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ファイナンシャルプランナーの年収は日本の平均より高い?転職先の考え方

公開日:2023/05/31
男性

ファイナンシャルプランナーとして就職または転職を考えているものの、給料などについて、次のような疑問や悩みを持っている人もいるでしょう。

  1. ✅FPの具体的な年収が知りたい
  2. ✅本当に稼げるのか?
  3. ✅年収を上げる方法はあるのか?

そこで本記事では、従業員別や年代、また男女別といったポイントから日本の平均年収と比較したFPの年収状況をお伝えします。

FPである私がファイナンシャルプランナーの働き方の違いや、効率よく年収を上げる方法も解説しています。FPとしての就職や転職を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

ファイナンシャルプランナーの年収を働き方別に紹介

男性

ファイナンシャルプランナーの年収は働き方の違いによって異なります。働き方には次の3種類があります。

  1. ✅企業勤務系
  2. ✅独立系
  3. ✅副業系

ここでは、それぞれの働き方の特徴と併せて年収の目安を解説していく流れです。ぜひ参考にしてみてください。

(1)企業勤務系

「企業勤務系」ファイナンシャルプランナーの平均的な年収については、FPが所属する業界によって金額が異なります。

参考に「年収ラボ」に掲載されていた、職業分類別データを見てみましょう。

なお、企業系のファイナンシャルプランナーとは、企業に所属し業務を行うタイプのファイナンシャルプランナーです。

 平均年収
銀行業界647万円
損害保険業界894万円
不動産業界633万円
証券業界760万円
出典:年収ラボ「銀行業界」「損害保険業界」「不動産業界」「証券業界」

年収ラボには、FPの具体的な年収相場は公開されていませんが、どれもファイナンシャルプランナーの就職先として多い業界の平均年収なので参考になります。

なお国税庁が発表しているデータによると、日本全国の平均年収は「443万円」という結果です。

出典:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」

そのため、企業勤務系ファイナンシャルプランナーの平均年収は、それよりも高めだと考えてよいでしょう。

(2)独立系

「独立系」ファイナンシャルプランナーのケースでは、顧客獲得数や営業力、営業成績の差によって年収は異なります。

なお独立系のFPとは、企業に所属せず独立して個人で働くファイナンシャルプランナーのことです。

日本FP協会のページに、1時間当たりの相談料の目安が記載されていたので見てみましょう。

  1. ✅5,000円未満:14.2%
  2. ✅5,000~10,000円未満:47.3%
  3. ✅10,000~20,000円未満:33.5%
  4. ✅20,000円以上:5%

出典:日本FP協会「料金体系について」

ファイナンシャルプランナーの主な仕事である相談業務の金額は「1時間5,000円~10,000円」の範囲が多いようです。

独立系FPの場合、営業力によっては会社員の収入を大きく超えることができます。年収1,000万円を稼ぐファイナンシャルプランナーも決して珍しくありません。

一方で、経営が上手くいかないと年収が下がってしまう可能性もあるでしょう。

(3)副業系

「副業系」ファイナンシャルプランナーの年収は、どれだけ本業とは別に副業に時間を割けるかで異なります。

また、在宅での例えば金融系記事の執筆業や、講演・講師など副業の種類によっても収入は変動します。

例えば日本FP協会が実施したデータによると、1回あたりの講演料の平均は「4.7万円」でした。詳細は次の表を見てください。

5千円未満4.4%
5千~1万円未満2.7%
1万~2万円未満16.9%
2万~3万円未満18.6%
3万~4万円未満23.0%
4万~5万円未満1.6%
5万~6万円未満16.9%
6万~7万円未満
7万~8万円未満1.1%
8万~9万円未満1.1%
9万~10万円未満
10万円以上13.7%
出典:日本FP協会「2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査結果報告書」

FPとしての働き方によっても異なりますが、副業系で得られる収入の目安はひと月「数万円~」といった感じです。

【従業員数別】ファイナンシャルプランナーの年収

従業員数別のファイナンシャルプランナーの年収については、次の一般社団相続ファシリテーター協会のデータを参考にしましょう。

従業員数月給ボーナス年収
1,000人以上43万円167万円686万円
100~999人43万円131万円647万円
10~99人51万円166万円777万円
出典:相続ファシリテーター協会「企業規模別のFPの平均年収・月給・ボーナス」

