不動産投資のやり方は?FPが購入から管理まで分かりやすく解説します

景気に左右されにくく、株式投資よりも安定的といわれる不動産投資ですが、興味があるけど始め方が分からない人もいるのではないでしょうか。
本記事では、不動産投資のやり方を徹底解説しています。
今後、不動産投資を始めようと思っている人は必見です。
不動産投資とは

不動産投資とは、購入した不動産を貸し出したり、不動産売却をしたりすることで利益を得る運用方法です。
ここでは、不動産運用の概要について詳しくみていきましょう。
(1)不動産投資の目的
人によってさまざまですが、主に以下のような投資目的で不動産投資を始める人が多いです。
- ✅老後の年金対策
- ✅生命保険の代わり
- ✅投資リスク分散
- ✅不労所得を得たい
(2)不動産投資の利益の仕組み
不動産投資で利益がでる仕組みは以下の2つです。
- ✅インカムゲイン…家賃収入
- ✅キャピタルゲイン…売却益
インカムゲインは購入した不動産を貸し出して得る利益、キャピタルゲインは購入価格よりも不動産を高く売って得る利益をさします。
インカムゲインは毎月一定の金額が稼げるため長期間の運用に向いており、キャピタルゲインはインフレなどによって売却価格が高くなる可能性があり短期間の運用に向いているのが特徴です。
(3)代表的な不動産投資方法
不動産投資には主に2種類の収益不動産があります。
- ✅一棟マンション投資(一棟アパート投資)
- ✅区分マンション投資(ワンルームマンション投資)
一棟マンション投資はマンション(アパート)を一丸々一棟購入する投資方法です。
バブル期には、この投資による配当や分配金で生活している人が多くいました。
一方、区分マンション投資はマンションの一部屋分を購入して区分所有する投資です。
一室の購入は、一棟購入より購入費用が抑えられるため、初期費用が低く、比較的低いハードルで不動産投資を始められます。
下記で実際に不動産投資のやり方を確認していきましょう。
不動産投資のやり方!「物件の選び方」について
不動産投資を始めるにあたって非常に大切なのが「物件選び」です。
ここでは、不動産投資物件を選ぶ際のポイントについて解説します。
(1)立地条件の重要性
一般的に、交通アクセスなどの利便性がよくないと空室がでやすくなります。
そのため、複数物件を見学して、最寄り駅からの距離や近隣の状況、周辺環境を考慮して物件を選定するのが重要です。
また、自然災害のリスクが少ないエリアかも重視して物件を選ぶと、地震や天災などの自然災害によって物件を失うリスクを軽減できるでしょう。
(2)中古物件と新築物件の選択
物件購入の際は、中古物件と新築物件のどちらにするか迷う人もいるでしょう。
下記表にてそれぞれの投資物件を徹底比較していますので、判断基準にしてください。
メリット | デメリット | |
中古マンション | ・不動産価格が比較的安い ・収支のシミュレーションがしやすい ・高利回りが期待できる | ・経年劣化によるメンテナンス費用やリフォーム費用などの修繕費が高額 ・耐用年数が低い ・ニーズの変化によってリノベーションする必要性がある |
新築マンション | ・需要が高く空室がでにくい ・優良物件が多い ・資産価値が高い物件が多い | ・人気の不動産は物件価格が高め ・利回りが低い傾向にある |
(3)収益物件の評価方法
物件の評価方法には主に以下の2つがあります。
- ✅積算価格評価
- ✅収益還元評価
それぞれについて詳しくみていきましょう。
積算価格評価とは、土地の価格と建物の価格を合わせた評価方法です。
(積算価格)=(土地の価格)+(建物の価格)
計算方法は上記のとおりで、主に地方銀行が採用している評価方法となっています。
収益還元評価とは、投資している不動産で自分がどれだけの利益を得たかを利率で表す評価方法です。
(収益還元率)=(家賃-諸経費)÷(還元利回り)
この方法は、主にメガバンクで多く採用されています。
(4)不動産投資のリスク
投資にリスクはつきものです。
不動産投資で失敗しないよう、事前にリスクを予測して万が一の事態に備える「リスクヘッジ」が必要不可欠といえます。
不動産投資で考えられるリスクは下記のとおりです。
- ✅空室で家賃が発生しない
- ✅自然災害が起きる
- ✅設備が老朽化する
- ✅金利が上昇する
- ✅家賃を滞納される
- ✅賃料が減少する
- ✅不動産価値が大幅に下落する
上記のようなリスクを予想しておくだけでも、不動産投資に関係する不安の解消につながります。
不動産投資のやり方!「購入手続き」について

