの変更点

2022年からの6つの改正内容と注意点について解説します。

(1)対象となる居住期間は4年間

住宅ローン控除の制度そのものが4年間延長され、2025年12月31日まで適用されることになりました。

出典:国土交通省「令和4年度税制改正概要」

(2)控除率が0.7%に縮小

控除率は改正前のローン残高の1%から0.7%に縮小します。住宅ローン控除はローンの金利負担を減らすことが目的ですが、近年は低金利により金利1%以下でローンを組むことも多く、金利以上の控除が問題視されていました。

控除率が下がることによって、住宅ローン控除額も下がることになります。今回の改正で、低金利の実態に合わせて控除率も縮小されました。

(3)新築の控除期間は13年に据え置き

改正前の控除期間は10年間でしたが、2019年に新築住宅・買取再販住宅を消費税10%で住宅を購入した場合に限り13年とする改正が行われました。

また、その後2回の改正によって控除期間13年の特例が延長されていました。控除期間が長くなり非常に大きなメリットと言えます。

注文住宅分譲住宅
2019年度 税制改正・契約時期
・入居時期
・-
・2020年12月31日までに入居
・-
・2020年12月31日までに入居
新型コロナウイルスの影響をふまえた弾力化措置・契約時期
・入居時期
・2020年9月30日までに契約
・新型コロナの影響で入居が遅れた場合は2021年12月31日までの入居も対象
・2020年11月30日までに契約
・新型コロナの影響で入居が遅れた場合は2021年12月31日までの入居も対象
2021年度 税制改正・契約時期
・入居時期
・2021年10月1日から2022年9月30日までに契約
・2021年1月1日から2022年12月31日までに入居した場合
・2020年12月1日から2021年11月30日までに契約
・2021年1月1日から2022年12月31日までに入居した場合
出典:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」/国土交通省「住宅ローン減税の適用要件の弾力化について(新型コロナウイルス感染症関係)」

今回の改正で、控除期間13年の特別措置は2023年までの据え置きが決定しました。

一方で2024年以降に認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅以外の住宅に入居した場合、控除期間は10年となるので注意が必要です。なお、中古物件の控除期間は従来通り10年となります。
出典:国土交通省「令和4年度税制改正概要」

(4)省エネ区分の新設および借入限度額の変更

改正により、「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」の区分が新設されました。また、借入限度額が下記のとおり変更されました。

認定住宅に該当しない新築物件は借入限度額が下がり、中古物件の認定住宅は上がります。令和6年以降の入居では、現行よりもさらに借入限度額が下がるケースや控除がなくなるケースもあります。

なお、認定住宅は借入限度額が上がっているのはメリットですが、物件自体の価格が高くなっていることから、そのメリット・デメリットをちゃんと把握した上で判断するといいでしょう。

区分借入限度額
(改正前)

借入限度額
(改正後)
2022年・2023年入居
借入限度額
(改正後)
2024年・2025年入居
控除期間
新築住宅・買取再販住宅・認定住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
・その他の住宅
・3000万円→5,000万円※
・―
・―
・2,000万円→4,000万円※
・5,000万円
・4,500万円
・4,000万円
・3,000万円
・4,500万円
・3,500万円
・3,000万円
・0円(2023年までに新築の建築した場合は 2,000万円)
・13年
・13年
・13年
・13年
(※2024年以降に入居した場合は10年)
既存住宅・認定住宅
・その他の住宅
・2,000万円
・2,000万円
・3,000万円
・2,000万円
・3,000万円
・2,000万円
・10年
・10年
出典:財務省「住宅ローン控除の見直し(令和4年度改正)」

※印は2019年消費税率引き上げに伴う反動減対策

(5)所得制限は2,000万円に引き下げ

控除対象者の所得要件が3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられました。
なお面積要件として床面積40㎡以上50㎡未満の住宅については、所得制限1,000万円以下から変更はありません。
出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱(1/8)」

