アルファ・ファイナンシャルプラナーズ

40代の平均貯金額はいくら?「中央値」から見る現実と、後悔しないための理想的な資産設計の作り方

公開日:
代表取締役 田中佑輝

この記事の監修者:

アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

「同年代はいくら貯金しているんだろう」「うちって少ないのかな…」。
40代になると、こういう不安がじわじわ出てくるものです。子どもの進学、住宅ローン、そして老後——お金の悩みが一気に重なってくるのがちょうどこの時期です。

ただ、正直に言うと、「40代の平均貯金額」を調べるだけでは、不安は何も解決しません。むしろ、数字を見て余計に焦ってしまうことの方が多いのです。

この記事では、シンガポールの外資系銀行で10年間・2,000件以上の資産形成相談を手がけてきた田中佑輝(アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表)の視点から、40代の「本当のお金事情」と、これからの資産設計の考え方をお伝えします。

40代の平均貯金額はいくら?「中央値」から見る現実と、後悔しないための理想的な資産設計の作り方

40代の平均貯金額——「中央値」を見ると見えてくる現実

まず、よく引用される統計データを確認しておきましょう。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2024年)によると、40代の金融資産保有額は以下のようになっています。

二人以上世帯(40代)

指標金額の目安
平均値約900万〜1,100万円
中央値約300万〜500万円前後

単身世帯(40代)

指標金額の目安
平均値約500万〜700万円
中央値約100万〜250万円前後

ここで大事なのは、「平均値」と「中央値」の差です。平均値は、一部の高所得者・富裕層の数字に引っ張られて高く見えます。実態に近いのは中央値のほうで、「40代の半数以上は貯金が500万円未満」というのが現実です。

また、調査によっては40代の約20〜30%が「金融資産ゼロ(または100万円未満)」という結果も出ています。これは決して少数派ではありません。

「平均と比べること」の落とし穴

「平均1,000万円に届いていない…やばい」と焦る気持ちはよくわかります。でも実は、その比較自体に大きな落とし穴があります。

田中が長年の相談業務で感じてきたのは、「貯金額が多い人でも不安を抱えているケースは珍しくない」という事実です。シンガポールで担当していた富裕層のお客様の中にも、資産が数億円あるにもかかわらず「老後が心配」とおっしゃる方がいました。

なぜそうなるのか。理由は単純で、「将来どれだけお金が必要か」が見えていないからです。貯金額との比較ではなく、自分自身のライフプランを数字で把握することが、本当の意味での安心につながります。

特に、40代の次のフェーズである50代から、インフレに負けない年2〜3%の利回りを安定して狙う具体的な資産配分の黄金比率(債券70%・株式30%のルール)については『50代の資産運用は安全第一!“年2〜3%”を安定して狙う最適ポートフォリオと始め方』にて詳しく紹介しています。


40代の「理想の貯金額」は、実は人によって全然違う

「40代の理想の貯金額はいくらですか?」という質問をよく受けます。正直に言うと、一律の正解はありません。なぜなら、家族構成・収入・住宅の状況・子どもの進学予定によって、必要なお金は大きく変わるからです。

ただ、考え方の基準として使えるのが次の3つの視点です。

視点①:生活防衛資金は「生活費の6ヶ月分」が最低ライン

病気、リストラ、急な出費——何が起きても対応できるよう、手元に置いておくべき現金は「毎月の生活費×6ヶ月分」が目安とされています。月の生活費が30万円なら180万円、40万円なら240万円が最低限の生活防衛資金です。

これは「投資に回す前に確保しておくべきお金」ですので、NISAやiDeCoとは別に考えてください。

視点②:老後に必要な資金を「逆算」して考える

65歳で退職し、90歳まで生きると仮定した場合、老後は25年間あります。仮に老後の生活費が月25万円、年金収入が月15万円であれば、毎月10万円が年金で不足します。25年間では合計3,000万円の不足です。

この金額を40代から準備するには、残り約20年で積み立てる必要があります。つまり、「老後資金はいくら必要か」という逆算なしに、今の貯金額が「足りているかどうか」は判断できないのです。

