ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトとは?メリットや注意点を解説
2023年8月から取り扱いがスタートした「ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクト」。
フラット35で認知度の高いARUHIが、SBI新生銀行と共同開発した変動金利タイプの住宅ローンです。
返済比率55%など受け口が広く、家探ししているけどそれまで住宅ローン審査に通らなかったといった人でも通る可能性が高いなどの魅力があります。
とはいえ、新しくスタートした住宅ローンであるため詳しく分からないという方も多いでしょう。
本記事では、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの概要や特徴・注意点など分かりやすく解説します。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトを検討している人は、ぜひ最後までお読みください。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトとは
まずは、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの基本を確認していきましょう。
(1)ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトとは
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクト(正式名称:ARUHI 住宅ローン(MG保証))は、住宅ローン専門金融機関であるアルヒ株式会社が提供する住宅ローン商品です。
社名 | アルヒ株式会社 |
役員 | 代表取締役会長:吉村猛 代表取締役社長/CEO/COO 勝田敏彦 |
業務内容 | 住宅ローンの貸し出し・取次業務、保険代理店業務、銀行代理業務 |
東京本社所在地 | 東京都港区六本木一丁目6番1号 泉ガーデンタワー8階 |
ARUHIは、長期固定金利で代表的なフラット35をメインに取り扱い、そのシェアは13年連続ナンバー1を誇っています。
なお、ARUHIは本社は東京都港区ですが、全国主要都市に直営店舗があり、またFC店舗などが各地に拠点があるため、利用しやすいという点もポイントです。
直近のプレスリリースとしては、ARUHIと完全子会社化したアルヒ住み替えコンシェルジュとのきらぼし銀行の業務提携、福島銀行との業務提携などがあり、さまざまな方面で業務を拡大しています。
そのARUHIから2023年8月に新しく提供開始した住宅ローンが、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトです。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトは、ARUHI株式会社と業務提携契約を締結し、協業関係にあるSBI新生銀行と共同開発ならびにMG保証会社が保証・連携する住宅ローンです。
なお、SBI新生銀行・MG保証会社の概要は以下の通りです。
社名 | 株式会社SBI新生銀行 |
役員 | 代表取締役:川島 克哉 |
本社 | 東京都中央区 |
SBIグループ企業(一例) | SBIエステートファイナンス株式会社 住信SBIネット銀行株式会社 |
社名 | MG保証株式会社 |
役員 | 代表取締役:冨田 洋之 |
本社 | 東京都中央区 |
SBI新生銀行と顧客ニーズを協議・分析し開発された商品であり、新たな顧客ニーズにこたえた商品となっているのです。
(2)申込み要件
主な申込要件は下記の通りです。
- ✅申込時の年齢が満20歳以上満65歳未満
- ✅日本国籍の方
- ✅永住許可を受けている、または特別永住者
- ✅給与所得者(アルバイト・パートを除く)・個人事業主・会社員
- ✅保証会社の保証を受けられる方
- ✅団体信用生命保険に加入可能な方
- ✅借入対象の住宅の所有者または共有者
尚、給与所得は勤続年数1年以上、個人事業主・会社役員は営業年数1年以上が原則となります。
(3)適用金利
金利タイプは、下記の3つです。
- 変動金利(半年型)
- 当初固定金利型(5年・10年・20年)
- 全期間固定金利型(25年・30年・35年)
2023年10月時点の適用金利は次のようになります。
タイプ | 金利 |
変動金利(半年型) | 0.794%~3.674% |
当初5年固定 | 0.994%~1.194% |
当初10年固定 | 1.244%~1.444% |
当初20年固定 | 1.644%~1.844% |
全期間25年固定 | 1.644%~1.844% |
全期間30年固定 | 1.744%~1.944% |
全期間35年固定 | 1.894%~2.094% |
(4)借入れ金額
借入額は、500万円以上2億円以内の1万円単位となります。
なお、借入額は建築費または購入額・増改築とその諸費用の合計額以内です。
(5)借入れ期間
最低借入期間は5年以上となり、上限は下記のうちいずれか短い年数です。
- ✅最終返済時年齢80歳未満
- ✅35年
仮に、50歳で借入れる場合は5年以上30年までが借入期間となります。
ただし、連帯債務者を設定する場合は、契約者と連帯債務者のうち年齢の高い人が基準となる点には注意しましょう。
