金投資の5つの方法|FPがメリットとデメリットも分りやすく解説
古来より価値を認められてきた「金」。古くから通貨としても用いられてきました。
この金に投資する「金(ゴールド)投資」も歴史のある資産運用法のひとつ。
ただ、残念ながら株式投資や債券投資ほどユーザーは多くありません。しかし、金投資ならではのメリットが多くあります。
これから金投資をしようとしている人に、金投資の魅力とリスクについてFPが詳しく解説します。
金(ゴールド)投資とは?金の相場について
金に投資するのが金投資。
ただ、金価格はその性質によって株式市場や債券市場とは異なる動きもします。
金投資とはどんなものか、金の相場の基礎知識をみていきます。
(1)金(ゴールド)投資とは?
金も株式市場や円相場のように市場価格があり日々変動しています。
安いときに買って高いときに売る。これが基本的な投資手法です。
金はそれ自体に価値がありますので、株式のようにある日突然会社が倒産して株式が紙切れになった、ということがありません。
(2)金の相場
金相場は株式市場とは連動せず、独自の変動をするのも取引される大きな理由です。
「有事の金」という言葉もあります。
戦争やテロなど社会情勢が緊迫すると、株式相場の反応の多くは下落です。
反対に金相場は高騰することが多くあります。
現物資産である金は社会不安が増大すると値上がりする性質があるのです。
下記グラフを見ていただければ分かりますが、金の価格は右肩上がりに推移しています。
金投資する5つの方法
金投資というと、金庫にインゴットを保管しておく、といったイメージを持つ人もいるでしょう。
もちろんそうした投資方法もありますが、現在では金は金融商品でもあります。
金の投資方法や購入方法も多く、現物の金を持たずに金に投資する方法もあります。
そうした金の投資商品を5つ、詳細にみていきましょう。
(1)金貨などの現物投資
まずは現物投資です。地金と呼ばれる、金そのものを購入する投資方法です。
金の延べ棒のような大型のものから、コイン、金貨といった軽量なものまでさまざまな大きさがあります。
①メリット
金そのものを手元に置くので、鑑賞して楽しむことができます。
そして、手元にあることからすぐに換金も可能です。
また、金地金は世界的にも品質が安定しています。
②デメリット
自宅などの手元にあるということは盗難や紛失の恐れがあるということ。
金庫などの安全な保管設備が必要です。
自宅で保管するには不安な方は保管を依頼することもできます。ただし、その場合は保管手数料が発生します。
(2)金の投資信託
自分で買うのは不安、という人は投資信託もおすすめです。
金の投資信託は投資家からお金を集め、そのお金をプロが運用して利益をあげる投資方法。
積立型投資信託なら月1,000円程度からでも始められます。
①メリット
プロに運用を任せるので手間がかかりません。
投資信託は万一銀行や証券会社が破綻しても投資した資産が守られます。
②デメリット
後でご紹介する金ETFよりも、投資信託は取引手数料が割高な場合が多い投資方法です。
また、金の現物に交換できないことが多いので、手元に置くことができません。
(3)純金積立
純金積立は毎期一定額の金を購入して積み立てていく積立投資のひとつです。
月々一定額の金を購入していく定額積立や、一定の数量を購入していく定量積立があります。
①メリット
純金積立は少額からでも開始できるのが特徴です。
取扱会社にもよりますが、月1,000円からできる会社もあります。
また、純金積立は現物での引き出しも可能です。
②デメリット
純金積立は売買手数料やスプレッドがほかの投資方法よりもかかります。
手数料などを考えるとかなり値が上がらないと利益になりません。
(4)金ETF
ETFとは上場投資信託のことです。株式のように売買ができます。
このため先ほどの金投資信託と近い性質を持っています。
投資信託との違いは、上場しているため売買のタイムラグが投資信託よりも短いことです。
金ETFは複数の銘柄が上場しています。
①メリット