視点③:教育費のピークをいつ迎えるかで変わる

子どもが2人いて、どちらも私立大学に進学するとしたら、4年間の学費だけで1人400万〜600万円。自宅外通学なら生活費も加わり、1人で700万〜1,000万円超になるケースも珍しくありません。

この「教育費のピーク」がいつ来るかによって、今からの貯め方・運用の仕方が変わります。子どもが小学生の40代前半と、もう高校生という40代後半では、取るべき行動がまったく違います。
特に、子どもが大学を卒業するまでに必要なトータルの教育資金やその具体的な推移については、こちらの『大学の学費はいくら必要?』も参考にしてください。


表面の数字に騙されない——40代家計の「隠れ資産」と「隠れ負債」

家計の本当の健全度を見るには、預金残高だけでなく「純資産」で考える必要があります。

純資産 = 持っている資産の合計 − 抱えている負債の合計

たとえば、貯金が500万円あっても住宅ローン残高が2,500万円あれば、純資産はマイナス2,000万円です。一方で、貯金が300万円でも退職金の見込みが1,500万円、iDeCoに200万円積み立てているなら、資産の実態はずっと厚みがあります。

40代に多い「隠れ資産」のリスト

  • 退職金(会社規定による)
  • 企業年金・確定給付年金
  • 持株会の積立
  • 自宅不動産の評価額(ローン控除後)
  • 生命保険の解約返戻金
  • 新NISA・iDeCoの運用残高

40代に多い「隠れ負債」のリスト

  • 住宅ローンの残高(金利上昇リスク込み)
  • 今後の教育費の増加分
  • 親の介護費用(将来的な負担)
  • 車の買い替え費用
  • 医療費・保険の見直し不足
  • インフレによる実質的な購買力の低下

こうして並べてみると、「預金残高だけ見ていても意味がない」ことがよくわかります。大事なのは、これらをすべて洗い出したうえで、自分の家計の「純資産」と将来の収支を可視化することです。


同じ年収なのに、なぜ「貯まる人」と「貯まらない人」に分かれるのか

相談に来られる方の中で、年収が同じくらいでも資産形成に大きな差が出ているケースをたくさん見てきました。違いはどこにあるのか——田中が感じてきたことを率直にお伝えします。

理由①:「固定費の膨張」に気づいていない

収入が増えると、住む場所が広くなり、車もグレードアップし、外食や旅行の頻度が上がります。これ自体は悪いことではありませんが、問題は「収入増加以上のスピードで支出が増えてしまう」ことです。

通信費、サブスクリプション、保険料——こういった毎月引き落とされる固定費は、一つひとつは小さくても積み重なると大きな金額になります。「気づいたら毎月の固定費が30万円を超えていた」というケースは珍しくありません。

理由②:住宅ローンの「変動金利リスク」を軽視している

2024年から2025年にかけて、日本でも金利の上昇が現実のものとなりました。変動金利でローンを組んでいる40代は、金利が1%上がるだけで毎月の返済額が数万円増えることもあります。

借入残高が大きい40代にとって、このリスクは特に深刻です。「今は払えているから大丈夫」という感覚が、5年後・10年後に大きな誤算を生む可能性があります。なお、年収に応じた無理のない返済計画や適正なローン額の目安については、こちらの『年収800万円の適正な住宅ローンはいくら?FPが返済計画の立て方も解説』で詳しく解説しています。

理由③:「貯まる仕組み」より「節約の意志力」に頼っている

貯金が増えている人の多くは、「我慢強く節約している人」ではなく、「貯まる仕組みを先に作っている人」です。給与が入ったら自動で積立投資が走る、iDeCoで天引きされる——こうして「考えなくても貯まる状態」にしているかどうかが、長期的な差を生みます。

田中がよく使う表現ですが、「資産形成は、投資の前に支出管理能力だ」というのは本当にそのとおりで、富裕層ほど自分の支出構造を意識的に設計しています。


40代から始める資産運用——「ただやっているだけ」では意味がない

新NISAやiDeCoの制度が整備され、資産運用を始める人が増えています。ただ、「口座を開いてとりあえず積み立てている」という状態で安心してしまっている方も多く、それだけでは不十分な場合があります。

