特定口座とは?一般口座との違い及び開設方法を分かりやすく解説
- ✅「特定口座ってなに?」
- ✅「特定口座と一般口座は何が違うの?」
口座開設の際によく目にする特定口座ですが、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定口座における一般口座との違いや口座の開設方法などを解説しています。
資産運用に興味のある人や、これから口座を開設しようと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
特定口座とは?特定口座には2種類ある
特定口座は、証券会社の口座のひとつです。
ここでは、特定口座の種類や対象の投資商品を紹介します。
(1)特定口座とは?
特定口座とは、損益による税の申告や納税手続きを簡単にしてくれる制度です。
上場株式等で譲渡益が発生した場合は、原則確定申告が必要となります。
そのため、投資家は1年間の取引において、自身で譲渡損失・利益の計算や確定申告書類の作成、そして納税をしなければなりません。
ただし、特定口座では証券会社が投資家の代わりに損益計算等を行い、1年間の取引を記録した「年間取引報告書」を元に確定申告書類を作成します。
そのため、税の申告・手続きに関する負担を軽減することが可能です。
また、特定口座はひとつの証券会社ごとに1口座のみ作成ができ、証券会社を変えることで複数口座の作成ができます。
(2)特定口座には2種類ある
特定口座は、それぞれの口座において「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類から口座を選ばなければなりません。
ここでは、特定口座の源泉徴収の有無におけるそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
①源泉徴収あり
源泉徴収ありにするメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
確定申告がいらない 利益が多く出ても扶養から外れない | 余分な税金を払う可能性がある |
源泉徴収ありの特定口座は、「源泉徴収口座」ともいいます。
特定口座内で取引の売却益が発生した場合、所得税、復興特別所得税、住民税の徴収を自動的に行うのが特徴です。
投資家の代わりに証券会社が徴収した税金を納付・還付してくれるため、確定申告不要で納税の手間を省くことができます。
さらに、取引で多くの利益が出たとしても扶養を抜けずに済むため、扶養に入りながら株の取引をしている人にとっても安心の仕組みです。
一方で、デメリットもあります。
会社員で給与以外の所得が20万円以下の人は、確定申告がいらないため所得税がかかりません。
しかし、源泉徴収で取引の都度税金が納められるため、所得税を多く払っている可能性があります。
このように、利益20万円以下の人の中には損をするケースもあるため、注意しましょう。
②源泉徴収なし
源泉徴収なしにするメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
無駄な税金を支払わなくていい | 確定申告しなければいけないケースがある |
源泉徴収なしの特定口座は、「簡易申告口座」ともいいます。
20万円以下の利益については確定申告がいらず源泉徴収もされないため、余分な税金の支払いはありません。
ただし、利益が20万円以上の場合には確定申告を自分で行わなければならないため、注意しましょう。
投資初心者におすすめなのは、源泉徴収ありです。確定申告不要のため、面倒な手続きを省くことができます。
一方、利益が20万円以下で少しでも税金を少なくしたいという人は、源泉徴収なしを利用するのもよいでしょう。
(3)特定口座の対象となる投資商品は?
特定口座は、基本的に金融機関で取り扱っているほとんどの上場投資信託や株式を資産運用できます。
特定口座の対象は、以下のような商品です。
- ✅上場株式
- ✅上場新株予約権
- ✅上場ETF(上場投資信託)、上場ETN(上場投資証券)
- ✅上場REIT(上場不動産投資信託)
- ✅外国市場の株式や新株予約権
- ✅国債、地方債、外国国債などの公社債
- ✅公募株式投信
- ✅公募公社債投信
一般口座とは?特定口座との違い
証券会社の口座には、特定口座のほかに「一般口座」や「NISA口座」があります。
一般口座は、特定口座では取り扱っていない未公開株式などの損益を、まとめて管理できる口座です。
NISA口座は、取引の利益が毎年一定額まで非課税になる口座を指します。
ここでは、特定口座と一般口座の違いについて見ていきましょう。
一般口座 | 特定口座 | |
年間取引報告書の作成 | あり | なし |
確定申告 | 必須 | いらない場合あり |
未公開株式の取引 | できる | できない |
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
(1)年間取引報告書の作成
通常、投資家は1年間(1月1日から12月31日まで)の取引における損益を記録した年間取引報告書を作成しなければなりません。
特定口座の場合は証券会社が作成しますが、一般口座は自分で作成しなければならないため、手間がかかります。
(2)確定申告
一般口座は、確定申告が必須です。
特定口座の場合、源泉徴収ありを選択することで確定申告の手間を省くことができます。
(3)未公開株式の取引
証券取引所に上場していない株式を未公開株式といいます。
特定口座は未公開株式の取引ができませんが、一般口座では取引が可能です。
特定口座(源泉徴収あり)を利用するメリットは?
