住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?利用時の注意点も解説
TVCMでもお馴染みのふるさと納税、興味のある方は多いのではないでしょうか。
また、節税対策や地方活性化を応援するために既に利用している方もいるでしょう。
一方、住宅ローンの低金利が続いている昨今、住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けている方も少なくありません。
- ☑「住宅ローン控除とふるさと納税は併用できるの?」
- ☑「住宅にかかる税金を軽減するためには?」
- ☑「ふるさと納税の申告はどうすれば良いの?」
そのような疑問をお持ちではありませんか?
本記事では住宅ローンとふるさと納税は併用可能かどうか、また併用する際の注意点について分かりやすく解説しています。
ふるさと納税の申告方法や、住宅ローン以外の控除との併用についても説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
本記事を読めば、住宅ローン控除とふるさと納税を併用できる方法やメリットが分かり、基礎知識が身につくことはもちろん、どちらの制度も最大限に活用できるでしょう。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」のことで、マイホームを新築・購入・増改築等をした際に住宅ローンを組んだ人が一定の条件を満たすと、ローン残高に応じて所得税や住民税を控除できる制度です。
住宅ローン控除は税額控除といって、税金から控除額をダイレクトに引くことができます。
住宅ローン控除は2022(令和4年)年に改正され、改正後の内容を下記に簡単にまとめます。
2021年度 | 2022年度 | |
控除率 | 1% | 0.7% |
控除期間 | 10年 (条件によって13年) | ☑新築住宅13年 ☑中古住宅10年 |
借入限度額 | ☑一般住宅4,000万円 ☑長期優良住宅等5,000万円 | ☑新築住宅 ☑長期優良住宅等・低炭素住宅5,000万円 ☑ZEH水素省エネ住宅4,500万円 ☑省エネ基準適合住宅4,000万円 ☑その他の住宅3,000万円 ☑中古住宅 ☑長期・低炭素・ZEH・省エネ住宅3,000万円 ☑その他の住宅2,000万円 |
所得上限 | 3,000万円 | 2,000万円 |
表から分かる通り、2020年12月末までに入居した場合、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額を10年間にわたって所得税から控除できました。
所得税から控除しきれない分は差額が住民税から控除されます。
また、消費税増税により、消費税10%で住宅を購入し、2019年10月1日~2020年12月31日までに入居した人を対象に、住宅ローン減税の控除期間は10年から13年と延長されました。
2022年に税制改正された住宅ローン減税では、新築住宅の場合は13年間、中古住宅の場合は10年間にわたって控除が受けられます。
また、所得税からの控除率は1%から0.7%に縮小されました。
その他の条件として、住宅ローン控除を利用するためには、所得制限や住宅の床面積などの条件もありますので、詳細版は国土交通省のHPをチェックしましょう。
なお、住宅ローン控除の申請は、入居した年の翌年のみ確定申告が必要です。
ふるさと納税とは
こちらの章ではふるさと納税について、その仕組みと申告方法を説明します。
(1)ふるさと納税とは
ふるさと納税とは、納税者が自ら選択した地域の自治体に寄附をした場合、自己負担金2,000円を除き、寄附金分が所得税や住民税から控除される制度です。
控除上限額は収入や家族構成によって異なり、ふるさとチョイスなどのサイトでは控除額をシミュレーションできますので利用すると良いでしょう。
サラリーマンの節税効果も高く、実質自己負担2,000円で寄付金額に応じて地方の特産品などの返礼品(お礼として寄付金の3割の相当額にあたる品)を受け取ることができますので活用する人は年々増加しています。
ふるさと納税は人気ランキングなどもあり、サイトによってはポイントも付きますので、まだという方はぜひ検討してみてください。
(2)申告方法は2つある
ふるさと納税は、確定申告もしくはワンストップ特例制度によって手続きをします。
それぞれ見ていきましょう。
①確定申告
まずは、ふるさと納税を確定申告で申告する方法の流れを説明します。
ふるさと納税サイトなどで納税する自治体を選び、寄付の申請をして入金します。
その後、寄付が完了すると、自治体のタイミングで返礼品が届き、併せて寄付金受領証明書が届きます。
寄付金受領証明書は確定申告に必要となり、翌年の確定申告期間(2月16日~3月15日※住まいの市区町村に要確認)の間に確定申告をします。
なお、確定申告は税務署に申請するので、詳細は自分が住む管轄の税務署に問い合わせましょう。
②ワンストップ特例制度
次に、ふるさと納税をワンストップ特例制度で申告する方法です。
上記と同様、まずは納税する自治体を選び、寄附の申請をして入金します。
その後、寄附が完了したら、寄附金税額控除に係る申告特例申請書に入力し、それぞれの自治体に送付します。
寄附金税額控除に係る申告特例申請書は総務省などで入手できるほか、それぞれの自治体が運営するサイトやホームページでも入手できます。
寄付のたびに各自治体に申請書と本人証明書類を提出すれば手続きが完了します。
【ワンストップ特例制度が使える条件】
- ☑確定申告をする必要がない給与所得者など
- ☑年間に寄付を行った自治体が5つ以内
- ☑ふるさと納税の申し込みのたびに自治体へ申請書を提出している(同じ自治体であっても、寄付ごとに申請が必要)
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?
