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教育資金融資保証基金とは?仕組みと利用時の注意点について解説

公開日:2022/10/18
教育資金

子供の進学に合わせて教育ローンの利用を検討している保護者の方もおられるでしょう。

「民間の教育ローンは審査に通るか不安」という方は、国の教育ローンがおすすめです。

国の教育ローンは低所得世帯向けの融資制度で、子供一人につき350万円まで融資が受けられます。

使いみちは入学金・受験費用・教科書代など幅広く、最長18年間、低い固定金利で借りられるのが特徴です。

国の教育ローンで融資を受けるには連帯保証人を立てるか、保証機関を利用する必要があります。

この記事では、国の教育ローンの保証制度である「教育資金融資保証基金」の仕組みと利用時の注意点について解説します。

教育資金融資保証基金とは?利用方法について

親子

教育資金融資保証基金の概要と利用方法について説明します。

(1)教育資金融資保証基金とは?

教育資金融資保証基金とは、国の教育ローン利用者向けの保証制度を提供する公益社団法人です。

設立されてから40年以上の歴史を持ち、国の教育ローンで融資を受ける約9割の人がこの保証制度を利用しています。
国の教育ローンおよび保証制度は、日本政策金融公庫または沖縄振興開発金融公庫の支店金融機関窓口で申し込むことができます。

(2)教育資金融資保証基金の利用方法

教育資金融資保証基金を利用にあたり、郵送またはインターネット経由で申し込みが可能です。

郵送の場合は教育ローンコールセンターへ連絡して申込書を取り寄せます。

申込書2枚目に添付されている「保証依頼書」を他の必要書類と合わせて日本政策金融公庫の支店または金融機関窓口に提出します。

インターネット経由の場合は、日本政策金融公庫のホームページにある申込フォームから申し込み可能です。

申込フォーム上の保証のご希望欄で「保証基金による保証」を選択します。

教育資金融資保証基金の保証料(利率)について

教育資金融資保証基金の保証料は、融資金額・返済期間・返済方法などによって異なります。

融資額100万円あたり保証料の目安は以下のとおりです。(※横軸の期間は利息のみ返済(元金据置)期間)

返済期間なし2年4年
5年15,572円18,686円21,800円
10年30,795円36,954円43,113円
18年55,463円66,555円77,648円
出典:日本政策金融公庫「保証基金のご案内」

(※交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、扶養する子どもの人数が3人以上で世帯年収が500万円(所得356万円)以内の人は、表の2分の1の金額)

教育資金融資保証基金の保証料は、国の教育ローン融資額から一括で差し引かれます。
例えば、融資額100万円で利息のみ返済期間なし・返済期間10年の場合は、100万円から保証料30,795円を差し引いた969,205円が口座に振り込まれます。

日本政策金融公庫の「教育ローン用 返済シミュレーション」で、試算条件ごとの保証料総額の確認が可能です。

教育資金融資保証基金の審査基準は?優遇となる方の条件

夫婦

国の教育ローンの融資が受けられる場合は、教育資金融資保証基金の保証を断られることはありません。
したがって、国の教育ローンの審査に通れば保証が受けられます。国の教育ローンの審査の内容は、どのようなものでしょうか。
具体的な審査基準は開示されていませんが、教育ローン申込時に必要な書類から、以下の内容を中心に審査していると推察されます。

  1. ☑収入状況
  2. ☑雇用形態や勤続年数
  3. ☑借入状況
  4. ☑住宅ローンや家賃の返済状況
  5. ☑公共料金の支払い状況

いずれの項目も「返済能力があるか」を審査する内容となっています。収入状況は審査の中で最も重視されるポイントでしょう。

ただし、国の教育ローンは下記のとおり世帯年収の上限額があり、収入が高すぎる人は融資を受けられません。

  1. ☑世帯年収(所得)の上限額
子供の人数世帯年収(所得)の上限額
1人790万円(600万円)
※990万円(790万円)
2人890万円(690万円)
※990万円(790万円)
3人990万円(790万円)
4人1,090万円(890万円)
5人1,190万円(990万円)
出典:日本政策金融公庫「ご利用条件」

(※一定条件に該当すると、上限額が緩和されます。)

