ふるさと納税のメリットは節税ではない?損をしない活用方法を解説!
ふるさと納税もすっかり定着した制度となりました。
ふるさと納税専用サイトやテレビコマーシャルもさかんですが、一方でやってみたいけれど申請も必要で、いろいろ面倒な手続きに二の足を踏んでしまいます。
ですが、少ない負担で地方の好きな特産物や地場産品を手に入れるだけでなく、住民税や所得税が控除されて節税効果も高いことが魅力です。
納税者側にも自治体側にも両者にメリットのある「ふるさと納税」について、徹底解説していきます。まだふるさと納税をやっていない方は、ぜひ最後までお読みください。
ふるさと納税の仕組みとは
ふるさと納税とは、本来は住んでいる市区町村に納める税金を他の市区町村に寄付することで税金が控除される制度のこと。
寄付額から自己負担金2,000円を控除した分が寄付金となり、税金の先払いや前払いをしていることになります。
この寄付金のうち3割相当が返礼品の金額です。
返礼品は地元の商品や食品と多様な選択肢が充実しており、返礼品選びが楽しみでもあります。
本来の納税先は税収が少なくなってしまうものの、税収不足の地方自治体にとっては地域活性化の起爆剤ともなります。
ふるさと納税は確定申告やワンストップ特例制度を利用することで税額控除が可能です。
(1)申し込み期間の制限はない
ふるさと納税は通年で申し込むことができます。
年末の時期から年度末でないとできないと思っている人もいることでしょう。
確定申告が必要な場合があることやテレビコマーシャルが年度末のタイミングに集中して放送されることが影響しています。
(2)複数の自治体に寄付をしても自己負担額は増えない
寄付先の自治体数に制限はなく、複数の自治体に寄付が行なえます。
また、いくつの市町村に寄付をしても自己負担額の2,000円は増えないのです。
自己負担額は増えないので安心して複数の市町村に寄付ができます。
ふるさと納税をするメリット4つ
テレビ番組でも特集が組まれるほどの人気があるふるさと納税。
その人気は多くのメリットがあるからです。それは返礼品がもらえるだけではありません。
ふるさと納税をするメリットを4つにまとめて紹介します。
(1)ふるさとやゆかりのある地域を応援することができる
ふるさと納税は自身がトクするだけではありません。
自治体には寄付金というかたちで歳入となるのです。
自分の生まれ故郷や思い入れのある地域を応援するためにふるさと納税を利用する人も多くいます。
また近年では、地震や水害で被災した自治体に対する災害支援や被災地への貢献としてふるさと納税が増える傾向です。
日本にも徐々に復興支援に対する寄付の文化が浸透しつつある証拠といえます。
(2)実質2,000円の負担で全国の特産品を楽しめる
ふるさと納税の人気はお礼の品、つまり返礼品の人気といってもよいでしょう。
実質2,000円の負担でお米、魚介類などの海産物、加工品、果物といったその自治体の名産品をはじめとする品が手に入ります。
あまりの過熱ぶりに国が自制を求めたほどです。「さとふる」をはじめとするふるさと納税ポータルサイトも数多く起ち上げられ、多くの情報が掲載されています。
利用者にとっては、手軽でお得な節税方法といえます。
(3)寄付金の使い道を指定することができる
寄付金は使い道や目的を指定できます。
「子育て支援」、「高齢者支援」といった具合です。
返礼品が注目されがちですが、寄付金である以上、こうした使途を指定できます。
寄付金のうち、いくらをどの使い道にするのか細かく用意している市町村もあるので確認してみましょう。
(4)クレジットカードで寄付した場合はポイントが貯まる
最近のクレジットカードはポイントが貯まります。
ふるさと納税はクレジットカードやPayPayや楽天ポイントをはじめとした支払い決済サービスなど複数の支払い方法の中から選択することも可能です。
クレジットカード払いにすれば、ふるさと納税とクレジットカード決済のポイント還元で二重のお得となります。
ポイント還元率の高いサービスやキャンペーンを探すのもよいでしょう。
ふるさと納税のメリットについて私のチャンネルでも解説していますので、メリットについてより詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
ふるさと納税をする時の注意点3つ
便利で魅力的なふるさと納税ですが、注意点もあります。
税金に関する制度であるため、お金に関する制限や手続きに関する事項です。
うっかりしていると手続きが上手くいかずに、引かれるはずの寄付金税額控除が控除されない可能性もあります。
ふるさと納税の詳細な注意点やデメリットをチェックしていきましょう。
(1)控除額の上限がある
ふるさと納税の控除額には上限があります。
この控除限度額は年収や独身か共働きか、子どもが中学生か高校生かといった家族構成等世帯ごとのケースによって異なるものです。
ふるさと納税のサイトにはシミュレーション機能があるため、ここで最大控除額の目安額が算出されます。
例えば年収500万円独身だと60,000円、年収1,000万円で夫婦、中学生以下の子どもが1人だと161,000円です。
(2)2,000円の実質負担がある
忘れがちですが、自己負担分もあります。
全額が控除されるわけではありません。その負担部分が2,000円です。
予想よりお金がかかると思ったら自己負担分を忘れていた、ということは考えられます。
うっかり計算し忘れてしまいますのでご注意ください。
(3)確定申告など手間がかかる
ふるさと納税は申告が必要です。