(6)資金の利用用途
本人が所有し、本人または親族が住むための家のために利用できます。
主な使用用途は次の通りです。
新築住宅の場合 | 建設、購入資金 新築住宅の建設地の購入資金 |
中古住宅の場合 | 購入資金 購入時に併せて実施する増改築・リフォーム資金 |
購入時の諸費用 | ・融資事務手数料 ・つなぎ融資事務手数料と期間利息 ・火災保険料 ・修繕積立金と管理準備金(一括支払い分のみ) ・適合検査費用 ・固定資産税、都市計画税の初年度清算金 ・不動産仲介手数料 ・登記費用 ・印紙代 ・オプション工事費 ・解体工事関連費 ・造成工事費、外構工事費、基礎補強工事関連 ・インテリア、エクステリア資金 ・屋外給排水工事、住宅用発電設備、省エネ設備費 |
(7)借入れ対象となる住宅タイプ
住宅について、敷地面積や床面積の条件はありません。
ただし、以下の住宅は借入対象外となるので注意しましょう。
- ✅セカンドハウスとして利用する住宅
- ✅店舗・事務所併用住宅で店舗や事務所部分を他人に使用させる物件
- ✅店舗・事務所併用住宅で非居住用部分が50%を超えるもの
- ✅登記のある買戻し特約付き敷地
- ✅抵当権を設定できない物件
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの特徴
ここでは、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの特徴をみていきましょう。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトはMG保証の柔軟な審査が受けられるという魅力から、次の3つの特徴があります。
- 返済比率55%
- 借入れ金額は年収の10倍近く
- リフォーム、リノベーションでも利用できる
(1)返済比率55%
返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合のことをいいます。
仮に、年収300万円で年間返済額が90万円なら返済比率30%です。
一般的に、住宅ローンの返済比率は30~35%に設定している金融機関が殆どです。
フラット35やARUHIのスーパーフラットの場合は、年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%以下という基準が設けられています。
年収比率により年収によっては高額な借入ができません。
その点、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトは年収比率が55%と言われています。
例えば、年収500万円であれば年間返済額が275万円までの借入が可能です。
より高額な借入ができるので希望の家を実現しやすくなるでしょう。
ただし、年収に対して高額な借入は生活を圧迫する恐れもあるので借入額は慎重に判断することが大切です。
(2)借入れ金額は年収の10倍近く
ARUHIの公式ページでは、借入可能額の例を次のように提示しています。
Aさま | Bさま | Cさま | |
お客様のご年収 | 300万円 | 500万円 | 700万円 |
借入可能額 | 3,100万円 | 5,170万円 | 7,240万円 |
つまり、年収の10倍近くの借入が可能となっているのです。
一般的の住宅ローンは、年収の5~7倍が目安位と言われています。
より高額な借入ができるARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトであれば、住宅の選択肢が広がるでしょう。
なお、年収の10倍はあくまで目安です。
借入時にはARUHIと保証会社との審査に通る必要があり、審査結果によっては10倍以下になる可能性もあるので注意しましょう。
(3)リフォーム、リノベーションも利用できる
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトは中古住宅購入時のリフォーム・リノベーションでも利用できます。
使用用途を購入だけに限定している住宅ローンでは、リフォームなどに費用は別に用意する必要がありますが、その心配はいりません。
また、諸費用も多くの項目を組み込むことが可能です。
使用用途や組み込める項目が幅広いため、住宅購入時の自己資金での負担を減らすことができるでしょう。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトにオススメな人
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトは受け口が比較的広いという特徴があります。
そのため、特に下記のような人におススメです。
- ✅個人事業主
- ✅派遣・契約社員
- ✅住宅ローンが下りなかった人
(1)個人事業主
一般的な住宅ローンでは、個人事業主への融資を制限している商品も多くあります。
個人事業主が借入できる場合でも、3年以上黒字経営など条件が設けられているケースも珍しくありません。
その点、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトは借入可能な人に「個人事業主」も含まれるため、個人事業主でも申込しやすいという特徴があります。
ただし、個人事業主は1年以上の営業年数が必要です。
また、ボーナス併用払いは選択できないので注意しましょう。
