頭金なしでも購入できる?家を購入する時の頭金についてプロが解説

2022年7月25日

住宅資金は、教育資金・老後資金と共に、人生の3大支出と言われています。

その中でも住宅資金を計画的に立てることが大きなイベントとなります。

家の価格が高く、現金で購入する人は少なく、ほとんどの人は住宅ローンを組むことになるでしょう、住宅ローンを組む際、最初に悩むのが頭金です。

この記事では、家を購入する際に頭金を用意する場合としない場合のそれぞれのメリットとデメリット頭金を用意するならいくらがいいのかなどについて解説していきます。

これから家の購入を検討されている方は、ぜひ最後まで読んで頂き、計画的にマイホームを手に入れましょう。

住宅ローンの頭金とは?手付金との違いは?

頭金とは、不動産購入の際、不動産価格から住宅ローンの借り入れ金額を引いた部分の金額であり、自己資金から最初に支払う費用のことです。

住宅を購入する際、現金で一括購入できる人は少なく、多くの人が住宅ローンを組むことになります。

例えば、4,000万円の家の購入を決めたとき、最初に500万円を支払い、残り3,500万円のローンを組む、とします。最初に支払う500万円が頭金です。

間違えやすいですが、手付金は頭金とは異なります。

手付金は住宅購入の契約をする際に、買主が売主に支払う費用のことで、頭金と同じく手付金も住宅の購入代金に充てられます。

しかし、売主の都合で物件をキャンセルする場合、手付金は戻ってきませんので注意しましょう。

頭金の相場は?頭金を用意するメリットとデメリットも解説

購入する家が見つかった人も、これから探す人も、最初に悩むのが、住宅ローンを組む際の頭金です。

この項では、頭金の目安、頭金を用意するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

(1)頭金の相場は購入金額の20%が目安

「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、頭金の相場は「購入金額の20%」 が目安と言われています。

例えば4,000万円の家を購入するなら、20%の800万円が頭金です。

では、実際にみなさんが住宅を購入する際、頭金をいくら支払っているのでしょうか。

下の表は、住宅金融支援機構が発表している、2020年度フラット35利用者調査です。

住宅を購入する際、実際に頭金として支払った金額を住宅の種類別に表にしました。

 頭金の平均額(万円)住宅購入費用に対する頭金の割合(%)
注文住宅619.017.5
土地付き注文住宅440.510.0
建売住宅247.37.1
マンション758.116.7
中古戸建198.78.0
中古マンション343.411.6

(出典:2020年度フラット35利用者調査

注文住宅は17.5%、マンションは16.7%と20%に近い数字が出ていますが、他は10%前後です。

家を購入する際は、頭金の他にも手数料など様々な費用がかかりますので、頭金20%はあくまで目安と考えましょう。

家を購入する時の諸経費などについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。

(2)頭金を用意するメリット

住宅ローンの借り入れ金額が減らせる

頭金を用意するメリットは、住宅ローンの借り入れ金額を減らせることです。

例えば、4,000万円の家を購入する場合、

  1. ・頭金0円、借入金額4,000万円
  2. ・頭金500万円、借入金額3,500万円
  3. ・頭金1000万円、借入金額3,000万円

となり、住宅ローンの借り入れ金額が少ない程、月々に支払う金額は少なくなります。

毎月かかる住宅費が減らせると、生活に余裕が生まれ、精神的負担も少なくなるでしょう。

また、住宅ローンには金利がかかりますので、借り入れ金額が少ないということは、支払い総額も少なくなります。

支払い総額が少ないと、住宅ローン返済期間を短縮できたり、繰り上げ返済をしてローンを早めに完済できたりすることができます。

金利が引き下げられる可能性がある

頭金を用意できると、住宅ローンの金利が引き下げられる可能性もあります。

下の表は、2022年7月のフラット35等の借入金利水準です。

融資率金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.510%~年2.770%年1.510%
9割超年1.770%~年3.030%年1.770%

(出典:【フラット35】

上記の表を見て頂ければ分かりますが、頭金を1割以上用意できる場合は、金利年1.510%に対して、頭金が1割未満の場合は、金利年1.770%となり、0.26%の金利差も出ています。

