不動産投資を100万円から始められる3つの方法|実際の事例もご紹介!
不動産投資は資産運用としてメジャーな投資方法ですが、株式投資などに比べると気軽にスタートできません。
その大きな原因のひとつは投資資金と言えます。
不動産投資は数万円から投資できる株式と違って数百万円から数千万円、場合によっては1億円を超えるようなお金が必要になるのです。
多額の投資額を用意できず、また不動産投資のノウハウもないためあきらめてしまう人もいるでしょう。
ですが、実は不動産投資は少額投資もできるのです。
今回は不動産投資を100万円から始められる方法について解説します。実際の事例もご紹介するので投資初心者でもわかりやすくなっています。この記事で学んだ知識を不動産投資に活かしてみましょう。
100万円でも不動産投資できる?
新築マンションや新築住宅の販売広告を眺めていると数千万円以上の値段がついています。やはり不動産は値段が高いのです。
これでは100万円で不動産投資をするのは無理なのでは、と疑問に思ってしまいます。確かに100万円だけでは限られた不動産しか購入することはできません。
ですが、やり方を考えさえすれば、100万円でも不動産投資は十分可能なのです。
ここではその方法を二つご紹介します。
(1)100万円の自己資金で融資を活用する
一つは投資用不動産を購入するのに融資を活用する方法です。100万円の現金は頭金の扱いとなります。
この方式は新築マンションや新築住宅を購入する際と同じです。
住宅を購入するには自己資金として頭金を、購入金額の残りの部分は住宅ローンで補います。不動産投資をする際にもこれと同じように不動産投資ローンを利用する方法で行います。
融資を活用することで自己資金以上の物件を手に入れることができるのです。中には頭金なしのフルローンで投資用物件を購入する人もいます。
融資を利用する効果として、不動産投資のケースでは融資を併用することで自己資金の利回りを上昇させる、レバレッジ効果をかけることが可能です。
(2)不動産クラウドファンディングなどの小口化商品に投資する
もう一つの方法は比較的新しい投資手法で、不動産の小口化商品に投資することです。一般に不動産は高額な投資対象になります。
このため、手持ち資金が潤沢ではないと簡単には投資できません。またきちんと稼働させるためには管理も必要になります。
こうした不動産ならではの資金面と管理面の問題を解決するために、ファンドを活用して不動産の小口化商品の仕組みが作られました。
高額な不動産そのものを購入するわけではないので、一口1万円、100万円から購入できるようになります。
近年では分散投資の選択肢の一つとして、ポートフォリオにこうした不動産小口化商品を加える投資家も増えてきました。
今回は不動産クラウドファンディングとREITをピックアップし、その具体的な内容を紹介します。
①不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングはクラウドファンディングでお金を調達し、共同して不動産を購入する投資方法です。
不動産の管理や運用は管理会社に委託するため、不動産投資家は不動産を管理することは不要です。
1万円から投資可能で、利回りも比較的安定しています。
ただし、購入後自由に売却することができないため、急遽お金が必要になったとしても換金することができないのはデメリットと言えます。
また、商品が少なく非常に人気であるため、なかなか購入できないのも難点と言えます。
なお、不動産クラウドファンディングは実物不動産投資となるため、商品によって節税などの効果を得る事が可能です。
②REIT
REIT(リート)とは、不動産投資信託を意味しています。REITは不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の頭文字R.E.I.Tからきています。
不動産投資信託とは、不動産を証券化して証券市場で売買できるようにしたもの。日本のREITは特にJ-REITともいいます。
2023年4月時点ではすでに60件のREITが上場し現在も市場は拡大中です。
REITは金融商品の取り扱いになり、不動産に直接投資というよりは、その不動産を運用している会社に投資するイメージになります。
株式投資など金融商品投資を同じになるため、不動産投資の節税効果などのメリットを得ることができないのが大きな違いであること理解しておきましょう。
100万円で融資も活用するなら区分マンションがオススメ
手元資金100万円を元手として融資も活用するのであれば、おすすめするのが区分マンションへの投資です。
これはマンションの1室を購入し、そのマンションを賃貸するスタイルとなります。
マンション1室分の金額であることから一棟の建物を購入するよりも投資金額を低く抑えることが可能です。
マンションは、その管理業務の多くが管理会社に委託されています。
物件の管理や修繕費の管理については管理会社がやってくれるので物件管理の手間暇がかかりません。
また、部屋の賃貸管理も管理会社に依頼することができます。賃貸ニーズが高い物件をきちんと選びさえすれば、安定した賃料を確保することもできます。
区分マンションは投資金額が比較的に安いとはいえ、失敗されているケースも多くあります。区分マンション投資の失敗例を事前に知っておきたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
100万円で融資利用するには?
