住宅購入をする時、家選びも大切ですが、住宅ローン選びも大切なことです。
長い付き合いになる住宅ローン、なるべく低金利で借りたいと考えている方は、通常の銀行よりも低い金利が魅力であるネット銀行を検討してみてはいかがでしょうか。
その中でも特に有名なのが、楽天銀行です。
楽天グループの銀行部門であり、ネット銀行内で比較的歴史が長いため安心感がありますよね。
また、口座開設数は900万口座にも上ります。
楽天カード保有者や楽天市場をご利用の方の中には、住宅ローンを楽天銀行にしようかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、楽天銀行住宅ローンの特徴およびメリットとデメリットをお伝えした上で、失敗しない住宅ローンの選び方についてFP(ファイナンシャルプランナー)が伝授します。

楽天銀行住宅ローンの特徴はシンプルな商品設計
まずは、楽天銀行が取り扱っている住宅ローンの中身を見ていきましょう。
他の金融機関と比較するとシンプルでわかりやすいのが特徴です。
楽天銀行の住宅ローン商品は大きくわけて2つです。
住宅金融支援機構と提携して販売している全期間固定金利の「フラット35」、「フラット35s」と「変動金利(固定特約付)」があります。
また、一般的な住宅ローンの他に竣工前の「つなぎローン」の取扱いがある点が楽天銀行の特色です。
長期固定金利商品
楽天銀行住宅ローンでは、長期固定金利商品は「フラット35」と「フラット35S」およびそれに変動金利商品を組み合わせた商品となっています。
「フラット35」と「フラット35S」は、最長35年間の全期間固定金利の住宅ローンです。住
宅金融支援機構と提携して販売している商品で、楽天銀行以外でも広く扱われています。
住宅金融支援機構のサービスである新機構団信の有無を選択できます。
団信とは住宅ローンに対する保険のことで、ローン返済中に契約者が死亡または重度の障害を負った場合に、ローンの残高が弁済されるものです。
この団信事態には原則として加入する必要があります。
なお、「フラット35S」は省エネルギーなど条件を満たす住宅を取得する場合に、「フラット35」よりも一定期間、金利が下がるプランです。
変動金利(固定特約付)商品
楽天銀行住宅ローンでは変動金利に固定特約をつけることができます。
固定プランは5パターンあります。変動金利(固定特約付き)は、固定金利と変動金利の両方の金利タイプを選択できる金利選択型の住宅ローンです。
借入期間中は希望に応じて変動金利と国定金利を何度でも変更できるので、ご自身の状況の変化に合わせて金利タイプを選択することが可能です。
10年固定のほか、2、3、5、7年プランもあり、諸費用の一部を借入額に含めることもできます。

楽天銀行の住宅ローン5つのデメリットとは?金利にインパクトなし
楽天銀行住宅ローンの特徴がわかったところで、ここからは楽天銀行の住宅ローンのデメリットについて見ていきます。
契約前にチェックしておきたい5つのデメリットをお伝えします。
考えられるデメリットとは以下のようなものです。
- ①業界最安値とまでは言い切れない
- ②楽天銀行以外の口座から返済すると手数料がかかる
- ③固定金利の選択肢が少ない
- ④店舗で相談できない
- ⑤審査が厳しい
順を追って見ていきましょう。
①業界最安値とまでは言い切れない
借り入れ金利は、住宅ローン選びにおいて重要なポイントです。
楽天銀行住宅ローンの金利は借り入れ商品ごとに以下の通りとなっています。
ネット銀行大手だからといって、すべての商品が業界最低水準の金利とは限りません。
長期固定金利
「フラット35」の場合、住宅金融支援機構が提示した条件の範囲内で金利を決めます。
金利は一定の範囲内に設定されていますが、楽天銀行よりも金利が安い銀行やプランも存在します。
一例として、住信SBI銀行の「フラット35」と比較してみましょう。
■15~20年以下での「フラット35」の金利
銀行名 | 団信あり | 団信なし |
楽天銀行 | 年1.22% | 年1.02% |
住信SBI銀行 | 年0.97% | 年0.77% |
■21~35年での「フラット35」の金利
銀行名 | 団信あり | 団信なし |
楽天銀行 | 年1.31% | 年1.11% |
住信SBI銀行 | 年0.90% | 年0.90% |