なお、各金融機関は多種多様の住宅ローン商品を用意しています。金融機関によっては、頭金を多く入れれば入れる程、金利の引き下げを受け入れられる可能性が高まることがあります。

(3)頭金を用意するデメリット

家を買うまでに時間がかかる

頭金を用意するデメリットは不動産購入までに時間を要することです。

すぐに頭金を用意できる場合は問題ありませんが、頭金をためてから家を買う場合、目標となる金額に到達するまで数年かかることがあります。

当然、その間に家賃の支払いが発生します。仮に家賃が月10万円の場合、1年で120万円、3年で360万円となり、戻ってくることはありません。

また、頭金を貯めている間に購入したい物件が売れてしまったり、金利が上昇してしまったりする可能性もあります。

一時的に手持ちの現金が減少する

頭金をすぐに用意できる場合でも、頭金の支払い後は、一時的に手持ちの資金は大きく減少します。

生活費が必要であるのは当然ですが、それ以外に突発的な病気や事故でまとまった資金が必要となる場合があります。

また、災害のリスクもあります。子供が突然、私立の学校を希望するかもしれません。

このように、あらゆる事態を想定して、融通がきく現金をある程度手元に残しておくのが良いでしょう。

もちろん頭金を支払った後でも、充分な資金があれば問題はありません。

頭金なしで住宅は購入できる?頭金なしで購入するメリットとデメリットも解説

では、頭金なしの場合はどうでしょう。

こちらの項では、頭金なしのメリット・デメリット、そもそも頭金なしで住宅ローンを組めるか否かについて解説します。

(1)頭金なしでも住宅は購入可能な場合が多い

結論から言えば、頭金なしで住宅ローンを組んで家を購入することは可能です。

以前は、頭金を1〜2割用意しないと住宅ローンが組めない銀行もありましたが、現在は頭金なしでもローンが可能な銀行がほとんどです。

ただし、融資条件は金融機関によって異なります。利用する金融機関の融資条件、個人の資産や返済能力など全てをクリアすれば、頭金ゼロ、全く頭金なしの状態から住宅ローンが可能と言えます。

(2)頭金なしで買うメリット

頭金なしで家を買うメリットは、すぐに住宅購入を決断できることでしょう。

気に入った住宅が見つかったときにすぐに買える、これは一点物が多いと言われる住宅購入においては重要なポイントです。

早く家を買う決断ができれば、家賃を払う必要もなくなります。

また、年齢が若いほど、長期ローンが組めますし、完済する年齢も早くなります。

居心地の良い家に早く住めることでストレスをなくし、ローンを早く返して精神的負担を減らす、このように考えると頭金なしの購入は選択肢のひとつかもしれません。

(3)頭金なしで買うデメリット

頭金なしで家を買うデメリットは、毎月のローン返済額が高くなることです。

当然ですが、返済しなければいけない総額が増えるからです。

ここで問題になるのは、頭金なしで購入しても返済が可能かどうかです。きちんとシミュレーションをし、返済できるという見込みができれば、手元の資金を頭金にせず、他の投資に回した方がメリットが大きいと言えます。

しかし、住宅ローンの返済は長期に渡ります。中には短期だけのシミュレーションをし、途中で返済ができなくなり自己破産まで追い込まれた方も少なくありません。そのような失敗にならないため、事前に資金計画をきちんと立てることが重要です。

弊社は不動産購入の資金相談を数多く受けております。資金の組み方に不安を感じている方はぜひ弊社のファイナンシャルプランナー(FP)相談してみてください。

また、弊社には16,000件の相談データを元に開発された、簡単に資産管理ができる「マネソル」というアプリがあります。銀行などの金融機関とのデータ連携ができることから、家計簿の機能から詳細の資産管理まで一元管理することができます。

様々なライフスタイルの変更を想定して、自由にシミュレーションをすることができます。ぜひマネソルも合わせてご活用ください。

(4)頭金なしでは住宅ローンが組めない可能性がある

頭金なしで住宅ローンが組める金融機関がほとんどとは言え、頭金なしで住宅ローンが組めない場合もあります。

頭金なしで住宅ローンを組む場合は、フルローンと言われています。

フルローンの場合、頭金がある場合より借入金額が増えるため、年収に対する年間返済額の割合などで審査が厳しくなります。よって、審査で落ちることも事前に認識しておくといいでしょう。