住宅ローン控除とふるさと納税の併用は可能ですが、どちらも納税額から控除するため、当然ながら納税額以上の控除はできません。
よって、所得金額や医療費控除など他の控除との関係で、住宅ローン控除やふるさと納税が控除しきれなくなる可能性もあります。
しかし、多くの場合は住宅ローン控除とふるさと納税のどちらの控除も受けることができますので、必要な項目や注意点をよく読んで制度を上手に活用しましょう。
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する時の注意点
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する時に、特に注意したい点を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
(1)住宅ローン控除初年度の場合はワンストップ特例制度との併用はできない
住宅ローン控除の初回の申請は、必ず確定申告が必要です。
ふるさと納税のワンストップ特例制度は便利ですが、確定申告を行う場合はワンストップ特例制度が選択できません。
また、住宅ローン控除2回目以降で確定申告を行う場合も、ワンストップ特例制度は利用できません。
ワンストップ特例制度の申請書を提出済みであっても、決められた期間にふるさと納税の確定申告も手続きする必要があります。
(2)その他確定申告が必要な場合もワンストップ特例制度との併用はできない
先述した通り、確定申告が必要な場合はふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できません。
確定申告が必要な場合の一例を下記に挙げます。
- ☑住宅ローン控除を利用する1年目の人
- ☑個人事業主や自営業の人
- ☑給与所得者(給与収入のみ)であっても、医療費控除の申告をする人
- ☑給与所得者であっても、所得が2,000万円以上の人
- ☑2ヶ所以上から給与をもらっている人
- ☑副業などで、給与以外の所得が年間20万円を超える人
- ☑1年間で6自治体以上にふるさと納税をした人
上記に当てはまる人やそのほかの理由で確定申告が必須な人は、必ず期限内に申告しましょう。
(3)ふるさと納税を確定申告すると住宅ローン控除を満額で受けられない場合がある
先述した通り、ふるさと納税の申告には確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を利用する必要があります。
ふるさと納税の申告を確定申告で行う場合は、住民税と所得税から控除されます。
そのため、住宅ローン控除の所得税の税額控除額に影響が出る可能性があります。
所得税が控除される順番はふるさと納税から住宅ローンになりますので、住宅ローン控除を満額で受けられない場合があります。
一方、ふるさと納税の申告にワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税は住民税から控除されます。
よって、住宅ローンは原則として所得税から控除されますので、ふるさと納税の控除額が住宅ローン控除額に影響することはありません。
(4)ふるさと納税の確定申告漏れに注意が必要
ふるさと納税の申告にワンストップ特例制度を利用した後に何らかの理由で確定申告する場合、ふるさと納税の確定申告漏れに注意しましょう。
ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請した後に、例えば医療費控除などの確定申告をした場合は確定申告が優先されます。
よって、ふるさと納税に利用したワンストップ特例制度の申告は無効になります。
ふるさと納税をワンストップ特例制度で申告した場合でも、確定申告書の寄付金控除欄にふるさと納税分の金額を記載し、各自治体が発行する寄付金受領証明書を添付して提出しましょう。
医療費控除など他の控除とふるさと納税の併用は?