2023年12月31日までにふるさと納税をした場合には、翌年の3月15日までに申告しなければなりません。
そのための申告方法はふたつ。ひとつは例年3月15日が提出期限の確定申告。
自営業者やフリーランス、複数から給料を得ている人はこちらの手続きとなります。
最近はマイナンバーカードを利用してe-taxなどオンラインで簡単に申告できるようになりました。
給与収入のある一般的なサラリーマンは5自治体以下の納付であれば、ワンストップ特例制度が利用可能。
どちらにしても手続きは必要ですので忘れないようにしましょう。
ふるさと納税をした場合の「住民税」を計算してみる
利用条件に制限が少なく、返礼品がクローズアップされがちなふるさと納税ですが、その本質は寄付金控除です。
住民税控除額は基本分と特例分に分けて計算します。
具体的にふるさと納税をするとどのような計算で控除が行なわれるのかみていきましょう。
(1)控除額の基本分
住民税からの控除(基本分)の計算式は(ふるさと納税額-2,000円)×10%となります。
例えば20,000円の納税であれば、(20,000円-2,000円)×10%で1,800円です。
なお、控除対象の寄付額は、総所得金額などの30%が上限となっています。
(2)控除額の特例分
住民税からの控除(特例分)は(寄付金額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)です。
所得税の税率は所得金額等によって変わります。
特例分の住民税控除額が住民税所得割額の20%を超えた場合には、特例分の計算方法は(住民税所得割額)×20%です。
所得税の還付を計算してみる
ふるさと納税を行なうと所得税も還付されます。
所得税の還付額の計算式は(ふるさと納税を行った金額-2,000円)×所得税率です。
所得税率は課税所得によって変わります。
さらに復興特別所得税が2.1%加算されます。
ふるさと納税を適用するには
これだけ普及したふるさと納税の利用者側全員が通常どおり確定申告をすると、税務署の作業量も大幅に増えてしまいます。
そこで手続きの簡略化のため、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」という制度をつくりました。
一定の条件に当てはまる人は特例制度を利用すれば、確定申告は不要になるのがワンストップ特例制度なのです。
ワンストップ特例制度の適用される条件を見ていきましょう。
(1)ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度が適用されるのは以下の場合です。
- ✅1年間のふるさと納税の申し込み先が5自治体以下
- ✅もともと確定申告をする必要のない給与所得者
- ✅ふるさと納税以外に確定申告をするものがない
多くの会社員や公務員、フリーターなどはこの制度によって簡便に申請ができます。
(2)確定申告
個人事業主や給与所得以外にも収入がある給与所得者等の場合は確定申告によってふるさと納税を申告します。ふるさと納税の申告を行ったとしても確定申告の作業量はほとんど増えません。
より効率よく節税したい方はFPに相談
2008年からスタートしたふるさと納税制度も令和に入ってすっかり定着しました。
ふるさと納税のサイトには控除上限額のシミュレーター機能もあり、およそいくらまでふるさと納税できるか計算可能です。
それでも細かい点やふるさと納税に限らない節税などはファイナンシャルプランナーの得意分野。
FPにどんなことが相談できるか、よくある質問について説明します。
(1)FPに何が相談できる
FPは家計や資産運用のプロです。もちろんふるさと納税にも精通しています。
詳しいのはふるさと納税だけではありません。
広く節税や資産運用、ライフプランなどの形成に幅広い知識を持っています。
確定申告の必要書類や申告書類、寄付金控除についてもさまざまな情報を知っています。
実はふるさと納税は住宅ローン控除とも併用可能です。
より詳しく知りたい方は、下記記事を参照にしてみてください。
なお、自分の場合はどうなるかなどより詳しく知りたい方は、ぜひFPへ相談を検討してみましょう。
(2)FPに相談するメリット
FPに相談するメリットは、やはりFPが第三者的な視点でライフプランについてアドバイスしてくれることでしょう。
しかもFPは資産運用の専門家でもあります。
プロが公平な視点からアドバイスをくれるのです。自分だけで考えていると、独りよがりになってしまいます。
お金の問題は誰にでも相談できるものでもありません。
お金に関して相談できる数少ないプロフェッショナルがFPなのです。
実際に弊社にあった相談実績を公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
ふるさと納税が導入されて15年近くが経過しました。
ワンストップ特例制度ができるなど、利用方法も便利になっています。
ただ、税金に関する制度でもあるので思わぬ落とし穴や見落としている点もあるものです。
ふるさと納税を足掛かりにしてFPに相談するきっかけとするのもよいでしょう。
著者
- AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆
アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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