車に関わる6つの税金!税金を抑える5つのコツも解説
車は高い買い物のひとつです。
実は車は不動産と同じ、購入したあとに維持するのにどうしても税金がかかってしまいます。
消費税に代表される身近な税金から、なじみの薄い税金まで数多くの自動車関連の税金があります。
今回は車を維持する時にかかる税金、税金を安く抑えるコツを徹底解説します。これから車の購入を検討されている方、少しでも税金を安く抑えたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
車に関わる6つの税金
車に関わる税金は所有していると課税されるもの、取得時に課税されるもの、ガソリンや軽油に課税されるものに分かれます。
ここでは車に関する6つの税金がいくらくらいかかるのか、説明していきます。
(1)都道府県が課税する「自動車税」「軽自動車税」
自動車税や軽自動車税は都道府県が課税する税金で、4月から5月にかけて納税通知書が送付され、毎年5月末日が納付期限です。
排気量と新車登録年月によって税額が定められています。
2019年10月の税制改正により、名称が「自動車税種別割」「軽自動車税種別割」にそれぞれ変更されました。
自家用車と営業用車両で異なるものの、自家用車の排気量ごとの納付額は以下のとおりです。
- ✅【自動車税種別割・軽自動車税種別割の税額一覧表】
用途区分 | 総排気量別 | 新車登録時期別の納税額 | |
2019年9月30日以前 | 2019年10月1日以降 | ||
自家用乗用車 | 1リットル以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1リットル超~1.5リットル以下 | 34,500円 | 30,500円 | |
1.5リットル超~2.0リットル以下 | 39,500円 | 36,000円 | |
2.0リットル超~2.5リットル以下 | 45,000円 | 43,500円 | |
2.5リットル超~3.0リットル以下 | 51,000円 | 50,000円 | |
3.0リットル超~3.5リットル以下 | 58,000円 | 57,000円 | |
3.5リットル超~4.0リットル以下 | 66,500円 | 65,500円 | |
4.0リットル超~4.5リットル以下 | 76,500円 | 75,500円 | |
4.5リットル超~6.0リットル以下 | 88,000円 | 87,000円 | |
6.0リットル超 | 111,000円 | 110,000円 | |
自家用乗用軽自動車 | 一律 | 2015年3月31日までに最初の新規検査をした車両 | 2015年4月1日以後に最初の新規検査をした車両 |
7,200円 | 10,800円 |
(2)車の重さに応じて課税する「自動車重量税」
自動車重量税はその名のとおり、車両重量に応じて課税される税金です。
自動車重量税は車の新規取得時や車検時に課税されます。
そのためあまり支払った実感がないかもしれません。
車検の際の明細書をみるとしっかり支払っていることがわかります。
(3)購入時に課税する「消費税」
もっとも身近な税金といえば消費税。車にも消費税がかかります。
車の新規取得時には車体価格に対して消費税が課税されます。
2019年には消費税が10%となったことにともない自動車取得税が廃止されました。
(4)取得する時に課税する「自動車税環境性能割」
自動車取得税に代わり導入されたのが自動車税環境性能割です。
この自動車税環境性能割は都道府県税で車の取得時に課税されます。
同様に軽自動車には市町村税である軽自動車税環境性能割があります。
「環境」が名称に使用されているように、排ガス規制のクリア、Co2の低減などの環境負荷の小さい車に適合する車種は非課税や税率が低いなどの特典が与えられました。
車種によって税額が変わり、非課税の対象車両は以下のとおりです。
- ✅電気自動車
- ✅燃料電池自動車
- ✅天然ガス自動車(LPG車)
- ✅プラグインハイブリット車
- ✅クリーンディーゼル車(2023年12月まで経過措置あり)
(5)ガソリンに課税する「ガソリン税」
ガソリン税はガソリンに課税される「揮発油税及び地方揮発油税」の俗称です。
税額は一定でガソリン1リットルに対して53.8円の税金がかかります。
日本のガソリンが諸外国よりも高い原因としてたびたび糾弾される税金です。
ガソリン税にも消費税がかかる、いわゆる「二重課税」も問題となっています。
(6)軽油に課税する「軽油引取税」
軽油引取税とは、軽油を購入する際に支払う税金です。
納税先は都道府県となっています。1リットルあたり32.1円です。
