サラリーマンはなぜ不動産投資でカモにされる?理由と5つの対策を解説
サラリーマンは不動産投資で悪徳な業者からカモにされやすいと言われています。
その理由は、安定した収入から融資が受けやすい、専門知識がないなどを挙げることができます。
不動産投資でカモにされてしまうと、数百万円〜数千万円程度の非常に高額な損失を負う可能性もあるので、カモにされないように十分に注意しなければなりません。
この記事では、サラリーマンが不動産投資においてカモにされないためのコツと対策を徹底解説していきます。
「不動産投資を初めてみたいけど、カモにされるのが不安」という方は、投資を始める前にぜひお読みください。
不動産投資でサラリーマンがカモにされやすい3つの理由
不動産投資でサラリーマンがカモにされやすい理由は主に次の3つです。
- ☑属性がいいことから融資が通りやすい
- ☑本業が忙しいから管理の依頼がもらえる
- ☑損益通算して所得税などの節税に繋がる
なぜ、サラリーマンがカモにされることが多いのか、理由を詳しく解説していきます。
(1)属性がいいことから融資が通りやすい
サラリーマンはお金を貸し付ける金融機関にとって、最もお金を貸しやすい属性です。
公務員や勤務先が上場企業のエリートサラリーマンは、定年になるまで毎月定期的に安定収入が入るので、長期間返済能力があると判断できるため、審査に通りやすい条件が揃っているためです。
また、低金利で借りられることから利息の負担もそれほど大きくありません。
東京の一等地などの人気で高額物件でもサラリーマンであれば融資を利用して予算内で買わせることができるので、ハードルが低くなります。
サラリーマンは不動産会社にカモにされやすい傾向があります。
(2)本業が忙しいから管理の依頼がもらえる
サラリーマンにとって本業は会社勤めですので投資物件の管理までは手が回りません。
そのため、不動産会社はサラリーマンへ物件を売却することで、購入後も管理も請け負うことが可能です。
不労所得を目的とした副業で不動産投資をするサラリーマンへ不動産を売却すれば、仲介手数料や売却益以外にも管理収入が入ることになるため、サラリーマンは不動産会社にとって「おいしい顧客」なのです。
仲介だけでなく管理会社も行っている業者は、サラリーマンに売ることで管理費も得られます。
(3)損益通算して所得税などの節税に繋がる
不動産投資によって損失が出れば、本業の給与所得と損益通算ができます。
高所得のサラリーマンは多くの所得税や住民税などを納税しています。
例えば、所得1,000万円のサラリーマンの所得税は約87万円、住民税が約65万円です。
不動産投資によって400万円分の損失が出れば損益通算によって所得は600万円となり、その場合の税金は所得税が約30万円、住民税が約20万円へと大きな税負担の軽減になります。
また、不動産は減価償却できるので実際に現金が流出していない場合でも経費を多く計上でき、節税効果が高くなっています。
高額所得のサラリーマンほど節税対策をしたいと考えているので、不動産投資を勧誘しやすいため、カモにされる可能性も高くなります。
カモにされやすいサラリーマンの特徴4つ
サラリーマンの方々全員がカモになるわけではなく、カモにされやすいサラリーマンには次の4つの特徴があります。
- ☑勉強や情報収集をしない面倒くさがり屋
- ☑不動産投資に関する知識が殆どない
- ☑投資目標などもなくとりあえず始めてみる
- ☑営業マンに任せっきり
悪徳業者にカモにされないため、どんな人がカモにされやすいのかについても頭に入れておきましょう。
(1)勉強や情報収集をしない面倒くさがり屋
「時間がないから」などの理由で自分で勉強や情報収集をしない人は、不動産会社のカモにされやすいでしょう。
不動産会社としては事実と異なる情報を伝えても、嘘が発覚しないためです。
勉強もせず、簡単に利益を出すことはできません。最低限の不動産投資の特徴やメリット・デメリットやノウハウをしっかりと理解して、不動産投資を始めましょう。
(2)不動産投資に関する知識が殆どない
不動産投資やマンション経営に関する知識や経験がない人も、不動産会社に言い包められて、不動産会社が売りたい不動産を売りつけられてしまう可能性があります。
不動産会社にとって収益性の悪い物件は、いわゆる「処分したい物件」です。
知識がないと、不動産会社にとって処分したい物件を売りつけられる可能性があるので、どんな物件が投資対象として適した物件かについて一定の知識を蓄えておく必要があります。
投資を始める前に無料セミナーへの参加や書籍で勉強したり、我々FPなどの専門家に相談したり、不動産投資に関する知識を蓄えておきましょう。
(3)投資目標などもなくとりあえず始めてみる
目標も立てずに「とりあえず初めてみる」という人も不動産会社にとっては格好のターゲットです。
