大学の学費の目安は?他にかかる費用と学費を軽減できる方法も解説!
教育にはお金がかかる。日本の教育費負担が大きいことは子育ての常識となっています。
その中でも大学はこれまでの中学校や高校よりも学費がかかる場所です。
いったいどれほど入学金や授業料がかかるのか、親として不安になってきます。
ここではそのような不安を抱えている親向けに、大学の学費をはじめ就学に必要な費用の想定金額を調べ、学費を軽減できる方法についても徹底解説していきます。
大学の学費はトータルでいくらかかる?
大学は一般的に4年間、医学部では6年間です。
学費については国公立大学が安く、私立大学は高い傾向となっています。
また、私立大学は学部によって差があり、文系学部が安く、理系が高い傾向です。
特徴的なのは医学部や薬学部、歯学部で、別格に高額の学費となります。
このため、子どもが希望する大学や進路によって学費負担は大きく変わるのです。
最初は大学の学費が在学中にどれくらいかかるのか事前にチェックしておきましょう。
(1)国公立大学の学費
国立大学の学費は文部科学省令によって決められています。
その金額は入学金が282,000円、1年目の授業料は535,800円です。
これによって4年間の学費を計算すると以下のようになります。
入学金 | 在学中の授業料 | 総額 | |
4年間在学 | 282,000円 | 2,143,200円 | 2,425,200円 |
6年間在学 | 282,000円 | 3,214,800円 | 3,496,800円 |
国立大学の場合は学部による学費の差はありません。
また、公立大学は学費が若干異なるものの、国立大学の学費にほぼ準じた金額となっています。
(2)私立大学の学費
私立大学の学費は文部科学省の資料によりました。
これによると学部によって費用が大きく異なることがわかります。
学部別にまとめてみました。
入学料 | 施設設備費 (在学期間の総額) | 1年間の授業料 (在学期間の総額) | 学費総額 | |
文科系学部 | 225,651円 | 148,272円 (593,088円) | 815,069円 (3,260,276円) | 4,079,015円 |
理科系学部 | 251,029円 | 179,159円 (716,636円) | 1,136,074円 (4,544,296円) | 5,511,961円 |
医歯系学部 (6年間) | 1,076,278円 | 931,367円 (5,588,202円) | 2,882,894円 (17,297,364円) | 23,961,844円 |
その他学部 | 254,836円 | 235,702円 (942,808円) | 969,074円 (3,876,296円) | 5,073,940円 |
(3)大学の学費を支払うタイミングは?
学費を支払うタイミングは前期と後期に分納して支払うのが一般的で、それぞれの学期が始まる1カ月から2カ月前に支払います。
入学時の入学金と前期分の学費の納入は入学手続き時に支払うことも多く、早い時期の場合もあり注意が必要です。後期分は大学入学後の夏ごろが納付期限となります。
合格から短い期間でまとまったお金を振り込むこともあるので、いつごろ支払うのか確認しておきましょう。
初年度納付金の目安は?