納税義務者は元売り業者ですが、当然ながら軽油価格に転嫁されています。
「自動車税」「軽自動車税」の注意点
車を所有していると毎年課税される自動車税や軽自動車税。
これらの税金もその仕組みを知っていないと思わぬ落とし穴にはまることもあります。
自動車税や軽自動車税の注意点をみていきましょう。
(1)新規登録して「13年を超えると増税」になる
自動車税や軽自動車税は初回登録から13年が経過すると15%ほど増税となります。
これは年数を経た古い車は環境負荷が高いものが多く、環境性能の優れた車への乗り換えを促しているのです。
この13年経過は新車登録から数えるため、中古車を購入する場合には注意が必要となります。
(2)税金の支払いが滞納すると「延滞金」がかかる
税金を滞納すると延滞金が加算されます。それは自動車税や軽自動車税でも同様です。
納付期限の翌日から翌月までに納税した場合は年7.3%、それ以降は年14.6%の延滞金となっています。
さらに自動車税などの場合は納税証明等がないと車検も受けられなくなります。
(3)還付金が受け取れるのは「廃車の時」のみ
自動車税の還付金が受け取れるのは廃車時のみです。売却した場合では還付金は受け取れません。
ただし、実務では自動車税を月割りで精算することもあります。
また、軽自動車税は年額で支払うため、廃車時でも還付金はありません。
車に関わる税金の支払い方法
税金は多様な支払方法で支払うことができるようになりました。
現金や銀行振替えに加え、クレジットカード払い、電子マネーでの支払いも可能です。
自動車税種別割などは1年に一度の支払いのため、忘れてしまうこともあります。
うっかり忘れてしまわないように自動車税の納付方法の特徴について解説します。
(1)クレジットカード
地方税お支払いサイトに必要事項を登録、申し込みすれば、クレジットカードによる支払いが可能です。
この方法なら手元に現金がなくても支払いできます。あらかじめ登録しておけば税金の払い忘れがなくなります。
(2)銀行振替え
金融機関が手続きをすることで所定の日に納税するようにできます。
以前からある方法で確実に納税できるため、個人法人問わず利用されてきました。
口座振替を利用できる金融機関は都道府県により異なりますが、メガバンクのほか地元の金融機関の多くが利用可能です。
(3)現金
自分で金融機関や役所の窓口に赴き、現金で支払うこともできます。窓口は指定金融機関、収納代理金融機関、都道府県税事務所などです。
(4)スマホの決済機能
納付書のQRコードを読み取り、専用の決済アプリを利用すればスマートフォンからでも納税できるようになりました。
これまでの手段よりも手軽にいつでも手続きできることが魅力です。
(5)Nanacoなどの電子マネー
コンビニエンスストアでの納税は以前からできました。
最近では電子マネーも普及してきたことから、店頭で電子マネーを利用して納税することも可能です。
買い物のついでに現金がなくても納税できる電子マネーは便利な納税手段となっています。
(6)ペイジーなど銀行系アプリ
Pay-easy(ペイジー)に対応しているインターネットバンキング等を利用しても納税可能です。
銀行系アプリのメリットはやはりその手軽さ。窓口やコンビニへ行く必要がありません。
また、手元に現金がなくても口座を操作して納税することができます。
(7)二重納付に注意
納税方法が以前よりも格段に増えたことによって、こうした状況で起こるのが二重納付です。
銀行振替えをしたのに現金で支払ってしまうこともあります。
こうした二重納付は還付されるものの、手続きが必要です。
手間をかけないためにも納付額や納付時期を把握しておきましょう。
実際に車を所有する時の税金シミュレーション
実際に車を所有するとなると気になるのが維持費です。
維持にかかる費用の中でも税金はまとまったお金が必要になります。
ここでは実際に車を所有するときにどれほどの税金がかかるのかシミュレーションしてみます。
(1)軽自動車
種別 | 軽自動車 (ガソリン車・燃費性能基準80%達成) |
排気量 | 660cc |
重量 | 0.8トン |
価格 | 取得価格200万円 自動車の取得のために通常要する価額180万円 |
上にあるような軽自動車だと税金は下記のようになります。
自動車重量税(取得時) | 1,800円(3年分) |
軽自動車税環境性能割 | 0円 |
軽自動車税種別割 | 10,800円 |
(2)自動車(ハイブリッド)
種別 | 普通自動車(ハイブリッド車・減税50%適用) 2020年度燃費基準+20%達成車 |
排気量 | 2,000cc |
重量 | 1,400kg |