新NISA・iDeCoを使う上で確認すべきこと

  • 資産配分(アセットアロケーション)は適切か? 国内株・外国株・債券のバランスが自分のリスク許容度に合っているかを確認する
  • 教育費用の資金は別で確保されているか? NISAで積み立てている資金を5年後に子どもの学費に充てる予定があるなら、その分は株式100%では危険
  • 出口戦略(取り崩し計画)はあるか? 老後にどのタイミングで・どのように引き出すかを考えずに積み立てているだけでは、最大限の効果が出ない
  • iDeCoの受け取り方を考えているか? 一時金か年金形式かによって、税負担が大きく変わる

40代が「やってはいけない」投資の特徴

残念ながら、40代の方が焦りから手を出してしまいがちな「危険な投資」もあります。

  • レバレッジをかけた商品(FXの高倍率、レバレッジETFなど)
  • 仮想通貨への集中投資
  • 高配当銘柄だけに偏った投資(分散がされていない)
  • 元本保証をうたった怪しい投資商品

40代はリカバリーできる時間が50代よりはあるとはいえ、大きな損失を出すと老後資金の計画が根本から崩れます。「増やすこと」より「守りながら増やすこと」を優先する時期です。

40代に合った資産運用の基本方向性

  • 長期・分散・積立を原則とする(新NISAのインデックス投資)
  • 生活防衛資金はキャッシュで必ず確保しておく
  • 教育費は時期を考えて安全な資産(定期預金など)で別管理
  • 保険を見直して無駄な保険料を削減する
  • iDeCoで所得控除を最大限に活用する

特に、運用が順調なときほど見落としがちな「暴落時の具体的な取り崩し方」や、ライフプランに合わせた最適な売却ルールについては『つみたてNISA・新NISAの出口戦略|暴落が来ても後悔しない「取り崩し方」とライフプランの作り方』で専門的に解説しています。


「貯金額より大事なこと」——ライフプランのストレステストという考え方

田中が相談業務で必ず行うのが、「ライフプランのストレステスト」です。これは、将来起こりうるリスクを想定したうえで、家計が耐えられるかどうかを確認する作業です。

「今は黒字だから大丈夫」という状態でも、次のような出来事が重なると一気に赤字に転落する家計は、40代に非常に多く見られます。

リスクのシナリオ家計への影響例
住宅ローン金利が1〜2%上昇毎月の返済が数万円増加
子どもが私立大学へ進学年間150万〜200万円の学費負担
病気・ケガで3〜6ヶ月休職収入が激減し固定費が払えなくなる
親の介護が始まる施設費・交通費・精神的負担が増える
退職時期が想定より早まる老後資金の取り崩し期間が長くなる
インフレが続く現金の実質価値が目減りし続ける

こうしたリスクを一つひとつ検討し、「万一の場合も家計が持ちこたえられるか」を確認する——これがライフプランのストレステストです。

この作業をすることで、「何となく不安」が「何に備えれば安心か」という具体的な行動に変わります。不安の正体が明確になると、人は自然と前向きに動けるようになるものです。


【ケース別】40代の家計——本当に今から間に合うのか?

具体的なケースで考えてみましょう。「自分に近い状況」を探してみてください。

ケースA:40代前半・共働き・子ども2人・住宅ローンあり

世帯年収700万円、住宅ローン残高3,000万円、子どもは中学生と小学生。貯金は500万円。「教育費とローンと老後が全部重なる!」という、いわゆる「ダブルケア・ダブルコスト」の典型例です。

この状況でまず取り組むべきは、「今後10年間のキャッシュフロー表を作ること」です。子どもの進学時期、ローンの残高推移、年収の見込みを並べて可視化することで、「どの時期に資金が不足するか」が初めて見えてきます。

この家庭では多くの場合、老後資産の形成は「教育費のピークが過ぎてから加速させる」プランが現実的です。それまでは、新NISAで月3万〜5万円の積立を継続しながら、固定費の最適化(保険・通信費)を先行させることが優先順位になります。