ここからは、不動産を購入する際の手続きについてみていきましょう。
(1)購入目的と目標金額の設定
希望の不動産収入を実現するには、自分のライフプランや家族構成、理想とする将来の暮らしに合わせて不動産を購入する目的と目標金額を決めるのが大事です。
「なんのために」、「いくら稼ぐのか」といった投資目標や資金計画を具体的に決めておくことで、運用方法がより明確になるため、目標を達成しやすくなります。
(2)資金調達方法
不動産購入における投資資金の調達方法は以下の2つです。
- ✅自己資金の活用
- ✅不動産投資ローンの利用
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①自己資金の活用
不動産投資では、積極的な考え方として「レバレッジ効果」があります。
レバレッジ効果とは、小額の資金で多額の利益を得ることを指す言葉です。
自己資金と借入れをバランスよく上手に活用することで、実質利回りは同じだとしても、結果的に収益を何倍にも跳ね上げられる可能性があります。
②不動産投資ローンの利用
不動産投資ローンは、不動産投資で物件を購入する際に組む住宅ローンです。
ローンを完済するまでは利益がローン返済にあてられるのが特徴で、収入として利益を得られるのは完済後となります。
(3)効率よく情報収集する方法
不動産投資をする際には、積極的に情報収集を行って基礎知識を身に付けるのが大切です。ここでは「セミナー」「不動産会社」「FP」の3つをご紹介します。
①セミナー、情報サイト
セミナーに参加するメリットは、個別相談や質問ができることです。
また、インターネットから利用できるオンラインセミナーも開催されているため、自分の都合に合わせて必要な知識やノウハウのみを勉強できます。
無料セミナーを行っている場合もあるので、興味のある方は公式サイトに問い合わせください。
②不動産投資会社
不動産投資会社で情報を集めるメリットは、複数社を比較できるところです。
不動産に関する情報が豊富なので、効率よく情報収集できます。
また、資料請求は基本的に無料なので、気軽に物件情報をチェックできるのも魅力です。
③FPなどにセカンドオピニオン
「不動産投資の始め方が分からない」「株式投資など不動産投資以外の資産運用にも興味がある」といった人は、FPに相談するのも選択肢のひとつです。
資産形成や将来のお金に対して不安や疑問がある人は、FPからアドバイスをもらうのを検討してみてはいかがでしょうか。
(4)申し込みから購入までの流れ
不動産投資における申込みから購入までの手順を下記にまとめました。
- 物件を探す
- 現地調査をする
- 融資審査を申し込む
- ローン審査後に契約手続きをおこなう
- 物件の引き渡しと所有権を移転する登記手続きをおこなう
- 火災保険に加入する
不動産投資のやり方!「運営方法」について
物件を購入した後は、建物を継続的に管理して維持し続けなければなりません。
不動産経営の賃貸管理方法には以下3つの選択肢があります。
- ✅オーナー自身で管理する
- ✅管理委託で運営する
- ✅サブリースを利用する
それぞれの物件管理方法について具体的にみていきましょう。
(1)オーナー自身で管理する方法
所有物件に住むまたは近くに住む場合は、自分で投資物件を管理するのも一つです。
入居者募集から賃貸契約、共用部分の清掃、契約書類の作成まで賃貸物件のマネジメントをすべて個人で行います。
①メリットとデメリット
メリット | ・諸費用を抑えられる ・賃貸経営の仕組みが分かる ・部屋の問題や空室状況がすぐに分かる |
デメリット | ・入居者のクレーム対応を一人で行わなければならない ・空室期間は利益が発生しない ・時間や手間がかかる |
まずメリットとしては、業務委託による管理手数料が不要になるため、管理費用を安く抑えられることが挙げられます。
また、部屋の状態を常に把握できるため、早期対応がしやすいです。
注意点としては、すべての管理業務を自分自身で行わなければならないため、かなりの手間や負担がかかることを知っておきましょう。
②入居者対応のポイント
自主管理の場合、入居者トラブルを起こさないためのリスク対策が必須です。
以下のような対策がリスク回避に有効です。
- ✅入居者の審査は慎重に行う
- ✅家賃滞納の対策として保証会社を利用する
- ✅入居期間における部屋の利用規約や退去時の契約内容を細かく丁寧に決めておく
(2)管理委託で運営する方法
サラリーマンや会社員など、本業とは別に副業で不動産投資をするケースでは、不動産管理会社へ管理を委託するのがおすすめです。
建物管理のプロが管理業務を代行してくれるので、安心感があります。
ただし、管理体制が充実している分、管理委託料や仲介手数料、更新料などがかかるので注意しましょう。
(3)サブリース
サブリースとは、不動産業者がオーナーとサブリース契約を結んで不動産を借り上げ、不動産会社から入居者に物件を貸し出す方法です。
サブリースのメリットとデメリットを以下にまとめました。
①メリットとデメリット
メリット | ・家賃保証で空室のリスク軽減ができる ・管理を業者にすべて任せられる ・資金計画が立てやすい ・確定申告が簡単になる |
デメリット | ・不動産所得が少なくなる ・リフォーム業者などが自由に選べず修繕費用が高くなる |
表にもある通り、サブリース一番の魅力は、空室でも家賃が担保されている点です。
ある程度空室状態が続いたとしても、家賃収入が大幅に減少することがなく安定して収入を得られます。
②不動産会社の重要性
サブリースで不動産物件の管理を行う場合は、会社選びが大切です。
複数のサブリース会社を比較し、実績があり信頼性の高い会社を選びましょう。
これから始める不動産投資にオススメの方法