ここでは、特定口座を利用するメリットについて詳しく解説していきます。
(1)所得税・住民税の申告不要
特定口座は、取引の度に証券会社によって源泉徴収が行われます。
そのため、確定申告がいらず簡単に納税することが可能です。
(2)源泉徴収、税金還付は全て証券会社が対応してくれる
特定口座では、上記で述べた源泉徴収のほかに、口座内で生じた譲渡損失の損益通算もできます。
どちらも証券会社が対応するため、手間を省けるのが大きなメリットといえます。
損益通算とは、同じ年度の損失と利益を相殺し、納める税金を控除できる仕組みです。
譲渡損は確定申告なしで還付されますが、それでも利益がマイナスであれば、確定申告で最長3年間分の損失を繰越控除できます。
ただし、別の金融機関口座で損益通算するには確定申告をしなければならないため、気をつけましょう。
証券会社にて特定口座の開設方法
特定口座は、それぞれの証券会社ごとに1つ開設できます。
口座開設方法は証券会社によって異なりますが、基本的には特定口座開設届出書とマイナンバー、住民票などの本人確認書類の提出が必要です。
以下で、各証券会社の口座開設方法について詳しく見ていきましょう。
(1)楽天証券
楽天証券での特定口座の開設は、Webサイトから簡単に行えます。
開設方法は以下のとおりです。
- Webサイトにログインする
- 「マイメニュー」→「基本情報・マイナンバー・口座(NISA・特定・未成年)」を押す
- 「特定口座・源泉徴収」で源泉徴収の有無と、提出する本人確認書類を選択する
- 本人確認書類とマイナンバーの提出方法を「アップロード」または「郵送」から選択する
(2)SBI証券
SBI証券では、書面でのみ特定口座の開設が可能です。
Webサイトまたは24時間自動音声応答ダイヤルから請求ができる「特定口座開設届出書」に必要事項を記入して、証券会社宛に返送することで特定口座の開設が完了します。
返送の際には、特定口座開設届出書のほかに本人確認書類とマイナンバー確認書類が必要ですので、あらかじめ準備しておきましょう。
(3)松井証券
松井証券はWebサイトから特定口座の開設が行えます。
松井証券の口座を持っている場合は、お客様サイトから簡単に口座開設が可能です。
以下で手順を解説します。
- お客様サイトにログインする
- 「口座管理」→「各種口座開設状況」→「開設する」で開設を申し込む
- 内容を確認し、チェックボックスにチェック→「確認」を押す
- 源泉徴収の有無を選択し、「申込確認」を押す
- 証券会社から手続き書類が届いたら内容を確認し、手続き書類とマイナンバー確認書類、本人確認書類を返送する
初心者にオススメしたい投資商品3選
投資初心者の場合、多くの投資商品の中から運用する商品を選ぶのは難しいです。
ここでは、初心者におすすめの投資商品を3つご紹介します。
(1)株式投資
株式投資とは、株式会社が発行する株式を購入して配当金などの利益を得ることを指します。
少額からでも購入できるため、投資初心者でも安心して利用が可能です。
注意点としては、株の値動きが大きな銘柄ほど、リスクが増すことが挙げられます。
株を購入する際には、情報収集をしっかりと行った上で銘柄を見極めましょう。
(2)REIT
REITは、不動産の投資信託です。
通常の投資信託では、投資家から集めた資金を運用会社が株式や債券などで運用するのに対し、REITでは運用会社が不動産で運用します。
REITのメリットは、少額から不動産の運用ができることです。
少ない費用で不動産のプロに運用を任せられるため、初心者にもおすすめの投資商品となっています。
(3)ETF
ETFとは上場投資信託のことで、証券取引所で取引ができる投資信託を指します。
ETFの特徴は、少額で分散投資ができることです。
分散投資はそれぞれの株を個別で購入するよりもリスクを抑えることができるため、初心者でも気軽に運用しやすい商品となっています。
また、好きなタイミングで売買できるのもETFの特徴です。
投資信託は市場が閉じてからの取引になるのに対し、ETFは証券取引所の営業時間内であればいつでも取引ができます。
そのため、投資信託よりも自由な取引が可能です。
不安な方はプロに資産運用を相談する
資産運用に興味があり、投資を始めたいと思っていても、何から始めればいいのか分からない人もいるでしょう。
資産運用で不安がある人は、プロに相談するのも選択肢のひとつです。
特に投資初心者の場合は、投資や運用の知識があるFPなどの専門家に相談するのがよいでしょう。
また、セカンドオピニオンもできますので、第3者のアドバイスがほしい方はぜひ活用してみてください。
まとめ
この記事では、特定口座について一般口座との違いや証券会社ごとの口座開設方法を解説してきました。
特定口座は、1年間の取引を記載する年間取引報告書を証券会社が作成してくれるのが特徴です。
さらに、源泉徴収ありの口座にすることで確定申告が不要になるため、資産運用の手間をなるべく省きたい人に向いている口座といえます。
特定口座の開設方法は証券会社ごとに異なるため、証券会社のホームページを確認し、自分に合う証券会社で口座を開設しましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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