購入金額4,000万円の場合、500万円を頭金にする?しない?シミュレーションをしてみよう

(1)頭金500万円の場合と頭金なしの場合の差は196万円

まずは、頭金500万円、借入希望額3,500万円で計算してみましょう。

■試算条件

  1. ・借入金額:3,500万円
  2. ・頭金:500万円
  3. ・金利:2%
  4. ・融資期間:35年
  5. ・元利均等返済
  6. ・ボーナス割合0%

金利引下げや金利引上げなしで計算します。

結果は毎月返済額116,000円、総返済額4,870万円になりました。頭金500万円を足すと、5,370万円です。

次に頭金なし、借入希望額4,000万円で計算しましょう。なお、その他の条件は頭金500万円の場合と同様です。

結果は毎月返済額133,000円、総返済額5,566万円になりました。

よって頭金500万円の場合と頭金なしの場合の差は、196万円になりました。

196万円の差を大きいと捉えるか、思ったより小さいと捉えるかは価値観によるでしょう。

ただし、このシミュレーションはあくまで超低金利が続くという前提です。また、人によって融資金利は異なります。

家を購入する前にあらゆる事態を想定して、自分に合ったシミュレーションをしましょう。

なお、弊社の「マネソル」は、実際に日頃の出費などの情報も反映されますので、例えば年収が増えた時、逆に下がった時、出費が増えた時など様々なケースにてシミュレーションをすることができますので、より詳しくリアルに試算したい方は、ぜひマネソルを活用してみてください。

(2)500万円は現金で持っていた方がお得?

シミュレーションでは頭金500万円を払った方が総支払額は93万円少なくなると出ましたが、本当に現金500万円は頭金に使うべきなのでしょうか。

例えば、500万円を投資に回す選択肢はいかがでしょうか。

投資初心者にとって一括500万円の金融商品を購入する場合のリスクが大きいので、現実的に毎月1万円を積み立てるシミュレーションをしてみます。

毎月1万円を利回り5%で積立期間を20年間にする場合は、積立金額は約411万円です。実際の元本はわずか240万円になります。

もちろん投資である以上リスクはつきものです。その中でリスクが低いものを探すことが重要です。

今、国の方で投資しやすい環境作りをしています。例えばつみたてNISA、イデコなど、投資ができて節税効果も得られます。

ご興味がある方は、詳しくは下記記事を参照にしてみてください。

頭金を親に出してもらうときの注意点

住宅ローンの頭金を親に出してもらう人もいるでしょう。

最後に親に頭金援助してもらうときの注意点について説明します。

(1)贈与税には非課税枠がある

贈与税とは、人から現金や土地などの財産をもらったときにかかる税金です。

財産を贈与される際には贈与税がかかり、親子間でも同じです。

なお、贈与税には110万円の基礎控除があります。1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額が110万円以下であれば非課税となり、贈与税を払う必要はありません。

(2)条件を満たせば1,000万円まで非課税になる

親に住宅ローンの頭金を出してもらうときに、必ず「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」を使うようにしましょう。

これは、住宅の購入・新築・増改築等をするための金銭を、親や祖父母などの直系尊属から贈与により取得した場合、一定の金額まで贈与税が非課税になる制度です。

もともとの適用期限は2021年12月31日まででしたが、2年間延長され、2023年12月31日までになりました。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の要件は下記となります。

出典:国道交通省

くれぐれも適用期限に注意し、税制度が改正されたら国土交通省などのHPで確認しましょう。

まとめ

家を購入する際に必要な頭金の目安は、住宅価格の約20%と言われています。

頭金を用意することで、住宅ローンの金利が引き下げられたり、月々の支払い額が安くなったりするメリットがあります。

一方、頭金なしでも購入は可能です。しかし、その場合は月々の支払い額は増えますので、綿密なシミュレーションをすることが重要です。 家を購入する時の頭金の考え方が分からない方、資金計画の立て方に不安がある方は、ぜひ弊社ファイナンシャルプランナー相談してみてください。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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