目標がないということは「家賃収入をいくら稼ぐ」などの目標数値がないということです。
このような人は、相場よりも少ない家賃収入しか得られなくても損をしているということに気づかないので、不動産会社のカモにされる可能性があります。
「不動産投資でどの程度の年収を得たいのか」を明確にしましょう。
(4)営業マンに任せっきり
不動産会社の担当営業マンに任せっきりという人もカモにされる可能性もあります。
もちろん、営業マンが顧客の利益を最優先にする人であれば問題ありません。
しかし、顧客の利益よりも自分の営業成績を優先するような悪質な営業マンは、強引に売れ残った収益物件を売りつけてくる可能性もあります。
特に20代・30代の比較的若い人は、経験がないので営業マンの説明を鵜呑みにしてカモにされやすい傾向があります。
例えば、営業担当者が表面利回りが「高利回り」とアピールする物件は、経費や固定資産税などのコストを考慮した実質利回りはそれほど高くはないことは珍しくありません。
不動産業者の営業マンに任せきりにするのではなく、「どんな物件を売ろうとしているのか」、「周辺と比べて良い物件か」「物件価格が妥当か」などの詳細を投資家自ら確認しましょう。
カモにされないサラリーマンになる5つの対策
カモにされないためには、次の5つのポイントを抑えて投資をスタートしなければなりません。
- ☑自分から勉強する、情報収集する
- ☑明確とした投資目標を決める
- ☑不動産投資のリスク、回避策を事前に把握する
- ☑複数の不動産投資会社に相談する
- ☑セカンドオピニオン必ず受ける
これらを押さえてから投資をすると、カモにされないだけでなく失敗しない可能性も高くなります。
カモにされない5つの対策と注意点について詳しく解説していきます。
(1)自分から勉強する、情報収集する
自分から不動産投資や商品について勉強し、情報収集に励みましょう。
不動産会社は、知識を持った投資家に対して良い物件を売却しなければ他の不動産会社へ乗り換えられてしまうと考えます。
不動産会社にとって「うるさい顧客」になれるよう、不動産投資に対して一定の知識を得ておきましょう。
(2)明確とした投資目標を決める
投資目標は明確にしましょう。
大切なことは「不動産会社から紹介された物件でいくら儲かる」のかを考えるのではなく、「自分が目標とする利益を出すために必要な物件を探してもらう」ということです。
長期的な将来の目標を掲げることで、目的達成のために最善な物件を探せるので、まずは目標を明確に掲げましょう。
(3)不動産投資のリスク、回避策を事前に把握する
不動産投資には空室リスクや家賃下落リスクや滞納リスクなど、様々なリスクがあります。
これらのリスクを事前に把握し、リスクを回避する方法も把握しましょう。
リスクへの理解なくして投資をすることは危険です。
最初はワンルームマンション投資や不動産投資型クラウドファンディングや不動産投資信託で少額からスタートするなど、ある程度リスクも考慮した上で投資を始めましょう。
また、フルローンではなく、ある程度の自己資金を保有した上で始めることも重要です。
不動産投資のリスクや回避策について詳しくは、下記記事を参照にしてみてください。
(4)複数の不動産投資会社に相談する
1社だけでなく、複数の不動産会社へ相談しましょう。
不動産会社を競争させることによって、買い主主導で物件探しができますし、値下げ交渉も有利になります。
1社だけに相談するのではなく、必ず複数の不動産会社へ相談し、物件を比較して投資判断をするようにしてください。
(5)セカンドオピニオン必ず受ける
不動産投資におけるセカンドオピニオンとは、購入を検討している物件についての意見やアドバイスを第3者から受けるというものです。
投資の初心者であるサラリーマンと不動産会社の意見だけでは、その物件についての良し悪しを客観的に知ることは困難です。
物件選びの際には、我々FPやホームインスペクターや他の不動産会社などの投資や資産運用のプロに、投資を検討している資産に対するセカンドオピニオンを受けた方がよいでしょう。
セカンドオピニオンで良い意見がもらえなかった場合には、投資物件を変更するなど、投資先の変更を検討してください。
実際にあったサラリーマンがカモにされた事例3つ
実際にサラリーマンがカモにされた失敗事例や失敗談を3つご紹介します。
(1)サブリース契約の家賃引き下げ
1つ目はサブリースでカモにされたSさんの事例です。
「サブリースで家賃保証があるから、絶対に収入が保証される」との勧誘電話で新築物件の投資用マンションの購入を決定したAさん。
当初1年間は契約通りの家賃が入ってきたが、1年後新築マンションが空室が発生し空室率が上昇。
Sさんは「サブリース契約があるから大丈だろう」と思っていた。