初年度の納付金は入学金などの特別なお金が必要です。
このため、2年次以降よりも多額になります。
その金額は国公立大学と私立大学で大きく異なり、私立大学は学部によって違います。その違いをみていきましょう。
(1)国公立大学の初年度納付金
国立大学の学費は入学金が282,000円、1年目の授業料は年額535,800円です。
したがってその合計額817,800円が初年度納付金となります。
国立大学はどの学部も学費が同額です。公立大学もほぼ国立大学の納付金に準じた金額です。
(2)私立大学の初年度納付金
次に私立大学の初年度納付金をみていきましょう。
①文系
文系学部の初年度納付金は次のとおり。
入学料 | 施設設備費 | 1年間の授業料 | 初年度納付金総額 | |
文科系学部 | 225,651円 | 148,272円 | 815,069円 | 1,188,992円 |
私立大学の中では約120万円と安価です。
実習費も少ないことから施設設備費も少なくなっています。
②理系
理系学部の初年度納付金は次のとおり。
入学料 | 施設設備費 | 1年間の授業料 | 初年度納付金総額 | |
理科系学部 | 251,029円 | 179,159円 | 1,136,074円 | 1,566,262円 |
文系学部に比べると実習が多い、設備に多額の費用がかかるといった理由から初年度納付金は高い傾向です。
③医歯系
医歯学部の初年度納付金は次のとおり。
入学料 | 施設設備費 | 1年間の授業料 | 初年度納付金総額 | |
医歯系学部 | 1,076,278円 | 931,367円 | 2,882,894円 | 4,890,539円 |
医学部は高い、という巷間のうわさを実証するかたちとなりました。
初年度だけで500万円近い学費です。
④その他
その他の学部の初年度納付金は次のとおり。
入学料 | 施設設備費 | 1年間の授業料 | 初年度納付金総額 | |
その他学部 | 254,836円 | 235,702円 | 969,074円 | 1,459,612円 |
福祉系や情報系の学部など多様な学部が含まれています。
その結果、文系と理系の間の納付金額となりました。
(3)学部によって金額が変わる
私立大学に進学した場合、大学ごと、学部ごとによって初年度納付金が大きく変動します。
特に医歯系学部の高さには目をみはるばかりです。
これは設備や実習の数が影響していると考えられます。
座学が中心の文系学部と実習が多い理系学部では費用にも差が出ます。
大学の学費以外にかかる費用
これで大学の学費はわかりました。ただし、これだけでは大学で勉強していけません。
大学生活には学費以外にも多くの費用がかかるのです。
それは入学する前の受験料から始まり、教科書や参考書にも及びます。ひとり暮らしを始めるのであれば費用はさらにかさみます。
学費以外にかかる費用を確認してみましょう。
(1)受験料
大学受験には受験料が必要です。
国公立大学の受験費用は二次試験の検定料が1出願で1万7,000円程度です。
私立大学の場合は大学入学共通テストを利用する場合は1出願で1万円から2万円前後、一般選抜なら3万5,000円程度が必要になります。
(2)教科書や参考書などの費用
教科書や参考書も揃える必要があります。
小中学校のように無償で教科書を提供してはくれません。
教科書代などの教材費は学部や履修する講義にもよりますが、年間で数万円がかかります。
(3)ひとり暮らしの場合は初期費用や仕送り
進学先が実家から遠い場合、選択肢として大学の寮やひとり暮らしが考えられます。
仕送り額も必要になり、当然ながら学費に加えてさらなる負担です。
家賃に加えて家具や家電でも出費を強いられます。
親元を離れて大学に進学する場合、寮やひとり暮らしの費用がどれくらいかかるのかみていきましょう。
①大学の寮の場合
日本学生支援機構が調査した「居住形態別学生生活費(令和2年度 学生生活調査報告)」によると学生寮の生活費、つまり家賃は834,700円です。
これに入寮費、保証金、光熱費や通信費が加わります。
寮では食堂があることも多いので食費がかかることもあります。
②ひとり暮らしの場合
一人暮らしの下宿代の平均値は1,108,400円です。
寮に入るよりは20万円ほど高くなります。
この金額に加えて敷金や礼金、家具家電の準備費用も必要です。
これはあくまで平均的な数値であって、同じようなアパートを借りるにしても東京都周辺と地方では大きく異なります。
(4)入学式のスーツ代、PCなどの費用
これらの他にも入学式のスーツやパソコンの購入費などが必要になります。
特にパソコンは文系の大学でも必携になりつつあります。理系や情報系の学部では高性能なパソコンも必要です。学割や大学の割引制度を活用できる場合もあります。
このほか交通費など大学に通学するには多くの費用が必要です。
大学の学費を軽減できる4つの方法
学費をはじめ大学進学には多くのお金がかかります。
ただ、これだけの費用を準備できる人ばかりではありません。かといって経済的な理由で進学をあきらめるのももったいない話です。
そこで大学の学費を軽減できる方法を4つ紹介します。
(1)「奨学金制度」を利用する
