50代から始める“資産再設計” — 定年後20年を安心できる家計プランとは?

50代になると「このままで老後は大丈夫だろうか?」という不安を感じる方が増えます。教育費のピークが過ぎ、住宅ローンの残りも見えてくる一方で、老後資金や年金生活のリアルが現実味を帯びてくる時期です。
では、今から何を見直せば「定年後20年」を安心して過ごせるのでしょうか? ここでは、ファイナンシャルプランナーが推奨する資産再設計の具体ステップと金額イメージを解説します。
1. 老後に必要な金額はいくら? “20年で4,000万円”がひとつの目安
総務省の家計調査によると、夫婦2人の高齢無職世帯の平均支出は月27万円前後(年間約324万円)。仮に公的年金収入が月22万円だとすると、毎月5万円の赤字です。
| 期間 | 年間赤字 | 20年間の累計赤字 |
|---|---|---|
| 1年 | 約60万円 | 約1,200万円 |
| 2年 | 約60万円 | 約2,400万円 |
| 3年 | 約60万円 | 約3,600万円 |
| 4年 | 約60万円 | 約4,000万円前後 |
つまり、公的年金だけでは老後20年間で約4,000万円不足する可能性があります。(持ち家の有無や生活水準によって変動します)
2. 50代が今から見直すべき「3つの支出」
① 住宅ローン
定年までに完済できるかが最大のポイントです。毎月10万円×残10年=1,200万円の返済が残るケースもあります。退職金の一部を繰上返済に充てることで、利息負担を大きく減らせます。
② 教育費
大学進学費用は1人あたり私立なら約500〜700万円。奨学金や貯蓄を組み合わせつつ、親の資産を使い切らない設計を心がけましょう。
③ 保険料
子ども独立後は「死亡保障」を減らし、「医療・介護保障」へシフトするタイミングです。月2万円の保険料を見直すだけで、年間24万円、10年で240万円の余裕が生まれます。
3. 将来のキャッシュフローを“数字で見える化”する
50代からは「感覚」ではなく「数値」で判断することが重要です。マネソル(MoneySol)を使うと、次のようなシミュレーションが可能です。
【シミュレーション例】
- 現在50歳、年収600万円(手取り480万円)
- 貯蓄1,000万円、毎月の貯金5万円
- 退職金1,500万円、年金月22万円
➡ マネソルで試算すると、65歳時点の金融資産は約2,200万円、85歳でゼロ近くに減少。
ここで「老後の生活費を月3万円削減+65歳以降も年金外収入(月5万円)を確保」すると、資産残高が85歳時点で1,000万円以上残る結果になります。
こうした“数字のシミュレーション”が、漠然とした不安を「行動プラン」に変える第一歩です。
4. インフレ・医療・介護リスクに備える
| リスク | 追加支出の目安 | 対策 |
|---|---|---|
| インフレ | 年2%上昇で20年後の物価1.5倍 | 投資信託や外貨など分散運用 |
| 医療費 | 年間+15〜20万円 | 医療保険・貯蓄・高額療養費制度 |
| 介護費 | 月8〜10万円(期間平均5年) | 介護保険+預貯金の取り崩し計画 |
ポイントは、現役時代に“リスク費用枠”を積んでおくこと。マネソルではこれらの変数も入力して“将来の残高推移”をグラフ化できます。
5. 資産再設計の具体ステップ(行動チェックリスト)
| 項目 | 行動例 |
|---|---|
| 1 | 年金見込み額を「ねんきんネット」で確認 |
| 2 | マネソルで現状のキャッシュフローを試算 |
| 3 | 不要な保険を整理(保障額・期間を見直す) |
| 4 | 教育費・住宅ローンの終了時期を整理 |
| 5 | 投資・預貯金・退職金のバランスを確認 |
| 6 | 老後生活費を月いくらにするか夫婦で話し合う |
まとめ
- 50代は“資産の再設計期”であり、行動すればまだ十分に間に合う
- 老後資金の目安は約4,000万円前後。まずは現状を可視化することが第一歩
- マネソルでキャッシュフローを数値化し、「赤字になる年齢」を早めに把握する
- 具体的な改善策(支出削減、保険見直し、副収入)を組み込めば、85歳時点で資産を残せる設計に変えられる
著者

- 株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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