雇用形態は正社員の方が有利であり、勤続年数が長い人の方が審査に通りやすいでしょう。

いずれも安定した収入があることの裏付けと言えます。

借入状況については、収入に対して借入金額が多すぎないかという観点で審査されます。

他社での借入が多いと、「貸したお金を確実に返済してもらえるか分からない」と判断されやすいためです。

住宅ローンや家賃の返済状況・公共料金の支払い状況の項目では、滞納せずきちんと返済しているかが審査のポイントとなるでしょう。

その他にも、クレジットカードの返済遅延がないか等の信用情報も見られる可能性が高いでしょう。

以上のことから定職についていない人や公共料金やクレジットカードの支払いを滞納している人、借入金額が多い人は審査に通りにくいと言えます。

では反対に、審査の上で優遇される条件はどのようなものでしょうか。

一般的なローン審査では、先ほど説明した内容に加え、持ち家があると有利とされています。

もしローンを返済できなくなっても、家を売却して返済してもらえる可能性があるからです。

また持ち家であればすぐに引越ししない人が多く、連絡がつきやすいという傾向から、審査では加点されやすいようです。

国の教育ローンにおいても、住宅ローンの残り返済期間が少ない人は優遇されるでしょう。

教育資金融資保証基金のメリット

教育資金融資保証基金を利用すると、連帯保証人が不要となるメリットがあります。

国の教育ローンで融資を受けるには、連帯保証人を立てるか、教育資金融資保証基金の保証を受ける必要があります。
連帯保証人の条件は、原則、学生本人と別居・別生計の4親等以内の親族であることとされています。
もしローンの支払いが滞ったら、連帯保証人が借金を肩代わりすることになるので、近しい親族でも依頼しづらいでしょう。

また、お願いできるような人がいないケースもあるでしょう。教育資金融資保証基金に保証料を支払うことで、連帯保証人がいなくても、保証が受けられます。

教育資金融資保証基金を利用する時の注意点

夫婦

教育資金融資保証基金を利用する時の注意点について説明します。融資を受ける前にあらかじめ認識しておきましょう。

(1)万が一返済ができなくなったらどうなる?

国の教育ローンは通常、融資元の日本政策金融公庫に返済します。

しかし収入の減少などで返済できなくなり、6カ月以上滞納した場合は、教育資金融資保証基金が日本政策金融公庫に借入金を一括返済します。
ここで注意したいのが、借入金の返済義務がなくなった訳ではないということです。
教育資金融資保証基金はあくまで保証制度なので、ローン契約者の返済先が教育資金融資保証基金に変わるだけで、借金そのものはなくなりません。

(2)万が一名義人が亡くなったらどうなる?

万が一、ローン名義人が亡くなった場合でも、借金はなくなりません。預金や不動産などの遺産と同じように返済義務も相続されるためです。

相続人は相続財産すべてを放棄しない限り、借金返済義務を負うことになります。

例えば国の教育ローン契約者である父親が亡くなったら、母親や子どもが契約者となり返済していくことになります。
ローン名義人が亡くなったら、借金もなくなると勘違いしている人もいるので、注意しましょう。

万が一な時に備えて銀行などの教育ローンを検討するのもあり?

教育ローン

ローン契約者が亡くなった時に備えて、銀行などが提供する民間の教育ローンを検討するのも選択肢の一つです。
民間の教育ローンは、ローン契約時に団体信用生命保険に加入ができ、契約者が死亡または高度障害状態になった場合は借入金の返済が免除されます。

ただし民間の教育ローンは金融機関独自の融資制度なので、国の教育ローンよりも金利が高めです。
また、契約者の収入条件などの審査が厳しく、安定した収入がないと融資が受けられません。

融資が受けられたとしても、団体信用生命は生命保険の一種であるため、告知内容によっては加入できない可能性があります。

まとめ

家族

教育資金融資保証基金は国の教育ローンで融資を受ける人に保証制度を提供する機関です。利用を希望する場合、国の教育ローン申込時に一緒に申し込みます。

国の教育ローンの審査に通った人は保証制度の利用が可能です。

教育資金融資保証基金はあくまで連帯保証人の代わりであるため、万が一ローン契約者が亡くなった場合でも、借金が免除される訳ではありません。

死亡時の保障が欲しい人は、民間の教育ローンで融資を受けることを検討するとよいでしょう。

民間の教育ローンは契約時に団体信用生命保険に加入できるため、死亡時には返済が免除されます。

ご家庭の状況によって教育資金の準備方法はさまざまです。

どのような制度が向いているのか分からないという方は、FPなどの専門家相談するとよいでしょう。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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