自営業が住宅ローンに通る7つのコツ!自宅兼事務所の注意点も解説
「自営業者やフリーランスだと住宅ローンの審査で不利」などとネットで見て、不安に感じていませんか?実際に会社員と比較し、自営業者だと審査のハードルが高いのは確かです。
ですが、その影響で決して無理ということではありません。本記事では、自営業者が住宅ローンを組むためのポイントや、必要書類、そして注意点などを具体的に解説します。
住宅ローンの利用を諦めていた方も、ぜひこの記事をお読みになり前向きに検討してみてください。
自営業者は住宅ローンの審査に落ちやすい理由は?
自営業者(個人事業主)の場合、安定性の面で会社員などの給与所得者と比較し、基本的に住宅ローンのハードルが高いのがデメリットです。
住宅ローンを利用する際は、銀行など金融機関の審査が入るわけですが、会社員と比べて「収入が不安定・信用度が低い」という安全性の面から、自営業者の場合通らないケースが珍しくありません。
自営業者が住宅ローンを組むための7つのポイント
ここでは、自営業者が住宅ローン商品を利用するための7つのポイントを詳細に解説します。
自営業であっても「事業が安定し、お金が安定的に入ってくる」などの、ポジティブな側面があれば住宅ローン審査に通過でき、あこがれの住まいを購入できる可能性が高いです。
- 過去3年にわたって所得が黒字である
- 過度な節税は避け所得を増やす
- 頭金を増やし融資額を減らす
- 税金や健康保険の支払いを滞納しない
- 健康状態に問題はない
- 評価額が高い物件を選ぶ
- 事業融資も借金とみなすことを理解する
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
(1)過去3年にわたって所得が黒字である
住宅ローンの審査通過ポイントとして「過去3年分にわたって所得が黒字である」という点が重要だということを覚えておきましょう。
つまり、継続的に事業が安定していることがわかれば、金融機関は返済能力があると判断し、融資に対してポジティブな印象を持ってくれます。
ただし、過去3年にわたる売り上げではなく「所得金額」が対象なので、その点は勘違いしないようにしましょう。なお、所得とは売上から経費を引いた金額です。
この点については、一般的に年収、勤務先、勤続年数などがチェックされる、サラリーマンなどの会社員と異なる点です。
(2)過度な節税は避け所得を増やす
自営業者が住宅ローンを組む際は「過度な節税対策は避け所得を増やすこと」を意識しましょう。
節税目的のために経費を増やす人は少なくありませんが、それだと所得が少なくなってしまうため、審査に通らない可能性が高くなってしまいます。
節税しないと支払う税金が増えるわけですが、少なくとも住宅ローンを申し込むときは節税より納税を重視すべきでしょう。
(3)頭金を増やし融資額を減らす
「頭金を増やし借入金額を減らす方法」も、自営業者が住宅ローンの審査に通過しやすくなるポイントです。
つまり借入額が大きくなると、その分金融機関としては貸倒れのリスクが上がるため、より慎重になってしまいます。
人によっては「銀行住宅ローンで頭金もまかないたい」「自己資金0円で購入したい」などの考えもあるかもしれませんが、それだと審査が通らない可能性が高いです。
頭金を多く用意できれば、返済金額が減るだけでなく、金融機関に対し計画的に貯蓄する力があると、ポジティブな印象を与えることができます。
(4)税金や健康保険の支払いを滞納しない
「税金や健康保険の支払いを滞納しない」というのも、自営業者が住宅ローンの審査に通過するポイントです。
自営業だと、会社員と異なり健康保険料や税金を自分で支払わなくてはいけません。それらが未納になると、金融機関に対してマイナスの印象を与えてしまいます。
少額の支払いであったとしても、まずは納付しその上で住宅ローンを申し込むようにしましょう。
(5)健康状態に問題はない
「健康状態」についても、住宅ローンを申し込む際の大切なポイントです。というのも、多くの金融機関では住宅ローンを組む際、団体信用生命保険の加入を適用条件としています。
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの債務者が返済中に死亡または高度障害状態といった健康上のトラブルにあった際、住宅ローンの残高がゼロとなる心強い保険です。
団体信用生命保険では、例えば脳の病気や心臓などに疾患があると、加入できないケースがあるため注意が必要です。
(6)評価額が高い物件を選ぶ
自営業者が住宅ローンを利用する際は「評価額の高い物件」を選ぶのも大切です。