しかし不動産会社から連絡があり、「家賃を引き下げて入居者を確保したから、サブリース契約の家賃も引き下げてほしい」と交渉された。
結果的に、銀行へのローン返済金よりも3万円程度少ない収入となり、月々自分の給料から返済に充てているため赤字となっています。
(2)オーナーチェンジ物件ですぐに退去者が発生
2つ目はオーナチェンジ物件ですぐ入居者が退去したTさんの事例です。
不動産会社から「この物件は入居率が高いオーナーチェンジ物件なので、すぐに安定した家賃収入が入る」と勧められ、中古アパートを一棟購入したTさん。
しかし購入から数ヶ月で、退去者が続出。家賃収入は購入時の3割程度減少した。
不動産会社に「退去者が多いのでどうにかしてほしい」と相談すると「古い物件だから、大幅にリフォームしないと入居者の確保は難しい」「リノベーションしなければ難しい」と突き放された。
現在は、なんとかキャッシュフローはトントンという状態になりましたが、ただ借金を返済しているだけです。想定した家賃収入生活とはかけ離れている現実です。
(3)入居者の質が悪い
3つ目は質の悪い入居者の物件を購入したKさんの事例です。
不動産会社から勧められて購入した物件の入居者の多くが質が良くなかった。
退去時には壁に穴が開いていることが少なくないほど、中の状態が酷いものだった。
修繕費用は到底敷金だけで賄えず、退去者が出るたびに原状回復費用だけで100万円前後の負担が発生。
キャッシュフローは赤字となり、当初想定していた利益を出せていないというKさんです。
ここで紹介したのはごく一部の失敗例でありますので、より詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
サラリーマンがカモにされず信頼できる不動産会社の選び方
知識がないからと言って顧客に損をさせるようなことがない、信頼できる不動産会社は次のような視点で選びましょう。
- ☑設立が年数長く実績が豊富である
- ☑口コミや評判を調べてみる
- ☑担当営業の提案内容は自分の目標達成できるか
- ☑求人などしているか
自分で手間をかけて優良業者をチェックすることが大切です。
サラリーマンでも安心して任せられる業者選びの4つのポイントについて詳しく解説していきます。
(1)設立が年数長く実績が豊富である
会社として営業実績が十分にある会社の方が安心です。
Webで不動産会社のホームページの会社概要から会社の設立年月日や運営歴や宅地建物取引業者の登録日など調べ、これまでどの程度の期間営業してきたのかを調べましょう。
(2)口コミや評判を調べてみる
インターネット上で、口コミや評判を調べましょう。
最近は不動産会社でもGoogleの口コミが掲載されているケースが多いので、まずはGoogleで当該不動産会社を検索し、悪い口コミや評判が多くないかを確認してください。
(3)担当営業の提案内容は自分の目標達成できるか
営業担当者が提案する物件に投資することで、自分の目標を達成できるかという点も非常に重要です。
不動産投資は掲げた目標ありきで投資を進めることが非常に重要になります。
投資のシミュレーションを行い、担当者の提案内容で自分の目標が達成できるか収支を計算しましょう。
いくら営業担当者が強く勧めても、目標を達成できないような物件へ投資することは避けた方がよいですし、そのような営業マンが在籍する不動産会社は避けてください。
(4)求人などしているか
不動産会社が求人をしているかどうかも重要です。
求人をしていれば仕事が忙しい会社と判断できますし、求人していないのであればあまりビジネスが忙しくないと判断できます。
信頼できる不動産会社かどうかを確認する目安として、求人状況も確認した方がよいでしょう。
不安がある方は専門家に相談
サラリーマンは不動産投資でカモにされやすい属性であることは間違いありません。
安全に投資をするポイントをしっかりと押さえておけば、カモにされることを避けることはできますが、それでも100%大丈夫というわけではないので不安に感じる人も多いのではないでしょうか?
不安な方は、まずは我々FPなどの専門家に相談することがベストです。
FPであれば中立的な立場からアドバイスできますので、「不動産投資でカモにされるのではないか?」と不安な方は、まずはFPへ相談してください。
まとめ
不動産投資にはリスクがつきものです。
そのため、できる限りリスクが少なく、収益性の高い物件へ投資することが非常に重要です。
カモにされないためのポイントをしっかりと押さえて、慎重に不動産会社と物件を選択できるようになり、不動産投資を成功させましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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