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国の教育ローンは親が死亡したら残債は残る?利用検討中の方は必見!

2022年10月10日
親子

「自分が亡くなったら、残された家族は国の教育ローンの返済が免除される」と思っている親御さんもおられるでしょう。
結論からお伝えすると、親が死亡しても残債は残ります。

この記事では、国の教育ローンの仕組みや保証制度に加え、令和4年の改正点についても説明しています。

これから利用を検討している人は参考にしてみてください。

日本政策金融公庫「国の教育ローン」の仕組みとは

教育費

教育費の負担を軽減し、子どもの進学・在学を支える公的な融資制度として「国の教育ローン」が設けられています。
教育の機会均等を目的として設立され、40年以上の歴史があります。
日本政策金融公庫が無担保で提供しており、金融機関窓口またはインターネットからいつでも申し込みが可能です。
保護者が契約者となり借り入れをし、学生1人につき上限350万円(一定の条件に該当する場合は450万円)までの融資額を1年分まとめて受け取れます。

よく似た制度に日本学生支援機構の奨学金がありますが、奨学金の契約者は学生本人です。
奨学金は申込時期が限られており、融資額は毎月定額で受け取るなど違いがあります。

国の教育ローンの使いみちは以下のとおりです。
申込み時に使用用途が確認できるなどの必要書類の提出が求められます。

  1. ☑学校納付金(入学金、授業料、施設設備費など)
  2. ☑受験費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)
  3. ☑在学のため必要となる住居費用(アパートやマンションの敷金・礼金など)
  4. ☑教科書代、教材費、パソコン購入費、通学費用、修学旅行費用、学生の国民年金保険料など

利用するには年収や所得が一定条件以下である必要があります。
なおお子さまが2人以内の場合、一定条件に該当すると世帯年収・所得の上限額によって、借入金額が「緩和」されます。詳しくは日本政策金融公庫のサイトにてご確認ください。

  1. ☑利用できる人の世帯年収・所得の上限
子どもの人数世帯年収の上限額世帯所得の上限額
1人※790万円600万円
2人※890万円690万円
3人990万円790万円
4人1,090万円890万円
5人1,190万円990万円
参考:日本政策金融公庫「ご利用条件」

基本、国の教育ローンは低所得世帯の入学・進学を支援する制度なので、審査に通れば収入が少ない人でも融資が受けられます。

しかし、無職で生活保護を受けているような場合は審査の通過が難しくなります。

審査では提出書類を基に申込人の返済能力などから判断しており、年収に対する年間返済額の割合が低い人や、持ち家がある人の方が審査に通りやすいと言えます。

教育ローンの契約者が死亡しても債務はなくならない

親子

教育ローンの契約者が亡くなっても、債務はなくなりません。

理由は契約者が亡くなった場合、支払義務は契約者の相続人に移るためです。
例えば契約者である父親が亡くなった場合は、母親や子どもがローンの返済を続けていく必要があります。

遺族が返済できない場合は、連帯保証人が支払義務を負うことになります。
連帯保証人とは、ローンの契約者が返済できなくなった時に、代わりに返済義務を負う人のことです。

国の教育ローンを利用するには、連帯保証人を立てる必要があるので、仮に契約者が返済できなくなった場合は連帯保証人に請求されるのです。

連帯保証人がおらず教育資金融資保証基金を利用する場合は?

親子

連帯保証人がいない場合は、保証会社のイメージで「教育資金融資保証基金」を利用することで、教育ローンの利用が可能です。

(1)教育資金融資保証基金とは?

教育資金融資保証基金とは、国の教育ローンの利用者のための保証制度です。

国の教育ローンの利用には、原則連帯保証人の設定が必要です。
連帯保証人は、進学者・在学者の別居・別生計の4親等以内の親族にお願いすることになります。
しかし、なかなか頼みづらいケースや、頼める親族がいない人もいるでしょう。
そのような場合に「教育資金融資保証基金」に保証料を払えば、連帯保証人の代わりとすることができます。

(2)教育資金融資保証基金の利用方法

教育資金融資保証基金を利用するには、ローン申し込み時に申込書2枚目の保証依頼書を記載して窓口に提出します。利用にあたっての保証料は融資額から一括で差し引かれます。
令和4年8月1日以降の保証料の目安は次のとおりです。

  1. ☑融資額100万円あたり保証料の目安(※期間なし・2年・4年はそれぞれ利息のみ返済(元金据置)期間)
返済期間なし2年4年
5年15,572円18,686円21,800円
10年30,795円36,954円43,113円
18年55,463円66,555円77,648円
出典:日本政策金融公庫「保証基金のご案内」