(6)中古物件は築年1982年以後と緩和

改正前は一定要件(耐火住宅は築25年以内、非耐火住宅は築20年以内)に該当する中古物件しか控除が受けられませんでした。

改正により築年数の要件が撤廃され、「1982年以降に新耐震基準で建てられた住宅」に条件が緩和されました。耐震基準適合証明書を提出することができれば認められるようになります、

なお、新耐震基準は1981年6月1日から適用されている基準であるため、1982年以降に建てられた住宅は対象になると考えてよいでしょう。
出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱(1/8)」

実際に住宅ローン控除の確定申告をする時の流れ

確定申告

住宅ローン控除を受けるには、確定申告をする必要があります。
確定申告とは税金を納めるために、1月1日から12月31日までの所得額を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告する手続きです。
会社員の人は通常年末調整時で申告すれば控除されますが、住宅ローン控除を受ける1年目のみ確定申告をする必要があります。

こちらの章では確定申告時の手順、具体的な手続き方法をご紹介します。住宅借入金等特別控除として、確定申告に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類入手できる場所
確定申告書国税庁ホームページまたは最寄りの税務署
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書国税庁ホームページまたは最寄りの税務署
登記事項証明書法務局
工事請負契約書または売買契約書のコピー工務店や不動産会社など
住宅ローンの残高証明書借り入れをしている金融機関
マイナンバー記載の本人確認書類(マイナンバーカードなど)市区町村
源泉徴収票 ※給与取得者のみ勤務先
住宅性能を示す書類 ※該当する場合のみ工務店や不動産会社など
出典:国税庁「住宅ローン控除を受けられる方へ」

認定住宅・省エネ住宅などの場合は、住宅性能を示す書類も必要となります。申請区分ごとの必要書類の詳細は、「国税庁ホームページ」でご確認ください。

確定申告は上記の書類を最寄りの税務署に持参または郵送するほか、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からインターネット上でe-Taxを活用して申告することもできます。
確定申告の受付は翌年2月16日からですが、12月頃から準備しておきましょう。

申請方法が分からない場合は、税理士もしくは最寄りの税務署に相談することもできます。

会社員の人は、2年目以降は勤務先の年末調整で申告が可能です。年末調整に必要な書類は以下のとおりです。

  1. ☑住宅ローンの残高証明書
  2. ☑住宅借入金等特別控除証明書

「住宅借入金等特別控除証明書」は初年度の確定申告をした年の10月頃に税務署から郵送されます。控除年分の書類がまとめて送られるので、紛失しないようにしましょう。

万が一初年度の住宅ローン控除の確定申告を忘れたら?

女性

会社員など普段確定申告しない人が申告を忘れてしまった場合、申告する年度の翌年1月1日から5年以内であれば還付申告が可能です。
初年度の確定申告をせず複数年経過しているような場合は、過ぎた年数分の還付申告が必要です。

例えば2020年4月1日にマンションを購入したサラリーマンが、初年度の確定申告を忘れ2022年6月1日に気づいた場合、2020年・2021年分の還付申告をすれば控除を受けられます。

一方で個人事業主や自営業の人など普段から確定申告をしている人が、住宅ローン控除の申告のみ忘れてしまった場合、原則申告のやり直しは認められません。やり直しできるかは税務署の判断を仰ぐことになります。

所得税で控除しきれない場合は個人住民税からも控除されます。

住民税の控除を行うには、納税通知書が届くまでに確定申告をする必要があります。例えば2020年4月1日に一戸建て住宅を購入し、2022年10月1日に申告漏れに気づいた場合、既に2020年・2021年分の納税通知書を受け取っているため住民税の控除は受けられません。

まとめ

家族

住宅ローン控除は税負担が軽減されるお得な制度ですが、対象となる要件が限られています。

あらかじめ住宅種類ごとの適用条件をチェックしておくことをおすすめします。また、控除を受けるには初年度の確定申告が必須です。

「申告期限を過ぎて控除が使えない」とならないように、確定申告は忘れず行いましょう。

住宅ローン控除を最大限利用できるよう、ぜひ弊社のお金管理アプリ「マネソル」(特許あり)はを活用して控除額をシミュレーションしておきましょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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