金の投資信託よりも購入手数料が少なく設定されています。
上場していることから、市場が開いている時間であればリアルタイムに取引が可能です。
②デメリット
金の投資信託と同様に現物を引き出すことができません。
現物を手元に置けないのです。
(5)金の先物取引
金の先物取引とは、あらかじめ決められた日に決められた価格で売買の約束をする取引のこと。
購入時よりも受け取り時に値上がりしていれば、その差額が利益となります。
一般的に商品先物取引は証拠金を使った取引方法もあり、ハイリスクハイリターンです。
先物取引の仕組みは複雑で投資のベテラン向きであり、投資初心者にはおすすめできません。
①メリット
レバレッジをかけることもできるため、少ない投資金額で多額の投資ができます。
信用取引ができるため、金価格の上昇時だけでなく、下落時でも利益を得ることも可能です。
②デメリット
仕組みが複雑で先物投資を理解していないと価格変動のメカニズムがわかりません。
少額の投資でも大きな損失を被ることもあります。
金投資をするメリット4つ
金投資にはさまざまな方法があり、それぞれの投資手法にはメリットとデメリットがあることがわかりました。
では、金投資そのもののメリットはどこにあるでしょうか。金投資のメリットをみていきます。
(1)インフレ対策になる
モノの価値があがり、貨幣価値が下がるのがインフレーション。インフレの状況下でも金はその影響を受けにくい資産です。
そのため金は国でも一定量を保有しており、安全資産とも呼ばれます。
金の価格変動は暴落や急騰の局面でも株式市場や債券市場よりも緩やかなので、金投資はインフレ対策にもなります。
(2)世界中の価値が共通している
金の価値は世界共通です。
市場が世界規模であり、換金も容易、純度もほぼ均一となっています。
世界では「米ドル/1トロイオンス」で表示されますが、日本国内では1g単位で表示されます。
有限な資産でもあるため希少性があり、いきなり無価値になることはありません。
こうした特性もあることから、金は長期的な保有資産として将来にわたって金融資産として持ちたい人に人気があります。
(3)リスク分散ができる
金相場は株式市場や為替相場とは異なる動きをします。
戦争や紛争、テロなどで社会不安が増大すると株式市場は大きく下落します。
最近では新型コロナウイルス感染症拡大による経済の停滞やウクライナ情勢などが記憶に新しいところ。
そんな中でも金は上昇することすらあるのです。
資産の一部を金に投資しておけばリスクヘッジになります。
(4)投資信託などは手軽に始められる
投資信託やETFなどは少ない投資金額からでも始められます。
取り扱う会社によっても異なりますが、1,000円程度からでも開始可能です。
積立なら毎月自動的に投資が行なわれます。このように金投資は意外と身近なのです。
金投資をするデメリット3つ
金投資といえどもメリットばかりではありません。リスクやデメリットも存在します。
金という実物の資産に投資する関係上、株式への投資とは勝手が違うのです。
金投資のデメリットや注意点をみていきましょう。
(1)配当や利息がない
金投資には株式投資や預金のように配当や利息がありません。
金は実物資産であるため、所有していてもそれが増えることはないのです。
配当金や利子などのインカムゲインはなく、金投資は値上がりのキャピタルゲインを狙う投資となります。
(2)手数料が高い
金投資には手数料がついて回ります。
現物投資であれば保管手数料が必要になることもあります。
また、投資信託やETFであっても購入時手数料や信託報酬がかかります。
ネット証券などが株の売買に安価な手数料を提供しているのに比べて、金投資の運用コストや保管コストはやや高額です。
(3)現物は盗難リスクがある
金の現物を手元に置いている場合、常に盗難や紛失のリスクがあります。
盗難を防ぐには保管方法を考え、高価なセキュリティを施すことが必要です。
銀行の貸金庫サービスに預け入れしておけば安心ですが、保管手数料がかかります。
2025年以降も金を購入すべき?