従業員数別の年収を見ると「10~99人」が最も高いことがわかります。

具体的な数値は、FPが所属する企業や業界などの分野によっても異なるでしょう。しかしながら、1つの目安として把握しておいてください。

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【年代や男女別】ファイナンシャルプランナーの年収

男女

残念ながら、ファイナンシャルプランナーの年代別や男女別を条件とした、具体的な年収データは存在しません。

そこで、次の「e-Stat 政府統計の総合窓口」の金融業・保険業のデータを参考に計算してみました。

 年代給与月額年間賞与合計
男性✅20~24歳
✅30~34歳
✅40~44歳
✅50~54歳
✅60~64歳
✅70歳~
✅23.33万円
✅38.53万円
✅57.86万円
✅63.61万円
✅35.13万円
✅28.63万円
✅39.52万円
✅148.97万円
✅246.44万円
✅280.24万円
✅102.49万円
✅25.09万円
✅約319万円
✅約611万円
✅約940万円
✅約1043万円
✅約524万円
✅約368万円
女性✅20~24歳
✅30~34歳
✅40~44歳
✅50~54歳
✅60~64歳
✅70歳~
✅21.27万円
✅26.14万円
✅29.58万円
✅31.82万円
✅29.51万円
✅35.93万円
✅40.23万円
✅88.75万円
✅92.57万円
✅97.88万円
✅65.70万円
✅83.45万円
✅約295万円
✅約402万円
✅約447万円
✅約479万円
✅約419万円
✅約514万円
※e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査(金融業・保険業)」を参考に著者作成

年代別の給与月額および年間賞与、そして合計額は表の通りです。また、それぞれ年齢の平均値を算出すると次の結果となりました。

 給与月額年間賞与合計
男性47.92万円189.08万円約764万円
女性28.14万円86.19万円約423万円
※e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査(金融業・保険業)」を参考に著者作成

見てもらうと、男女の金額に大きな開きがあるのがわかります。数値はあくまでも目安となり、実際は所属する企業や業界によっても金額が異なります。

【等級別】ファイナンシャルプランナーの年収

残念ながら、ファイナンシャルプランナーの等級別に示された最適な年収データは存在しません。

そのため参考程度となりますが、金額について解説しているので確認してみてください。

(1)FP3級

FP3級の年収は、日本の平均年収である443万円程度と考えてよいでしょう。国家資格である3級FP技能士は、ファイナンシャルプランナーの基礎知識を学習する内容です。

初学者がファイナンシャルプランナーの勉強をする上で役立ちますが、2年間の実務経験があるなど、一定の条件に該当すれば取得していなくても、次の2級FP技能士のテストに申込み可能です。

試験対策を講じやすく受験難易度の低い点や、実務経験があれば免除されるFP3級は、高額な年収を期待しにくいと考えられるでしょう。

なおFP3級を取得するための勉強時間は最短1~2ヶ月程度です。

(2)FP2級

FP3級よりも試験内容の難易度が高いFP2級では、ファイナンシャルプランナーのおよその平均年収である600万円台を期待できるでしょう。

その理由は、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格として、未経験もしくは経験年数のあるなしにかかわらず、就職や転職をする際に有利となるのがFP2級以上からだと考えられるからです。

FP3級の合格率は、一発合格を狙いやすい80%程度ですが、FP2級では50%程度となるため簡単ではありません。

とはいえ、就職や転職または年収アップを狙うなら取得したいところです。

(3)FP1級

FP技能検定の中でも難関資格であるFP1級であれば、FPの平均年収である600万円台以上を狙える可能性があります。

また、将来ファイナンシャルプランナーとして独立を考えているのであれば、FP1級が強みになります。

FP1級を取得していれば、顧客からの信頼度は非常に高くなり、営業活動を行う上でもメリットになるのは間違いありません。

(4)CFP・AFP

民間資格であるCFPとAFPの2つも、ファイナンシャルプランナーの平均以上の年収が期待できます。

というのも、AFPはFP2級と同程度の難易度、またCFPはFP1級と同程度の水準だからです。難易度の高い資格はその分信頼度も上がります。

またCFPとAFPはそれぞれ2年ごとの更新が必要となり、常に最新知識を取り入れる必要があります。

その点、CFPやAFPだとより高い評価を得られ年収アップも狙えるでしょう。

なお、CFPの資格保有者が独立開業を行う場合、年収1,000万円以上の稼ぎも夢ではありません。

ファイナンシャルプランナーの年収は日本の平均より高い?