なお、交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、扶養する子どもの人数が3人以上で世帯年収が500万円(所得356万円)以内の人は、保証料が上記の表の2分の1の金額となります。
保証料の目安は日本政策金融公庫の「返済シミュレーション」からも試算が可能です。

(3)教育資金融資保証基金を利用しても親に万が一な時は免除されない

教育資金融資保証基金を利用しても、契約者である親が亡くなった場合の返済は免除されません。
教育資金融資保証基金の保証料は、あくまで連帯保証人を立てる代わりに支払うものです。

契約者が亡くなったら相続放棄手続きを希望しない限り、ローンは遺族が返済することになります。
遺族による返済が難しい場合は、教育資金融資保証基金が借金を肩代わりしてますが、これによって借金がなくなる訳ではありません。
返済先が日本政策金融公庫から教育資金融資保証基金へ変わるだけであり、結局は教育資金融資保証基金に借金を返済していく必要があります。

親が死亡して債務なくしたい場合は金融機関の教育ローンを利用

教育費

親の立場で、自分が死亡した時に子どもや配偶者に借金を残したくないという人も多いでしょう。

民間金融機関の教育ローンを利用すれば団体信用生命保険に加入できて、万が一の時は団信を利用遺族の債務が免除されます。

団体信用生命保険は、民間金融機関の教育ローンを利用する場合に加入できます。

(1)団体信用生命保険を利用できる

団体信用生命保険は、住宅ローンや教育ローン、自動車ローンの債務者が加入できます。
ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険会社が残債相当の保険金を金融機関に支払うため、遺族は借入金の返済を免れることができます。
万が一の時に家族に借金を残したくないという人は民間の教育ローンがおすすめです。

ただし民間の教育ローンは返済能力などが見られるため、収入状況などの審査結果によってはローンを組めない可能性もあります。
また、団体信用生命保険は生命保険の一種であるため、健康状態によっては加入できないケースもある点は注意が必要です。

(2)金利が高い

民間の教育ローンは、国の教育ローンと比べて金利が高めです。例えば、令和4年5月2日時点の国の教育ローンの金利は年1.80%です。民間の教育ローンは金融機関や借入期間によって異なりますが、2%~4%程度であり、国の教育ローンより割高です。また変動金利・固定金利のいずれかを選択できますが、固定金利の方が金利は高めです。
参考:日本政策金融公庫「金利・ご返済方法」

これから利用したい人が把握したい3つの改正点

親子

令和4年4月以降、国の教育ローンが改正され、返済期間や保証料の優遇対象・割合が拡充となりました。
特に返済期間の拡大により返済計画が立てやすくなると予想されます。これから利用したい人は改正点を把握しておきましょう。

(1)返済期間は一律18年に拡大

令和4年4月1日以降の返済期間が一律18年に拡大されました。改正前の返済期間は通常15年以内となっており、下記条件に該当する場合のみ18年以内でした。

  1. ☑母子家庭
  2. ☑父子家庭
  3. ☑交通遺児家庭
  4. ☑世帯年収200万円(所得132万円)以内の方または扶養する子ども3人以上の世帯かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内の人

改正により家庭の状況によらず返済期間が18年以内に拡大されたため、毎月の返済額を抑えた利用が可能です。

最長18年ですが、5年払い、7年払いなど短い期間での設定もできます。

(2)保証料の優遇対象と割合が拡充

令和4年5月2日融資分から、教育資金融資保証基金の保証料の優遇対象と割合が拡充されました。

改正前は交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭に対しては保証料が優遇されており、通常の保証料の3分の2の金額が適用されていました。
今回の改正により、「扶養する子どもの人数が3人以上で世帯年収が500万円(所得356万円)以内の人」も保証料優遇の対象となります。
また、優遇対象の家庭は通常の保証料の2分の1の金額となります。

(3)交通遺児家庭が金利優遇対象に追加

上記(2)において「交通遺児家庭」が保証料の優遇対象と説明しましたが、以前は対象となっておらず、令和4年4月1日から金利優遇対象に追加となりました。

まとめ

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国の教育ローンの申し込みには連帯保証人の設定が必要ですが、教育資金融資保証基金を利用することで連帯保証人の代わりとすることができます。
ただし、もし親が亡くなった場合でも残債は免除されず、引き続き支払う必要があることを理解しておきましょう。

万が一の時に備えたい人は、民間の教育ローンの利用がおすすめです。

令和4年の改正で国の教育ローンは返済期間が拡大し、保証料の優遇対象と割合も拡充したので、より多くの人にとって利用しやすくなりました。

子育てには教育費や養育費など、多くのお金がかかります。家計の状況なども考慮して、ローンを組むなら無理なく支払える方法を選択しましょう。

もし判断に迷う場合は、ぜひ我々FPに相談してみてください。プロ目線の的確なアドバイスをさせて頂きます。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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