金相場の予測は専門家でも難しいと言われていますが、
ここ数年、国内外の金価格は上昇基調となり、2024年8月現在も史上最高値圏にあります。3年余りでほぼ倍増しています。要因は、(1)世界的なインフレに対する懸念があったことによるインフレ対策需要(2)地政学リスク・政治リスクの高まりによる安全資産としての需要(3)中国をはじめとした中央銀行による金購入です。
この先、まだ上昇余地があると考えられます。ウクライナや中東情勢は終わりが見えない上、米大統領選とその後の大統領交代という不透明感が台頭するため、安全資産としての需要は続きそうです。さらに、日本以外の世界は利下げ基調が明確になってきました。金のように金利が付かない投資先は高金利の時には需要が下がりやすく、低金利になると需要が高まりますので、「金利金利の付かない金の魅力」を高めることになるでしょう。
金投資オススメな会社5つ
金投資を始めようとすると、どこで購入できるか調べる必要があります。
最近はネット主体の証券会社でも金投資を取り扱うようになりました。
一方、現物投資は証券会社のような金融機関や商品先物取引業者だけでなく貴金属店などでも取り扱っています。
金投資におすすめの会社を4社ピックアップしました。
(1)現物投資
投資は証券会社や銀行以外でもできます。
特に金のようなコモディティ(商品)投資ではこの傾向が顕著です。
金の場合は貴金属店やデパートなどでも金を購入することで投資ができます。
現物投資が可能な2社をご紹介します。
①田中貴金属工業株式会社
田中貴金属工業はその名の通り貴金属を扱う会社。
金製品としてアクセサリーなども販売しています。
金以外にもダイヤモンドのようなジュエリー、ネックレスのような宝飾品も扱っています。
創業130年以上の実績を誇る会社で現物取引も可能です。
②三菱マテリアル株式会社
三菱マテリアルは広く金属加工や精錬、炭鉱、果ては金鉱山までも所有する三菱グループの中核を担う非鉄金属メーカーです。
金も取り扱っており、現物投資ができます。
(2)投資信託など
金の投資信託は証券会社などで購入できます。
ただしどの証券会社でも取り扱っているわけではありません。
ここでは金の投資信託や先物取引をラインナップしている証券会社をピックアップしました。
証券会社の場合、取引にあたって口座開設が必要です。
①楽天証券
楽天証券は投資信託をはじめ、ETFなども取り扱っています。
ネット証券としては珍しく、現物に引き換えることも可能です。
②IG証券
IG証券はCFD取引(差金決済取引)やFX、金先物取引に強い証券会社です。
金だけでなく、プラチナやパラジウムといった商品先物取引も扱っています。
3)金の売却
「ゴールドプラザは、関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)、関西(大阪・兵庫)で店舗を展開しており、金やプラチナなどの貴金属やダイヤモンド、ブランド品、時計などのお買取と中古販売を行っています。
また、金相場・プラチナ相場を確認することができます。
不安な方はFPに相談
金は株式や債券とは異なる値動きをします。
また金を含むコモディティ取引は投資経験の乏しい初心者にはハードルが高いのも事実。
こんな時は専門家の意見を参考にするといいでしょう。
相談にはFPとも呼ばれるファイナンシャルプランナーが最適です。
(1)FPに何が相談できる
FPは家計や財務のプロフェッショナル。
投資にも精通しており、その知識も豊富です。
金投資の注意点ややり方についても詳しく教えてくれるでしょう。
資産のどれくらいを金に投資できるのか、どの投資方法がおすすめなのか、といった投資に関する全般が相談できます。
(2)FPに相談するメリット
専門家から第三者的な視点でアドバイスを得られるのが大きなメリットです。
証券会社の担当者も詳しいですが、彼らはあくまで営業担当。投資をしてほしい側の人間です。
フラットな視点でみるのは無理があります。
プロでかつ第三者であるFPがこうした相談には最適です。
実際に弊社にあった相談事例を公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
金は古来より価値が認められてきた資産です。
それは現代でも変わることがありません。
株式や債券とは価格メカニズムは異なりますが、投資対象として魅力的です。
長期保有を目的に資産形成を目指したい人には金投資は最適な投資先といえます。
分散投資の投資先のひとつ、ポートフォリオの候補として金投資を検討してみましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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