お金

概ね平均年収600万円以上だと考えられるファイナンシャルプランナーは、日本の平均年収である443万円と比較し高いといえます。

その他、業種・業界別にも比較したので見てみましょう。なお表のFPの年収については、就職先として多い保険会社の平均年収を参考にしています。

 平均年収
FP(損害保険会社)894万円
情報・通信業界614万円
自動車業界710万円
建設業界672万円
化学業界620万円
製薬・医薬品業界724万円
外食総合業界483万円
家電・電気業界727万円
出典:年収ラボ「業種・業界別企業年収サーチ」

表で紹介している業界は一部ではありますが、FP(損害保険会社)の平均年収894万円が高いのがわかります。

なお、FPの就職先の1つである不動産業界の平均年収であっても633万円だったので、決してファイナンシャルプランナーの年収が低いということはありません。

なお、弊社は独立系FP事務所となっており、固定給にインセンティブを設けています。中には20代で年収1,000万円を超えている人もいます。つまり、やる気次第で高い年収が得られる仕組みを作っていますので、ご興味がある方はぜひ採用情報を確認してみてください。

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ファイナンシャルプランナーの仕事内容

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ファイナンシャルプランナーの仕事内容は多岐にわたります。次に挙げる業務内容の例を見てみましょう。

  1. ✅人生設計(ライフプランニング)を考える
  2. ✅家購入時の住宅ローンについての相談
  3. ✅子育てや教育資金といった資金計画の相談
  4. ✅老後資金や年金・貯蓄に対する提案を行う
  5. ✅資産形成のアドバイス
  6. ✅資産運用や投資に対する相談
  7. ✅iDeCoや企業型確定拠出年金、NISAに対する疑問に答える
  8. ✅不動産投資に対するアドバイス
  9. ✅事業承継に関する相談
  10. ✅一般的な税金に関するアドバイス
  11. ✅企業の資金繰りに対する相談
  12. ✅生命保険の見直しなど

実際に行う相談業務の内容については、所属する企業によっても異なります。

いずれにしても、ファイナンシャルプランナーはお金の総合的な専門家として、顧客の悩みを多岐にわたって解決していく職業です。

ファイナンシャルプランナーになる方法

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ファイナンシャルプランナーとして働きたい場合は、資格制度(国家資格・民間資格)を学習し、取得することは必須だと考えましょう。

独占業務がないファイナンシャルプランナーは、資格がなくても働けます。しかしながら、資格取得は顧客に対する知識の証明になる他、安心感や信頼感にもつながります。

ファイナンシャルプランナーとしてよりキャリアアップを狙うなら、一度取得すると一生有効となる国家資格のFP技能士(1~3級)や、定期的に更新が必要な民間資格のCFP・AFPの取得を検討してみてください。