ケースB:40代後半・単身・賃貸・貯金200万円

独身で賃貸暮らし、収入は安定しているが貯金が思ったように増えていない。老後は年金だけでは厳しいことはわかっているが、何から手をつけていいかわからない——というパターンです。

単身の40代後半が最初にやるべきは、iDeCoの活用です。掛け金が全額所得控除になるため、課税所得を圧縮しながら老後資金を積み立てられます。年収500万円の会社員なら、毎月2.3万円のiDeCoで年間約5〜6万円の税負担軽減になります。

また、単身者は「住居費が老後に重くのしかかる」ことへの対策も必要です。50代以降に家賃が払い続けられる収入があるか、あるいは購入という選択肢を検討するかは、早めに方向性を決めておいた方が賢明です。

ケースC:40代・貯金ほぼゼロ・「今からでは遅い?」

結論から言います。遅くはありません。ただし、「そのうち考える」だけは禁物です。

40歳から60歳まで、20年間あります。毎月3万円を年利4%で積み立てた場合、20年後の資産は約1,100万円になります(概算)。同じ条件で月5万円なら約1,800万円です。

まず手をつけるべきは「固定費の見直し」です。多くの家庭では、保険・通信費・サブスク類の最適化だけで月2万〜3万円の余白が生まれます。その余白を積立に回す——これが最短ルートです。


40代が今すぐ取り組むべき「7つの行動」

ここまでの内容を踏まえて、今日から実際に動けることを整理しました。優先順位の高い順に並べています。

  1. 家計収支を「見える化」する 毎月の収入と支出を一覧にして、黒字・赤字を正確に把握する
  2. 固定費を洗い出して削減する 保険・通信費・サブスク・車のコストを見直す
  3. 純資産を計算する 資産合計から負債合計を引いて、本当の財務状況を把握する
  4. ライフプラン表(キャッシュフロー表)を作る 今後20〜30年の収支予測を作ることで、いつ・どれだけ必要かが見えてくる
  5. iDeCoと新NISAをフル活用する 税制優遇を使わないのは、合法的な節税チャンスを捨てているようなもの
  6. 保険を「必要な保障だけ」に最適化する 過剰な保険は家計を圧迫するだけ。死亡保障・就業不能リスクに絞って整理する
  7. FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する 専門家の目で全体像を把握し、自分専用のプランを作ることが、最も投資対効果の高い行動

まとめ:40代の「お金の不安」は、数字を見れば解決できる

40代は、教育費・住宅ローン・老後準備・親の介護と、お金の課題が人生の中で最も集中する時期です。同時に、まだ20年近く収入を得られる可能性があり、「手を打てる最後のチャンス」でもあります。

大事なのは、平均貯金額と自分を比べることではありません。「自分の家計の現状」と「将来必要なお金」を数字で把握し、今から何をすればいいかを具体的に決めることです。

田中が2,000件以上の相談で一貫して感じてきたのは、「不安の正体が明確になった瞬間、人は動き出せる」ということです。漠然とした不安を抱え続けることが、最もお金の問題を悪化させます。

「そのうち考える」ではなく、今日、一歩踏み出してみてください。家計の収支を書き出すだけでも、見え方は大きく変わるはずです。

40代のお金に関するよくある疑問——「本当に今から間に合う?」「NISAだけでいい?」「住宅ローンは繰上げすべき?」など、具体的な疑問はこのあとのFAQでまとめてお答えしています。ぜひ続けてご確認ください。

特許取得のライフプラン作成アプリ「マネソル」とは?

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この記事の監修者

代表取締役/田中佑輝
アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在し、グローバルな金融リテラシーを培う。外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャーなどを経て株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズを創業。実務の傍ら、Bond University大学院にて経営学修士(MBA)を取得。現場での豊富な実務経験と理論に基づき、単なる運用益にとらわれない「一生涯お金に困らないための資産形成」を提唱。富裕層から一般層まで自身で2,000件以上、代表を務める同社全体ではのべ3万件以上の資産運用のアドバイス実績を持つ。

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