新築と比較し価格が下がるという理由で、例えば中古一戸建ての購入を検討する人もいますが、金融機関によっては中古住宅の場合、建物に対し築30年以内などの条件が設けられているケースがあるため注意が必要です。
というのも、住宅ローンの審査対象として担保評価額がチェックされるからです。つまり、万が一返済不能となった際の担保価値が重要となってきます。
中古物件は新築と比べて評価額が下がるため、あまりにも古い住宅だとローンが組めない可能性があります。
(7)事業融資も借金とみなすことを理解する
自営業者が住宅ローンの審査に通過するポイントとして「事業融資も借金である」という認識を持つことが大切です。
というのも、住宅ローンの審査では「返済負担率」がチェックポイントだからです。返済負担率とは、自営業の場合過去3年間の平均所得に占める年間返済額の割合となります。
この返済負担率は、住宅ローンだけでなく事業資金として受けた融資分も含めて計算されます。
なお、返済負担率は「返済負担率(%)=年間返済額÷3年間の平均所得×100」の計算式で出るわけですが、多くの金融機関では35%以下がひとつの目安です。
自営業者が住宅ローンを申し込む際に必要な書類
ここでは、自営業者が住宅ローンを申し込む上で必要となる書類を紹介します。
(1)本人確認書類
まず、自営業者に関係なく住宅ローンの申し込みでは「本人確認書類」が必要です。健康保険証や運転免許証、パスポートなどを用意します。
(2)返済中の借り入れがある場合はその確認書類
現在返済中の借入がある場合は、その確認書類も用意します。例えば事業融資を受けたのであれば、それを確認できる書類が必要です。
(3)物件に関する書類
住宅ローンを利用する際は、購入する物件が担保となるためその確認資料も提出します。
売買契約書など、利用する金融機関によって必要となる書類は異なるため、事前に担当の不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
(4)確定申告書や納税証明書などの書類
そして収入を証明するための書類も必要です。直近3期分の確定申告書や所得税の納税証明書など、所得を証明できる書類を用意しましょう。
この他、下記の関連記事でも住宅ローン審査に必要な書類について触れているので、あわせて読んでみてください。
自営業者が有利なフラット35を検討する
住宅ローンについては、金融機関によって融資を受ける際の審査基準が異なるため、少しでも自営業者に有利なところを選ぶのが肝心です。
そこで検討してほしいのが「フラット35」の申込みです。ここでは、フラット35の特徴から、自営業者におすすめの理由、そして注意点をお伝えするので内容を見ていきましょう。
(1)フラット35とは?
そもそもフラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年の借入期間が設けられている住宅ローンです。
フラット35には「返済期間中の金利が変動金利ではなく固定金利のため安心」「繰り上げ返済時の手数料が不要」「ローン借入れ時の保証料不要」など、魅力的なメリットがあります。
その中でも「借入時の審査がより柔軟に行われる」という点については、利用しやすいポイントです。
(2)自営業者にフラット35が有利な理由
自営業者にフラット35が有利な理由は「審査に比較的通りやすくなるから」です。
というのも、自営業者が住宅ローンを申し込む際は、通常連続して3期分の所得が黒字となっている必要があります。一方フラット35であれば「直近1期分だけ」で済みます。
つまり、前年度の所得だけで審査が行われるため、開業間もない事業者であっても住宅ローンを組むことが可能です。
その他、事業用にローンを利用していても、返済負担率の計算には含まれないためその点でもメリットです。
(3)フラット35の注意点
自営業者にとって魅力的なフラット35ですが、一方で一戸建て・マンションに関係なく、購入する物件には注意点があります。
というのも、フラット35の利用条件として住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合した住宅でなくてはダメだからです。
つまり、適合証明機関による耐震性能や劣化状況といった検査、および査定の結果クリアできないと、フラット35は利用できないという残念な結果となります。
中古物件の中には利用できないケースもあるため、物件を購入・取得する際は見極めが重要です。
そのためフラット35の申し込みを検討しているなら、事前に不動産会社などに物件について確認しておきましょう。
自営業者が自宅兼事務所を購入する際の3つの注意点!