個人事業主が住宅ローンを受ける時の条件などについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
(2)派遣、契約社員
パート・アルバイト以外の給与所得者であれは申し込めるため、派遣や契約社員でも申し込みできます。
(3)住宅ローンが下りなかった人
MG保証の柔軟な審査により、他の住宅ローン審査で通らなかった人でもARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトであれば審査に通る可能性があります。
他の返済があって返済比率が高くなりやすい、高額な借入をしたいという人は一度チャレンジしてみる価値があるでしょう。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトを利用する時の注意点
魅力の多いARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトですが、注意しなければならない点もいくつかあります。
注意点としては、下記のようなことが挙げられます。
- ✅必ず審査に通るわけではない
- ✅金利が比較的に高い
- ✅借入できても返済できなくなるリスクも高い
(1)必ず審査に通るわけではない
審査が柔軟と言っても、審査される以上無条件で誰でも借入できるわけではありません。
審査の結果によっては、借り入れできない場合や借入できても希望額借入できない(減額)という可能性もゼロではありません。
特に、直近の過去で自己破産や延滞などの履歴があり、個人信用情報に異動情報がある人や年収が低い・不安定という人は不利になる恐れがあるので注意しましょう。
(2)金利が比較的に高い
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの変動金利も比較的に高いです。
一般的には今の住宅ローンの変動金利は大体0.4%前後と言われていますが、ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトの変動金利は0.8%〜4%前後になると言われています。
実際にスタートしたばかりの商品で、中には2.4%で審査がおりた方もいるようですが、審査がゆるい分金利が高くなっていることに、注意が必要と言えます。
(3)借入できても返済できなくなるリスクも高い
また、無事に希望額借入できてもそこから返済が始まる点にも注意が必要です。
高額な借入をした場合、毎月も高額になります。
例えば、返済比率50%で借入すると、年収500万円では年間の返済額が250万円となります。
ちなみに、年収は手取りではないため手取り額では約390万円程です。
毎月の手取りが約33万円のうち、毎月の返済額が約21万円というのは現実的とは言えません。
もし、この状態で収入が減少したり他の支出が増えたりすると、生活の破綻にもなりかねないでしょう。
高額な借入は高額な返済となる為、返済できなくなるリスクも高くなるものです。
借入額を決める際には、収支や将来のライフイベントなど長期的な返済計画を立てたうえで無理のない額を借入れるようにしましょう。
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトについて下記動画にてわかりやすく解説していますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
より詳しく知りたい方はFPに相談
どの住宅ローンを選択するかは、今の収支だけでなく長期的な収支やライフイベントまで踏まえて検討する必要があります。
20年や30年と返済が続く住宅ローンは、しっかりと返済計画を立てなければ将来返済が難しくなるリスクもあります。
とはいえ、長期的な返済計画は個人では立てるのが難しいものです。
結婚や出産・子供の成長・自身の老後などさまざまライフイベントに伴う支出を踏まえて20年や30年先の収支をより詳細に立てるなら、FPへの相談をおすすめします。
ライフプランのプロであるFPなら、より自分の目的に合った無理のない住宅ローンの組み方についても相談できます。
住宅ローンはまだ先と思っている人も、一度ライフプランを提案してもらうことで最適なタイミングで住宅ローンを検討できるので、相談してみるとよいでしょう。
まとめ
ARUHI住宅ローンMG保証ユアセレクトはMG保証の柔軟な審査を期待できるので、それまで住宅ローンが難しかった人でも審査に通る可能性があります。
審査自体は無償・無料なので気になる方はまずは審査してみるのもよいでしょう。
ただし、無理な返済計画で住宅ローンを組むと将来返済できなくなるリスクが高くなるものです。
住宅ローンを組む際には、長期的な返済契約やライフプランをしっかりと立てたうえであなたにぴったりの住宅ローンを選ぶことが何より重要です。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
最新の投稿
- 税金2024年2月27日不動産を相続したら相続税はいくら?手続き、計算方法や活用方法を解説
- 不動産投資2024年2月24日不動産所得がある場合は確定申告が必要!計算方法や申請手順を解説
- 税金2024年2月23日不動産の生前贈与はした方がいい?メリット、手続きや注意点を解説
- 不動産投資2024年2月21日不動産投資クラウドファンディングとは?おすすめ商品も合わせて紹介