上記のように、楽天銀行よりも低い金利の銀行が存在しており、必ずしも楽天銀行が業界最安値ではないことがわかります。
「フラット35」借り入れ時は、複数の銀行で金利を比較しましょう。
住信SBI銀行の「フラット35」は、自己資金が10%台の借り入れであっても金利は年1.0%を切っており、初期費用を抑えつつ低金利で利用できるでしょう。
引用元:フラット35|住信SBI銀行
変動金利(固定特約付)
楽天銀行の住宅ローンの変動金利は、借りられる金利に幅があり、審査結果が出るまで確定しません。
一番良い条件で借りられた場合でも、業界最低水準とはなっていないのが現状です。
一方、金利に幅があるということは、多少条件が厳しめでも金利を負担できればローンを組める可能性もあるということになります。

②楽天銀行以外の口座から返済すると手数料がかかる
楽天銀行住宅ローンにおいて、返済口座に他行口座を指定した場合には年0.3%が上乗せとなります。
普段の給料受取口座がメガバンクなど都市銀行の方は、余計に手数料を支払うことになるのです。
楽天銀行住宅ローンを利用する場合には、金利が上乗せとならないよう楽天銀行口座を作り、返済口座とすることをおすすめします。
③固定金利の選択肢が少ない
楽天銀行の住宅ローンは、前述の通りシンプルに商品が設計されています。
長期固定金利であるフラット35以外は固定金利は5パターンしかなく、選択肢は最長でも10年です。
ライフスタイルによって、長期の固定期間を選びたい人にとっては、住宅ローン設計が柔軟性のないものになってしまうかもしれません。
④店舗で相談できない
楽天銀行はインターネット専用銀行のため、顧客来店用の店舗を持ちません。
相談に関してはZoomやSkypeなどを使用したビデオ電話でのオンライン面談です。
使い慣れない方や店舗での対面を希望している人にとっては、不便と感じるかもしれません。
⑤審査が厳しい
楽天銀行住宅ローンの審査基準について見ていきましょう。
まず、前年の年収(自営業の方は申告所得)が、お申込人と連帯債務者との合算で400万円以上であること。
お申込人と連帯債務者の関係は配偶者のみとなってます。
年間返済割合については本件お借入とその他の借入金を合わせたすべての年間返済額の年収に占める割合が、30%~35%以下であること。
申し込み前に自分が審査基準に合うか確認しましょう。
引用元:変動金利(固定特約付き) – 新規お借り入れ – 商品詳細説明書|住宅ローン|楽天銀行
楽天銀行住宅ローンのメリットは何?3つの強みを紹介
楽天銀行は、楽天グループに属しており、独自のサービスを展開しています。
また、事務手数料に関しては、業界でも随一の低コストとなっています。
借り入れ当初のコストを抑えたい人に向いています。
①楽天ハッピープログラムのステージ1ランクアップ
楽天ハッピープログラムとは楽天銀行のお客さま優遇プログラムです。
エントリーするだけで取引ごとに楽天ポイントが貯まり、楽天ポイントを振込手数料に利用できるようになります。
また、ひと月当たりのATM手数料が最大7回、振込み手数料が最大3回まで無料になる点もお得です。
以下の方は、楽天ハッピープログラムのステージが1ランクアップします。
- 楽天銀行に口座をすでに持っている方
- 口座を開設して楽天銀行住宅ローンの引き落とし口座を楽天銀行に指定された方
楽天銀行内で楽天ポイントが貯まりやすくなり、ATM手数料や、他行振り込み手数料の負担が減るというメリットがあります。
②融資事務手数料がお得
楽天銀行の住宅ローンが、他の金融機関と比較しても際立つメリットは融資事務手数料です。
変動金利は融資金額にかかわらず一律33万円(税込)となっています。
一般的なネット銀行の融資事務手数料は、主に元金×2.2%(税込)です。
例えば、3,000万円を借りたとします。楽天銀行の融資事務手数料は一律33万円なのに対し、他行では、3,000万円×2.2%=66万円となります。
また、フラット35(団信なし)の融資事務手数料は元金×1.1%(税込)であり、こちらも業界最低水準となってます。
③団信の全疾病保障特約とがん診断特約が無料
楽天銀行住宅ローンの金利変動型でローンを組むと、保険料無料で団信に加入できます。
さらに、全疾病保障特約とがん疾病特約(50%保障)がつきます。