不動産投資をこれから始める場合、どの投資方法がいいのか分からない人もいるでしょう。
ここでは初心者向けにおすすめの投資方法を3つご紹介しますので、自分に最適な方法を選びましょう。
(1)不動産実物投資
不動産実物投資とは、マンションやオフィスビルなどの投資用物件を不動産投資家が購入・運用して利益を得る投資手法です。
注意点としては、物件に空室がでると利益が大きく減る可能性があることが挙げられます。
(2)少額から始める不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは、不動産特定共同事業者を対象とするサービスで、複数の投資家が運用会社に資金を出し合い、その資金で不動産を購入して運用する方法です。
投資額は運用会社によりますが、1万円から投資可能な場合が多く、手軽に少額投資ができます。
(3)REITや不動産小口化商品での投資
「リスクを抑えて不動産投資がしたい」「複数不動産に分散投資したい」といった方はREIT(リート)などの小額でできる金融商品を活用するのもおすすめです。
REITとは、専門家に資金を預けて代わりに不動産を運用してもらう投資用不動産で、日本のREITはJ-REITと呼ばれています。
投資対象が株式から不動産になった投資信託と考えるとイメージしやすいかもしれません。
不動産クラウドファンディングと混同しがちですが、「自分のタイミングで売買できる」「購入する投資商品は選べない」などの点が決定的に違います。
まとめ

この記事では、不動産投資のやり方や初心者におすすめの不動産投資について解説してきました。
不動産投資を開始する際は、情報全てを鵜呑みにするのではなく、信用度の高いツールで十分に情報収集を行い、しっかりと理解してから投資をスタートしましょう。
また、自己資金ゼロの状態から無理な金額目標を立てるのではなく、長期的な視野をもって余裕のある貯蓄で始めるのがおすすめです。
著者

- 株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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