ここでは、自宅兼事務所(店舗)を購入する際の注意点を3つ解説します。自営業者の中には、自宅兼事務所としてマイホームの購入を検討している人も多いでしょう。
ですが、条件によっては住宅ローン控除が受けられなくなる、などの注意点があるため必ず確認しておきましょう。
(1)居住の面積は床面積の50%以上であることが条件
住宅ローンを組む際は「居住用割合が50%以上あること」という点を必ず覚えておきましょう。
居住用割合とは、住宅の延べ床面積のうち、自宅用のつまり住居部分として使用される割合です。例えば1階と2階が、同じく一定の床面積を持つ自宅兼事務所があったとします。
この時1階が事務所で、2階が居住用スペースだとすると居住部分の割合は50%に該当します。
一方、事務所部分が例えば60%以上あると、居住用割合は50%の上限を割ってしまうため、住宅ローンが適用されません。この点ぜひ注意してください。
(2)場合によっては住宅ローン控除が受けられない
自営業者が自宅兼事務所の購入を検討しているなら「場合によっては住宅ローン控除が受けられない」という点にも注意が必要です。
住宅ローンを利用する条件と同様に、事業用に使用する床面積の割合が50%を超えていると、住宅ローン控除が適用されません。
なお、住宅ローン控除については下記の関連記事でも詳しく解説しているので、本記事と併せて参考にしてください。
(3)住宅ローン控除を利用する際は確定申告が必要
住宅ローン控除を利用する際は「確定申告の手続きが必要」という点も覚えておきましょう。
特に、1年目だけ確定申告すればよい会社員や公務員と異なり、自営業者が住宅ローン控除を利用する際は「毎年」確定申告が必要です。
申告書の受付は「2月16日~3月15日まで」の期間なので、忘れないようにしてください。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトを検討してみる
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクト(正式名称:ARUHI 住宅ローン(MG保証))は、住宅ローン専門金融機関であるアルヒ株式会社が提供する住宅ローン商品です。
通常の融資商品では不利になる自営業の方に非常に優遇されている商品となっています。1年以上の営業実績があれば申込みができるなど柔軟に対応できる商品であるため、ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。
不安な方はまず専門家に相談する
ここまで、自営業者が住宅ローンの審査で落ちないためのポイントや、必要書類を解説してきましたが、まだ不安に感じる人もいるかもしれません。
そのような場合は、不動産の専門知識を備えた弊社FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。
我々であれば、あなたの現在の収支から適切な住宅ローンの返済シミュレーションが可能です。
また、中立的な立場から一人ひとりに最適なライフプランを提案し、また資産設計や家計もサポートしますので、ぜひ一度お尋ねください。
まとめ
今回は、全体を通して自営業者が住宅ローンの審査に落ちやすい理由をはじめ、組むためのポイントや必要書類などについて解説してきました。
結局のところ、自営業だからといって住宅ローンを諦める必要はありません。今回お伝えしたコツを参考にすれば、融資を受けられる望みはあります。
ですがどうしても不安に感じるようであれば、住宅ローンについて明るい弊社FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてください。 経験豊富な我々が、あなたのライフプランとともに、安心の返済計画をご提案します。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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