ファイナンシャルプランナーとして年収を上げる4つの方法

お金

ここでは、ファイナンシャルプランナーとして年収アップを狙うための4つの方法を徹底解説します。独立開業やダブルライセンスの取得など注目してみてください。

(1)資格を取得する

ファイナンシャルプランナーとして年収を上げたいなら「資格試験」に申し込み取得すべきです。

FPは資格がなくても業務を行えます。しかしながら、仕事の中でファイナンシャルプランナーを名乗るのであれば、名称独占資格であるFPの資格取得が有利に働きます。

顧客の相談に乗るにしても、ファイナンシャルプランナーの資格がないのと比較し、持っていれば相手に安心感を与えられる存在になれるからです。

なお、より専門性が高く信頼性のあるファイナンシャルプランナーの資格を取得したいのであれば、最低でも2級以上は欲しいところです。

基礎レベルの3級の場合、そこまで高い評価は期待できません。

難易度の高い資格を取得することで、より業務の幅が広がり大幅な年収アップが狙える可能性があります。

(2)就職する業界を見定める

ファイナンシャルプランナーとして年収を上げたいと考えるなら、就職する業界を選択することが大切です。

FPの就職先には銀行や不動産会社などがありますが、業界によって平均年収が異なります。

中でも金融業界や保険業界は、600万円以上など高い年収を期待できるため、就職先として検討してもよいでしょう。

また、高収入を期待するなら、小さな企業よりもある程度大きな保険会社などを目指すとよいです。

配属される部署にもよりますが、その方が高額な年収を狙える可能性があります。

(3)独立開業なら営業力や人脈づくりを意識する

ファイナンシャルプランナーとして独立開業を検討し、年収アップを狙うのであれば営業力や人脈づくりが重要です。

顧客の疑問をピンポイントで解決する専門知識は当然ですが、上手に悩みを引き出すコミュニケーションスキルも大切です。

コミュニケーション能力があれば人脈が広がり、新たな顧客を紹介してもらえる可能性があります。そうすれば仕事が増え月収・年収アップにつながっていくでしょう。

(4)独立開業ならダブルライセンスも考える

「独立開業で年収アップが可能なのか?」と疑問に感じた場合は、ダブルライセンスも検討しましょう。

メインであるファイナンシャルプランナー以外にも、例えば税理士の資格があれば、節税に対するより具体的なアドバイスが行えます。

ワンストップで請け負えるため、顧客にとっても都合がよいです。参考に、FPとのダブルライセンスに相性がよいおすすめの資格を紹介しましょう。

  1. ✅FP+宅建士
  2. ✅FP+税理士
  3. ✅FP+中小企業診断士
  4. ✅FP+簿記など

FPとして独立開業が難しいと感じたときは、他の資格を取得し開業するのもひとつです。

例えば独占業務がある資格だと、より顧客からの契約を獲得しやすいことも考えられます。

ファイナンシャルプランナーの将来性が明るい4つの理由

男性

最後に、ファイナンシャルプランナーの将来性が明るい理由を説明します。FPの需要が高い理由は、生きる上でお金の悩みは常に付きまとうからです。

詳しく見ていきましょう。

(1)ライフプランの見直しを検討する人が増えている

ファイナンシャルプランナーの将来性が明るく、安定していると考えられる理由の1つは「ライフプランの見直しを検討する人が増えているから」です。

30年間賃金が上がらない、将来の年金が期待できないなどといった理由から、自分や家族の将来に対して不安を感じている人は少なくありません。

どうすれば貯金を増やし安心して暮らしていけるのか、その悩みを解決するのがファイナンシャルプランナーの役目です。

顧客ひとり一人のライフプランや現状を分析し、適切な資産運用方法や節約のコツまで、幅広くサポートそしてアドバイスします。

(2)投資に興味を持つ人が増えてきた

「投資に興味を持つ人が増えてきた」というのも、ファイナンシャルプランナーの将来性が明るい理由です。

近年「貯蓄から投資へ」という言葉がトレンドになっているのを聞いたことがあるかもしれません。超低金利の現在、銀行に貯金していても普通預金金利はわずか0.001%です。

銀行に預けていても効率的にお金を増やしていくのは困難です。そこで、投資をはじめ資産運用に興味を持つ人が増えてきています。

しかしながら投資の知識がない人だと、例えばどの金融商品が自分に合っているのかがわかりません。その際に我々FPが適確にアドバイスできるわけです。

(3)節約を考える人が多い

「節約を考える人が多い」というのもFPの将来性が明るい理由の1つです。

生活に余裕を持たせたい、投資に回せる資金を増やしたいなどといった理由から、節約を含む生活設計の見直しを考える人が増えています。

お金の専門的職業であるファイナンシャルプランナーは、より効率的に節約できる豊富な知識を持っています。

顧客の生活状況や収支を見直し、効果的な節約方法をアドバイスできるのが強みです。

(4)高齢化による重要拡大

「高齢化による需要拡大」も、ファイナンシャルプランナーの将来性が明るいと予想される理由の1つです。

近年「老後2,000万円問題」が話題となり、自身や家族の老後を心配する人が増えてきました。

会社を退職した後長い老後生活を安心して暮らすために、どのような対策を打てば良いか、FPが資産運用をはじめ節約方法などをアドバイスします。

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まとめ

男性

今回は、ファイナンシャルプランナーの年収について、働き方や年代そして男女別など詳細に解説してきました。

本記事を通して、ファイナンシャルプランナーの年収は、日本の平均以上だということがわかったでしょう。

ただし、所属する業界や資格の等級によっても左右されるため、そこは注意点として押さえておいてください。

またFPとして高収入を狙いたいなら、実績や経験を積んだ後、独自に事業を開業することも視野に入れてみてください。

老後資金や生活費など、お金に対する悩みが尽きない現代では、今後ますますFPのニーズが高まっていくでしょう。

本記事を読んだきっかけに、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーを目指してみてはいかがでしょうか。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。

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