まずは奨学金です。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)をはじめ多くの団体、組織が奨学金を設定しています。
貸与型の奨学金が中心ですが、無利子の奨学金や、中には返済不要の給付型の奨学金も設定されているのです。
貸与奨学金でも学業成績や卒業後の就職先によっては返済が免除あるいは減額されます。
現在は奨学金の返済が大きな負担となっているため、返還不要の奨学金を増やそうとのニュースもあるくらいです。
返済の有無、利息の有無、自宅生か自宅外から通うのかなどをしっかり確認して申し込むようにしましょう。
(2)「高等学校の修学支援新制度(大学無償化)」を利用する
主に低所得者層向けの就学支援策です。住民税非課税世帯や世帯年収が380万円未満の世帯であれば学費の一部を奨学金として支給あるいは減免する制度となっています。
世帯収入などの所得基準や資産基準、学力基準といったさまざまな条件をクリアできれば支給を受けることができます。
もし少しでも可能性があれば調べてみる価値がある制度です。
(3)「企業返済支援制度」を利用する
企業返済支援制度とは、企業が日本学生支援機構の奨学金を受けていた学生本人になり代わって奨学金を返済する制度です。
福利厚生の一環として企業側もアピールできますし、就職のアピールポイントにもなります。
この制度に登録している企業はまだ限られているので就職の際に確認してみましょう。
なお、企業返済支援制度は2021年に改正され使いやすくなりました。
(4)「新聞奨学生制度」を利用する
新聞奨学生制度は、在学中に学生が新聞配達業務を行う代わりに、新聞社が学費の全部または一部を肩代わりする制度です。
働きながら大学に通うこともでき、アルバイト先も確保できます。
新聞配達業務は朝が早く、ときにハードワークとなることもあります。
大学の学費を用意するには?
在学期間中で数百万円にもなる大学の学費。これを用意するには一朝一夕ではできません。
子どもが高校3年生になった時点や、ましてや大学の合格発表の時点では遅いのです。
こうした多額の大学の学費を用意するにはどうしたらよいでしょうか。
大切な資産を守りながらでもできる学費工面の方法と対策について考えていきます。
(1)早いタイミングから積立をする
子どもが生まれるとおおよそのスケジュールが想像できます。
15年後には高校、18年後には大学進学です。
多額の資金を貯めるには積立や定期預金が一般的ですが、どのような方法を取るにしても早ければ早いほど余裕を持って準備ができます。
(2)投資などを活用して効率よく増やす
資産運用をして資金を増やすのもひとつの手段です。
とはいえ、あまりハイリスクハイリターンのものはおすすめできません。
積立NISAなどで比較的安全な投資信託などに投資するのです。
ローリターンであっても毎月コツコツと早くから行っていれば時間が味方をし、着実に貯蓄ができます。
つみたてNISAについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
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子どもの教育資金を詳しく知りたい方はFPに相談する
教育資金がどれくらいかかるのか、どうやって貯金していけばよいのか、ネットで情報を得ることはできます。
でも全体を把握するにはやはりプロに相談したいところです。
資産形成のアドバイスができるのはFPとも呼ばれるファイナンシャルプランナーです。
FPに家計診断してもらうと、どんな相談ができてどんなメリットがあるのかみていきましょう。
そのためにも家計の収入や支出、貯蓄額は把握しておきましょう。
(1)FPに何が相談できる
FPにはいつから貯めればよいか、どれくらい貯めたらよいかといった資産形成の方法やライフプランを相談できます。
将来のことは誰にもわかりません。余裕をもって計画的に積み立てをしたいところです。
FPと検討するとこうした疑問点が解消できます。
実際に弊社にあった相談事例を公開していますので、ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。
(2)FPに相談するメリット
FPに相談すると必要な教育資金の額、準備方法などがわかります。
もちろん、ネット上の記事でもこうした情報を集めることは可能です。
ただ、FPに相談すると、自分にあったいわばオーダーメイドの資金計画を提示してくれます。
ここがネット情報と根本的に違う点であり、FPに相談する大きなメリットであり、安心材料なのです。
まとめ
金額だけみると大学の学費は大きなものです。
本当に学費を確保できるか心配になることもあります。
ですが、子どもが大学に進学するまでは時間があります。その間に貯めればよいのです。
奨学金をはじめサポート体制も整ってきました。
経済的な事情や家庭の事情で進学を断念しないように、早め早めに備えていきましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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