全疾病保障は多くの金融機関でも提供されていますが、がん疾病特約(50%保障)を団信の保険料なしでつけているケースは少数です。
がん疾病特約とは、契約者が支払いの途中で所定のがんと診断された時にローン残高が50%となるものです。
さらに、年0.2%の金利を上乗せして所定のがんと診断された時に、ローン残高0円となるオプションもあります。
ただし、健康状態によっては絶対に加入できるわけではないことに注意が必要です。
引用元:がん保障特約・全疾病特約*付団体信用生命保険|楽天銀行
住宅ローンは選択する時代!選び方5つのチェックポイント
楽天銀行住宅ローンの特徴およびデメリットとメリットについてお伝えしてきました。
メリットとデメリットの双方を理解した上で、どのようなことに気をつけて住宅ローンを選べば良いかを、確認していきましょう。
住宅ローンを選ぶ時に考慮すべきは、金利だけではありません。
独自のサービスや事務手数料、手続きのしやすさなど各社ごとに大きな特徴があります。
①金利タイプ変更のしやすさで選ぶ
住宅ローンは、借り入れたときの金利が適用される期間によって、金利タイプが異なります。
半年ごとに金利が見直される変動金利が一番低くなっています。
変動型や固定期間が短い商品ほど適用金利が比較的に低くなりますが、将来的に金利が大きく変動するリスクがあります。
固定金利型で長期間の安定をとるか、変動金利型で低金利のメリットを得るかを検討する必要があります。
借入期間中は希望に応じて変動金利から固定金利に変更できる金融機関を選ぶと、返済計画に合わせて柔軟に金利タイプを変更できます。
②金利の低さで選ぶ
住宅ローンは借り入れ金額が大きいため、少しでも低金利で借りられる金融機関を探したいものです。
メガバンクなど給料受取口座の銀行で住宅ローンを組んだり、不動産会社からすすめられた大手都市銀行で手続きする場合は安心感はあるでしょう。
一方で、大手都市銀行はネット銀行などと比べると金利は高めに設定されています。
金利は最大35年間払い続けるものであり、たとえわずかな差であっても総返済額に大きな影響をおよぼします。
住信SBI銀行では、業界内でも金利の水準が低く、低金利の借り入れ先をお探しの方におすすめです。
自己資金が20%以上用意できる方であれば、年0.9%という低金利の「フラット35 プランA」に加入できます。
引用元:フラット35|住信SBI銀行
③事務手数料の低さで選ぶ
住宅ローンを借りる当初にかかる事務手数料を安く抑えられる金融機関を探してみましょう。
事務手数料は金融機関によって、定額で表示する場合と定率(一定の利率)で表示する場合があります。
借り入れ金額が大きくなればなるほど、利率の変化に左右されない定額の方がお得です。
④繰り上げ返済のしやすさで選ぶ
繰上返済手数料がゼロ、回数に制限がない、低額からコツコツ繰上できるなど繰上返済がしやすいよう配慮している金融機関があります。
早期完済のために繰り上げ返済しやすい住宅ローンを選ぶのも大切です。
⑤団信保険料の有無と疾病保障内容で選ぶ
住宅ローンをか借りる時に加入する団体信用保険料は、住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあった時のため、ぜひ加入しておきたい保険です。
金融機関によっては保険料が無料になるケースもあります。
また、団信の特約として全疾病保障やガン診断給付金などさまざまなオプションがついている商品が増えており、確実にチェックしておきたい項目です。
例えば、ARUHIでは入院時一時給付金のついた全疾病保障をオプションとして導入しています。
ARUHIのスーパーフラットは団信に未加入で借り入れができ、当初10年は金利が年にわずが0.55%と低い水準にあるのが特徴です。
引用元:スーパーフラット5S|ARUHI
住宅ローン選びは多くの判断要素を総合的に比較するべき
家を買うことはおそらく一生に一度の一大イベントです。
住宅ローン選びも、慣れていない方がほとんどでしょう。
金融機関を選ぶ基準は金利はもちろん、手数料、団体信用保険や特約、独自のサービスなども考慮して自分にあった金融機関を選びましょう。
住宅ローンは一度契約したら、長い返済が始まります。
家族のライフイベントも考えて、無理のない返済計画のもと、住宅ローンを選ぶようにしてください。