価格 | 本体価格300万円・購入金額330万円 自動車の取得のために通常要する価額300万円 |
上記のようなハイブリッド自動車だと税金は次のようになります。
自動車重量税(取得時) | 11,200円 |
自動車税環境性能割 | 0円 |
自動車税種別割 | 36,000円 |
(3)自動車(ハイオクガソリン)
種別 | 普通自動車(ガソリン車・減税50%適用) 2015年度燃費基準+10%達成車 |
排気量 | 2,000cc |
重量 | 1,400kg |
価格 | 本体価格300万円・購入金額330万円 自動車の取得のために通常要する価額300万円 |
上記のようなハイオクのガソリン車だと税金は次のようになります。
自動車重量税(取得時) | 36,900円 |
自動車税環境性能割 | 90,000円 |
自動車税種別割 | 36,000円 |
(4)新規登録して13年を超えている
種別 | 普通自動車(ガソリン車・減税適用なし) 燃費基準達成なし |
排気量 | 2,000cc |
重量 | 1,400kg |
価格 | 本体価格100万円・購入金額130万円 自動車の取得のために通常要する価額100万円 |
上記のような中古のガソリン車だと税金は次のようになります。
自動車重量税(取得時) | 36,900円 |
自動車税環境性能割 | 30,000円 |
自動車税種別割 | 45,400円(自動車税種別割重課適用) |
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車の税金を安くおさえる5つのコツ
車は持っているだけでお金がかかるものです。
できれば税金も安くおさえたいところでしょう。
劇的に税金を安くする手段は少ないものの、いくつかの条件次第で税金を少なくすることは可能です。
こうした車の税金を安くおさえるポイントをお伝えします。
(1)グリーン化特例、エコカー減税など減税対象車を選ぶ
世界的に車はエコカーにシフトしています。
日本でも環境負荷の少ない車を優遇する政策を行なっています。こうした車はグリーン化特例やエコカー減税などの対象です。
電気自動車やハイブリッド車だけでなく、燃費のよいガソリン車も対象となります。
対象外の車を買うよりも減税の効果を得られます。
(2)元々税金が少ない車にする
自動車税種別割は排気量によって税額が決まっています。
この仕組みを知っていれば税金を安くすることは可能です。
ハイブリッド車の場合、モーター部分は排気量に含まれないため、同一排気量のガソリン車よりもパワーのある車を購入できます。
(3)軽自動車は4月2日以後に購入
次は自動車購入のタイミングについてです。
軽自動車税種別割は年払いでその年度分の税金が4月1日時点の所有者に課税されます。
ということは、登録日を4月2日以降にすればその年度の期間内、つまり翌年3月31日までは税金がかかりません。
もし軽自動車を購入するなら4月2日以降のなるべく早い時期がおすすめです。
(4)普通自動車は月初めに購入
軽自動車税種別割と違って自動車税種別割は月割りで課税されます。
普通車の場合、軽自動車よりは効果は下がってしまうものの、月初の早い時期に購入するのがよいでしょう。
(5)障害者は減免になる可能性がある
心身に障害を持つ人はその障害の程度に応じて自動車税などが免税または軽減される可能性があります。
こうした軽減措置や減免制度は誰にでも適用できるものではありませんが、特例措置が該当する可能性のある人は市区町村などの自治体に確認してみましょう。
車の購入は車ローンがオススメ?
車の購入に際してローンを利用する人もいます。
一方で毎期の支払いが厳しいといったデメリットからマイカーローンを利用しない人もいます。
どちらの考えも正しいのですが、ローン金利が低い現在ならローンを利用しても金利は大きな負担になりません。
万が一な時に備えて手元に現金を置いておきたいは、ローンを検討してもよいでしょう。
まとめ
税金はなるべく節約したい。これは多くの人の素直な願いでしょう。
ただ、これまでみてようにカーライフと税制は切っても切れない関係にあります。
新車購入時や保有時とさまざまなシーンで税金が出てきます。
車を持つ以上、税金とはうまくつきあっていく必要があるのです。ぜひこちらの記事を参考に購入前のシミュレーションをきちんとしておきましょう。
なお、購入タイミングで悩まれている方は、ぜひ我々FPに一度相談してみてください。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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