ふるさと納税は、医療費控除など他の控除と基本的に併用可能です。
医療費控除とは、年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計金額が一定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度です。
医療費控除は給与所得者であっても年末調整では受けられませんので、確定申告が必要です。
先述した通り、ふるさと納税はワンストップ特例制度を利用した場合でも確定申告を行うことによって無効となります。
よって、ふるさと納税と医療費控除を併用する場合は、どちらも確定申告をする必要があります。
医療費控除は所得税と住民税から控除されます。
ふるさと納税も確定申告をした場合は、所得税と住民税から控除されます。
よって、医療費控除が満額適用されない場合があり、ふるさと納税の控除上限額(控除限度額)に影響を与える可能性もあります。
それではiDeCoの場合はいかがでしょうか。
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、私的年金制度と言えます。
掛金を60歳になるまで拠出して、60歳以降に給付金を得る仕組みです。
また、iDeCoは節税対策のひとつとして、課税所得を減らす効果があります。
言い換えれば、iDeCoは掛け金が所得控除の対象になっているため、全体の所得が減ってしまいます。
つまり、ふるさと納税とiDeCoを併用すると、ふるさと納税の控除上限額が下がる可能性があります。
状況は人によって異なりますので、いずれの場合もシミュレーションをして、利用できる制度は最大限に活用しましょう。不安がある方は、ぜひ我々FPに相談してみてください。
住宅ローン控除とふるさと納税併用時のシミュレーション
この項では、住宅ローン控除とふるさと納税併用時のシミュレーションをします。
繰り返しになりますが、ワンストップ特例制度は住民税から控除されます。
ワンストップ特例制度は確定申告よりシミュレーションしやすいですが、住宅ローン1年目は確定申告をする必要がありますので注意してください。
(1)ワンストップ特例制度を利用したケース
最初にワンストップ特例制度を利用したケースを紹介します。
■ワンストップ特例制度:会社員のAさん(扶養家族2人)
(住宅ローン2年目)
- ☑年収:700万円
(課税所得:300万円:給与所得控除後の金額510万円一所得控除の額の合計210万円)
- ☑家族:妻、子供1人
- ☑所得税:約20万円
- ☑住民税:約30万円
- ☑ふるさと納税額:上限額80,000円 (自己負担額2,000円)
※住宅ローン控除:30万円で算出しています
■住宅ローン控除とふるさと納税の併用結果
- ☑所得税は住宅ローン控除により「0円」
- ☑住民税は住宅ローン控除とふるさと納税により「300,000-100,000-78,000=122,000円」
※住宅ローン控除とふるさと納税が両方とも満額(全額)の控除が受けられています
(2)確定申告を利用したケース
次に確定申告を利用したケースを紹介します。
■確定申告:自営業のBさん(共働き・夫婦二人暮らし)
- ☑年収600万円
- ☑家族:妻
- ☑所得税:約20万円
- ☑住民税:約30万円
- ☑ふるさと納税額:上限額75,000円 (自己負担2,000円)
※住宅ローン控除:30万円で算出しています
(分りやすくするため、Aさんと同じ条件と仮定します)
住宅ローン控除とふるさと納税の併用結果
- ☑所得税20万円から、確定申告の場合はまずふるさと納税の還付額からひくので、「20万円−(75,000円−2,000円)☓20%(所得税率)=185,400円」
- ☑残りは住宅ローン控除の30万円から引いて所得税0円
※この時点で住宅ローン控除額173,000円です。
住民税30万円から173,000円を引きたいところですが、住民税から控除される住宅ローン控除の上限額は97,500円、よって住民税「300,000-97,500=202,500円」になります。
※住宅ローン控除は173,000-97,500=75,500円分が控除されていません。
なお、上記のシミュレーションはあくまでイメージであり、控除可能な金額や税率は家族構成(扶養控除など)、所得金額、所得税額(所得税率)等によって変動します。
ご自身の場合については必要書類を用意し、試算してみましょう。試算方法がわからない方は、ぜひFPに相談してみてください。
まとめ
本記事を読んで、住宅ローンとふるさと納税は併用可能な制度であることをお分かりいただけましたでしょうか。
また、ふるさと納税はワンストップ特例制度がおすすめであることや、住宅ローン1年目は必ず確定申告が必要ということもご理解いただき、各制度が利用しやすくなったのではないでしょうか。
ワンストップ特例制度と確定申告のシミュレーションをお読みいただき、イメージは掴めたかと思いますが、計算式や計算方法はやや複雑です。
また、一人ひとり状況が異なりますので、自分に合った利用方法に不安がある方もいらっしゃるかもしれません。
住宅ローン控除は改正や情報が多く、心配な方はぜひ税理士やFPなどお金のプロに相談してみましょう。
お金の不安を解消することは選択肢を広げたり、生活を安定させたりしますので、迷ったらまずは弊社のFPにお気軽にご連絡ください。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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