不動産投資をするには融資を利用するのが一般的です。
一般的とはいえ、融資とは借金をすることです。100万円の自己資金から融資を活用すれば、それの数十倍にも大きい資産を得ることができるのは大きなメリットですが、借りたお金を毎月返済する必要がありますので、きちんと返済ができるのか、リスクについても把握しておく必要があります。
ここでは、融資利用する時のポイントをわかりやすく説明していきます。
(1)融資を利用するメリット
融資を利用することによるメリットは次の3点が考えられます。
①自己資金が少なくても不動産を購入可能
メリットの一つ目は、自己資金が少なくても不動産を購入可能なことです。高額な物件を自己資金だけで購入することは現実的ではありません。
個人投資家だけでなく、株式会社のような法人であっても融資を利用して投資物件を購入しているのです。
もちろん、融資基準に満たす必要があります。例えば、サラリーマンの場合は年収700万円、勤続年数5年、上場企業に勤務、その他借入金ないなど属性をクリアしなければなりません。
②家賃収入でローンの返済が可能
メリットの二つ目は、家賃収入でローンの返済が可能なことです。不動産は賃貸に出すことによって、毎月家賃を得ることができるのです。
この家賃を融資の返済に充てれば、自己資金を出すことなく不動産運用ができるのです。
たとえ年収を大きく超えるような物件であっても、融資審査で家賃による返済能力が認められると、融資を受けることができます。
③スピーディーな不動産投資が可能
メリットの三つ目は、スピーディーな不動産投資が可能なことです。
自己資金だけで投資していると、自己資金が充分に貯まるまでは次の物件を購入することができません。
これでは優良な物件を逃してしまいます。
審査に時間を要するものの、比較的短期間で物件の購入代金を準備することができ、タイミングを逃さず投資を行うことが可能です。
(2)融資を利用するデメリット
もちろん、融資を利用することはメリットばかりではありません。リスクやデメリットも存在します。融資を利用することのデメリットは以下の2点です。
①返済時に利息が発生する
デメリットの一つ目は、返済時に利息が発生することです。そして不動産投資ローンの金利は住宅ローンの金利よりも高く設定されています。
住宅ローンは自宅のためのローンである以上、政策的に金利は低い設定しており、住宅ローンの貸し倒れ率は高くありません。
こうした特性のある住宅ローンと比較すると、どうしても金利が高くなるのです。
また、返済期間中に金利が上昇してしまうリスクもあります。アメリカなどの国ではすでに金利上げしていますが、日本はしばらくないと言ってますが、20年、30年にも渡り返済期間がありますので、この間に上昇する可能性が非常に高いと言えます。万が一上昇した時に備えて、借入れ金額の試算は非常に重要と言えます。
②融資審査の審査基準や条件が厳しい
デメリットの二つ目は、融資審査の審査基準や条件が厳しいことです。
投資である以上成功ばかりではなく、物件の運営が立ち行かずに投資自体が失敗することもあります。
銀行などの金融機関としても失敗の可能性がある物件に融資することはできません。
このため、収益性やキャッシュフローの判断、年収などの属性、担保価値の評価など審査項目は多岐にわたります。
その結果、どうしても不動産投資ローンのローン審査が厳しくなるのです。
100万円で購入できる不動産はやめるべき
ここでひとつ注意点です。ネットで検索すると格安で購入できる収益物件がヒットすることがあります。
中には100万円で購入できる物件もあります。ですが、こうした格安物件は手を出すべきではないでしょう。
格安の不動産物件は中古物件の中でも築年数が古く、都心部から離れ利便性や周辺環境に問題のある立地条件がほとんどです。
現在借主がいたとしても、その借主の退去後に新たな借主が見つかるかわかりません。
よほど不動産に精通していない限り、手を出さないことをおすすめします。
実際に100万円で不動産投資を始めた事例
最後に融資を利用して現物不動産を購入する場合、不動産クラウドファンディングを購入する場合、REITを購入する場合の事例をそれぞれご紹介します。
実際に投資を行う前にこうした事例を参考にしてみましょう。
(1)100万円を活用して融資を利用した事例
100万円を頭金として、融資を活用した場合は次のようになります。
物件価格 | 2,500万円 |
自己資金 | 100万円 |
融資借入額 | 2,400万円 |
年間収益 | 120万円 |
年間費用 | 40万円 |
ローン返済額 | 120万円 |
税引前収益 | -40万円 |
融資を活用することで頭金である100万円に対して、25倍もの価格の物件を購入することができます。
この事例だと100万円の自己資金に対して-40万円になりますが、確定申告して給与などの所得と損益通算することによって、払いすぎた税金の還付を受けることができます。
(2)不動産クラウドファンディングを購入した事例
100万円で不動産クラウドファンディングを購入した場合は次のようになります。
出資金額 | 100万円 |
運用期間 | 1年間 |
運用利回り | 3.5% |
税引前収益 | 3.5万円 |
不動産クラウドファンディングは運用期間が物件ごとに決まっており、半年から2年程度が多くなっています。
運用利回りも変動はほとんどありませんので、収益の予想が立てやすくなっています。
不動産の管理は管理会社が行なうことから、投資家が不動産の運営や入居者とのやり取りなどの手間がかかりません。
運用期間が終了すると、出資金額は戻ってきます。
(3)REITを購入した事例
100万円でREITを購入した場合は次のようになります。
購入時投資口価格 | 100万円 |
売却時投資口価格 | 110万円 |
分配金利回り | 4.0% |
税引前収益※ | 14.0万円 |
REITは株式と同様に証券会社が取り扱っています。株式投資の経験があれば同じような要領で購入することができるでしょう。
不動産クラウドファンディングと違い、上場されているため、株式と同様に日々投資口価格が変動します。
このため、投資口価格の価格変動によっては株式でいう配当金である分配金を受け取っても元本割れリスクや赤字になるリスクもあります。
この点は株式投資も同様です。物件の管理はプロの管理会社が行ないますので、不動産クラウドファンディングと同様に実際に賃貸経営の手間がかかりません。
まとめ
「100万円では不動産投資はできないのではないか」と不安に思うこともあります。
ただ、これまでみてきたように融資を活用する、不動産クラウドファンディングやREITのような不動産小口化商品に投資する、といったことで100万円からでも不動産に投資できることがわかりました。
100万円ならば、サラリーマンや個人事業主など投資が本業でない人でも用意できる金額です。
この記事を参考に不動産投資の注意点や融資のメリットデメリットをよく確認したうえで、自分にとって適切な投資法を検討しましょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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